この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

リシリア&瑞希

リプカ/リシリア > ───夕闇に照らされ始めたその廷内。明るい雰囲気が支配するその場は老若男女様々な和装の人間で入り乱れていた。勿論和装以外の者も多数居るが、それを埋め尽くす程に多いのは帝國故の象徴だろうか。見目眩いその和服に身を包むのは主に女性が多く、男はあまり派手な物は着用していない様だ。 暗くなりはじめ提灯が付き始めたその時間、一人の少女が其処へと辿り着いた── 「チッ、こんな所まで逃げてくるなんて……、予想外だったわ。さっさとゴミクズの様に捻り潰されれば良かったのに。」 辺りを見回すも目的の人物は見つからず、成程。あの男が逃げたのも頷ける。木を隠すのなら森の中。人を隠すのなら……という考えに至ると舌打ちが溢れた。   (8/14 15:53:58)
リプカ/リシリア > 思わずぼやいた言葉と共に漏れる殺気は周囲の一般人達でも剣呑な空気が分かる程だろう。人が多い中自分の周囲だけはぽかりと空間が空いてしまうのだから。とは言えそれは好都合。周囲の刀が届く範囲に男が入ってしまえば自動的に切り捨ててしまうだろうから。 無差別に男を斬り殺す事に躊躇は欠片も無いが、然し今はまずい。少女を主に扱う奴隷商を襲撃し、あと一歩という所まで追い詰めて逃したばかりで、まだ目的の男を見つけられて居ない。この状況で刃傷沙汰を起こせば間違いなく警邏の者達が現れ、斬り殺してる間に男は逃げ、自分も逃げなければ行けなくなるだろう。あの男を殺さなければ奴隷商はまた再開され、攫われる少女が出てきてしまう。    (8/14 15:54:01)
リプカ/リシリア > 「それは、絶対に許せない。許しちゃ行けないのよ……。  ッ居た、あの男! 」 足を止めずに人の波をモーゼの如く開きながら思考に意識が落ちかけた瞬間、見つけた。 少し禿げかけた頭に、厭らしい笑みを浮かべるその顔。気色悪い事に汗ばんでおり、明らかに周囲を警戒しながら急いでいる風で。周囲には護衛らしき者が二人、警戒しながら奴隷商を急かしていた。  懐から小さなナイフを取り出すと、右手にありったけの力と殺意を込め、握り込んだ。 周囲の人間など一切気にせず、目にも入らない。 強く握った、そのナイフを、全力で投擲した。 結果は言うまでもなく、その現場は騒然となり警備の者が呼ばれた様だ。 その場から消えるように足早に歩き去ると、人通りが規制されているのか、人が少なくなっている通りへと出て、息をついた。 逃した時のリスクもそうだが、周囲に男が居る空間に耐えるのも、限界だった。 真っ赤に充血した目から流れる血を拭いながら、息を整える。男を殺し尽くすという衝動を必死に抑えながら、周囲の警戒など全く出来ていない。荒い息遣いだけがその場に流れていた。   (8/14 15:54:05)


愁空/瑞希 > (祭り。それは人々の喜楽集まる場所。そして財布の紐が浮かれた熱に溶かされる場所。太陽の熱気、人々の熱狂、それらをかいくぐって花を売り歩き、その成果といえば、今現在瑞希が薄ら笑いを浮かべて視線を落とす巾着の中身である。まるまると太った巾着は重みが宿り、底に添えた左手にちょこんとのしかかる。普段の数倍には膨らんだそれは、瑞希の花がよく売れた証であった。――が、この花売りというのは人が好き。そして花を売る事それが好き。ともなれば、花売り第二部に出る選択をすること、その準備の為、祭りの主たる通りに近く、しかし準備を邪魔されない一本逸れた道でよいせよいせと作業をしていることも道理だった。巾着を腰に下げ、さてと花売り準備を始める。花に言葉を掛け、魔術を施しては一息。巾着に一瞥。笑顔。視線を花籠に戻しては花の状態を見、ちらと巾着を見ては笑顔。決して彼女自体が金にがめついという訳ではないが、流石の瑞希でもこの売上は自分史上初らしく、何度も見てはうふふ、と一人ご満悦で。   (8/14 16:25:35)
愁空/瑞希 > ――ああ。祭り。なんてすばらしい日。花も良く売れる、人の笑顔もよく見られる。人々の言葉は花火色で、なんとも和やかで。そして売り上げも過去最高。こんな気分のまま、午後も花売りをできるなんて。ああ。本当に。なんて素晴らしい日。)………はえ?(と。素っ頓狂な声が出たのは唐突に。遠くから近付く足音が、自身の側で止まる。と言っても、曲がり角を一つ隔てた向こう側。しかしその呼吸は酷く荒く、ただ祭りの喧騒から逃れてきた、とは言い難い。もし助けが必要なのであれば手を差し伸べるべきだと考え、曲がり角の向こう側へとひょこり、顔を出す。そこに在ったのは紅い少女の姿。今まで帝國で目にした人物たちの髪色はどれも美しく、鮮やかだった。しかし少女の緋色は一際鮮やかで。まるで真白の雪に鮮血を滴らせたかのような――いや。鮮血を、滴らせている。)   (8/14 16:25:45)
愁空/瑞希 > あ、の……! 大丈夫ですか。(瞳から流れる血液を見て、少しばかり慌てた様子でぱたぱたと駆け寄った。そっと手拭いを差し出し、「使いますか」と加えて声を掛ける。尋常ではない。恐らく、というよりは、確実に。なにか日常と異なる事が彼女の身に降りかかったのだろう。自身の花売りとしての午後は休業。彼女を助けるという新たな午後を手に、その一歩として差し出した手拭いを受け取って貰えることを期待していた。)   (8/14 16:25:51)


