この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

董&火津彌

緑の誓い

ゑゐりあん/董 > …ほんっと…何してんだろうなぁ、私(王国の医務室。そこでベットの上で横になり眠りについている男を、女はじっと見つめていた。尊華出身の女傭兵董。彼女が己の名を世界に知らしめるためにと挑んだ相手は強力で、強大で、強烈で、強暴だった。死の一歩手前まで追い詰められた彼女を助けたのは、そんな董が憎くてやまない軍人、火津彌だった。彼の助力もあり董は命辛々戦場を離脱。その後、王都で助けを求め、二名の司祭の手により火津彌は救出されたのだ。しかし、彼のダメージは酷く救助されてから今までずっと眠ったままである)…私なんか見捨てれば…こんなことならずに済んだのに…(未だ切り傷が目立つ右腕をさする董。白刃の笑顔に切り落とされた右腕も司祭により持って帰られ、彼女の魔術により元の腕に戻った。重いものを持つには少しばかり不安ではあるが、それでも動かすことは可能である。最初こそ董は右腕を完全に再生しようと思ったが、傷ついた火津彌を見てその考えは改まった。自分が足手まといだったからこそ相手にこれほどまでのダメージを負わせてしまった。   (8/5 21:03:02)
ゑゐりあん/董 > そんな責任感を胸に、董は傷の再生もほどほどに、今までずっと火津彌を看病しているのである。しかし、心のどこかでその責任感以外の感情が董を突き動かしているような気がした)……(濡れタオルで火津彌の汗を優しく拭う董。そして眠りにつく彼の顔をじっと見つめる)…なんで…こいつの看病してんだろ。…さっさと帰ればいいのに…(わからない。どうして帰らないのだろうか。…去り際に彼に言いたいことがあると言って逃げたが、一体自分はあの時何を言おうとしたのだろうか。…そもそも自分はどうして誰かに助けを求めたのだろうか。嫌いならば放っておけばよかったではないか。それに、白刃の笑顔に詰め寄られた時、董は確かにこう言った。「助けて」「火津彌」…と。何故助けを求めた相手がこいつなのか。嫌いなのに、どうして助けを求めたのだろうか。今思えば最近の董は彼のことばかりを考えている気がする。何か事あるごとに彼のことを思い浮かべるし、その都度心の中が変な感じになる。怒りとはまた別の…モヤモヤとした感情だ。   (8/5 21:08:10)
ゑゐりあん/董 > 最初こそ、そのモヤモヤも彼が嫌いなことに起因していると思った。しかし、今回の件でよくわからなくなったのだ。彼が嫌いならば逃げた後に助けを呼ばなくてもいいではないか。なのに呼んだ。彼が嫌いならば傷ついた彼を見て悲しまなくてもいいではないか。なのに悲しんだ。彼が嫌いならば彼の命が助かったと聞いて喜ばなくてもいいではないか。なのに喜んだ。彼が嫌いならば看病してまで傍に居なくていいではないか。なのに…)…離れたくないな(そう呟いて董は彼の手を握った。何故握るのかはわからない。でも、どうしてかこうすると安心するのだ。何故かはわからないが。どうしても、握りたかった。彼に触れたかった。彼と、一緒に居たかったのだ)   (8/5 21:08:12)


マリア/火津彌 > 「………ん」(消毒液の香り、白い部屋。火津彌が目を覚ますとそこは見慣れぬ治療室であった。髪に染み付いた微かな硝煙の匂いが鼻を掠め、ふっと目を閉じた。……そうか、負けたのか。やや遅れて手のひらに感じる暖かさにはっとして脇へ目をやると、そこには)「……小娘」(複雑な面持ちのあなたと目が遭った。)「いや、おつう、だったな。……お前も無事やったか、そうか……」(まずはそう口にするが、握られた手の意図が解らず少し戸惑いながら手を離し、天井へと目を逸らした。……色々あったのだろう、僕が眠っている間に。ゆっくりと上体を起こすも、流石に思うように動かない身体に眉根を寄せて目を瞬いた。軽く首を回して細く息を吐き、肩に巻かれた包帯に手を当てながらこくりと首を下げた。いつもは白い紐で纏めている長い黒髪がぱさりと肩を滑り、硝煙の匂いがふわりと漂った。)   (8/5 21:23:55)
マリア/火津彌 > 「……ここはどこや?お前、まさかずっと……」(じっと顔を見つめてそう口にしかけるも、すぐにやめて俯いた。情けないところを見られたようだと思うといつもの皮肉が出ない。どこか気まずい沈黙に、息遣いまでも響き渡るような気がして、ひとつ咳払いをして居心地の悪さを誤魔化した。)「こほん。……あー、お前のお陰で命拾いした。礼を言う。」(看病をしてくれた事をまだ確信している訳ではなかったが、白刃の笑顔との戦闘は一人であったら殺されていただろう。董が少しでも白刃を手負わせた事が、命からがら逃げ延びた事へも繋がっている事を、この期に及んで認めぬ程わからず屋ではないつもりだ。)   (8/5 21:24:06)


