この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ジェフティ&綿子

なんの因果鉄道の夜

木場田/ジェフティ > (機関車は、永いこと永いこと、野暮ったく揺れたり、溜息をつくように蒸気を吐いたりしながら、王都へと事もなく客車を引きずって行った。車窓からは、横に伸びていく景色ばかりが、後ろへ後ろへと流れていくその様は、川の流れを思わせる。わたしは、そんな景色よりも、本を読んでいました。)「…………。」(文脈を読み解き、言葉に宿った力を解明する。一度文を読んだだけでは、その本質まで読み明かすことはできない。何度も何度も、同じ言葉を咀嚼するように繰り返し読み返し、それでも目は言葉の表面を上滑りするだけ。パタンと分厚く重たい書物を閉じ、目を閉じて優しく深呼吸をした。文章の余韻に浸かり耽っているみたいに。そこはもう、一人だけの世界でした。プロローグは、まあ、こんな感じで。)>綿子   (8/7 13:45:18)


外/綿子 > (〖先生、本で読んだのだけれど。星は遠い彼方にある塵でしかないの? 〗汽笛の音はスリーナインのように。カンパネルラと共に夜の度、あなたが愛してやまない夜空の月はどこまで行ってもついてくる。小さい頃はそれがたまらなく不思議だったのに、ああ、今は。本を読むだけで、教えてもらうだけで、その月はどうしてついてくるのか。星は一体何なのか。地動説と天動説、どちらがただしいのか。いとも現実的に教えられてしまうものですけれど。〖 星はね、神様が真っ暗な夜は退屈だろうと散りばめてくれたのよ。夜、眠る時。私もカンテラに火を灯すでしょう?月も星も、同じなの。〗〖 だって。〗〖 太陽のように明るかったら、眠れないでしょう?〗そんな魔法を信じさせてあげたい。魔術も使えぬ元研究員が、語るそれは陽だまりの。──────「もし、……お嬢さん。…ごめんなさい。相席、いいかしら?」 薄ピンク色の柔らかな春に、陽光が穏やかに話しかけたようでした。静かに、糸巻きに指を突き刺した姫が死なぬようにと魔法をかけた妖精のように。人の多い汽車の中、帽子を被った正装を身につける女性は。今日、───『 君と物語の幕をあける』───。)   (8/7 13:56:56)


木場田/ジェフティ > (横目一瞥。汽笛とは別々。車内のノイズの中に、鈴音のような女性の声。その声に私はやっと本と自分だけの世界から抜け出す気を起こさせた。車窓から、夏には珍しい、春の曙のような柔らかい日差しが、本を撫でる私の指先を照らす。そこに立っていたのは、ああ、風にも堪えぬような、『柔らかなヒロインのような女性でした』。エピソードは、もう始まっているそうで。)「———いいですよ。」(私は、もちろんそれを快く承諾する。ちょうど、空席が私の隣が最後だったのかな。じゃなくてもどうでも良くて、本ばかりの相手は飽きてた頃合いだった物だから、丁度都合が良かった。ガタン、と揺れる車内、微笑む私、そんなドラマツルギー。)「王都までお乗りですか?」(隣に座るだろうあなたに、そんな質問を一個。もし、そうならば上々。それは、つまり終点を意味して、きっと沢山のお話が聞けると思うのだから。スリーナインの乗客二人、ジョバンニとカンパネルラだったら、きっと最後まで一緒にいれない。私はそうあって欲しくない。心の内に、甘い欲に従順な願い事を一つ。)>綿子さん   (8/7 14:16:00)


外/綿子 > (【⠀ボクらはどうして居てはいけないの?】アウトサイダー、まさにそう。舞台上でキャストとして上がることに、戸惑いを隠せぬ淑女はもう居ない。その代わりに「…良かった。」貴方と共に上がるキャストとして彼女は朗らかに微笑み隣に腰掛けた。〖 ミルキーウェイ、長るる窓外で。友とビーフシチューを食べる夢を見た。〗今日の夢は遠いところへ運んでくれる、子供の憧れを潰すことはしない汽車の中で、貴方と紡ぐイデオロギー。彼女は隣に腰掛け、貴方の質問に目を瞬かせる。そうしてなぜだか嬉しそうに答える様子が貴方の目には映るはず。「ええ。もしかして、貴方も?」 「もしもそうなら。」彼女は鞄を漁りはじめた。そうして取りだしたのはクッキーの入った包み。可愛らしい包装がされたそれは、きっと彼女の手作りです。「ねえ、甘いのはお好きかしら?王都まで時間はもう少しありますから、お腹空いちゃうかなって、思って持ってきたんですの。」 ふふ、と柔らかく笑みを零す。まるで遠足のよう、何気ない日々に彩りを。〖 そんなことないわ。私は貴方達といれて幸せよ〗彼女はしゅるりと包装のリボンをほどく。貴方の髪の色と同じ、桃色のリボンを。)   (8/7 14:32:05)


