この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

オウガ&咲夜

夢の通ひ路、人目よくらむ

しぃずま@オウガ > 「あーあぁ、しまったな…(目の前に広がる景色。粒々と人海が波を作り、道を行く。僅かな隙間も見れず、この巨体が通るには余りに狭すぎる道だった。)はてさて、どうしたもんか。(くらりと気の遠くなる視界の目を瞼で閉ざし、さらにその右目だけを自らの掌で覆う。角が小指と薬指の間から生えていた…しばらく、帝国には行くくことがなかった。今日は、彼女の…あの鋭い蛇の目をすり抜け早朝から宿に泊まっていたのだ。だから、実は今日で初めての千景祭りだ。今の自分の姿を知る帝国人は、どれほどいるだろうか。その数がわからなかったとしても、ゆっくりと左目を開けてみれば、ところどころ、その姿を見てそそくさと道から離れていく人間が、ぽつりぽつりと見えた。人一倍観察眼があるのも、恨めしい所だ。まぁ、知らず道行く波風たちは、何か飾りのような物だと思っているだろうか。)」   (8/8 20:35:22)
しぃずま@オウガ > 「(せめて話し相手がいてくれれば、その人だけを見ていられるのにな、なんて。)」   (8/8 20:35:24)


骨牌/咲夜 > (宵宮。昨日訪れた場所を歩いている筈なのにまるで別世界を訪れたかのように神社へと続く参道は人の波で埋め尽くされている。噎せ返るほどの人いきれ。それでも例年と違うのは、尊華人特有の黒髪に紛れて、王国民のものと思われる金色や茶色の頭が其処らかしこに見えることだろう。鉄道が開通したお陰もあって国外の人間までもが異国文化に親しもうと千景祭に訪れる。強い信仰があれば訪れるのを躊躇する場所だろうに、シュクロズアの残滓はこんな場所にまで及んでいるのだ。なんとも言えない苦い思いを味わいながら、咲夜は杖を片手に制服姿の軍人たちを引き連れて人波を掻き分け山道を急ぐ。人が発する熱気にも汗の一粒さえ浮かべることなく、規律正しく一定の速度で歩く姿はまさしく尊華軍人のそれだった。しかし、その足が止まる。)   (8/8 21:12:20)
骨牌/咲夜 > ……待ちなさい。(なぜ、と理由を誰かに悟らせる訳にはいかなかった。それを口にしてしまえば王国の要人である貴方を、帝國の貴人として表舞台に招き歓待せねばならなかったから。伏し目がちな視線を足元へと投げて、旅行客の影法師の列が通り過ぎて行くのを見送った。)お世話になった人がいらっしゃったので、挨拶をして参ります。すぐに追いつきますから、先にいってなさい。(そうして無理やり捻り出した文句は聊か硬いものではあったが部下たちを撒くには十分だった。人波を割って歩く軍人たちが遠く離れたことを確認してから咲夜は、……どうしようと視線を迷わせた。   (8/8 21:12:39)
骨牌/咲夜 > まるで親とはぐれた子供みたいにあちらこちらへ視線を投げて、縋る手を探してみるけれど、これだけ多くの人間がいるにも関わらず咲夜の背中を押してくれるものはいない。孤独が胸にしみた。けれども、瞳に映った姿が幻ではないのなら、ここで立ち止まって立ち尽くすわけにはいかなかった。軽く唇を噛んで歩き出す、なんと言おう、なんと言おう、あぁ、どうしよう。小さな心臓が早鐘を打つ、近付けば近づくほど鮮明になる貴方の姿。思わず駆け出してしまいたくなる気持ちを堪え、人混みの消えた場所に近付いた。)……ご無沙汰しております。3年振りでしょうか。(そうして視線を伏せたまま呟いた言葉はとても小さく、遠くから聞こえてくるお囃子に搔き消えてしまいそうだった。)   (8/8 21:12:47)


