この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

真朱&リューグナー

金魚すくい

マリア/真朱 > (酉一刻(17:00)。日は沈みかけ、提灯が今か今かと点灯を待つ闇と赤との狭間の時間。千景神社の中でもかなり奥まった道の茂みに真朱は隠れていた。目の前には、見世物小屋ののぼり。『怪奇!』『度胸試し』『世にも奇妙な』と赤や緑の文字で書かれており、ここ一帯はどこか俗悪なキッチュさが漂っていた。来るのは好奇心旺盛な悪ガキか変わり者。それすらも今はなりを顰めて閑古鳥が鳴いているのは、今まさに目の前で行われている喧嘩のせいだろう。『──金返しやがれ、子供騙しじゃねぇか!』山高帽をかぶり、羽織を着込み首には拍子木に紐をつけたものを掛けている、恐らく呼び込みの男に、機嫌の悪そうなこれまた変わり者風の男が掴みかかる。   (8/13 00:22:31)
マリア/真朱 > 『──いやぁ、お客さん、来た時間帯が悪いですよぉ!……へへ、もう少しすればもっと面白いもんが見れまさぁ。奇形児の交尾、見たことあります?足もねぇのにへこへこ、へこへこってさぁ、ヒヒヒ、ヒヒヒ……うあ゛』悪趣味な事を言いながらへらへらと笑う客引きの頬に思い切り鉄拳がぶつかり、その衝撃のまま地面にビタンと叩きつけられた。伸びてしまった客引きを一瞥した後、殴った当人はふんと鼻を鳴らして去ってゆく。──今だ。)「おつかれさまぁ!」(地面に顔を突っ伏して伸びている彼に声をかけ、見世物小屋の上りを一つ抜いて手にした。『怪奇!』と書かれたそれを両手に、異形の真朱は堂々、宵宮へ躍り出たのだ。鱗のついた頬、水かきのついた手、真っ赤な顔に、銀色に光る釦のようなまんまるい目で。)「さぁさ、お代は見てからで結構だよ!」   (8/13 00:22:46)


ゑゐりあん/リューグナー > これはこれは、愉快痛快気分爽快。まさか本物が偽物の小屋の客引きをするとは(と、そんなことを言いつつそこへ現れたのは、空吹の能面を被った一人の男だった。そんな男はケラケラとまるで茶番劇でも見たような雰囲気で真朱の元へと近づいてくる)ちょっとそこのお嬢さん。一つ、私についてきてはくれませんかねぇ?(そうして彼女の前に行くと、彼女を見下ろしつつそんな提案をする)あぁ、もちろんタダで…とは言いません。これをどうぞ(そう言って差し出したのはりんご飴。…最初の邂逅の時にあげたお菓子である。そうして再び男は彼女に話しかける)おっと、自己紹介がまだでしたねぇ。私の名前は“ウソブキ”。…否、お久しぶり、ですかねぇ?ともかく、一緒に来ていただけますかねぇ?…大丈夫…。ちょっとお話をするだけですから…ねぇ?(ねっとりと、まとわりつくような言葉、笑い方、仕草。全てが嘘のようで、空言のようで。でも確かに男はそこにいた。ウソブキと名乗った嘘つきは、そこにいた)   (8/13 00:34:07)


マリア/真朱 > 「ん?」(そこのお嬢さん、と声をかけられ振り向く。聞き覚えのある声に、見覚えのある猫背。この人は確か、ウソブキさん?だけど、お面が違う……。一瞬絡まりそうになる糸。解こうともせず放り投げるようにして、真朱はこう言い切った。)「こんにちは、お兄さん。わたしは真朱、あなたは?」(りんご飴を差し出し、遅れ馳せながら自己紹介をしたあなたを水のように冷たい目でじっと見る。どうしてみんなして子供扱いするのだろう。)「……食べ物で釣られると思った?馬鹿にしないでよ。わたしもう十六よ、やり直し。」(のぼりを地面に突き立てて、片手を腰に当てて、好戦的な瞳を向ける。真朱が変わってしまったのは、どうやら見た目だけではないようだ。)   (8/13 00:56:40)
マリア/真朱 > 「嘘が下手ね、ウソブキさん。そんなお面つけて自分は嘘つきですって自己紹介ごくろうさま。いっそ宵闇に乗じて私を攫ってくれた方が随分わくわくするわ。逃げも隠れもしないから、この手をとってごらんなさいよ。」(ふん、と鼻を鳴らして鱗だらけの手を向ける。真朱はかなり頭にきていた。声のかけ方が気に食わない、馬鹿にしてるのか、子供扱いして。りんご飴を貰うなら、もっと素敵じゃないといや。中途半端に夢が叶うくらいなら、そんな夢は叶わなくていい。『完璧な夏』の邪魔立てをするなら────殺してやる。)   (8/13 00:56:54)