ゑゐりあん/董 > …(どうしてだろうか。彼と手を繋いでいると、心臓の鼓動がいつもよりも高鳴る気がする。トクントクンと、静かな病室だからか、自分の心音が脳にまで響くかのような…)…あ(そんなことを考えていた董だが、目を覚ました相手との目が合う。そして董は頬を赤らめ相手の手を乱暴に振りほどき、腕を組んではふんっと鼻を鳴らした)なんだ。起きたんだ。随分とお寝坊さんなんだね(と最初こそ、つんけんとした態度で接したが、ゆっくりと腕組をやめ、相手のほうを向いて少しばかりほほ笑んだ)…よかった。目が覚めて(いつもの彼女とは思えぬほどの柔らかな口調でそう言う董。そしてまずは頭を下げた)…ごめんなさい。私のせいであんたをこんな風にさせちゃって…。…私が足手まといだったし、最初からあんたの話を聞いてればよかった…。…ごめん   (8/5 21:34:26)
ゑゐりあん/董 > (謝罪の言葉を口にする董。まず彼に最初に言いたかったことである。最初から彼の話を聞いていればこんなことにはならなかったのだ。全ては弱く幼い自分にある。それが董の見解であった)…それと…その…ありがと。助けてくれて。…おかげで命拾いしたよ(そして今度は目線をそらしつつ感謝の念を述べる。やはりそこは目を合わせて言うのは恥ずかしいようだ。しかし、相手がこちらに礼を述べると、ポカンと呆けた表情をする)…あんたって…謝れるんだ…(まるで狐に化かされたかのような表情である。そんな自分の発言がおもしろかったのか、肩を震わせ笑い声をあげる董)はははは!何言ってんだろ私(そして彼の顔を見ながら笑顔を浮かべ)とにかく…ありがと。生きててくれて(そう述べた。簡単な言葉ではあったが、そこには董の様々な感情が込められていた)   (8/5 21:34:27)


マリア/火津彌 > (突然笑い出すあなたを見て、一瞬はどのようにたち振る舞うのが正解か戸惑ってしまった。悪態をつくべきか、皮肉を言うべきか……しかし、「足でまといだった」という言葉に、そうではないと伝わったのだろうと、ほっと不器用な笑みを浮かべる。あなたの顔も同じように、いや、もっと……女性らしい、花の咲くようなふわりとした笑顔になるのを見て、火津彌は──)「………」(手を伸ばし、肩に回して、もう少しで抱きしめるところで躊躇いがちに腕を緩めた。ご婦人にいきなりこんな事をしては、いや──ご婦人?誰が?──肉体的にも弱っていた事、先程繋がれていた手の暖かさ、元より『女性という生き物』にはひとかたならぬ想いを抱いていた火津彌の事だ。口よりも先に手が動いてしまったことに、貴族らしからぬ自分の性質を呪った。)   (8/5 21:56:43)
マリア/火津彌 > 「…………あぁ、お前もや。生きていてくれて良かった。」(誤魔化すように毅然とした言葉遣いでそう口にした。傷を労って手を添えただけに過ぎないと、言い訳するように。)「……死なれては、我が軍に勧誘する事が出来んからな。」(ぽつりと零し、口角の端を上げる。じっとあなたの顔を見つめ、今度は少しも目を逸らさずに。)   (8/5 21:57:07)


