この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

董&糸依

悩めよ乙女、影法師

ゑゐりあん/董 > ……(ここは軍の施設にある庭。軍人にも心の安息は必要という事で設けられているこの庭は決して広くはないが、緑が多く小休憩の為に立ち寄る者も決して少なくはない。そんな庭の端に植えられた少しばかり大きな木。その下で一人の女が胡坐をかいて本を読んでいた)…たまにはこういうのも悪くないかな(董である。軍人生活もだいぶ慣れた様子で、現在は仕事がひと段落終わったので少しばかり休憩しているのである。読んでいるのは、過去に存在した剣士たちについて書かれた伝記。脳筋のイメージを持たれがちな彼女であるが、決して本を読まぬわけではなく、時には己の剣技のヒントを得る為、はたまた新たな植物の知識を仕入れるために本を読むこともある。そういう時は図書館も利用するのだが、この庭が空いているときは庭の木の下で読むのが彼女流である。もとより自然を崇拝する一族の出身なのだ。このように木の下で何かをするという行為は、彼女にとっては当たり前に等しい)おっと(その時、一陣の風が吹き抜け、董の常盤色の長い髪を揺らす。軍服姿の彼女は、凛々しさがありつつも、どこか少女のような幼さもあった)   (8/31 20:27:58)


清瀬/糸依 > (此所は尊華の中枢榮郷に構えられた本部基地、至尊を崇めし者が集う魔術師の拠点。未だ収まりを見せるどころかその脅威を膨張させているかのようにも思える異形の討伐に向け、濃縮した葡萄のような軍服を見に纏った者達が行き交うのがちらほらと見える。御苦労な事だ、つい数月前までは私だってああしていたのに。こつ、と靴の底で廊下を鳴らし、久しく通っていなかった中庭への道を通る。左、右、壁を這うように行進、脳内に最近聞いた曲を響かせる。すれ違う双眸にお前は暇でいいよな、と皮肉を訴えられているような感覚だ。被害妄想、されども事実。手に持つのは提出書類ではなく羊皮の分厚い本、確か此所へやって来てほんの数ヶ月程か、その辺りで購入した資料図鑑。この世界とは切っても切れぬ“信仰”という概念について、紀元、種類、傾向やそれに纏わる歴史的出来事に至るまで何でもござれ。最初は部屋で読んでいたのだが、どうも息が詰まってしまってしょうがなかった。気分転換には外の空気を、そんな安易な理由付け。)   (8/31 20:42:00)
清瀬/糸依 > 「……はて」(いつか夜空を滑る鳥の彼と会話を交わしたその場所。さく、と足元の草を踏み訪れたそこには先客が居たようだ。深く生い茂る森林を彷彿とさせる髪色と瞳、まだ垢抜けぬ少女のような彼女に見覚えがなく、入り口から数歩の所で立ち止まり首を傾げる。記憶力は悪くない筈だが、仕事で顔を合わせた覚えも何かを話した記憶も驚くほど無かった。人が話すには幾らか遠い場所に腰を下ろすと、手の中の物を開くことなく青の瞳を常盤の彼女に向ける。まるでパキリとした凛々しい松のような佇まいを、じっと見つめていた。)   (8/31 20:42:11)


ゑゐりあん/董 > …ん?(風が吹いたタイミングで顔を上げたため、近くにいた糸依が視界に入る。すると彼女は少し離れた場所に座りこちらを見つめていた為、董は慌てて立ち上がり脱いでいた軍帽を被る。そして本をわきに抱えて早歩きで彼女の近くまで来ると、端から端まで綺麗な帝國式の敬礼をする)お疲れさまでござる。そしてお初にお目にかかる。拙者、尊華帝國軍一般兵所属、董と申す者にござる。貴殿とは初めて相見える故、挨拶をと思い声を掛けさせていただいた次第にござる(何をしているのかと言うと、自己紹介である。董は初めて見る顔の兵士には必ずこのように挨拶するようにしている。これは、火津彌の部下という役割がある為、もし上官に挨拶でもしなければ火津彌の顔に泥を塗ると考えたからだ。「挨拶をしない部下がいる」。誰かに後ろ指をさされながら火津彌がそう言われる姿を想像するだけで胸が痛む。故に董は、突然読書を中断し挨拶しに来たのだ。中々慣れぬので、このように唐突行為になり相手が引いてしまうのは日常茶飯事ではあるが)   (8/31 21:07:24)


