この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

珠代&竜灯

軍靴の波紋

雛/珠代 > ((眠気覚ましに熱いお茶を飲みながら、緊急対策本部から上がってきた情報を改めて浚ってみる。あのイモータルのコードはなんだろう。行方不明の安否は。考えることは山積みで気が急くのに、目が滑るばかりで文字が頭に入ってこない。背伸びをすればパキパキと骨が鳴って、流石に少し疲れたなぁ、とため息をついた。……と、収集された兵の中に数時間前に知り合ったばかりの顔を見つけて、口元に笑みが戻ったのが自分でも分かった。例の屋台のお兄さんだ。秘密ですよと約束してから、随分早い再会だ。軍人としてのお名前くらいは聞いておいてもいいかもしれない。))「こんばんは。今夜は本当に遅くまでお疲れ様です。」((屋台を畳んでからここに来たのでは仮眠すら取れなかったに違いないもの。分かっていますよという意味の親しみを込めて笑いかける。きっとあちらも、あの人好きのする笑顔で返してくれるはずだから。))   (8/16 22:35:52)


シロー/竜灯 > 深夜、間もなく日付が変わる頃合の尊華帝國軍榮郷本部基地。普段ならば人影は疎らとなるであろう時間帯であったが、何やら今夜は騒がしい。蜂の巣をつついたようにあちらこちらから本部へと兵が集まり、どよめきと共にカッカッカッと軍靴の音が建物内に反響する。早歩きだったり小走りだったり、急ぎ早に移動する兵士達が多い中、きっとこの男はダラダラ歩きであったに違いない。会議の最中も何処か上の空で殆ど話は頭に入っておらず、会議が一通り終わって兵士達が各々散らばっていっても、竜灯は席から腰を上げられずにいた。急いで軍服に着替えたからか、着こなしはかなり雑で、ボタンもまともに留められていない。机の上に乱雑に放置された書類には目もくれず、椅子を引いて深く凭れ込んでいた。───なんでまた、こんな時に⋯⋯。ぼやこうとしたその時であった。突然掛けられた声にはっ、と瞳を開け、見ればそこには確か⋯⋯中尉。いきなりの出来事に思考が追いつかないままに取り敢えず姿勢を正すと、頭に手を当てて小さく礼をした。)   (8/16 22:57:45)
シロー/竜灯 > 「⋯⋯はっ、⋯中尉!い、いえ中尉こそ⋯俺は今日大した事はしてないですきに。⋯⋯」((なんでまた、中尉が。俺なんかに。こん人に目をつけられるような事でもしただろうか、そう思って自分の足元に視線を落として体を確認し。ばつの悪そうに机の上の報告書を手に取って、眉を困らせて口角を不器用に上げる。竜灯の快活な笑みを知っている貴女からすれば明らかに作り笑いを見せた。)「いやあ⋯⋯何もこんな時期に⋯いい迷惑ですよね、折角明日は宵宮やっちゅうんに⋯⋯。」   (8/16 22:57:46)


雛/珠代 > 「あ……、そうですね。困りましたね。」((返ってきた笑顔はどう見ても作り笑いだ。予想に反したあまりのよそよそしさに少し驚いて口ごもってしまった。よそよそしいを通り越して、これではまるで私とは一度も会ったことがないとでも言うような。 ‘屋台のお兄さん’なんてここにはいないということかしら。確かに私も「面識ありませんから」なんて言ってしまったけれど……。それに、明日は本宮なのに。疲れで日付の感覚がずれているのかもしれない。それでもあのイモータルは彼とも接触していたようだし、情報を持っているのなら些細なものでも提供してほしい。))「あの……さっきの、宵宮でのこと、お話ししてほしいんです。私がわたあめを買う前に、金魚みたいな女の子が来なかった?」((危ない橋を渡らせてしまうのが申し訳ないとは思いつつ、声を落として踏み込んだ。))   (8/16 23:20:37)


シロー/竜灯 > 「ですね⋯。」((取り敢えずは当たり障りない返事を返しておいた。⋯⋯さっきのは皮肉?俺が全く話を聞いていないのを知ってて言ってきたのか、遠回しな注意か?尊華貴族らしくはあるの。⋯⋯竜灯には未だ中尉という立場の、ましてや面識も無い上官から話し掛けられた理由が読み取れず、必死になって有り得る可能性を一つ一つ炙り出していた。全員が全員火津彌さんや獅子唐さん、花崗さんの様な人間ばかりではないのは知っている、もし失態を犯そうものなら⋯はあああ一体全体なんぜ⋯。───考え込みすぎて溜息を零しそうになっていると、すぐ様追い討ちのように掛けられた言葉。とうの昔に消えていた作り笑いだが、今度は表情に困惑、といった感情を映す。それは貴女の言葉が続けば続く程色濃くなっていき、「はあ⋯⋯?」と語尾を上げて小さく相槌を打つと、暫し悩んだ様子で俯き。数秒の思案の後に頬を掻きながらゆっくりと顔を上げた。)「⋯⋯さっき⋯⋯ちゅうのは⋯⋯いえ、俺は今日祭りには出とらんですし、宵宮は、そんの⋯明日です。⋯⋯綿飴も、正直身に覚えが無いですちや。」   (8/16 23:35:42)


雛/珠代 > 「でも宵宮は、……。」((宵宮は明日だなんて悪い冗談だ。そう言いたいのに、嘘や誤魔化しを言っているのではないと表情や口ぶりから分かる。私だけに残っている記憶がそこにはある。イモータルの能力が引き起こしているとしか考えられないけれど、もし本当に時間が操作されているのであれば苦戦を強いられることは間違いない。私が憐れみをかけたばかりに取り逃がしたりしなければ……。後悔に流されかける思考を引き戻して、顔を上げる。今やるべき事はそれじゃない。))   (8/18 22:06:13)
雛/珠代 > 「私達の認識している時間にはずれがあるみたいですね……。」((記憶にない自分の行動を聞かされるのは気味が悪いでしょうけれど、他に辻褄が合う説明もできない。あれだけ大きな影響の出る能力なら、発動する条件が何かあるはずだ。私も彼もあのイモータルと接触しているのに、私だけが記憶を持ったままでいられたのが鍵になるはず。もしもあの金魚が私を気に入ったから能力を行使しなかったのだとしたら――。本宮で私が囮になれば、おびき寄せることができるかもしれない。考えられる可能性について手短な共有を終えた後、明日の本宮が始まるまでにある物を調達できないかとお願いしてみる。分かりました、届けちょきます。不思議そうにしながらも堅苦しさの抜けた表情は屋台のお兄さんの片鱗を少し覗かせていて、こちらも張り詰めていた気持ちが少し楽になった。))   (8/18 22:06:44)