この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ライラ&アスラン

一番星

マリア/ライラ > 「あ〜本当におっかしー。ねぇ、何黙ってるのよアキラせんせ、ぶはっ!そろそろやめてやるか。」(駅で『白鳥』と別れ、師と連れ立って歩きながらライラはけらけらと笑い声を上げていた。一年ぶりの再開だと言うのに、まるで昨日も会っていたかのようにするすると軽口が出てくる。ほんの少しの気まずさも、感じていないといった口ぶりである。数歩後ろを歩くような真似はせず、これまで必ず対等に横へ並んで歩いてきたライラは、例年通りなら直ぐにふざけて腕を組んだり出来る程の距離であるはずなのに今はなんとなく違った雰囲気を薄らと感じていた。だが、距離を取られているかもしれないなどという発想はまるでなく、ただなんとなく歩きづらいなと感じるだけの、まだ心に引っかかりすらしない小さな違和感の種ではあったが。)「……真に受けないでよね?冗談よ。ところで積もる話もかなりあるんだけど、まずは何処かに腰を下ろせない?またいつもの宿を取ってるようなら、そこに行ってもいいかしら?……って断らないわよね。さ、アスラン」(と言いながら、あなたの横に追いつき腕を絡ませようとして)   (7/31 00:44:31)


シロー/アスラン > 「⋯⋯⋯。⋯⋯けっ⋯。」((雅螺と駅で別れて暫く。弟子は何て事ないような様子でいつも通り、そう本当にいつも通りの勝気で生意気な弟子のまま。一年の間があるというのにライラの口からはすらすらと軽口が漏れる。出来心といえば出来心で付けた名前ではあったけれど、意識した事は事実。黙り込みながら時折『うるせぇ⋯⋯』やら零すのが精一杯で、口調は荒くとも長い時間を共に過ごしたライラには、アスランの語勢が普段と比べて明らかに弱い事に気づいているだろう。図星で弄られる度に隣のライラから少し視線を逸らす事しか出来ずにいた。散々弄って満足したのだろう、何度目かとも分からない笑いが息と共に強く漏れる音を残して口撃は止まり。アスランも短く吐き捨てるような、舌打ちに近い呟きを最後にまた黙り込んだ。)   (7/31 01:14:05)
シロー/アスラン > ⋯⋯、ああ⋯。」((冗談よと言われても、アスランには一体何のことか分かっていないし考える余裕がないと言うのが本音だった。空返事を零してターバンの下の黒瞳を地面へと落とす。⋯⋯アスランが黙ってばかりいるのにはもう一つ別の理由があった。〝アキラ先生〟と生意気な弟子に弄られて大した返事を返せない位には悩んでいた。『俺はこの三年間、この日をずっと待っていたのに。』心の中でそう独りごちる。漸くまた一緒に旅が出来ると、言いたいのを我慢してケジメが付くまで言わなかった一言を漸く言えると思ったのに。蓋を開けてみればこの有様で。⋯⋯いや、あいつは金持ちで家柄も良くて金も良くて、何一つ不自由ない⋯⋯いつか語ったこいつの夢にぴったりの相手じゃないか。弟子の夢を見届けるのが俺の夢だった筈。   (7/31 01:14:06)
シロー/アスラン > ⋯⋯⋯ぐるぐると悩みの種が、論点がズレ、修正するのを繰り返しながら惰性で足を進めているとするりと腕に肌が絡む感覚。見れば褐色の細い腕が絡み付いて、ライラが此方を見ていた。普段なら何らかの抵抗をする筈のアスランだったが、直ぐには振り払おうとせず、一瞥してから黙って歩を進めた。数秒の間を開けて、前を向いたままぽつりと漸く自分から口を開いた。)「⋯なあ⋯⋯。ライラ、お前はもう⋯なんだ、いけない立場だろ。」((出だしは少し震えているような気がした。決意して何とか口を開いたかのような、言いたくない事を無理矢理に絞り出したかのような声色で。いつにも増して不器用に言葉言葉の間を開けながらアスランは言葉を紡いだ。)「⋯⋯あいつにも大した連絡入れてねぇし、⋯⋯俺と⋯夜一緒に過ごすとかは⋯⋯。」((平静を装おうとしてか、表情を仏頂面に固定して、視線すらもライラに向けないよう前に向け。足は止めずに声だけを震わせた。   (7/31 01:14:18)