ゑゐりあん/リューグナー > …やはりか(ウソブキには…リューグナーには真朱の詞なんぞもはや聞こえていなかった。ただ一つの予感が、確信に変わった余韻に浸っていたのだ。そうしてリューグナーはりんご飴を地面に叩きつけ、真朱をお姫様抱っこする)少しばかり、付き合ってもらいましょうか。…何。手間はかけさせませんよ(そう言ってリューグナーは彼女を少し離れた茂みに連れて行った。ここでなら誰にもばれないし、誰にも悟られない。そんな場所に彼女を下ろし、リューグナーは能面を外し、彼女を冷えた目で。彼女と同じく真っ黒な目で見降ろしていた)…不思議…だったんですよねぇ。いや何、私はこう見えて情報集めが得意でしてねぇ。この千景祭に訪れるにあたって多くの情報を仕入れてきたのですよ。この祭りには山鉾というものが作られるそうで。確か祭りの一日目から作り始めるとかなんとか。…でもねぇ、完成してないんですよねぇ。…否、完成してないんじゃァない。“作成したはずの部分がまるっきり消えている”。まるで時を戻したかのように…   (8/13 01:13:40)
ゑゐりあん/リューグナー > (そう言うと、リューグナーは己の影から影の触手を作り出し、彼女にその鋭い先端を向ける)…おかしいと思ったのはそれだけではない。人々の様子もおかしかった。特に大人の様子が。屋台の店主に同じお面をかぶって話しかけてみましたが、まるで初対面かのような反応をしますし、何日も経過しているはずなのに、祭りに来ると常に“初日に来たのと同じ反応をする”。買い物客の中には先日購入したはずの狐の面を再び購入していた客もいましたねぇ。…おかしいんですよ。この違和感。不思議で不思議でたまらない(そう言うと、リューグナーは彼女に歩み寄り、笑顔を見せた)けれど…何故か子供たちや一部の大人たちは違った。私と同じような反応をしていましたよ。だから不思議に思って子供たちやその一部の大人を調べてみたのですが…。そいつらはみんな、早い段階で帰宅してましてねぇ。それで一つ思ったのですよ。でもねぇ、やはり一定数いるものですね。子供なのに違和感のある反応をする子供が。だから私、そいつらを“一匹一匹”虱潰しで事情聴取したんですが…(リューグナーは真っ黒な瞳で彼女をじっと見つめた。そして)   (8/13 01:13:51)
ゑゐりあん/リューグナー > お前。何か知ってるだろ?(笑顔からは随分とかけ離れた、ドスの聞いた声を出した)   (8/13 01:13:52)


