この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

リューグナー&真朱

金魚はつれず、すくわれず

マリア/真朱 > (9月――いや、8月、だろうか?提灯が朱く照らしている千景神社の境内は、不思議なくらい人が居なかった。今日は宵宮、いや、本当にそうだろうか?)「潮時か…。」(真朱歪められた顔は、もう人の表情をしていなかった。真っ赤な鱗に覆われた肌と、鰭のついた手足や耳。大きな阿修羅鉾の上に立ち、魚の目がぎょろりと眼下を睥睨した。王国騎士団、帝国軍。どうやら彼らが、最後のお客さんのようだ。)「私は真朱……見てのとおり、イモータルよ。私を殺しに来たの?……全力で抵抗させてもらうから。」(そう呟き、非力そうな細腕に握った神剣で空を薙いだ。天羽々斬-あめのはばきり-、千景神社の、御神体である。)   (9/5 19:46:39)


ゑゐりあん/リューグナー > おやおや…。ついにこの時が来たんですねぇ?(と、彼女の後方からそんな声がした。すると、彼女の影から一人の男が出てきた。白いスーツに身を包んだ男、リューグナーである)どんな気分です?真朱さん。そんな身の丈に合わない剣を持って。…今からでも遅くありません。私の能力ならあなたをここから逃がすことも可能ですが…如何でしょう?(彼女を見ながらにやりと笑みを浮かべるリューグナー。しかし、態度とは裏腹に彼女をこの状況から救いたいという気持ちは本当のようだ。無論、それは彼女の利用価値を考えてのことなのだが)…まさかこの大軍を一人で相手にするおつもりで?流石の私でも無理だと思いますがねぇ(と、眼下に広がる王国騎士団や帝國軍を見ながら言うリューグナー)あそこには百戦錬磨の魔術師たちだっている。この状況で勝てるイモータルはほとんどいないでしょうねぇ(更に不安をあおる様に言葉を紡ぐリューグナー)   (9/5 20:05:54)


マリア/真朱 > (その声を聞いて、真朱ははっとした。真っ先に己の正体を見破った人物。なんの因果か――…。『あなたをここから逃がす事も可能ですが』…その言葉を聞いても、真朱の表情は依然として変わらないように見えた。ただぱくぱくと酸素を口にするためだけに生きている、生気の無い金魚の目。感情が揺さぶられようが、揺さぶられまいが、もう彼女には人間のような顔をする事すらままならないのだろう。)「……私は好きで此処にいるの。いずれこうなるってどこかでわかってたわ。」(水の中みたいに、フィルターのかかった声が反響する。あなたとこうして話すのも最後なら、何も隠すまい。教えてあげる、今の、私の気持ちを。)「………化け物になってまで、生きていたくないの。私……」(あぁ、最後に、『楽しかったから』と、そう言えたなら。欠けたピースが、その言葉が何かも自覚できないままに、真朱はリューグナーから目を逸らした。)「行って。」   (9/5 20:14:45)


ゑゐりあん/リューグナー > やれやれ。物わかりの悪い子供ですねぇ。化け物になって生きていたくないというのなら、自ら死を望めばいいというのに…。それとも何か?進んで死を選ぶことに抵抗があるとでもいうのですか?だからこそ、こんな風なことをしていると?(と、リューグナーは真朱に向けて語り掛ける)生きていたくないのなら、素直に彼らの元へ行けばいいというのに(行ってと言われても尚どこにも行く気配のないリューグナー。時間ギリギリまで彼女と交渉をするつもりのようだ)   (9/5 20:29:43)


マリア/真朱 > 「子供子供って、しつこいわね……!」(がら、と声を掠れた声を荒らげて、リューグナーから目を逸らしたまま真朱は叫んだ。)「いい加減にして!私は子供じゃない!もう十六だと言ったでしょう!帰って!嫌い、嫌い、あなたなんて大っきらいっ!死ねっ、死ねっ、死んじゃえ、帰れ、帰れ!!」(ぱっ、と飛沫が上がり、まっすぐに彼を睨み付ける。駄々をこねるようにいらいらした誤気の中に、大人になりきれないもどかしさをどろどろに詰め込んでいるかのように。)「このままじゃまだ、終われないのっ……!このままじゃ、……」(震える両手で握る剣は、とても扱いに慣れているとは思えないしぐさだった。消え入りそうな声で、あなたへ最後の救難信号を。)「……行き場がないの。」   (9/5 20:49:23)


