この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

真朱

宵宮金魚姫-伍

マリア/真朱 > 【8/8 23:15】「……あぁ、今日も楽しかった」(銀黒の丸目を虚ろに輝かせ、真朱は呟いた。眼下には灯りを落とした宵宮、そろそろもあ、見慣れた暗闇だ。)「明日も明後日も、そのまた明日も!ずっとずっとお祭りよ。」(袂と帯を翻しくるりと泳ぐ宵宮金魚。記憶に蓋をするように、何かを無視してまた唄う。)「きんぎょーやー、きんーぎょー……」(ぞぞぞぞぞ、ぞぞぞぞぞ。鱗は頬に、手の先に至り、赤い真朱の身体は鱗にいよいよ包まれてゆく。鼻は低く、口は大きく。手のひらを見れば指と指の間の水掻きが蛙のように広がりつつあった。)「あ……」(手を見つめながら、とうとう何かに気づいたように真朱は声を漏らした。──あぁ、こんな姿じゃ。 『何度でもやり直せばいい』その言葉に孕んだ欺瞞が、水面から顔を出した。いつまでも少女では、いられない。そんなこと、死ぬ前から、ずっと────)【宵宮金魚姫-伍】   (8/12 22:21:46)