この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

シュヴァ&ミア

先代と当代の邂逅、或いは先代と当代の友好

杏@シュヴァ > 化け物のような風貌をする長身の部類に入る男、シュヴァはふわ、と何度目かの欠伸をする。どうにも気持ちが別の事からまた別の事へと移ろってしまって目の前の事―に集中することが出来ないのだ。「...はぁ、どうしたものかな......」集中できないのは困る。特段眠たくもないのに欠伸は出るし、気持ちは移ろって集中出来ないし。果たしてどうするべきなのか。今彼が抱えているモノは本来ならば絶対に回ってこないもの―アークスレア家の相続書類だ。なぜあんなに周囲から拒絶されていたシュヴァに相続の書類が回ってきたのか見当もつかない。(ていうかさ、相続って...。親でも死んだのかな...どうでもいいんだけど...)そんなシュヴァにとってはどうでもいいことを考えながらコツ、とインクをつけてすらいない羽ペンの先を書類に突き立てた。__その時、シュヴァが尊敬する先代の声が聞こえた。   (8/6 20:23:24)


まりも@ミア > 「こんにちは!…あら。ごめんなさい、お仕事中だったかしら?」十騎長を降りてから、もうしばらく経っただろうか。ミアがその座からいなくなって、新しい十騎長が現れるのにそう時間はかからなかった。__そういえばちゃんと話したことなかったわね。今度ご挨拶がてら行ってみようかしら。__なんて少女の気まぐれで、たまたま訪れたのが今日この時であった。ちょうどタイミングが良くなかったのか、何か書類に書き込んでいるように見える。仕事中に話しかけられる側の気持ちを知ってからは、このような気遣いが以前よりはうまくなったようだった。役職つきにもなれば、ある程度のそう言った仕事も増えるだろう。自身の過去が思い出されて、思わずうなずくような仕草をしてしまう。「あたしのこと覚えてるかしら!あなたの前の十騎長だったミアよ!あなたは、えーと、…そう、シュヴァさん!」自分から仕事中かと確認しておいて、相変わらず話しかけてしまうのが彼女らしいと言ったところだろうか。全く悪気のなさそうな笑顔で話しかけるので、殆どの人からは叱られずに見逃されてしまうのだった。   (8/6 20:51:53)


杏@シュヴァ > 「いえ、お仕事ではありませんよ。ただ...相続の書類が家から来ていたのです。僕みたいな生きていることが罪な存在で、しかも拒絶してきたというのになにを相続するのでしょう?面倒ごとかな...?」心底不思議だといった表情をして問いかけのような形になった言葉を発しながら目の前にいる少女―元・十騎長、ミアに対して曖昧な笑みを見せた。それからすぐに嬉しくて仕方ないといった様子の...それこそ今幸せ絶頂ですとでも言っているような雰囲気の笑みを見せた。それは尊敬する先代が名前を憶えていてくださったことが原因である。「えぇ、シュヴァです!先代...ミアさんに覚えていただいて光栄です、僕はしっかりとあなたの事を覚えていますよ!ただの兵だったころから尊敬しているのですから!」(あぁ、僕は今すぐにでも死んだ方が良いのではないだろうか、だってこんなにも幸福な時間を僕みたいな虫けらが過ごしているのだもの!)...この内心をしったら殆どの人はドン引きするのではないだろうか。...にこにことしているシュヴァの周囲に花でも飛び散っていそうなほどだ。   (8/6 21:07:01)