清瀬/糸依 > 「え、は…おぉ……??」(突如少女が立ち上がった。柔らかなせせらぎの清流を思わせる立ち振舞いから何故か騒々しく、そして慌ただしく…此方へ寄ってくる。何も知らぬが故に、別にその一瞬に対する軽蔑や謗りはなかったのだが、あまりにも突拍子のない事の為少し身構えてしまう。何か私の居ない間に新たな戒律が出来たのか、はたまた彼女が私に対する有ること無いことを吹き込まれているのか。そんな思想が脳を過るが、それもすぐ杞憂に終わった。本を抱えたまま模範的な礼をしてみせる彼女。暫くそれを眺めていたのだが、脳が情報の仕分けを終えたようだ。本を傍らに置いては此方も素早く立ち上がり、同じように頭を垂れ敬礼を。)   (8/31 22:07:40)清瀬/糸依 > 「あ、はぁ。大儀なり……あ、いえ。お疲れ様です。同じく尊華帝国軍一介兵、糸依に御座います。……何とやら、貴殿とは確かに此度お初逢うて候なれど。何故……嗚呼いや、何時より此方へ?」(成る程、やはりまだ会って居なかったようだ。事後ではあるがそりゃ当然だ、こんな特徴的な人物に出会っていたならばそうそう忘れる筈もない。董と名乗る彼女は私と同じ兵であり、そして古めかしい言葉遣いの仲間であった。私のこれは趣味と利害の混合であるが、貴方のそれにはどことなく無垢さを感じる。宛ら、箱入り娘と言うのがしっくりくるような、しかし其れにしては潜ってきた経験も多そうな、なんとも不思議な印象。まだ解れのないまっさらな軍服が日を浴びて益々輝かしく見える。きびきびとした雰囲気は新人そのもの、言葉に嘘はないのであろうが何故此所へ。はた、と首元を掻きつつ、少し言葉を選ぶ。初対面にしてあまり首を突っ込むのも無礼というものだ、少なくとも私ならそう感じてしまう。まだどこか身体を硬くする貴方の様子を見ては、まず自分が腰掛け、手招きのようにして貴方に着座を促した。)   (8/31 22:07:42)


ゑゐりあん/董 > あ…(彼女が狼狽えると同時に、董はやってしまったと内心思ってしまう。基本的にこんなあいさつをすると、相手は自分を怪訝に思ってそそくさと帰ってしまうのだ。どうにか相手に怪訝に思われぬようにと、なるべく自然に挨拶をしているつもりなのだが、いかんせん軍人式のあいさつはまだ慣れていないものでこのような失敗ばかりである。そろそろ火津彌に「怪訝な挨拶をする部下持ち将校」なんていう不名誉極まりない渾名が付きそうで恐ろしいので、やめたほうが良いかもしれない。なんて心の中で大反省会を行っていると、これは予想外。相手も挨拶を返してくれたではないか。よかった。挨拶はどうやらこれでよさそうだ(どこかでやめろと関西弁で言われている気がするが気のせいだろう))同じ一般兵にござったか、糸依殿。同じ軍人として、これからよろしくお頼み申す(元々伊丹家では董のような話し方をする者は流石にいないが、糸依のような古めかしい話し方を好んで使う者はいることにいる。董は幸運なことにそう言った口調の者が身内にいたため、特に糸依の話し方を理解するのに困った様子もなく、スッと内容を理解した)   (8/31 22:19:47)
ゑゐりあん/董 > 拙者、今の時間は昼休みなれど、ただ茫然と過ごすのも軍人としていかがかと思い、こうやって昼食をとったのちに本を読んでいた次第でござる。普段は自室で読むのでござるが、庭が空いているときはここに来るのでござるよ(と、己が何故ここにいるかという経緯を説明する。すると、相手が手招きをして着座を促したため、失敬と断りを入れ、胡坐をかいて座る。女性が胡坐なんぞはしたないと言われるが、伊丹家では男女関係なく胡坐をかく。その董の胡坐がこれまた様になっており、見てくれだけでは将校のようであった)して…貴殿はどうしてこちらへ?もしや、貴殿も本を読みに参ったのでござるか?(と、相手が持つ本を見てそんなことを訪ねる。自分の本と比べると随分と分厚そうである。“年下”ながら天晴、だなんて董は感心していた)   (8/31 22:19:56)