マリア/真朱 > (あなたの手によって叩きつけられると、薄い飴が割れ、林檎がぐしゃりと潰れた。驚いた顔でそれを見るや否や、ひょいと真朱を抱き抱えようとする腕が伸びる。あまりの豹変、一瞬の事に抵抗もできなかった。)「……えっ!?」(下ろして、と言わなかったのは、どうしてか。彼女自信にもわからなかったけれど、不思議なくらい静まり返った感情だけがそこにあった。何も感じない、ただこのままついて行けば、完璧な夏が手に入れられるかもしれないと思った。茂みにそっと下ろされると、あなたの手が能面にかけられる。『襲われるのはイヤだけど、口付けくらいならされてもいいよ。そのお面を外してくれたらね。』この言葉、あなたは〝覚えてる?〟)「……!」(人らしからぬ、黒い瞳がこちらを見下ろす。嘘か誠かわからぬ言葉を紡ぐ口は、2枚の舌があるかのように動きを捉えられない。錯覚だろうか、いや──おかしい、この人は……)   (8/13 01:45:21)
マリア/真朱 > 「……それで?」(語り出すあなたの言葉を促しながら耳にする。提灯の灯りがほのかに届く茂みの中で。言い終わったかと思えば、ずるりと闇から触手のようなものが出ては這い寄った。あぁ、異能たる者!)「随分とは話が長いわね、それで?」(さっきの嫌なりんご飴に比べたら、いくらかマシな状況に思える。特別幼く見える訳でもないのに、どうしてみんなが子供扱いするのか理解できない。ようやく、対等に話ができるようになってきたではないか。)「あはははは!男前になったじゃない、ウソブキさん!男の人はそうこなくちゃね!何か知ってるかって?どーぞ、お気の済むまでお調べになったら?」(そう言い放ち、浴衣で隠れている袖を捲って鱗を見せつけた。)「さぁさぁお立ち会い、もっとおぞましいものを見世てあげましょうか?」   (8/13 01:45:34)


ゑゐりあん/リュ-グナ- > (真朱の話を聞いていたリューグナーは、暫くすると口元を抑えて痙攣しだした。まるで何かを我慢するかのように。そして)…くっ…(その我慢は)ははっ!!(限界を迎えた)ッハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハハハハッハハハハハハハッッハッッハハッハッッッハハッッハッッハッハハハハハハッハハハハハハハハハッッハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!   (8/13 02:13:37)
ゑゐりあん/リュ-グナ- > (リューグナーは体を大きく逸らし、大空を仰ぎながら大声で笑い声を。…否、それを笑い声と呼ぶにはあまりにも狂気的で、狂喜的で、悪魔じみていた。…そう。おそらくこれは悪魔の鳴き声なのだろう。人の形をした、二枚舌の悪魔の)っはぁ…。…最高ですねぇ…(そしてしばらくして静かな声でそう言うと、ほぅと息を吐き元の体勢に戻った)…あぁ失敬。驚かせてしまいましたかねぇ   (8/13 02:13:51)
ゑゐりあん/リュ-グナ- > (そう言うと、真朱に向けていた触手も全て影の中にしまい、敵意がないことを示す。そして少し離れ、お辞儀をした)私はリューグナー。あなたと同じです。…ちなみに、ウソブキは偽名です。…真朱さん。もしよろしければ、私と手を組みませんか?(そして顔を上げ、笑顔を浮かべたリューグナーは彼女に手を差し伸べた)あなたの目的はわかりませんが、手をお貸ししましょう。その代わり…私に手を貸してください。いわゆる、win-winの関係…というやつですかねぇ(時を操る能力のイモータル。その出現はリューグナーにとっては僥倖以外の何者でもなかった。人間程度では到底無理な芸当である時のという概念への干渉。それは、イモータルが人間の進化系であるという説を大きく後押しするものだったのだ。流石に思い通りに扱うことの出来る能力ではないだろうが、それでも持ち駒に加えぬ手はないのだ。持ち駒は、多ければ多いほど良いのだから)   (8/13 02:14:08)