まりも@ミア > 「あら、そうなのね!……あたし、あなたが生きているのが罪だなんて思わないけれど…どうしてそんなこと思うの?それに拒絶…?って、ご家族とあまり仲が良くないのかしら」彼の曖昧な笑みを受け取れば、幸せな家庭で育った彼女には想像もできないような、ハッピーとは言えない、ネガティブな単語を自分の中でうまく噛み砕けていないような顔をした。家族と仲が良くない。お父様、お母様…それにシュッツやヴィリオが離れていくような、そんな想像をしただけでも目が潤んでしまう。「まあ、シュヴァったら!大袈裟ね、今の十騎長はあなたなんだから、すごいのはあなたよ。でもありがとう!そんな風に思ってくれていたなんてとっても嬉しいわ!」先程の笑顔が、今度は本当の笑顔になった感じがして、釣られて楽しそうに笑って。少し照れくさそうに両の手のひらを遊ばせながら、彼の目を見てそう言った。   (8/6 21:52:44)
まりも@ミア > 「ええ…ふふ!ごめんなさい、特に用事はないの。ただちょっと挨拶をしておこうかと思って。あたしたちって今までちゃんと話したことなかったでしょう?」今日訪ねた理由を聞かれれば、くすくすと困り笑顔でそう答え。いきなり来たら機嫌を悪くするかしら、なんて事は少し考えたが、歩き出した頃には忘れてしまっていた。先代だと彼が慕ってくれるように、自分は元は同じ立場だった者。きちんと挨拶をしたことがないと思うとといてもたってもいられずに来てしまったのだ。   (8/6 21:52:53)


杏@シュヴァ > 「あぁ...ほら、僕はこんな化け物みたいなので...」小さな笑みを浮かべて―それは悲しいというよりもどこか自嘲しているような、だけども馬鹿な誰かを嗤っているような、複雑な笑みだった―眉を軽く下げた。(こんな楽しくもない話、先代が聞いて大丈夫かな、僕なんかの話を聞いたら耳が腐ってしまうかも...)心ここにあらずといった様子で真剣にそう考えこんでしまっていた。だが、ミアの楽しそうな笑い声に心は戻ってきた。それからミアの、本心でなければ相当な役者だと言える笑みと澄んだ瞳に見つめられ、ぱちくりと瞬きをし...、照れたような笑みを見せた。シュヴァにとって尊敬している人とは遠くの存在なのだ。そんな存在が自分の言葉に笑ってくれたというのだ。それはどんなに幸福なことだろう。シュヴァはすっかり相続の書類の事など、本当にどうでもよくなっていた。真剣に悩んでいたからこそあれ程までにどうでもいいことに心が移って仕方なかったというのに。(やっぱ、先代はすごいね)   (8/6 22:04:42)
杏@シュヴァ > ミアの言葉に確かに、と頷いて見せた。遠いところにいるのを見たり、誰かと一緒に喋って―というか業務内容を伝えて―いたぐらいだ。シュヴァは小さな、複雑な笑みから目を細めてうれしさを前面に出した笑みを浮かべて、「来てくれて、ありがとうございます...!」何度目かのお礼―いや、お礼というよりも尊敬の念か―を口にした。   (8/6 22:04:46)


まりも@ミア > 「? あなたは化け物なんかじゃないわよ。だってこうして話ができているじゃない!あなたは十騎長なんだから、もっと自身持っていいのに。」__だめよ、そんな顔しちゃ。幸せが逃げちゃうわ。化け物だと言う理由が全く理解できないらしく、辛い現実を知ることもない笑顔を彼に向けた。今こうして二人で会話ができて、お互いに笑いあえている。それだけで十分。さっきのようにめいっぱい笑ってほしくて、そう声をかけてみる。「いいえっ!こちらこそ、お話してくれてありがとう!」それにしてもこんなに喜んでくれるとは思わなかったのだろう。来たときよりも嬉しそうな、少し高くなった声でお礼を返す。執事やメイドたちはみんな自分を慕ってくれるけれど、騎士団内でのこういう関係は初めてで、名前以外は見知らぬ相手にこうして好いてもらえるのは慣れず照れくさいものだな、と頬を少し赤らめて笑っていた。   (8/6 22:42:44)


杏@シュヴァ > 「ふ、ふふっ...あははっ...!ふ、くす......そう、そっかぁ...」四白眼の目をさらに見開いてまん丸のお皿のようになった目でミアを凝視した後耐えきれなくなったように、噴き出して肩を震わせた。(まさかそう言われるとは!)くす、くすと肩を揺らして笑い、目じりに浮かんで涙を細い骨ばった指で拭うとにへらと目じりを下げた笑みを浮かべた。それから、ミアからのお礼にさっきよりも目を見開いて、それこそ目が落ちてしまうのではないかというほどに...そして見開いた眼から雫がポロ、ポロと零れおちた。―シュヴァは机の上に散らばる紙に書かれた文字が滲んだことでようやっと泣いていることに気づいたが。―「はは、お礼を言われるなんて。しかも、先代から。...ありがとうございます、こちらこそ」シュヴァの自分を異様に卑下する性格と風貌相まって感謝なんてされなかった。―いや、シュヴァは気づいていなかっただけで、今まで感謝をしてくれた人々はいたのだということは忘れてはいけない...。―   (8/6 22:59:49)