ゑゐりあん/董 > …?どうしたの…?(突然手を伸ばしてきた彼に対し首をかしげる董。最初こそ何をしたいのかはわからなかったが、しばらくしてそれに気づく。最初はもちろん驚いたが、しかしどこかで彼に抱きしめて欲しいという欲求があった。…が、それを言う勇気は残念ながらなかった)…うん(生きていてよかったと言われると、少し恥ずかし気に頷く董。すると、突然彼が驚きの言葉を放った)わ…私を…軍に…勧誘…ッ!?ちょ…ちょっと待って!どうしてそんなことに…(あまりの驚きに困惑した様子の董。軍に勧誘だなんて、そんなことを言われるとは思ってはいなかった。もちろん嬉しかった。彼と一緒に居れれば強くなれる。それに、彼と一緒に居ること自体が嬉しいのだ。…が)   (8/5 22:08:03)
ゑゐりあん/董 > …ごめん…。多分それは…無理かも…(そう告げる董。彼と一緒に居たい、が軍に戻るという事は再び家族とのつながりを持ってしまうという事。再び、“伊丹”の痛みにさいなまれてしまうという事なのだ)…もちろん…嬉しいんだけどさ…。…えっと…その…(これだけじゃまるで彼と一緒に居たくないみたいではないか。そう思い理由を言おうとした。今まで受けてきた苦痛を言おうと思った。…が、勇気が出ないのだ。もし自分が“伊丹”だとばれてしまえば、彼もまた自分のことを“伊丹の人間”としか見てもらえないのではないかと思うのだ)…わ…私ね…(だけど、言わなくてはならない。ここで彼と別れるほうが、よっぽど“痛い”のだ)…伊丹 響希。…それが私の真名。…私は、伊丹家の人間なんだ   (8/5 22:08:05)


マリア/火津彌 > 「……え」(驚きで、声が出た。今ここで、あなたが彼に真名を教えた、その事に。周りに人が居ないかと軽く辺りを見回し、廊下を歩くこつこつとした足音が通り過ぎるのを待ってから、より声を顰められるよう、あなたにしか聴こえないように、顔を近づけた。)「……イタミ、ヒビキ…それがお前の、真名なんか、」(火津彌の口からなぞられたその名は、外国語のように、どこかぎこちなく静かに響いた。)「そう言えばそんな名字の兵が居たな。あぁ、伊丹か。あの伊丹か……。あれはお前の血縁なのか……」(火津彌は、10代の頃から入軍し、兵としてやってきた。伊丹家をよく知る人物からの噂も何度となく耳にしていたはずだった。その時は『そういう家もあるのか』と思っただろう。しかし魔術師しか居ない帝國軍では字や役職で呼ぶ事が普通であり……忘れていた訳では無いが、目の前のあなたとは結びついていなかったのだ。もしよく知っていたのなら、初めて会った時にとっくに気づいているだろう。貴族という存在に対して劣等感を感じている彼が、人の家柄に興味が無いわけはないのだから。)   (8/5 23:35:01)
マリア/火津彌 > 「僕は……って、もう調べがついてるんやったか。」(鬼灯家、それが彼の属する一族。しかし、生粋の貴族であれば他の名家に疎いというのも、おかしな話しで。それは逃げるようにして軍に入ってからというもの、火津彌を養子にした鬼灯家当主本人が彼にあまり興味がなく、まるで不干渉を貫いているからでもあった。鬼灯家は榮郷にあるはずなのに、かたくなに厘都の訛りを使い続ける事からもわかる通り、火津彌も自分の出自について語らずとも隠してはいない。噂も流れるままにしているし、軍の上層部にも知れ渡っている事であった。あなたもそれに、気づくだろうか。それとも、もう知っているのだろうか。)「……あぁつまりな、家の重圧やとか、そういうもんについては多少なら解るかもしれんとそう言いたかった。……しかし、悪いがお前の事情が何もわからん。」(ふう、と息を吐き、壁にかけられた時計を見た。今はこんな時間なのか、一体自分はどれ程意識を失っていたのだろう)   (8/5 23:35:20)
マリア/火津彌 > 「見ての通り今は思うように動けん、つまり時間はたっぷりある。僕の誘いを受けるか断るかはお前次第だが、理由くらいは聞かせてもらおうか。」(人は自分のことを語る時、いくらか遠慮するものだ。おそらくあなたも話すことに躊躇しているに違いない。気のおけない仲ならばともかく……しかし、口に出したという事はきっと心のどこかでは、聞いて欲しいと思っているのだろう。何も気兼ねはしなくてもいい、もごもごと言い訳をする必要もない、自分が聞きたいから尋ねているのだ、そういった思いを込めて、たった一言、強く言葉を響かせた。「そんで、なんや?」と。)   (8/5 23:35:34)