木場田/ジェフティ > 「ふふっ………よかった。」(ああ、浪漫ある周遊路の満喫作法を弁えているじゃないですか。これは、充実した時間になりそうだと、期待に図らずも口元を柔らかくなった。)「甘いものは、好物ですよ。乙女の燃料ですからね。あはは」(ああ、苦いコーヒーがあったらもっと良かったのですけど………。贅沢を承知でたられば話を心の中で。あなたとの時間をもっと良くさせたかったから。ううん、あなたが最後まで居てくれるのだから、それでもう贅沢は使い果たしていて。あなたと言う彩りが添えられたお陰で、事もなく、単調で辟易していたつまらない旅路が、随分華やかになった。回る車輪は時を刻み、奔る列車は時を置き去りに。ゆっくりゆっくりと時間をかけ、タイムリミットを狭めるのだから。)「お一つ、頂きますね。」(と早速あなたの手作り菓子を口に運ぶ。サクッと軽い口当たり、ほろほろ解ける生地の中の、甘味を求めていた舌には良く染みる細やかな甘さ。)「美味しい………。美味しいですね。」 「普段から、お菓子は良くおつくりに? きっと、浅い経験では無いと見ました。」(ああ、でも、なんだかこの味は、まるで『自分では無い誰かに食べさせるようなそんな味』がした   (8/7 14:57:20)


外/綿子 > 乙女の燃料?…嗚呼。そう、そうよね。確かにそうよっ、乙女の燃料………んふふっ。可愛くてそれ、好きだなあ。(可愛らしい言い回しに彼女は目を瞬かせ、その後に笑みを零した。乙女の燃料、ですって。今後使ってみようかしら、そしたら。〖先生太った? 〗なんて言葉にも上手に返せる気がしたから。甘いお菓子を舌に乗せる。頭を使う人間は糖分が──────なんて理論的なことはどうだっていい。甘いものは美味しい、それこそひとりぼっちの子と一緒に食べるのも、遠足のようにたくさんの人と食べるのも。うさぎが主人公の絵本の中でも、クッキーは十八番でした。サクサクとくちにふくむようすを目にして、彼女も1つクッキーを口に入れる。『 普段から、お菓子は良くおつくりに? きっと、浅い経験では無いと見ました。』「………あら、経験だなんてそんな。」彼女はメガネの位置を軽く整える。こくん、と飲み込んだのなら貴方を見やってこう言った。   (8/7 15:12:15)
外/綿子 > 「…ここだけの話。私塾を開いて居るんですの。それでね、子供達によくクッキーを焼くんです。…今日、貴方に美味しいって言って貰えてとっても嬉しいわあ。今日のクッキーは貴方のお墨付きって、ことだもの。魔法がかかったのと同じですよ。」 なんちゃって、と頬を染めはにかむように口にする。彼女は魔法がすきでした。色んな世界の夢がみたい。夢想家は鼻で、笑われてしまうでしょうか。)   (8/7 15:12:25)


木場田/ジェフティ > 「かっ、かわいい……かしら……。ま、まぁ、そゆことにしといてあげます。」(言われ慣れない言葉にたじろぐ。糖分摂取は、その、義務だし。まあなんだか、彼女的には良い言い回しだったらしいからヨシとしよう。しかし、このクッキーはほんとに美味しくて、また一枚、また一枚と手をつけてしまいそうになるのを静止させる。ああ、もう、旅の友が早速退場となるところだ。やっぱり、お上手なのだろう、こう言う事が。私も、手先器用なのは自覚をしていますから、こう言うことにも挑戦してみようかと意気込む。クッキーの、さくさくと拡散していく甘さ。程よい脆さが味の決め手か。それともバニラの香り、砂糖の量、なにか隠し味のエッセンス?色々思考を回していく中、彼女は語り出す。)   (8/7 15:31:24)
木場田/ジェフティ > 「(塾……ってことは、この人は先生なのね……)そんな、私なんかの言葉で………」(言葉に力は宿る。あなたを喜ばせた広義の魔術)「ああ、いえ…………なるほど、納得いたしました。通りで、なんだか、このクッキーは『誰かに向けて作っている』。そんな気がしていましたので………素敵な魔術、いえ、言葉を用いらないのですから、『魔法』………ですね。」(魔法のクッキーは、果たしてあなたの願い通りに、食べた人の心を喜ばせる。きっと、あなたはこのクッキーの様に、甘く、優しい人なのでしょうね。)「そうだ、私、出会った人の中で、ずっと記憶に残したいと思った人を、『文字、言葉』にして書き留めるようにしているんです。もし、お構い出なかったならば、どうか私の夢である『備忘録』の一ページに、あなたの名を………」>綿子さん   (8/7 15:31:35)