マリア/ライラ > 「……ん?」(絡めた腕を振り解かない時点で、ライラは何かがおかしいと感じた。『いけない立場だろ』と言われれば、どういう意図なのか測りかねて、立ち止まり師の顔を見上げる。)「……アスラン?」(──娼婦を辞めた事……話したっけ。──どのみち話そうと思っていたし、頭はこれから話す事でいっぱいになっていた為、思考は自然とそちらに引きずられた。この三年もの間、一年に一度だけの逢瀬を重ね、その度にやはり魔術が使えなくなっている現実、『師匠と弟子』ではない現実を直視して……その度に、どこか、なにか、慰め合うように関係を持っていた。だがそれも、ライラが娼婦である事で理由付け、辻褄合わせがされているようなところがあったかもしれない。兎にも角にも二人は、師弟の枠を飛び出し歪な形で名もなき関係をここまで長引かせて来たのだ。愛していると言われたこともなければ、当然、言ったこともない。遅かれ早かれそれに向き合う時が来るとは思っていだけれど、それが今日かと……観念したようにライラは俯いた。アスランが何か呟いたけれど、上の空のライラには『⋯夜一緒に過ごすとかは⋯⋯。』という最後の言葉だけしか聞き取れなかった。)   (8/3 03:04:24)
マリア/ライラ > 「うん……。」(絡めた腕を解き、額をあなたの肩のあたりにくっつけて頭を凭れさせるように寄り添った。両手はあなたの胸のあたりに揃えて添えられて、腕の中へ収まる事を望んでいると、言わずとも示していた。──あぁきっと、今年もだめなのだろう。ライラは魔術が使えるようになったけれど、師匠はあなた。ライラではない。何も、何も変わらなかった。今年も、変われなかった。)「…………嫌なの…?」(消え入りそうな声で、そう言うのがやっとだった。再び師弟としての縁が結ばれるまで、鎹を繋ぐように、共に居る理由を探すかのように、関係してきた。それをアスランが拒否しようとしていると言うことは、もう、師弟としての縁を結ぶ事自体ら諦めつつある……いや、恐らく、諦めたくなるような何か心境の変化があったのだろう。忘れかけていたけれど、出会った時からあなたは恋多き人だった。師の幸せを願わぬ弟子がどこにいるのか。 ライラは、一泊おいて再び口を開く。)「うん、わかったわ。最後……今日で最後ね?なんとなく解ってる……。最後にしましょう」   (8/3 03:04:43)
マリア/ライラ > (顔を上げて折り目正しく目を合わせ、祝福の色を携えたような、優しげな微笑みを投げかけ……そして軽く両手で頬を包み込むと、啄むような口付けをした。)「……最後の一晩に。」(震えた声だったけれど、言ってしまった。愛しているとかいないとか、たぶんそんな単純な話ではない。あまりにも過ごした時間が長くて、どうにも定義しづらいのだ。はじめはつまらないプライドからであったが、執着した事もあって、最も尊敬している魔術師で、自分にとって最も身近な男性で。ライラの人生を形作ったあなたという存在と離れてしまって、自分自身のアイデンティティがどうなるのか、検討もつかなくて。──この、名もなき関係にようやく名前がつくのなら、楽になれるかもしれないと思った。)   (8/3 03:05:02)