ゑゐりあん/董 > (伊丹か、とその名を繰り返されると、びくっと肩を揺らす。そして記憶が蘇る。「伊丹」という名ばかりを押し付けられてきた幼少期を)…うん。一応。ただ、鬼灯一族ってことだけしか知らないけど…(彼に戦いを挑もうと思い情報を集めたこともあった。しかし、結局集まったのは彼が鬼灯一族であるという事だけだった。…ただ、それは確定情報だけであり、彼の出自についての噂を聞いたこともあった。ただ、董はどこかで信じていたのだ。「そんな地位にいる人間の出自がそんなはずがない」と。…が、きっと今の彼の反応を見る限り、その噂は当たっていると言えるかもしれない。それが董にとっては少しだけショックで、少しだけ…安堵するものでもあった)…私は伊丹の家に生まれて、小さい頃から尊華に忠を尽くすように言われてきたんだ   (8/5 23:51:16)
ゑゐりあん/董 > (それから董は語り始めた。自分の生まれや幼少期。そして成長するにつれ家の重圧に押しつぶされそうになり、信頼していた幼馴染にも嫌われ、そして軍に入ったが両親に黙って軍を抜け、傭兵としていること。自分が強くなる理由は、“伊丹の人間だから”と言わせないためである…という事だった。思えば、そのことを誰かに話すのは初めてだったかもしれない。気が付けば董は涙が溢れていた。今まで突っかかっていた何かがあふれ出したのだろう。涙をぬぐいつつも董は最後まで話した)…だから私は軍に戻れない…戻りたくない…。…一回軍に入ったのに、結局私は自分の弱さに押し負けて、親にも迷惑をかけて軍を抜け出した。…それに…今戻ってまた“伊丹”の人間だって言われるのは嫌なの…(ギュッと手を握りしめる董)…ごめんね。…バカみたいだよね、こんな理由で軍を辞めて、誘いも断るなんて(そして董は自分をごまかすかのように自虐的に笑った)…ほんとはさ、私もアンタと一緒に戦いたいよ。そうすればもっと強くなれるだろうし、毎日が楽しい。…でも…(そう言うと、董は自分を抱きかかえ)   (8/5 23:51:40)
ゑゐりあん/董 > …怖いんだ…。誰も私を“私”だと見てくれないのが…。…私という存在が…伊丹って言う名前のせいで消えるのが…(自分の思いを吐露した)…痛いんだ…   (8/5 23:51:42)


マリア/火津彌 > 「……そうか」(静かに、話の腰を折るようなことは殆どせずに、ただ静かに、時々相槌を交えながらあなたの話を聞いていた。涙をぽろぽろ流しはじめても、変わらぬ表情でずっと話を促し続け、あなたの中にあるものが全て出し切られるのを待った。そして、自らを抱えて、痛いと言って俯いたあなたの旋毛を見ながらようやく、口を開いた。)「そうやなァ……。」(思った以上に繊細な心を持っているあなたを見て、今更ながら無理に傷をこじあけてしまったのだろうかと、かける言葉を探した。少将になる以前は佐官として部下達に目を配っていたつもりだったけれど、思えばこんなふうにゆっくり他人の話を聞いてやる余裕もなかった。いつだって自分の正しさを押し付けるばかりで……。火津彌を変えたのは年齢のせいもあるのだろうが、戦争が終わってようやくそれに気づくとは。)「……不本意な値札を付けられるのは、我慢ならん事やろうな。生まれや育ち、生業、性別まで……どこへ行っても、何かに属さねば、この国で生きていくのは難しいからな。」   (8/6 00:50:36)
マリア/火津彌 > 」(話しながら、いつの間にか火津彌もいろいろなことを考えていた。自分のこと、母親のこと、父親のこと、上司のこと。)「いつかは自由になる為に、走り続けねばならんのだろう。だが今お前に必要なのは、値札を捨てて接する事のできる存在かも知れんな。鳥にとっての止まり木のように、少しだけ休むことのできる居場所のような……そんなようなもの。」(話しながら、自分がずっと求めていたものについて、答えが降ってわいてきたような気もした。居場所を求めて彷徨っていた自分は、『居場所となる誰か』を求めていたのかもしれない。)「僕ら魔術師なら例えば、真名を空明かせる相手とか……」(そう溢しながら、自らが真名を明かした上司の顔を思い浮かべてしまう。あの人は、性別やら年齢やらの概念に囚われずに接する事のできる唯一の人ではある……。いやいや、今はこいつの話を聞いているんやった、と顔を上げあなたに目を合わせると、はっと自分が言ったことのとんでもなさに気づいて目を見開いた。)   (8/6 00:50:54)
マリア/火津彌 > 「……あっ、いや、例えばの話で……」(まずった。今、この雰囲気でそれは……と、心臓が飛び出しそうになる。あなたはたった今、自分に真名を教えたところではないか。)「……あー…まぁ……なんだ。入軍は好きにしたらええ。ただ、辻斬りとかああいうことは……僕も困るしやな、お前にとっても得ではないと思う。……あとなァ、毎日楽しいというのは聞き捨てならん言葉や。舐めて貰っちゃ困る、天下の尊華帝國軍は、それはそれは一枚岩やあらへんぞ。」(腕を組み、口の端を上げてまくし立てるように誤魔化した。ぽつり、「お前なら、それでもやっていけると思ったから声をかけたんやがな……」と付け加えて。)   (8/6 00:51:10)


