この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

真朱&リューグナー

煮ても焼いても喰われぬ奴ら

マリア/真朱 > (ひらり、ふわり。くしゅくしゅとした縮の兵児帯が、少女の足取りに合わせて揺れる。から、ころ、と黒塗りのこまち下駄を鳴らす、白きつま先は游ぐが如く軽やかであった。まるで本当に地に足が付いていないかのよう。黒い瞳は光を受け、辺りにぱしゃりと飛沫をあげたようにきらきらと輝いた。祭りの様相を見回しながら夥しい数の人の間をひらひらと縫った。)「……ふふっ、お祭り、お祭り……!」(灯りともりて、断然赤き、金魚かな──提灯の薄暮が迫る衣も、頬も、指先も。真朱の小さな体を照らし、いっそう、いっそ朱かった。)「……りんごあめ、いいなー」(くるくる回りながら目を辺りへやれば、りんご飴を持った子供の姿が目に入る。どこで売っているのだろうと首を回すと、おかっぱの黒髪が軌道に合わせてぱさりと快活に靡いた。)「……あっ、あそこね!……おじさんこんにちは、美味しそうね。艶々して宝石みたい……素敵。わたし、宵宮で誰かにりんご飴買ってもらうの夢なんだぁ。お金はないけど……。んー……連れ合いもいないのよね。」   (8/8 11:40:21)
マリア/真朱 > (ちら、と上目遣いで屋台の男性を見た。真朱のおねだりを察した男性は、『じゃあ、この宵宮で捕まえなきゃなぁ』と一笑した。商売なのだから当然だろう。)   (8/8 11:40:35)


ゑゐりあん/リュ-グナ- > 祭りとは…面白いですねぇ。愉快愉快(ケラケラと笑いながらひょっとこのお面を被って路地を闊歩するリューグナー。ちなみに服装は着物である。豪に入れば郷に従え。それがリューグナーの潜入の心情である。そんなこんなで祭りを楽しんでいる風を装い、周囲の状況を観察するリューグナー。警備の配置や人混みの多さ。様々な情報を詰め込む。その情報を、現れるであろう協力者に伝える為。あぁ、愚かな人間どもよ。つかの間の平和を楽しんでおくことですねぇ。そんな事を思いつつ歩いていると、店の前で少女がりんご飴を欲している姿が目に入った)りんご飴ですか。ちょうどいい(とリューグナーは店の前へとゆき、店主に話しかける)すみません。りんご飴を2つ(財布から金(勿論盗品)を取り出し、2人分の金を払う。そしてひとつのりんご飴を少女に渡す)   (8/8 12:03:00)
ゑゐりあん/リュ-グナ- > はい、どうぞ(勿論善意なんかではない。そんなものをリューグナーが持ち合わせてるんなら、世界はもう少しマシになっているはずである。つまりは恩を売るわけだ。帝國をあまり知らぬリューグナーにとっては、地元の人間とは中々使い勝手のいい案内役である。特に子供なんかは大人の知らぬ抜け道なども知っていることが多い。それに、もし何かをしくじり自分の素性がバレそうになっても、子供に庇わせれば多少の隙はできるはずだ。それに、そもそもの話影に入り込めるリューグナーなのだ。誰かと一緒に行動するだけで“逃げ道”となる。つまりは利用するため、少女にりんご飴を渡したのだ)私は…ウソブキ。あなたは?(偽名を使いながら彼女に名を尋ねる)   (8/8 12:03:44)


マリア/真朱 > (横からするりと現れた影に横上を向いて目をやれば、ひょっとこのお面がりんご飴ふたつを持って『はいどうぞ』と真朱にそのうち一つを差し出した。黙ってりんご飴を見つめ、おずおずと両手で受け取ると、もう一度あなたのほうを見てにっこりと笑った。「……わぁ、ありがとう!」(右手でりんご飴を持って、左手でするりとあなたの腕に絡みつく。)「わたし、真朱!一人なの。おにーさん……ウソブキさんもそう?一緒に回りましょ、わたし、生粋の栄郷っ子なのよ!」(返事も聞かずに組んだ腕を引っ張って、踊りにでも誘うかのようにくるりと通りへあなたを促した。あなたの腕越しにちらりとりんご飴屋の男性を見て、『どーだ、見つけたぞ』と言わんばかりに悪戯な微笑みを去り際に投げて。)「ウソブキさん、山鉾みにいく?」   (8/8 12:43:52)