シロー/アスラン > (絡められた腕のするりとした感覚が再び動きだした。止まっていた二人の時間が動き出すようだ。嫌だと引き止める事はできそうにない。それは自分が師匠であり、ライラが弟子であるから。なんて理由付けでは今更不十分すぎることくらい分かっているつもりではあったけれど、そんな平凡でありふれた言葉で結び付けたくはないことくらい分かっているつもりではあったけれど。だけど、自分達にとって最も深い繋がりは───と、心の中で言い訳ばかり繰り返しているから、胸に寄り添うお前を抱きしめることすら出来ないのだろう。忘れかけていたけれど、出会った時からお前は夢多き人だった。弟子の幸せを喜ばぬ師がどこにいるのか。多くの夢を諦めず本気で追いかける姿に自分は憧れた。弟子の夢の果てを見届けたくてライラと共に居た。だから、もう見れなくなるのが寂しいのだろう。最早それがこの気持ちの答えだと自分に言い聞かせなかれば、アスランはライラの師で居れそうになかった。遂にそこまで来ているのだと感じた。師でありたくて足掻いた三年間を本物だと突き通すならば、ライラの師であり続けるならば選択は一つだけだから。)   (8/3 21:12:18)
シロー/アスラン > 「⋯⋯。」((だから、頼むからそんな風に言わないで欲しい。胸に体を預けるライラを見下ろしてから顔を背け、苦しそうに瞳を伏せると震えるかのように首を振った。「嫌なわけないだろ。」そう言うのは容易いけれど、言ってしまえばどんどんと、ずるずると流されていってしまうような気がした。例えこれが今生の別れになるのだとしても、いつもみたいにじゃあねと軽く別れてくれれば少しは楽になれる気がするから。何もしてやれないのが嫌で、せめて、と片方の手でライラの肩を掴む。───『字ってのは自分で決めなきゃいけねぇんだよ。』『ライラ、夜のライラよ。』⋯こんなに大きくなったんだな。十数年もの間苦楽を共にし、並べた肩はそれでも小さかった。今更決別なんかしたくないと星の流れに逆らってきたけれど。ライラの星はきっとこれから一番輝くのだろう。〝きっと自分と居るよりも〟とは考えないけれど、なればこそ。⋯⋯ライラの顔が上がる。俺が言わないといけない。)   (8/3 21:12:20)
シロー/アスラン > 「⋯っライ、ラ⋯っ⋯⋯⋯⋯────!?」((なんと言えばいいのか決まらぬまま、喋ろうとしたライラに被せるようにアスランはあなたの名を呼んだ。だがライラの言葉の意味を理解する間もなく触れた唇に全て塞がれた気がした。⋯最後の最後で分からない弟子の思惑。すらっとした細い指が頬を這い、包む。優しげな笑顔が見ていられなくて、ライラの両肩を強く掴んで俯いた。)「⋯ライラ⋯⋯。⋯だけど⋯それは、お前⋯⋯。⋯⋯⋯最後の想い出、とかなら、それは⋯っ。」((「作らない方が辛くない。」その気持ちは結局のところ自分の主観であるから、言葉は最後まで紡がれることはなかった。もしこれが最後の想い出作りと言うのなら、もっと辛くなるだけだと、そう思った。⋯⋯⋯自分にとってライラは何なのか、結局の所分からずじまいなのだ。ライラというのはアスランにとって既に、人生の一部だった。一緒に居て当然だと疑うことすら無かったからこそ、こんなに苦しいのか。)   (8/3 21:12:32)
シロー/アスラン > (⋯そのままライラの両肩を掴む腕に力を込めて、引き寄せながら抱きしめた。今自分が何をしているのか、もう考えるのはやめた。結局はっきりと言えなかった自分を許して欲しい。何も言わず、熱に動かされるまま肩を掴んでライラを壁に押し付けた。Aquilaと名乗った事を後悔はしていないけれど、ライラはLyraではなく⋯⋯自分の人生を流れた一筋の流れ星だったと思うことにした。)「⋯⋯⋯綺麗だ。」((────ただ一つ言えるのは、どんな星より、何より、綺麗だった。首筋に、痕を残さないよう優しく口付けを落とした。『最後』なんて狡い言葉を吐かれたら。『最後』にしなければいけないのなら、俺はこう思うしかないこと、分かっているのかお前は。目を閉じてライラの首筋に吸い付きながら、様々な思いを巡らせた。『星に願いを、願わくば⋯⋯。』口に出せない祈りを最後に、首筋から顔を上げてライラを見つめた。だがライラのように笑うことは出来そうになかった。   (8/3 21:12:44)