ゑゐりあん/董 > …そう…だよね…(この国で何物にも属さない生き方、というのはほぼ自殺行為である。帝國や王国は言わずもがな、ヨズアの民やイモータルたちもそうである。董のやっていることは、あまりにも突拍子もない無計画なことなのだ。それには気付いていた。だがそれでもそうするほか、“いたみ”から解放される術はなかった)…え(と、ここで火津彌が言った言葉に顔を上げる。相手は自分の言ったことがどんなことか気付いたようだったが、もう遅かった)…私の…居場所……。休めるような…居場所…ッ(今思えば、董は常に一人で生きようと躍起になっていた。誰かと協力することはあれど、誰かと共にいることなんて考えたこともなかった。裏切られることが怖かったから。だけど目の前の男ならば。この男ならばあるいは、自分の“居場所”となってくれるやもしれない。董の中にそんな希望が見えた。その希望はまるで、暗闇を照らす小さな炎のような…)…ねぇ…“火津彌”   (8/6 01:02:54)
ゑゐりあん/董 > (ここで董は、彼の名を呼んだ。頭にバカをつけることもなければ、あいつ、なんて言う事もなく。はっきりと名前で呼んだ)…私をあなたの元で置いてください(そして董は頭を下げた。部下にしてくださいではなく、元に置いてください。それは、似て非なる言葉であった)…都合のいいお願いだとはわかってる。私は…やっぱりまだ怖い。折角手に入れた自由を手放して、元の生活に戻るのも…。…でも、火津彌と一緒なら、変われるかもしれない。…根拠はないけど…でも…火津彌を見ているとそう思えるの。だから…(そう言って顔を上げる董。その顔は真剣で、真摯だった)私をあなたの元で働かせてください。“軍人”としてではなく、一人の“人間”として(そうして再び頭を下げた董)どうか…お願いします…ッ   (8/6 01:02:57)


マリア/火津彌 > (強い意志を感じる響きで字を呼ばれた。そして、あんなに強がっていたのに、頭を下げて火津彌に頼み込むあなたを見ると、またしても驚かされる。──なんというか、驚かされてばかりやな、こいつには。)「……なかなか難しい注文やなぁ。僕の言うことを聞いて僕の上に立つ上司の言うことを聞かんという訳にもいかんやろう……軍人ではなく、か……。」(少し考え込んだ後、掌をあなたの頭の上にのせた。でかい女だと思っとったが、こうして見ると小さい。若く、青く、未熟で、一生懸命で……そんなあなたにこうまで素直に言われれば、自分はなんと応えるべきだろうか。あの人なら、なんと答えるだろうか。)「……お前は、」(思い返されるのは、嘗ての自分。)「お前は、自分らしく生きていいんや。……なんやそのしみったれた顔は、じゃじゃ馬小娘はどこへいった?」(上手く言えているだろうか、あの人のように、自分は。)「僕が背負おう、お前の痛みを。……部下の痛みを目にして、一人で背負わせるのは尊華の男のやることやない。…………聞こえんかったか?部下と言ったんや。」   (8/6 01:46:56)
マリア/火津彌 > (ぽんぽんと軽く撫でた髪は、常磐色をしていた。木の葉が一年中緑色であることを表す、永遠を意味するその色は、爽やかで、安らぎを与えるような、深い緑だった。こいつは、どんな花を咲かせるのだろうか。)「……解ったら、一つ目の指示を出そう。他の軍人の前で火津彌火津彌と呼び捨てにされるのは示しがつかん。」(にっと作った笑顔はやはり不器用だった、けれど、その瞳はどこか企みのような愛嬌のある瞬きで彩られる。)「──少将と呼べ。」(あなたと二回目に会った時に言った皮肉を、こんな形でまた言うことになろうとは。窓の外を見れば、帝國ではあまり見かけないトネリコの木が、さわさわと揺れていた。)〆【緑の誓い】   (8/6 01:47:08)