(ミナコイのバグによりログが抜けています。)


清瀬/糸依 > 「此方こそ、何卒よしなに願い奉る」(会釈の後に少し口角を上げて柔らかに笑んだ…つもりなのだが、恐らくは上手くできていないだろう。それどころか表情が変化したかどうかも怪しい。特別顔が固い訳ではないが、どうも気持ちとの連動が強すぎるらしい。初めて顔を会わせた少し癖のある相手と中庭で。若葉を柔く押し退けて、足元に咲くのは千日紅。しかしどこに私が満開の笑みを咲かせる要素があるのだろう。正直挨拶を返したのは愚策だったのかも知れないが、今や兵としてすら勤務できぬ自分に掛けられる声を蔑ろにもできなかった。悪い人ではないのだろうし不器用でもないのだろう、上手いやり方をまだ心得ていないだけ。つい癖でかちっと正座をしていたが、靴を隔てて重なる親指が心地悪く腰を浮かせて脚をずらす。)   (9/2 22:22:06)
清瀬/糸依 > 「忠実ゝしことで、善きかな善きかな。皆が貴殿のように勉めれば、我等が尊華も益々栄えることでしょうに……全く、今の尊華には統率といふ物が足らぬのです。更に言うなれば、守山の失態を繰り返さぬよう教訓とする事さへせず。王国に遅れなど取っておらずとも、組織が其れでは勝てし戦とて……!!!」(国の為に励む彼女の姿は、贔屓目でなくとも直向きで印象良く感じられる。そうそう、こういった志ある者が内側から変えていかなければ。様になった胡座姿で経緯を語る貴方を見つめ、肩にかかったボブの黒髪を揺らし頷く。そんな彼女を見ていると、相対的に我等が尊華軍の欠点が浮き彫りになってくる。機械仕掛けの文明は彼方に軍配が挙がるのは明白だが、優秀な神官や巫女を抱えているのは此方の利。段々と口早にぶつぶつと呟き、本の背表紙に沿わせた指を忙しなく動かす。貴方が知らぬであろう以前の戦を思い返せば怒り不満を募らせ、何も関係のない貴方に吐き出す始末。声を張り上げればぴり、と付近の空気が異様にざわついた。はっと我に返ると貴方を横目に、罰が悪そうに背を丸める。)「──あぁ、えっと。董殿、お見苦しい所を見せてしまい申し訳ない」   (9/2 22:22:15)


ゑゐりあん/董 > …どうでござろうな。拙者のような輩が増えれば、かえって帝國に害を与えるやもしれぬでござるよ(糸依に自分のようなものが勉めれば尊華も栄えると言われ、董は何とも言えぬ表情で返す。まだ公には言っていないが、董にとって帝國はどうでもいい存在なのである。董が心より仕えているのは火津彌ただ一人。彼に菖蒲道のままに仕えると心に決めているため、帝國が残ろうが消えようが関係はなかった。…そんな想いを抱いているのが、少し申し訳ない気持ちになってしまう。熱く語る彼女の姿を見ていると、帝國に何も感じていない自分が、なんだか小さく見える)…否。貴殿は…立派な軍人にござるな。帝國に対してのその忠誠心。見事な菖蒲道にござるよ(バツの悪そうな相手に対し、深々と頭を下げて尊敬の意を示す董。きっと、彼女は自分と違いかの戦争を生き抜いたのだろう。色々と、思うところがあるはずである。そんな國の為に感情を荒げることのできる彼女の姿は、軍人の鏡のようにも思えた)…糸依殿。一つお尋ねしたいのでござるが、貴殿は“帝國”と“命を捧げたいと思える主”。どちらに仕えるべきだと思われるでござるか?(と、ここで董は糸依に疑問を投げかける)   (9/3 11:55:35)