マリア/真朱 > (弾ける嗤いを耳にして、真朱はまず驚いてから目を丸くした。些か不気味ではあったが、まだリューグナーの中に隠した狡猾な内面まで見透かせる程特別察しが良い訳でもないし、何よりも敵意を感じ無かった為、怯えるようなこともなく大口を開けてぽかん、と。──ていうかこの人、いつまでこうしてるの?)「……いいえ、別に。リューグナーさん?ふぅん、やっぱり嘘つきじゃない。手を組むって?」(差し伸べられた手を一瞥し、どうしたものかと考える。浴衣の下の肌を見せようとしただけで自分がイモータルなのだとも、宵宮の巻き戻りが自分の異能によるものだとも一言も言ったつもりはないのだけど、随分早合点な人だ。それが案外的を射ているのはたまたまか、それともある種の第六感みたいなものだろうか。)「……わたしの目的ねえ。」   (8/13 10:33:18)
マリア/真朱 > (いざ聞かれると、自分は何がしたいのだろう?目的?……それを描く為には、何か大きなピースが欠けている気がした。欠落した感情は暗く虚ろにぽっかりと真朱に穴を空けたまま、ブラックホールのように時を吸い込み続ける。)「……わたし、は……」(両手を前で組んでもじもじとしながら、ずり、と下駄を引きずって軽く後退りをする。)「わたしは夏が終わらなければいいと思っているだけ。誰の助けもいらない。あなたに出来ることも、ない。」(嘘つきなウソブキさん。──交渉をする為には必要な前提がひとつある。信頼だ。あなたは信頼を築くために、一体何をしてくれたのでしょうか?りんご飴を床に叩きつけて、茂みに連れ去って、取引だって?……真朱は特別頑固な訳じゃない。だけど、それで頷くのはバカだけだろうと思った。あなたは些か、〝正直〟すぎる。)「……邪魔をしないで、それが望みよ。わたしの邪魔立てするんなら」(そして、この娘も。)「殺してやるから」(あまりに愚直だった。)   (8/13 10:33:32)


ゑゐりあん/リューグナー > 夏が終わらなければいい?…ふぅん(と、途端にリューグナーの瞳から光が消えた。…元々光のない真っ黒な瞳だったが、それでも真朱に対する好奇心が失われたと思える目になった)…くだらない(鼻で笑いながらリューグナーはそう言った)実にくだらないですねぇ。己の力の価値に気が付かず、無策に、愚直に、ただただバカげた目的の為に出鱈目に動く。これをくだらないと言わずしてなんといいましょうか?(なんて言いながら彼女に背を向けるリューグナー。その実、リューグナーは真朱を手駒に加えるつもりであったが、勝算は五分五分であった。目の前の少女が純粋で、あのクラゲのようにホイホイと何の疑いもなく付いてくるバカであるという確率が五割。残りは、思った以上に理知的で自分のことを信用せずに交渉決裂する確率である。後者であってもリューグナーは問題ないと思っていた。疑うことを知っているうえに、自分で目的を遂行するという意志と計画力があるのならば、こいつが暴れてくれるだけでも面白そうなことになると思ったのだ。…が、結果として彼女は計画なんかなく、曖昧な目的の為に無策に動いているに過ぎなかった)   (8/13 11:20:10)
ゑゐりあん/リューグナー > 私としたことが…過大評価もいいところですねぇ(つまりは失望である。時に干渉する力を持っていながら、“夏を終わらせたくない”というくだらない目的しかない彼女にリューグナーは失望したのだ。勝手に期待をし、勝手に失望した。手駒に加える価値もない。そう思ったのだ。だからこそリューグナーは真朱の別の使い方を思いついた)…まぁ、いいでしょう。邪魔立てはしませんよ。えぇ、しませんとも。私は嘘をつきませんからねぇ(彼女のほうを向き直り、張り付いた笑みを浮かべるリューグナー)まぁ、あなたのお手並み拝見と行かせてもらいましょうかねぇ。傍観に徹させていただきますとも(そう言うと、リューグナーはずぶずぶと体が地面に沈んでいった。…地面ではない。それは影だった。木の陰にリューグナーは沈んで行っているのだ)…あなたがこのまま夏を終わらせずにいれるとは、思いませんがねぇ   (8/13 11:20:56)
ゑゐりあん/リューグナー > (そう言ってリューグナーは消えた。別の使い方。それは、“人間たちの底力”である。時への干渉という対応しづらいイモータルに、人間はどう対処をするのか。それをリューグナーは図ろうと思っているのである。もし、この事件を人間側が解決したのであれば…。慎重にならねばなるまいだろう。それまでせいぜい彼女を観察させてもらおう。異能に巻き込まれぬように、静かに)…しかし…とんでもない化け物が、この祭りに巣食っていたものですねぇ(リューグナーは影の中を移動しつつ、そんなことを言った。彼女は果たして救われるのか?それとも、人間たちに掬われるのか?…何はともあれ、愉しみですねぇ)【金魚すくい】   (8/13 11:20:58)