まりも@ミア > 「? シュヴァ?どうしたの?…って、あらっ?泣いてるのっ?」急に笑いだしたかと思えば、まんまるに見開かれこちらを向いて離れない瞳を見て少しびっくりして慌てた様子で。なんなら涙まで浮かべているのを、どうして、といった表情を見つめた。ミアには、彼が使う“化け物”と言う単語の意味、重みなんてものがちっともわからないものだから。今ミアが思うのは、ただ彼がいいひとで、初めてできた後輩、とでも言うのだろうか。そんなひとだということだけで。「楽しい気持ちにさせてもらったんだからお礼をするのは当たり前でしょう?…さあ、泣き止んで!」そうしてお礼にお礼を返してきたことに、当然のことだと明るく笑ってみせた。ぽろぽろと落ちていったしずくを思い出しながら、いつまでも泣いているのを見るのは辛かった。ポケットからレースのついた薄紫のハンカチを彼の手を包むように手渡そうとして。   (8/7 20:29:43)


シュヴァ/杏 > 「気に、しないで...ください」へらりと、普段から浮かべているような飄々とした笑みを浮かべて驚いた表情を浮かべているミアに言葉を返した。シュヴァはミアを困らせたいわけではないのだから。当然のように言い、笑うミアはシュヴァにとって太陽のようだ。逃げるべき太陽ではなく、崇めるべき太陽...それでもない。只々照らす、太陽のよう。―そうなるとシュヴァは月か―「ありがとうございます...本当に」また礼を口にする。(当たり前が当たり前である先代は本当に尊敬するよ!)目を細めて、泣いてしまったことで赤くなってしまった目じりと白眼を隠すように、軽くうつむくが自分の方が背が高いことにシュヴァは気づいたのかどちらかというと視線を上へと動かして、ミアからハンカチを受け取ること辞退した。「僕は、大丈夫です...綺麗なハンカチが、僕のせいで汚れてしまう」ひらひらと軽く手を振って遠慮している旨を示した後、うるんだ瞳を瞼で覆うように長いまつ毛をふるりと震わせ、瞬きをした。   (8/8 00:10:11)


まりも@ミア > 「泣いているのに気にしないでなんていられないわ!…本当に大丈夫ならいいのだけど…。」彼は今、笑ってる。だから心配することもないのかもしれない。ミアにとって笑顔は絶対で、笑顔は皆の幸せの象徴。嘘の笑顔なんてあるわけない。そう思っているから。そこに影があるなら、自分が明かりになることを望み、今もまたそう思っていた。「もう、そんなに気にしなくっていいのに。ふふ、いいえっ」何度も謝ってくる彼を、くせ毛の髪をいじりながらくすくすと笑っていたが、ハンカチを受け取ってもらえないことに気がつけば「汚れるだなんて!そんなこと言わないで」悲しそうに眉を下げて、ハンカチを持った手を少し引っ込める。どうしてそんなふうに思ってしまうの?そんなことあるはずないのに。ハンカチを握りしめて少し考えたあと「そうだわ!このハンカチ、あなたにあげる。また悲しくなったときに使って!自分のものになってしまえば汚れなんて関係ないでしょう?」涙を拭かせてくれないなら、せめて何か残させてとハンカチを押し付ける。自分のものを他人にあげる事には慣れないけれど、相手が大事な後輩で、それも悲しそうだとくれば話は別だった。   (8/8 16:15:07)