外/綿子 > (そういうことにしておいてあげます、と少しばかり不器用に返すあなたに、彼女はうふふ、とまた笑みを零す。きっと貴方は理論的、そんな貴方がなんの意識もなくあの例えを出したとするなればそれはそれで面白いことじゃない。彼女は貴方に言葉を続けた。「………だって、自分の為にクッキーを作ったって、退屈しちゃいますもの。それに、『 やらなくちゃ』から『 やりたい』と思わせるのもある種の魔法だと思うの。あの子たちのおかげよ。……な、な~~んちゃってっ…………。」魔術師でもないのに、魔法だなんて。子供だましを貴方に言って聞かせた彼女はわたわたと手を振って首を小さく傾げ、困ったような笑みを浮かべた。それでも貴方は優しいから、穏やかな夏日に備忘録をと。   (8/7 15:54:28)
外/綿子 > フィルムの1片、大きなパズルのピースに彼女の1欠片になりませんかと誘ってくれて。だから彼女は少し嬉しそうな顔をし、目を伏せ、少し考える。そうして思いついたようにカバンから取り出したのは、赤ペンと小さなノートでした。きゅ、きゅ、とウサギさんと花丸を。彼女は名前を書くことなく、それだけ記して言葉を紡ぐ。「……………はい、………えっとね。これは〝楽しいお話ありがとう 〟の花丸さんと、うさぎさんです。………次会えたらきっと、私たちなにか縁があるんだわ。だからその時は。」「お互いの名前を、こうして交換しませんかっ?名刺見たく。……………なんて、少し。可笑しいかしら?」 へへへへえ、とへなへな笑みを浮かべる彼女、王都までの旅路、ガールズトークなんて華がある。)   (8/7 15:54:38)


木場田/ジェフティ > (彼女が言った言葉は、先導するものとしての、可愛らしいながら、立派な言葉だった。私は、それを少し、羨ましく思える。)「とても」「とても、良い生徒さんをお持ちのようですね。生徒は教師に似るものです。」(だって、それが言えてしまうくらいの、自慢の子どもたちなのだろうから。ああ、彼女は、幸せ者だろう、その子たちが、きっと彼女の生きる意味そのもの。かけがえの無い、命に換えてもなお足りない、可愛い可愛い子どもたちなのだろう。そんな子どもたちが、いつか巣を立ち、笑ったり泣いたり恋したりしながら、この世界を渡り歩く。それを見届ける以上の幸せを、私は簡単には探せないと思う。一口、クッキーを頂いた。やっぱり、美味しかった。かわいく型取りされたクッキーたちは、食べるのがもったいないくらい。でもパクパク食べれてしまう私は、やはりと言うべきか花より団子ななのかもしれないと今更ながらに自覚する。)「ん……?」   (8/7 16:13:02)
木場田/ジェフティ > (私のお願いを聞いた彼女は、それから何やら思い立ったように、徐俄にカバンを漁り始めると、可愛いウサギと花を模した丸が。説明を聞けば、なにやら、お礼の印だと言う。それを貰えて、余計に私は嬉しくなった。ただの嬉しさではない。筆舌に尽くし難いが、承認欲求を満たせた時に似た嬉しさだった。)「あははっ、その時が、今からでも楽しみです………。」(そう言って、私は肩を竦めてそっと微笑んだ。そんな会話劇は一先ずの閉幕を告げ、拍手無しに、幕の裏で二人の会話は続いていく。きっと、またこのステージの幕は開く事でしょう。役者がまた、廻り合い、歯車が噛み合えば、きっとその時は………)『なんの因果鉄道の夜』〆>綿子さん   (8/7 16:13:12)