ゑゐりあん/リューグナー > …はっ(しかし、リューグナーの反応はいたって冷淡だった。…否、むしろ嘲笑していた)そうやって、気に入らないことがあればすぐにわめき散らかして。そう言うのが餓鬼だっつってるんですよ(そう言うとリューグナーは真朱の頭を鷲掴みにした)誰に口きいてるんですか?このクソガキ(リューグナーの顔は笑っていたが、その声色はどこか怒りを含んでいた)折角この俺がてめぇを助けてやるつってんのによ。てめぇを利用してやるつってんのによ。ちっとも動きやしねぇ。行き場がねぇだと?俺が折角行き場を用意してやっているのにそれを拒否しておいて“行き場がない”?甘えんじゃねぇぞ?(その対応はあまりにも酷く、残酷で、非道だった。手に力はほとんど入っておらず、振りほどこうと思えば簡単に振りほどけるのが唯一の救いだろうか)   (9/5 20:55:58)
ゑゐりあん/リューグナー > お前の目的はなんだ?“夢”はなんだ?夏が終わらなければいい?それこそ子供っぽいつってんだよ。いつまでも夢見るガキそのものじゃねぇか。違うか?(これがリューグナー本来の姿なのだ。相手が子供っぽかろうが、異形であろうが、不幸であろうが関係ない。この男の前ではすべてが等しく“駒”なのだ。そして思い通りにいかぬ“駒”には容赦がない。…救われない男なのだ。この嘘つきは)   (9/5 20:56:01)


マリア/真朱 > (紳士的な態度を打ち辞めるように、語気を荒らげるリューグナーを見て、真朱はぴたりと息を止めた。大人に叱られて面食らう子供の姿、そのものであった。)「……ごめん、なさい。」(リューグナーの静かな気迫に、周りの人間もまだ手を出せずにいるようだった。相手はイモータル、殺しても殺しても生き返る不死の存在。王国帝國両軍の魔術師にはコードの存在が知られているが、彼らは今この瞬間、彼に希望を託しているのかもしれない。リューグナーがイモータルであることすら、誰も知らずに。)「わからない…わからないよっ……!」(阿修羅鉾の上でうずくまり、彼の手を振りほどいて鰭になった耳を覆った。行き場が無いのは誰なのか、何なのか。真朱にだってわかりやしないのだ。)「だって」(彼の言い分は、概ね正しい。真朱にとってその”真実”は今何よりも痛かった。『だって、十六歳の夏はたった一度しか――』その言葉は声になる事なく、泡沫のようにかき消える。)   (9/5 21:21:28)
マリア/真朱 > 「……もういいの、放っておいて。帰ってっ、お願いっ、帰ってっ!」(どうしてこんなに胸が痛むのだろう。私は、あなたに何を期待していたのだろう。許されるのならば、誰かに掬ってほしかった。あなたと手を取り、夢を叶えられたら。そんな世界線もあったのかもしれない。―――と連れ立って夏祭りに行って、ただそれだけ、それだけなのに。夢が何かと聞かれても、肝心な部分が洗脳でも受けているかのように思い出せなくて、苦しげにあなたを突き飛ばした。)「……私の夢の一つは、誰かにりんご飴を買ってもらうこと。あなたが叶えてくれたわ。……ありがとう、さよなら、ウソブキさん。」   (9/5 21:21:33)


ゑゐりあん/リューグナー > …わかればいいんですよ。わかれば(そう言うと掴んだ手を緩め、クシャクシャと相手を撫でるリューグナー。先程までの彼が“嘘”のようだった)帰りますよ。帰りますとも。もう何を言っても聞かないのでしょうし、そろそろ人間たちが集まってくる頃合いでしょう。私の存在が人間たちにばれるのは好ましくないのでね(彼女に突き飛ばされ、真朱の陰に入り込もうとするリューグナー。すると、彼女が自身の夢を述べふと何かを思い出す)…あぁ、そう言えば。あなたに渡すものがあったんでした(そう言うと、懐からひとつのリンゴ飴を取り出す。袋に包まれたまだ新しいりんご飴。リューグナーはそれを真朱に投げ渡す)互いの正体をばらした際には渡せませんでしたからねぇ(彼女とは顔を合わせずにリューグナーは言葉を続けた)   (9/5 21:35:37)
ゑゐりあん/リューグナー > 餞別です。二度と会うことはないでしょうが、また会えるのならば、会えるのだとしたら(そう言ってリューグナーはちらりと真朱を見た)また会いましょう(そうして一陣の風が吹き抜けると同時に、リューグナーはそこからいなくなっていた。最初からそこにいたことが“嘘”であるかのように。そもそも彼の存在自体が“嘘”であるかのように。…しかし、確かにそこにはりんご飴があった。少女のように真っ赤なりんご飴が、確かにそこにはあった)…愚かですねぇ(帝都から随分と離れた森に現れたリューグナー。彼は騒がしくなっているであろう帝都を見てそう呟いた)いい駒になりそうだったのですが…(それはきっと本心なのだろう。表情を変えず、ただぽつりと呟いた彼。そして他の“駒”を探すべく、どこかへと歩き出したのであった)   (9/5 21:35:39)