しぃずま@オウガ > 「(人を囃すはその囃子。尊華らしい美しさを持って甲高く、粋に、そして複雑な抑揚を付けて鳴る、清楚な尺八の音。軽快に素早く、奇妙な木の板で弦をはじく、三味線の音。雄々しく、そして荒々しい、筆を一息に振るって描いた一文字を思わせる豪快さが響く、囃子太鼓。それらがそれぞれ、しかしいったいになって規律を持ち合わさることで、囃子は成り立つ。それらは人の歩みを囃し立て、興に入らせる…いや、耳から突っ込ませるくらいの力を持った、強い旋律なのだ。…その中に、1つ。静かであるのに、確かに響くその音色が彩り多く耳へ届いてくる、鈴。それを感じられる音色…囃子の中で聞いていると、妙に心地よく、違った世界を感じられる音色が、囃子に惹き入られる鬼の耳へと入ったのだ。それはあなたの、声だった。)」   (8/8 22:57:57)
しぃずま@オウガ > 「(最初に、戸惑いや驚きが体の中に走った。あなたを見つけることが、やっぱりできなくて。空虚な祭りであったな、とそう思いながら、この列に並んでいた時だったのだ。あなたを見つけることは、そう簡単ではないと思い知らされて、物憂げに石段の人間たちを眺めていた時だったのだ。次に、喜びと不安が走る。自分とサクヤの別れは、触れたことがきっかけだった。だから、いつのまにかその立ち位置から乗り出していた自分の体と腕を制止し、胸へと抱いた。最後に、痛みと不安が走る。その大きな大きな胸に抱いた手の指先が、あの産毛の感触を思い出して、ずきずきと痛んだ。そして、自らが触れたあなたが、「女」でなかったら、という、途方もない疑念に惑わされて。しかし。そんな痛みも、不安も、今は持たなくてもいい。汗ばむ頭をぶると一度振って、気丈を保ち、あなたへ言葉を紡いだ。)」   (8/8 22:58:14)
しぃずま@オウガ > 「あぁ、久しいな、サクヤ。3年間も連絡を寄越さずすまなかった…元気、だったか?(と、石畳を見ながら、申し訳無さげに微笑んで言う。しかし、その笑みを、その顔をよく見れば、少しやつれた頬と、目にも隈が見えるだろう…それを歪ませて、オウガはただあなたを、見惚れるような顔でただ見つめていたのだった。)」   (8/8 22:58:36)


骨牌/咲夜 > (何処か疲れたような貴方の瞳が見開かれ此方をみる。闇色の瞳のその奥に三年間の出来事が走馬灯のように駆け巡った。何を話そう。話したいことは沢山あった筈なのに。神罰が現れただとか、汽車が開通して両国の行き来が簡単になったのだだとか、もう一度出逢えたら話そうと思っていた話題が、金魚の吐き出す泡沫のように浮き上がっては次々に弾けて消えた。貴方は大きな腕を胸に抱くようにして立ち止まるが、迷いを振り払うように一度大きく頭を振ると鋭い犬歯が覗く唇は懐かしい音色を紡いだ。元気だったかという言葉に、頷いてはみたたけれど、この出逢いに感極まった目頭が熱を孕んでしまえば、顔をあげることが出来ずにそのまま俯いてしまった。「あぁ、いやだなぁ。」そんな言葉が頭の中で響く。どうして肝心な時に限って、わたしは下を向いてしまうのだろう   (8/8 23:41:50)
骨牌/咲夜 > 貴方も石畳を見下ろせば、二人の視線は交わらない。本当は今すぐにでも駆け出して貴方を抱きつきたかったのに。「だめだなぁ」そんな自分の声を掻き消したのは耳朶に触れた貴方の笑い声。ゆっくりと視線を持ち上げれば、貴方の笑顔があった。それは三年前にみた太陽のような輝きに満ちた笑顔とは異なっていた。そんな貴女を見ても、心配より嬉しさが勝ったと言えば貴方には酷い人と想われてしまうだろうか。疲れを強くにじませた張りのない頬も、目の下に深く滲んだ隈も、貴方の魅力を損なうには至らなかったから)はい……、王国は大変だと聞いています。オウガ殿は(敬称をつけてから、唇を結ぶ。貴方の呼び方にすら迷う自分に、会いたかったと素直に口にできる勇気はあるのだろうか。不死者が多く現れたのは王国である、王国軍の上にたつ貴方はきっと自分以上に苦労しているのだろう。なにも知らない咲夜はそう予想することしかできなくて)   (8/8 23:42:10)
骨牌/咲夜 > 随分と男前があがったようですね。えぇと。(会いたかったと素直に口に出来ればいいのに、咲夜はまた唇を閉じて視線を下げた。その瞳は貴方の腰へと流れ、そこに自分と揃いの刀がないことに気が付くと唇は自然と恨み言を呟いていた) 火津彌め、あの阿呆。(仕事も出来ぬのか、とまでは言わなかった。自分の声が耳に入った気まずさに片手で顔を抑えると、石段をゆく若者たちの集団にドンと背中を押されて貴方の方に一歩揺らめいた)……っ!   (8/8 23:42:20)