マリア/ライラ > (あなたの指先が苦く躊躇うのを、沈んだ空気の中で感じた。張り詰めているという程冷たくもない、淀んでいると言うほど重たくもない、夏の中、ぼうっとするような生暖かい星月夜。まるでこの世に自分たち二人だけしかいないかのように静かで、ライラは時間感覚を忘れそうですらあった。)「…あっ…」(肩に置かれた手が、ぐっとライラを引き寄せ、彼女は小さな声を漏らした。いま、あなたの胸の中に収まりながら、あれほどに静かであった世界に小さな音が響く。……とくん、とくん……と、暗闇に響く自らの心音は、羊水の中の胎児のように、どこか健気に、世界を動かし始める。)「……ごめんなさい。」   (8/4 02:44:02)
マリア/ライラ > (聞こえるか聞こえないかの小さな声で呟くと、壁に押し付けられるがままになった。あなたの唇が首筋に触れる。気持ちいい、はずなのに。媚びたような嬌声も、悩ましい吐息も出さずに、目を瞑ったまま息を止めて顎先を空に向けて天を仰ぐ。このまま時間が止まればいいと、罪深い事を想う自分に気づき、眦から一筋の雫が伝う。──あぁ今、やっとわかった。『愛してる』なんて言ったこともなければ言われたこともない。それは、ライラ自身がアスランを心から愛してると思ったことが無かったからに他ならない。私たちはそんなんじゃない。それに、きっと、そんな単純なものではない、と。……何が“言葉を識る者”だ。何が魔術師だ。表しきれない感情を前にしてどんなに言葉が無力であったか。やっとわかったこと、それは、至極単純なものだった。ライラはアスランを『愛してみたかった』のだ。そして、『愛されてみたかった』。この歪な関係になんであっても名前がつくならようやく楽になれるかもしれない、不倫関係とか、二番目とか、愛人とか。そんなものに押し込めようとして初めて、ようやくこんな簡単な事を思い知って。   (8/4 02:44:31)
マリア/ライラ > 気がつけば、涙は溢れて止まらなかった。私たちの星は初めから結ばれていないことなんてずっとずっとわかっていたのに。)   (8/4 02:44:42)


シロー/アスラン > (首筋に唇を押し付けながら願いをかける。『流れ星が消える前に願いを掛けると叶う』という逸話にすら頼ってしまいながら。それは願いなんて大それたものですら無く、心情はただ「一緒に居たかった」という未練でしか無いことに胸が締め付けられる様な感覚を覚えた。)「⋯⋯⋯⋯っ!!」((首筋に痕を付けることはもう許されないのだろう、と抑えつつも顔を上げた。光景に、目を疑った。〝なんで泣くんだよ、お前はこれから⋯。〟ライラの涙を理解出来なくて、アスランは行き場を失った感情を激しく振り撒いた。瞳を見開いて、肩を掴んだ手に強く力を込める。何かを言いたげに口を開いたが、言葉を発することが出来ずに口を噤んだ。⋯⋯ここに来て、ようやく、やっと分かった。結局自分は何も分かっていなかったことを。力なく、肩を掴んでいた手が離れる。名残惜しそうに腕をなぞって、すとんと落ちた。糸の切れた人形のように腕を垂らすと、俯いて瞳を閉じた。   (8/4 17:07:40)
シロー/アスラン > ⋯⋯思い返せば自分の人生を形作ったのは、幾度と無い憧れだった。魔術師になったのもそうだったし、師としてお前と居たのもそうだった。こんなに長い時間お前に憧れて見てきたのに、自分は最後になっても、ライラの涙の理由も、この胸の苦しみの理由も、分からない。感情に言葉を当て嵌められない。言葉を識る者でありながら、師でありながら、たった一つ感情を言葉にすることすら出来ないなんて。⋯この三年間、いやこれまでもずっと自分は何を追いかけて足掻いてきたのだろう。何もかもが分からなくなって、俯いたまま密かに視線だけを上げた。ライラの涙を最後に焼き付けて一歩、また一歩と後退りするように、棒のようにぎこちない動きで足を滑らせた。)   (8/4 17:07:42)
シロー/アスラン > 「⋯⋯泣くな⋯⋯ライラ⋯、⋯⋯⋯夢を、叶えたんだ。お前はこれから⋯もっと、輝くんだ。幸せになるんだろ⋯。───っ泣くな⋯⋯⋯!!」((全力で手を伸ばし合えば指先が触れるような、微妙な距離感。二人にとっては遠すぎる距離を開けて、辿々しい口調のままに言葉を紡いだ。魔術師とら思えない酷く不器用な言葉の羅列を並べると、喉に力を込めて震える声を無理矢理に張り詰めさせた。)「⋯⋯泣くな⋯っ!ライラ⋯っ!」((ぴん、と張り詰めた糸が再び垂れ下がり捩れた。片手でターバンを掴んで目元を隠すようにずり下げると、俯いたままぼそぼそと喉を震わせた。⋯⋯この期に及んでライラを泣かせたくはない。熱を持った体が急激に冷えゆくのを感じた。体再び止まっていた時間が動き出すように、後退りするアスランの靴が地面を擦る音が聞こえ始めた。   (8/4 17:07:56)