シュヴァ/杏 > 「大丈夫ですよ」何度目かの言葉を口にしながら目じりに残ってしまった水を乱雑に拭って、また笑みを浮かべた。(僕みたいなゴミにそんな綺麗なハンカチを差し出したら駄目ですよ先代...汚れますよ...)始めはミアの言葉にいろいろなことを考えつつ、曖昧な笑みを浮かべていただけだったがミアの口から発せられた『あげる』という言葉につい、言葉がこぼれた。「...え?」ぽかん...阿呆のように口を開けて、目を見開く。それから、恐る恐るといったように骨ばった青白い指でハンカチを指してからシュヴァは自分を指す。「僕に、それを?...確、かに僕のになれば気にならないかも...だけど先代から貰うなんてそんな烏滸がましすぎて...!」   (8/8 18:44:24)
シュヴァ/杏 > あわあわという擬音がピッタリだと思えるぐらいに慌てた様子でどうしようかと悩む。(ハンカチを受け取らないことも失礼だよね、だってせっかくの申し出を断ることになるから。でも受け取ることは烏滸がましすぎる。それに先代からのプレゼント...と言っていいのかはわからないけど何か貰うなんて月夜の日...だったかな。そんな感じの日に刺されてバーッて血を出して死んじゃうんじゃ...!)なにがどうしてそうなったのかと尋ねたくなってしまうような考えを脳内で体感時間1年ぐらい、実際は大体1秒の間に繰り広げながら、赤黒い瞳を彷徨わせる。その後、ミアの目を見つめて、こくりと頷いた。「えっと.....ありがとう...ございます...」恐る恐ると手を差し出してハンカチを受け取った。   (8/8 18:44:49)


まりも@ミア > 「烏滸がましいなんて誰が決めたの?あなたが思っているほどそんなことないわ。…まあ、なんて顔してるの」驚き口が開きっぱなしの表情に思わずぷっ、と笑ってしまう。そんなに驚くことなんてないのに。…ああ、でも、あたしのことをよく知っている人ならきっとびっくりするかしら。あたしが自分の物をくれるなんて珍しい!…って。震えるような手付きの指は、骨ばっていてごつごつとしていそうで、自分とは正反対な“おとこのひとの手”という感じがした。どこか影を感じるような、不思議な男の子だけど…、私とは全然違うこの人と、お友達になってみたいと、そう思った。頷き、ハンカチを受け取ったことを確認すれば満足そうに頷いたあと、にっこり笑った。「これは友好の証よ。だからずっと持っていて」ハンカチを見、それからシュヴァを見てそう言った。   (8/9 11:13:45)
まりも@ミア > ふと時計に目をやれば、もうこんな時間!と目を少し大きく開いて。「長い間お邪魔してごめんなさい。ハンカチ、受け取ってくれてありがとうっ!」最後にとびきりの笑顔をプレゼントしてから、立ち去ろうとするも名残惜しさの残る足取りは遅く、くるくると振り返りながらそちらを見ては笑う、を繰り返す。最後に手を振って、またね!と声をかければぱたぱたと小走りで去っていくだろう。   (8/9 11:13:48)


シュヴァ/杏 > ミアの言葉は心に直接響く。シュヴァはミアの言葉を聞きながらそう思った。「友好の証....ありがとうございます...」頬を緩めて青白い頬をわずかに桜色に染めて、笑う。ミアと共にいると少しだけ自分を誇れるような気さえしてくる。今までで一番可愛らしい笑顔をシュヴァに向けたミアは背を向け、向き直り、背を向け...を繰り返していた。それにシュヴァは破顔をするとミアと同じように喜色満面といった笑顔を浮かべてお礼と一緒に再びまた会うための言葉を贈る。「それでは、またお話ししましょうね...先代」ひらひらとこちらを向いたタイミングで手を振りる。背を向けたミアが見えなくなるまで。__姿が見えなくなったあとシュヴァは再びアークスレア家から送られてきた相続のための書類と向き合う。悩んでいた表情はどこへ行ったのか口元には笑みを湛えながら、インク壺にいれた後の羽ペンの先を書類に滑らせてサインを書いた。シュヴァの心は移ろうことなく書類に向き合えていた。「友好の証.....お守りみたい」ぽつ、と呟いた___。【〆】「先代と当代の邂逅。或いは先代と当代の友好」   (8/9 17:01:57)