清瀬丸/糸依 > 「…………」(凡てを照らす光を遮る雲のように、貴方の瞳に靄がかかる。深々と頭を下げる貴方に何も返すことなく、その行為を咎めようとした口の端をぎゅっとつぐむ。深海の底に寝そべって、明を閉ざしたその様。どこか空っぽの貴方の様子は、何の、正体は私がよく知っているものだ。人によって感じ方、重要さの感覚が違うように、褒め言葉が矛となることもよくある話。故意でも無意識でも、刃で貫かれれば関係なく痛いのだ。今日が初対面、余計勝手の分からぬ貴方に対して、何を放ち何を行えば良いかなど、私にはさっぱりわからないのだった。)「……。私とて、最初から國にこの身を捧げ仕えるつもりは在らずして。それに、私が國に思ふは……忠誠などどという綺麗なものではありませぬ」   (9/6 23:33:49)
清瀬丸/糸依 > (細く息を吐き、瞳を地の千日紅に向けてはぽつり、と呟き始める。私はまっとうな人間ではない、模範だなんてもっての他だ。アドバイスを仰げど私の言葉では貴方の為にはならないだろう。他者の行く末を示すことのできる人間というのは、自分の歩むべき道で路頭に迷うことなどないのだから。……だから、私ができるのは反面教師。くる、と腰を回しては貴方の方へと向き直り、手にした厚い本は端へと追いやる。掴むことのできる未来がまだ多い今の貴方にだからこそ、私にできることがある。青の眼をじっと、常磐色のカーテンに隠れた貴方の片割れをも逃さぬように見つめる。)「いづれかを選ぶ必要などないのです。國にしろ主にしろ、仕えるというのは己を多少なりとも差し出し、そして与えられるもの。全てを差し出せば身は崩れ、貰いしものに潰れ溺れることもあり。……何も、捨てる必要はありませぬ。大切なのは、匙加減」   (9/6 23:34:20)
清瀬丸/糸依 > (独白、戒飭、説明、朗読。言い聞かせているのは、貴方に向けてだけではない。貴方に示す道は、目の前に見える二者択一ではなく、先輩が教える秘密の抜け道。草分けはしてあるから、途中まではきっと進みやすい筈。一旦口を閉じるときつく張りつめた空気と瞳をふ、と弛め、今度は柔く貴方へと囁く。)「……私は、後者を余計に汲み取りて過ちを犯しました故。貴殿は、私のように間違うてはなりませぬよ」   (9/6 23:34:28)


ゑゐりあん/董 > そうなのでござるか…?(彼女が國に身を捧げて仕えているつもりではない。これは忠誠ではないという言葉を聞いて少し驚く董。その思いが忠誠でないというのなら一体何だというのだろうか?すると、彼女がこちらに向き直り、じっと見つめてきたため首をかしげる)な…何か…?(戸惑っていると、糸依は言葉を紡いだ)選ぶ必要は…ない…?(帰ってきた答えは、董にとっては驚きの答えだった。國も主も、どちらかを選ぶ必要はない?)そ…そんなことが可能なのでござるか…!?(思わず董は身を乗り出す。それを遮る様にさらに続けられる糸依の言葉に董は息をのむ)…匙…加減…にござるか(今までは火津彌への忠誠心が十でなければならないと思っていた。しかし、その忠誠心は十でなくてもよいのだろうか?残りの忠誠心は國への忠誠心にしてもよいというのだろうか?)…(その答えを決めるには董はあまりにも幼く、何も知らなかった)…御意に(糸依の言葉にうなずく董。果たして自分は本当に道を違わずに歩くことができるのだろうか。“菖蒲道”という道を、果たして)   (9/7 20:13:30)