しぃずま@オウガ > 「大変。大変、か…(いくら繰り返しただろうか。掴めるはずのない空に向かって手を伸ばすのを。そこにあるのは、なんだろうか。俺は何を求めているのだろうか。…答えは、見えないものだ。正確に言えば、オウガは掴もうとしているのではなく、それを見たいと思っている。…太陽の御国に上った魂が。それとも、どこかへ去った魂が。その先で、幸せに暮らしていることを。常に、祈っている。だから、)今も昔も、大変なのは変わんねえさ。(なんて、現なき空を見つつ。よそよそしさに違和感こそ覚えたが…さすがに、口を出すことはできない。下手に触れればすぐに飛んでしまう、綿毛のようなものなのだろう。あなたにとってそれが最善だと言うならば、自分は受けとるだけだ。)男前ねぇ。俺は情けねえことばっかさ。(あなたが太陽ならば、今にも眩しく、暑く、逃げ出してしまいそうなほどなのに。男前とはかけ離れているよ、愛しい人。)」   (8/9 00:23:26)
しぃずま@オウガ > 「ガハハ…そう責めないでやってくれ。ホヅミにも、俺からは謝らなきゃいけねえことがあるからよ。(今思えば、なんとも感情的に動いてしまったものだ。嘘だと分かっていても、手を出してしまうとは。そんな自分に、ただ帝国に従順だった彼を責める権利はない…裏切りこそ許せないが、しかし一生残る傷を付けてしまったのだ。それは、謝らねばならないことだとそう言える。…まぁ、それ以上を求めてくると言うならば、俺にやれるものはないが…ふと、自分の胸辺りに風が吹き抜ける。そのあと誰かが背を押される音がして、上に向いていた視点をすぐにそちらへ戻す。)」   (8/9 00:23:45)
しぃずま@オウガ > 「(目の前には、陰る白い姿があった。体勢を崩し、こちらへと倒れてくる姿。時がゆっくりと流れ、囃子の音も朧でよく聞こえない。極限の集中下、迷いはなかった。倒れそうなあなたの背をその太い腕で包み、斜めに傾く腰をこちらへ引き寄せ垂直に。それだけすれば、ぱっと腕を離し、)…すまん、大丈夫か?(と、距離を保ちながら申し訳無さげに頬を掻き、心配をした。)」   (8/9 00:24:01)


骨牌/咲夜 > それはそうだ。悪いことを言いましたね。(昔も今も変わらない。貴方の言葉に自身の境遇が重なって笑みが零れた。こればかりは貴方とでなければ共有できない感覚だろう。軍の上層部に籍を置き、国家の平和を願い働く者だからこそ休まる時は来ない。そのことに寂しさを募らせていた咲夜は貴方との共通点を見出して仄かに嬉しくなり声を弾ませたが、それ以上の言葉は消えてしまった。だって、貴方の手が、わたしの背中に触れたから。その腕が腰を抱きとめたから。あぁ、神様。貴方は本当にいらっしゃるのですね。軍服の厚い生地越しでは貴方の体温を感じることは出来なかったが、たった一瞬の出来事に鼓動が止まってしまいそうなほどの衝撃を受けて、まるで永遠の出来事のように感じられた。けれど――その手は離れてゆく。まるで何事もなかったかのように)   (8/9 01:12:56)
骨牌/咲夜 > ……失礼、しました。(だから貴方の服を掴んだ。)あの、もしよかったら、もう一度逢ってはくれませんか?(しっかりと掴んだ筈の指がゆっくりと解けて力なく落ちる。)貴方が忙しい人だということは分かっているのだけれど、その一晩。……オウガと話してみたい。(やっとの思いで口にした言葉。貴方の顔を見上げることは矢張り難しく視線を遮る長い睫毛の下に思いを隠した。貴方に触れた手を胸へと引けば、今日初めて出逢った時の貴方の仕草を思い出す。あの時貴方が手を引いたのは今のわたしと同じ思いなのか。聞いてみたい、けれどそれを聞くだけの勇気がない。何時だって本当の自分を隠して逃げ出してきた咲夜にとってそれはとても難しいことだから、背後から聞こえて来た自らの名を呼ぶ声に振り返り、紅潮した頬を貴方の瞳に映らないようにした。すぐに戻ると言っておきながら戻らなかった咲夜を案じて部下が探しに来たらしい。軍の要人である咲夜には祭会場で祝辞を読み上げる仕事が待っている、だから振り返らずに思いを告げた。貴方の顔を見なければどうしてこんなに簡単に言葉を紡ぎ出せるのだろう、それが少し悔しい。)   (8/9 01:13:15)
骨牌/咲夜 > 同じ時間に、境内社で逢いましょう。あそこは人が来ないから。(そう言うと咲夜は部下を追って人混みに身を投げた。赤い光を投げかける提灯の下でならこの頬の紅も悟られやしないだろう。大丈夫だと自分に言い聞かせた。)   (8/9 01:13:39)