この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

オウガ

聖月夜

しぃずま@オウガ > 「俺は…(空虚を掴む。その指先には、産毛が触れるくすぐったさも、肌が触れる柔らかさも、熱が触れる恥ずかしさも、何もない。ただ、手のひらへ触れる感触だけが、空を切る指先に伝わっていた。)」   (8/8 04:49:55)
しぃずま@オウガ > 「怖い、な…(あの人は、どちらだろうか?それを考えるだけで、ただそれだけで、痛みが角の根に走るのだ。脳を焼くような熱さと共に、髪の生え際が割れるような痛みが。あの笑顔が、張り付いてたまらない。あの人が、「彼」なのだと知れば、その笑顔の貼り付いた顔でしか、きっとあなたを見られなくなる。2度とあなたを見られなくなる。どうすれば、良いのだろうか?…宵宮。例年の、いわゆる夏祭りという奴だ。…行って、しまっても、良いのだろうか?…迷いが、傷に染みる。じくじくと、迷いや恐怖、不安ばかりが血に滲んで固まっていくのだ。ああそうだ、怖くてたまらない。…あぁ、今日も眠れない日だな。寝なければ、行かなくても良いだろうか。昼間にずっと眠っていられるだろうか。素朴な、というより、殺風景な、病室にでも使われるのかというほど、きれいさっぱり、机と、3つの椅子と、そして今寝転んでいるこのベッド以外には、何もない部屋に、悩みをぎゅうぎゅうに詰め込んでいた。)」   (8/8 04:50:15)
しぃずま@オウガ > 「でも…(聞かなければ、ならないのだ。聞かねば、終わりのための始まりでさえも動かない。…知らないでいることは、出来ない。そんなことがあってはいけない。)そうだ、俺は…(「お前がどんな姿でも」)大丈夫、大丈夫だ…(「俺はお前を」)俺はお前を…(「薄っぺらだ。」)…言えない、言えねぇ、よ…(出会うまでは、知るまでは。どうしようもない虚脱感と、行かねばならないという思い込みに押し潰されて、薄っぺらな心は内臓ごと中身をぶちまけそうだ。まだ、決まったわけではない…でも。もしもそうだったらと考えるだけで、目は冴えて、毛布の中で身をよじってしまうのだ。ああ、窓の外では月は登り、星の光もよく見える。だが、その美しい景色も、彼にとっては1つの絵画のように、窓枠の中で貼り付いているように見えた。)」   (8/8 04:50:42)
しぃずま@オウガ > 「(外に、出たくない。窓枠の中の世界を、ずっと、永遠に。回るこの星の上で、立ち尽くすだけでよかったなら、時が経つごとに掛け変えられるだけの、なんの変哲もないただの空を上の空で見続けられたら、それでいいのに。視界に広がる広大な世界など、要らないのに。…でも、その中で確かにあなたを見つけたのだ。過去は地獄だったが。それでも、蜘蛛の糸をたどった先に、あなたを見つけたのだ。一枚一枚、煌めく思い出を抜けて、一人進んだ先に、その黒い双眸に写った滲む水彩画の中で、たった一人。)」   (8/8 04:51:04)
しぃずま@オウガ > 「(あなたが、いたのだ。)」   (8/8 04:51:25)
しぃずま@オウガ > 「あ、ぁ…そう、だったな…(白い、姿だ。黒く滲む中で、白い長髪は際立って美しく。白い睫で縁取られた物憂げな瞳。触れると柔らかく、血の通りを確かに感じられる、微かに赤く染まっている、産毛が儚く光る白い肌。何も混じり気のない、無垢色…だがその内に色鮮やかな物を抱き、褪せることのない人。すべての色を混ぜているというに、黒くはならず。ただ、白い紙に色を塗り、複雑に色合いを組み合わせたような、直情的にばらまかれているようで、冷静に一つ一つ色を選び塗られた、色だけの絵だ。適当な骨など存在しない、無限に広がる色の絵。そうだ、だから。どんな色であっても、俺は受け入れなければならないのだ。…行こう。貴方でも、貴女でも。等しく「あなた」という存在を、愛していけるように。知らねばならない、知っておかねばならないのだ。)」   (8/8 04:51:45)
しぃずま@オウガ > 「(だから。あなたと、話をしたい。)」   (8/8 04:52:11)
しぃずま@オウガ > 「(決心を決めると、眠気が急にやって来て、眠れと囃しているようだ。眠くても、眠くなくても、その瞼は落とされたことだろうが。…意識が、肉体から乖離していく…そのまますぐに、その鬼は、深く眠ってしまったのだった。…きっと、思い詰めて体も疲れていたのだろう。…全てが寝静まった頃。)」   (8/8 04:52:34)
しぃずま@オウガ > 「(星と、欠けた月だけが、この夜に咲いていた。)」   (8/8 04:52:5