この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

緑ノ秘メタル想ヒ

ゑゐりあん/董 > 久しぶりに戻ってきたけど、このお祭りは相変わらずだなぁ。この賑やかさ、癖になっちゃうや(軍での仕事を早めに終わらせ、やってきた千景祭。小さいときに何度かやってきた記憶があるが、色々とあって中々来れずにいたのだ。来るのはざっと5年ぶりくらいだろか。当時はまだ幼かった少女も、今ではすっかりと成長しており、今では軍の兵士である(紆余曲折がありすぎたが)。そんな彼女も今宵はただの美しき女子。近場にあった着物屋で浴衣を借り、一人屋台の並ぶ通りをブラブラと歩いていた)しかし、折角バカ火津彌も誘ってあげようと思ったのにいないんだから…。どこでなにをしてんだか(そう。折角なので上司である火津彌と一緒に行こうかと思ったのだが、彼の元を訪ねた時にはすでに出かけた後であった)もしかして…女?はっは~ん。な~んだ。あのバカも隅に置けないじゃんっ(と、一人ニヤニヤとする董。しかし、そう思うと何故だか胸が軽く締め付けられるような、そんな感じがした)…ん…。なんだろ(体調でも悪いのだろうか?胸の痛みなんてあまり感じたことがないのだが。しかしまぁ、きっと問題はないだろう。そう思い進んでいると、お面屋が目に入る)   (8/11 00:22:19)
ゑゐりあん/董 > あ、お面屋さんだ。何か買おっかな。お祭りと言えばお面だしね(そう言ってカランコロンと下駄を鳴らし、お面屋の前に行く董)「いらっしゃいお嬢ちゃん!何かお探しかな?」(元気のいい中年の店主が董に声を掛ける)そうだなぁ…。なにがいいか…あ!(何かいいお面はないかと思い物色していると、そこには狐面が売ってあった)…狐面…か「お、お嬢ちゃんそれがいいのかい?」(狐面を見て思わず彼のことを思い浮かべ、じっと見つめていた董。それを見た店主は、董が狐面を欲しがっているのだと思い、声を掛ける)え?…うん。店主さん、これくださいな「まいど!」(そう言って董は狐面を購入し、頭にかぶって再び歩き出す)…なんで買っちゃったんだろ(少し歩いたのち、そんな疑問が湧きふと狐面に触れてみる)……(彼、火津彌は狐面を被っていた。初めて会った時も、その次に会った時も、彼は狐面を被っていた。それはきっと、彼の火傷痕を隠すためだろう。何故あんな傷がついたかは知らないが、隠すという事は彼にとってコンプレックスという事に違いない。…そのコンプレックスを隠す道具が彼のアイデンティティになっているのは皮肉なことではあるが)   (8/11 00:22:35)
ゑゐりあん/董 > …でもま、あいつ狐みたいだしなぁ。それに結構似合ってるし(董は彼に二度も救われた。一度目は白刃の笑顔戦。そして二度目は…彼の部下になったとき。彼は自分に言ってくれた。「僕が背負おう、お前の痛みを」…と。その時、董の心に巻き付いていた茨が朽ちていく気がしたのだ。今までずっと押し付けられ、逃げてばかりいた痛みを、彼は背負ってくれると言った。その言葉が、董にとってはどれ程の救いとなったことか)…ふふっ   (8/11 00:23:15)
ゑゐりあん/董 > (董は狐面を触りながら嬉しそうにほほ笑む。だからこそ董は誓ったのだ。彼のために生きると。彼のために戦うと。彼のために死ぬと。彼が自分の痛みを背負ってくれるのならば、自分は彼の痛みを背負う。そう決めたのだ。心のどこかに、別の感情がある気がした。だが、そんなことを気にする暇はなかった。彼の痛みを背負うためには強くならねばならない。正直、軍に勤務するのは嫌である。実際軍の上層部には自分の生家のことがばれているであろうし、そのうち家族が押し掛けるのではないかと思うと反吐が出そうであった。…だけど、それ以上に彼の元で働けるのが嬉しかった。彼のために力を振るえるのが嬉しかった。彼と一緒に過ごせるのが…何よりも幸せだった)…でも…あいつにとっての私は、ただの部下なんだろうなぁ…(と、浮足立っていた心に雲がかかった。よくよく考えればそれは当然のことである。彼だって少将というかなり高い地位にいるのだ。地位が高くなればそれだけ部下も多くなる。きっと自分は、その数多の部下の中の一人にしか過ぎないのだ。それは無論理解していた。理解していたが…やはり改めて考えると、少しだけ寂しかった)   (8/11 00:23:36)
ゑゐりあん/董 > …でもいいもん。あいつのために働けるんなら…それでいいはずだもん(そう。彼の力になりたいのならばそれでもいいのだ。別に特別でなくてもいい。特別でなくてもいいのだ。彼のために戦う雑兵の一人で良いはずなのだ。しかし、董はなぜかそれが嫌だった。何故だかは理解できなかったが、彼の一番がよかったのだ。部下の中で一番の…。否。“彼の中で”の一番がいい。董は常々思っていた。二番でも三番でも嫌だった。何故か彼の一番がよかったのだ。本当に、何故か)…あー!もういい!考えるの面倒だから考えない!(と、董はガーっと叫んで思考を停止する。無論周囲の人々は何事かとこちらを向くが関係ない。元々考えることは得意ではないのだ。考えれば考えるほどにわからなくなるのなら考えないほうが良い。それが董のポリシーである)そんなことより、今はお祭りを楽しまなきゃ(そう言って小走りに駆け出す董。すると…)…わぁ!(大きな音とともに夜空に大輪の花が咲く。一輪、二輪、三輪、いっぱい。次々とその花を咲かせては散らす花火の美しさと儚さに董は、足を止め目を輝かせ見惚れていた)きれい…。あー、あいつも今頃どっかでこの花火見てんのかなぁ。   (8/11 00:24:40)
ゑゐりあん/董 > どっかの美人さんと! (なんて言うと、やっぱり胸が軽く締め付けられた。そんな中董は、とある人物の顔を思い浮かべていた)そういえば…あの時であったあの子。今頃どうしてるんだろ(帝都に帰ってきたばかりの頃に植木市で出会った少女のことである。あまり顔を覚えていないのだが、年の割には大人びていた記憶はある。董はそんな彼女に偉そうな口をきいて、結果として彼女を傷つけたのだ。今思えば、随分と傲慢な物言いである。初めて会った少女の事情も知らず、そんなことを言う流れでもなかったはずなのに、そんなことを言って少女の触れてはいけない部分に触れてしまったのだ)…今度会ったら、何か買ってあげよ。そして謝ろ(ものを買い与えただけでどうにかなるとは毛頭思っていないが、それが董なりのけじめの取り方であった。あくまで年下に対してだが)…はぁ~あ。折角お祭りに来たのにちょっと湿っぽくなっちゃった。もっと楽しくいかないとね。息苦しい軍隊生活の数少ないガス抜きなんだから!   (8/11 00:25:07)
ゑゐりあん/董 > (そう言うと董は、屋台の並ぶエリアへと走っていった。同じ時刻、例の少女…咲夜中将が、件の上司、火津彌少将と出会っていたことを、董はついぞ知ることはなかった。時は、再び巻き戻るのだから)【緑ノ秘メタル想ヒ】   (8/11 00:25:09)