清瀬丸/糸依 > 「……貴殿がより冀うのが前者…國であらば、易きことなのですがね」(コロコロと転がる賽。深い深い緑のビー玉を引っ付けた仮面を生き生きと取り替えては、感嘆や落胆や苦難を醸す貴方。既視感を呼ぶその様子から目を背けるように、舞台の幕という名の瞼を下ろす。國だなんて大きなものを一人で守る必要などないのだ。規模の大きなものには独占欲や親近感は湧きにくい、本来ならば主への忠誠もそのようにあるべきなのだろう。二者択一などせず、他者の力を借りどちらも導く、それがきっと皆の望む理想。……それが、人というのは面倒なもので。“自分一人で”という欲望と焦燥と。他に何も見えなくなる程に心酔してしまっては、もう手の施しようもなくなってしまう。この彼女も、そうなのだろうか。誰か、何もかもを擲って全てを注ぎたい相手が──私の知人とも露知らず──居るのだろうか。齢も素性も知らぬ子、けれどこのままではきっと……己の道すら踏み外してしまうような、そんな危なっかしさを感じる。いつもならば無視していたけれど──)   (9/17 19:34:49)
清瀬丸/糸依 > 「貴殿には、全を以て何方かへ傅く覚悟がありしようで。定めて麗しき方にあるのでしょう、加減等というのは何時も難き事ですが……護る為の身を滅ぼしては、元も子も有らず、というではありませぬか、ね?」   (9/17 19:34:59)


ゑゐりあん/董 > …糸衣殿。最後にひとつ…聞いても良いでござろうか?(彼女の言葉の半分も理解出来ていないだろうが、それでも自分なりに咀嚼し、飲み込んだ。そして飲み込んだ結果、董にはこんな疑問が浮かんだのだ)…もし、主が道を…。…“人としての道”を外さんと致す場合は、止めるべきなのでござろうか(董は目を伏せ、己の腰に差した刀を見つめて問う)…我が命に変えても…主を止めるべきなのでござろうか…(今までは、主にただ付き従うことだけが忠義だと思っていた。だから、火津彌が死ねといえばいくらでも死ぬつもりであったし、彼の命令には迷わず従っただろう。それが“忠義”だと思っていたからだ。だが、彼女と話してその考えが揺らいだ。なんの迷いもなく彼に従うのが、果たして忠義なのだろうか)主を引き止めることもまた、忠義なのでござろうか(彼は危うい。董は密かにそう思っていた。一見堅牢な城に見えて、その基礎は不安定だ。何がきっかけで崩れ去るか分からない。暴走するか分からない。それならば、董は彼を止めるべきなのだろうか。…董は初めて、己の忠義に疑問を抱いた。それは、彼女にとっては大きな進歩である)   (9/24 12:35:45)
ゑゐりあん/董 > …教えては…いただけぬだろうか…(伏せていた目を再び上げて、真っ直ぐに糸衣を見つめる董。彼女の常磐色の瞳は、答えを欲していた)   (9/24 12:35:54)


)清瀬/糸依 > 「……いと愚問なり、なんてね。忠誠は服従とは異なる物にあり、頷くのみなら人でなくとも能へますから」(不安そうに見つめる瞳に、最初は少し声を低めて……すぐにぱっ、と両手を開き肩を竦めてみせる。縒れたスカートの裾を纏めて、腰を浮かせて座り直して。ただ甘受するだけならば簡単だ、判断の責任が伴わないのだから。矯正には相手への否定が付きまとう。一時に身を委ねてはその先長続きはしないだろうから。全て失ってしまってからでは遅いのだ、取り返しのつかない罪に気付くのはいつも、過ちが全て過ぎた後だ。)「何に代えても、護り給へ。泥を掴み、無様になろうとも、遍く人は何物にも代えられぬのです。……それには、周りを頼るのもよろしき選択ではありませぬか?」   (9/26 10:39:57)

清瀬/糸依 > (首に手を添え、貴方を見やっては返事を促すように瞳を細める。損失したものは元通りには返ってこない。ざわざわと低木の揺れる中、見上げれば少し雲行きの怪しい空が広がっていて。荷物を抱え立ち上がり、帽子を被りながら後ろ手に中庭の出入口を指差した。)「天候も怪しゅうなっております、それに此処では身体も冷えますでしょう?今日は此処で、御開きにでもしましょうぞ」(特殊な、それでもありふれた一少女を置いて、踵も返さず場を後にする。なんだか、後ろから足音はするけれど。それ以上は助言ではなくなって、もっと踏み込んでしまいそうだった。あんなにも悩み苦い顔をするのだ、外野があれやこれやと口出ししていいものではないのだろう。それによく考えれば、あまり関わり過ぎても面倒というものだ。厄介事は凌がねば。……きっと、彼女が間違えませんように。無い神に、柄でもなくどこかで祈っていた。)〆【悩めよ乙女、影法師】   (9/26 10:39:59)