ゑゐりあん/リューグナー > 真朱ちゃんですね。いい名前ですねぇ(嘘だ。正直自分が付けた“ウソブキ”のほうがイカしていると思っている。と、自分の返事も聞かずに一緒に回ろうと言い出し、左腕に絡みつく真朱。やれやれなんて思いながらも振り払う理由もないし、リューグナーはそのままにしておく)そうそう。私は母が尊華人のウェンディア人でしてねぇ。母の墓参りついでに尊華に来たんですが、運よく祭りをしてましてねぇ。しかし、尊華は初めてですので右も左もわからず…。案内してくれるならぜひお願いしたいですねぇ(あらかじめ用意していた“嘘”をすらすらと並べるリューグナー。善意を利用しない手はない。そしてリューグナーはりんご飴屋に会釈しつつ、彼女の問いかけにこたえる)そうですねぇ…その山鉾なんかも面白そうですが、真朱さんのような子供しか知らないような場所なんてご存じでしょうか?いわゆる…穴場という奴ですねぇ(大人の目に届かない場所。つまり拠点にするにはちょうどいい場所である。そんな場所がないかどうか、リューグナーは訊ねた)   (8/8 12:50:40)


マリア/真朱 > 「そうなんだー。」(腕を組みながら歩き始める真朱。頭の中は、九頭龍鉾を見たいならあっち、阿修羅鉾を見たいならあっち……と、千景神社の地図を思い描いている。あなたの話が嘘とは露ほどにも思っていないようだった。)「んー、穴場?穴場かぁ。どうだろ……とにかく人が多いからなぁ、千景祭は。……っていうかさ、ウソブキさん。わたし、子供じゃないよ。十六だよ。」(穴場とやらに心当たりがない訳ではなかったが、その言葉が気に入らないとばかりに組んだ腕を解いてひらりとあなたの前に躍り出た。すり、と静かに下駄を摺りながら一歩踏み込み、ひょっとこの仮面を見上げる。)「人気のないところにわたしを連れていって、何するつもりなの?」(そう言いながら首を傾け、作った笑みは大人にしては無邪気であった。少女の魔性を湛えた朱の頬が、ぷくっと盛り上がる。やけに丸い瞳がふっと細められ、祭りの喧騒でかき消えそうな小さな声で金魚は囁く。)「……なーんてね、どきどきした?……千景神社は境内社──つまり神社の中にある小さな神社がたくさんあるから、いくつかは神官の手が行き届かないところもあるよ。そうね、行ってみる?」   (8/8 13:15:41)


ゑゐりあん/リューグナー > おや、16でしたか。これは失敬。もう立派なレディですねぇ(16だと言われると少し驚く。そう言えば、あの“海月女”も同じくらいの年齢だったか。なるほど。人は見かけによらないという事か。なんて思いつつ、彼女がこちらを見上げたため首をかしげる)どうかしましたか?(すると、彼女はまたべたな文句を言ってこちらを挑発するが、生憎リューグナーに性欲はない。…否、ないこともないが、それよりも人を騙すほうが何千倍と気持ちがよいのだ。それに、きっと冗談なのだろう。そう思ってると、やはり冗談だったようである)ふふっ。あまり大人をからかってはダメですよ?本当に襲われてしまうかもしれませんからねぇ   (8/8 13:22:08)
ゑゐりあん/リューグナー > (そう言って彼女の肩に手をのせるリューグナー。すると、人の少ない場所を教えてもらったリューグナーは、これはいいと面の下で口角を上げる)ほう…神社ですか。いいですねぇ。人気のない神社だなんて、心が揺さぶられるワードだ(神社であればきっといい隠れ家になるはずだ。あぁいう聖域に関しては、“馬鹿ども”は何を恐れてかは知らないが近づかない傾向がある。それに神官だって数は多くない。となれば、もし来たところで見つかる可能性は低いだろう)…もしよければ、案内していただけますかねぇ?(そう言うわけで、リューグナーは案内させることに決めたのだった)   (8/8 13:22:10)


