この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

三つの民族

ウェンディア王国

世界の西に位置する王国。
太陽信仰をはじめとする”目に見えるもの”を支持する文化を持つ。
効率的で理論的なことを好む国民性。
利害が一致すればどんな移民も受け入れて来た歴史を持つため純粋なるウェンディア人というものはほぼ存在しないが、
ウェンディア人の祖先を数万年程辿ると伝説上のエルフという事になっている。
ごくまれに先祖がえりを起こす者もおり、長耳などの特徴が現れる。
 元より機械の扱いに長けた国家であり、世界より魔術が失われていた沈黙の三年間に機械技術を著しく発展させ、この世界における技術レベルを数段押し上げた技術大国。
 しかしその反面武器の普及が急速に進み、武器を使った殺し合いや戦争が他国と比べ激しく、イモータルは王国の周囲に多く発生している。
帝國とはイモータルの脅威に対抗すべく停戦し、義勇軍として多くの魔術師を派遣されているものの、一触即発といった冷戦に近い状況が続いている。
 国のトップは法王アルデアⅤ世。

【聖フィニクス騎士団】
敬虔な騎士修道会の優秀な魔術師達。
以前はウェンディア聖騎士団と呼称されていたが、多くの騎士から魔術が失われ機械技術の発展と共に武器が普及した沈黙の三年間もあり、それに伴って現在の名称となった。
現在はイモータルの討伐が主な職務である。
合言葉は「太陽の名の下に」で、呪文の締め句にも多用される。神話戦争時代には馬に騎乗していた為、その名残で騎士と呼ばれる。

尊華帝國

世界の東に位置する帝國。
神々の他に妖怪、仙などが綯い交ぜになった宗教観を持ち、古い道具までもが神格を得る。
美しさを尊び、見栄を張る事を美徳とする国民性。
直裁にものを言うことを「野暮」とし、回りくどいしゃべり方をするのも尊華人に見られる特徴で、日常の言い争い等でも相手を傷つける事よりもどちらがユーモアのあるいい回しをするかで競り合いがち。
「花と皮肉は尊華の宝」ということばがある。 
ウェンディア王国で起きた著しい機械技術発展の波を受け、一部では機械技術の普及も垣間見えるが基盤は変わる事無く帝國独自の文化を大切にしている。
 王国とはイモータルの脅威に対抗すべく停戦し、イモータルが王国の周囲に多く発生している事から義勇軍として魔術師を派遣しているものの、一触即発といった冷戦に近い状況が続いている。 
また帝都-王都間を繋ぐ鉄道が建設されており、停戦・国交の回復と共に以前と比べ非常に短時間での移動が可能となった。魔術師の派遣も鉄道を使って行われる事が多い。 
国のトップは尊華帝。
「尊華帝」を字として使っているため、庶民は失礼のないよう至尊とお呼びする。

【尊華帝國軍】
至尊の従順な臣下たる魔術士達。
また、同時に優秀な神官や巫女であることも多い。
現在は帝國周辺のイモータルの討伐、及び王国へ派遣されイモータル討伐に従事する事が主な職務である。

ヨズアの民

神話戦争によって国を追われた民族。
近年は盗賊や悪人のあつまりというイメージが強く、ならず者民族として嫌われている。
束縛されることを嫌い、
自分の意思を最も尊重する個人主義的な国民性。
知識よりも原始的な第六感を重視し、
創造やパフォーマンスに長ける。
手先が器用で、鋭い感覚と高い学習能力を持つ。
国こそ無いものの古い歴史を持ち、暦や宗教などの発明をしたのもヨズアの民であった。
人口の総数は多く至る所で見かけることができる。特に王都や帝都、シント以外の土地にはヨズア人が自然と住み着き形成されたコミュニティが幾つも存在し、その大半はスラムに近い様相を呈している。

【偉大なる王 シュクロズア】
呪文詠唱の必要ない暗触文字を発明し、
一晩で尊華の城を落としたヨズアの魔術師。
その字の意味は”ヨズアを救うもの”

ヨズアの領土を取り戻した事により、
ここ半世紀程、ヨズア人にとっての英雄として崇められていた。

彼の下には数十名ものヨズア人からなるヨズア奪還組織(シュクロズアリ旅団)が結成されたが、
ある日突然人々の前から忽然と姿を消したのをきっかけに
他国からの盗用魔術を使用していたヨズアの魔術師達は
失いかけていた古代ヨズアの神々への信仰を
シュクロズア自身を信仰対象・依代にする事で再び蘇らせた。

”ダー・ニト・ロロイ・シュクロズア。”
シュクロズアの名前を呪文に組み込み、
古代ヨズアの神と接する唯一の呪文としたのである。

しかし三年前にシュクロズアは突如再び姿を見せ、王国騎士団と帝國軍によってその生涯を終えた。
死の間際にシュクロズアが放った一言によって、世界からは信仰と魔術が失われていくこととなった。

【シュクロズアリ旅団】
古代ヨズア語で「ヨズアを救うもの達」を意味する、ヨズア国奪還を目論む組織。
普段は散り散りになっているが、刺青が仲間の目印となる。
イモータルが現れ王国と帝國が停戦した事から、目立った戦争行為は少なくなった。
共通の敵であるイモータルの脅威に対抗する為でもあるが、それ以上に両国から同時に攻撃を受ける事を恐れての事である。
現在も好機を待ち、潜伏している構成員が多い。

【ヨズアの魔術】
ヨズア人は他国からの盗用魔術も多いが、古代ヨズアの神を依り代とする魔術を使用する場合最後に「ダー・ニト・ロロイ・○○(任意の名)」という締め句が使われる。
「○○の声を聞け」という意味である。