リプカ/リシリア > (油断しすぎて居た。 今の状況を表すなら、その一言に尽きる。相手に殺気が無かったからなのも在るだろうが、目前に迫るまで人に気づけ無いなどどうかしていた。このまま誰にも見られず誰とも会わず王国に帰るつもりだったのに、これではパーだ。これが男なら……、と思わない事も無いが、そもそも男であれば近づいてきた瞬間に分かるし、というか男ならそんな事を考える前に声を掛けて来た時点で斬り捨ててしまうだろう。だからこの思考が意味のないことだ。分かっていても考えてしまう。溜息をつきながら、袖で大雑把に目を拭い正面を見据える。此方を心配そうに見ながらハンカチを差し出しているのはまだあどけない少女だった。 見た目は随分若く見える。その和装を自然に着ている様から、外様ではなく帝國の住民なのだろうと見るだけでなんとなく分かった。 だが、此処にこの子が居ては間違いなく巻き込まれる。先程男を殺した騒ぎはまだ収まっておらず、明らかにこの周囲を警戒している人間が見回りに来るのは必然だからだ。 然し、どう見ても一言で別れる様なタイプには見えないし、かといって何も言わず置き去りにするのも   (8/14 16:42:32)
リプカ/リシリア > この心優しい少女に対してするべき事では無いのだろう。 故に。この全てをひっくるめた溜息である。 少し話してから別れよう。何か来たら殺せば良い。 それだけの事。 そう考え、口を開く。 「大丈夫。と言っても信じないでしょう? 普通は避ける物よ。こういう厄介事の種は……、ね。」 苦笑しながら相手のハンカチを押し返し、断る。流石に涙なら兎も角血で汚してしまえばその手ぬぐいは簡単な洗濯で汚れが落ちる事は無いだろう。まぁ、魔法とかでならなんとかなるのかもしれないが。案外水属性で分離する事など出来るのかもしれない。呪文次第では。 とは言え、そんな例は稀だろう。少女の気遣いは嬉しいが、こんな物は袖で充分。 衣服に対する頓着など無いし、そもそも、もう、その様な存在でも無いのだから。 「どうして声を掛けてきたのかしら。 貴女は何?」 そう問いかけた理由は、特に無かった。明らかに敵であろうとは思えないし、この少女には邪気が無さすぎる。 もしこれで追手なのであれば、自分の節穴を呪いながら死ぬしか無いのだろう。 こんな状況で声を掛けてくる変わった少女。今の彼女への印象はそんな物だった。   (8/14 16:42:34)


愁空/瑞希 > 信じません。でも――大丈夫、なのでしょう。貴方の声には怯えがありませんから。(溜息の後、聞こえた声の色に驚く。軍の方。同業人。それから一般の市民の方々。様々な人間の声を聴いてきたが、血を纏っていながらも此処まで落ち着いた声色を出した人物は未だかつて出会ったことはなく、そして、声の”匂い”そのものにも僅かな違和感を感じる。今まで話してきた人間とは違う。刃のように鋭い言の葉の一粒、しかしながらそれを形の合わぬ鞘に無理くり押し込めて、私を傷つけないようにしているような――。何か一つ、些細なきっかけでもあれば、鞘はすぐに抜け落ちてその刃を振るうことなのだろう。思考の中、彼女の言葉の色を思い浮かべるに、彼女の色――深紅が、よく似合っていた。ウェンディアの人間か、女性にしては身長が高く、脚もすらりと伸びている。その容姿の美しさを瞳に収めながらも、押し返されてしまった手拭いを大人しく胸元に仕舞いなおす。押し付ける善意はただ厚かましく、迷惑なだけ。それを学んでいたからこそ素直に引き下がり、そして彼女の言葉から感じる自信にも似た感情を受け取る。   (8/14 17:09:47)
愁空/瑞希 > 心配ではあるが、たぶん。彼女の傍に居すぎると足を引っ張るばかりになってしまうのだろう。きっと彼女は魔術なんか頼りにしなくても、独りきりのその身でも、解決できてしまうのかもしれない。うん。少し話してから別れよう。纏めた考えを脳裏に秘め、彼女の言葉に解りやすい返答を返す為に、「失礼」と一つ言葉を残し、曲がり角に置き去りにした商売道具を取って彼女の目の前に戻る。)名前は瑞希。商売は花売り。『花屋瑞希』に御座います。……というのが商売口上で、お昼までの売り上げを数えたり……夜の祭りに備えて、準備をしていたんです。そしたら足音と、荒い息が聞こえたから。きっと怖い目にあったんだとおもって。……花は癒しを届けるもの、花売りも同じく。それなら、目の前に血を流している女性を見たら、助けたいと思ったんです。きっと、必要ないのでしょうけど。   (8/14 17:10:00)
愁空/瑞希 > (言葉の紡ぎ方は柔らかく、言葉の音色は穏やかで。必要ないでしょうけど、の言葉と同時、胸元に仕舞った手拭いに視線を落とす。断られた手拭いは、きっと私そのもの。助けはいらない。剣山のような彼女と裏に、野原の隅、風間に揺蕩う花のような少女。――あの人は、張り詰めた糸みたい。強いのに危うすぎる。だからこそ、惹かれるものがあったのか。声を掛けたのは本当になんとなく。助けなきゃと思ったのは、もしかしたら惹かれたから。こんな状況なのに、見惚れてしまう程不思議な魔力を秘めた少女。今の彼女に対しては、そう思った。   (8/14 17:10:06)