マリア/真朱 > (手を乗せられた肩を竦め、軽く握った手の人差し指を唇に当ててくすりと笑った。もう片方の手はしっかりりんご飴を持って、子供みたいに手放そうとしない癖して。)「襲われるのはイヤだけど、口付けくらいならされてもいいよ。そのお面を外してくれたらね。」(尊華はかつて、性に寛容な国だったという話がある。とりわけ農村部における祭りは、闇夜に紛れて格好の相手を見つける場でもあったという。そんな民俗的背景を知ってか知らずか、真朱はからかうように再びあなたの手を引いた。異形同士の化かし合い、二枚舌のあなたにはきっと敵わない。それでも、この巡り合わせを楽しみたくて、嘘か本当か解らない言葉を紡ぎ続ける。)「……そっか、ウソブキさんは半分ウェンディア人なんだっけ。尊華人は幼く見えるって言うよね。それでわたしの事子供って言ったのなら、許してあげる。……あ、ねえ。あそこなんてどう?」(手を引きながら端へ端へと歩いていた二人。穴場は思いのほか近くにあったようで、榊の垣に隠れた小さな鳥居を見つけた。神社というよりは祠に近いそこは、人が三人くらい入ることが出来るだろうか。)   (8/8 14:20:02)


ゑゐりあん/リューグナー > おやおや、最近の子供は誘惑上手ですねぇ(面を外す?その時は、お前が死ぬ時だよ。メスガキ。そんなことを想いつつ、手を引かれるリューグナー。16という事は、少しは火遊びも経験したい年頃なのだろうか。だが生憎、自分が扱うのは火ではない。影である。人の“陰”。それがリューグナーの扱えるものである。せいぜい利用せねば。使えなくなったら殺せばいい。そして手を引かれつつたどり着いたのは、小さめの祠であった)…こんなところが…。やはり尊華はいいですねぇ。こういう知る人ぞ知る聖域があるのは、見ていてワクワクしますねぇ(ここならきっと誰にも見つからずに遊べるだろう。しかもこの場所は“影”になっている。鳥が近くを通ればすぐにでも移動できるだろう。ありがたいことだ)…そうだ。どうでしょう?一緒に入ってみるのは。…お礼が…したいのでねぇ(リューグナーは艶っぽく、少しばかりの色気を醸し出しつつそんなことを言う。そうだ。案内してもらったお礼をせねば。こんな場所を知ってるのだ。ならば“お礼”が必要だろう。リューグナーは面を少しずらし口元を相手に見せる。流石に舌舐めずりはできないが、それでも相手を誘惑するには十分だろう)   (8/8 14:27:16)


マリア/真朱 > 「気に入ってくれたのなら良かった!ん?お礼なんて平気よ。こちらこそ、このりんご飴のお礼ってことにして。」(そう軽やかに答えると、かり、と飴の部分を噛んだ。影の中で仮面をずらしたあなたは、それは妖しく、人ならざる魔の力を待っていた事だろう。だった本当に、人ではないのだもの──なんて、勿論真朱には知る由もない事だが。真朱の方も、ただの〝少女〟であれば熱に浮かされて付いて行ったかもしれない。だけどこの少女も、やはり何かがおかしかった。一体なんのことか分からないといった様子で返事をして、「じゃあね、わたし、山鉾見に行きたいから」と言ってあっさりと帯の鰭を翻す。土壇場になってそういったことを無意識に避けている──あるいは、どうしようもなく〝欠落〟しているのだ。りんご飴を口に歩きながら、ざわざわと湧き上がりそうな記憶に蓋をして、金魚は喧騒へと潜る。とぷり、ひとつ、うたかたを吐いて。)【煮ても焼いても喰われぬ奴ら】   (8/8 14:57:09)