マリア/ライラ > (自分を抱きしめてくれていたはずの逞しい腕、その確かな感触が突然力を失って、ライラは夜闇に放り出されたような感覚を覚えた。眉尻を下げた切ない表情のままアスランの顔へ視線をやると、既に距離がとられはじめているところであった事を悟る。)「……アス…ラン……。」(拒絶された──その事に、ライラが感じたのは怒りではなく絶望だった。もうそれ程にまで、どうにもならないのかと、星の運命に足掻き続けてきたのは、結局自分一人だけだったのかと。心の臓を抉られるような痛みは、『傷つけられた』としか表現する事が出来なくて、その痛みはひたすらにあなたに依存していた。『愛されなかった、選ばれなかった』──いや、『愛される、選ばれる人物になれなかった』事実が、重くのしかかる。)「……なに、言って…………?」   (8/7 18:52:24)
マリア/ライラ > (あなたの言葉の真意が解らない。夢……何を言っているんだろう。あたしを捨てたのはあなたなのに。涙混じりの恨み言は喉まででかかるが、この距離ではもう届く大きさで声に出せないと、躊躇は諦めに変わる。ごくり、と飲み込み、俯いて、どうにか届きそうな言葉を纏めようとしていた。今、この場で、最も魔力を持つのはどんな言葉だろうか。……ぐしぐしと涙を拭った後、顔を上げてゆっくりと歩み寄り、あなたの言葉に感じた微かな違和感という糸端と共に、あなたの服の裾を掴んで引き止める。)「………行かないで、アスラン。愛してる」(その一言はいとも簡単に、するりと。まるで挨拶でもするかのように出てきた。躊躇を覚えなかったのか。どう思われるか考えなかったのか。……否、恐らくは、もう何も期待しなくて済むこの状況だからこそ、言ってしまえと思ったのだ。ばっさりと振られてそれでおしまい。──『あたし、話が早くないのは嫌いなの。』)   (8/7 18:52:47)
マリア/ライラ > 「……ずっと知らないふりをしてくれてありがとう。解ってたでしょう、〝答え〟はいつでもそこかしこにあったもの。あなたはあなたはそこまで察しが悪くはないはず。」(長い髪に隠れて、俯いた顔は見えないだろう。だけど、こんな時でさえライラは早口だった。あなたに『すまん』だとか、決定的な事を言われてしまう前に、ぜんぶぜんぶ話してしまいたくて。)「あたしの夢に付き合い続けてくれてありがとう。」(夢。それは、現実ではないもの。つかず離れず、傷つかず傷つけないままあなたを手に入れようとして、ライラは夢の中に生きた。閉じた瞳が開かれ、目覚める。限りなく黒に近い夜色の瞳があなたを写して、まっすぐと見つめた。)「最後にあたしの夢の果てを見届けて。そしたら、師匠の役目は終わり。――東の空を見ていて。」   (8/7 18:53:05)
マリア/ライラ > (そう言った自分はと言えば、あなたから一切目を逸らさずに。小さく呪文を詠唱する。今まさに人知れず堕ちんとしている星の軌道を、少し変える。そんなイメージで……あの空を一筋、星が流れる。確かめないけれど、きっとそうだと決めつけて、確かめてしまわぬままに、願いを、夢を、口にした。)「あたしのシュクロズアに会わせてください。」   (8/7 18:53:19)


シロー/アスラン > 「⋯っ!⋯⋯ぐぅ⋯!⋯」((弟子に泣き顔を見られまいと必死でターバンを掴んでずり下げながら目元を隠した。肩を震わせて抑えきれず嗚咽を漏らす。もう既にライラの表情も声も感じ取る余裕など残っていなくて、唇を噛むと今にも溢れだしそうになる涙を何とかターバンで押し留め、拭った。服の端を掴まれただけで動けなくなって、振り払うことも出来ずにそのまま。まるで祭り囃しの中で自分だけがぼうっとして別の世界に居るような、そんな感覚でいながらライラの何気無い一言はすらりとそれら全てをすり抜けて鮮明に聞こえた。清々しいほどに。)「っ俺⋯っ!!」(はっと顔を上げて、斜めにずれたターバンの下から涙ぐんだ瞳が覗く。ターバンを掴んでいた腕を下ろすと、今度は服を掴んでいるライラの手首を掴んだ。だが反射的に言いかけた言葉が意味と魔力を持つ前に、いつものように矢継ぎ早に繰り出されたライラの言葉達によってそれらは掻き消された。   (8/8 01:20:12)
シロー/アスラン > 時折、何かに突き動かされるようにぱくぱくと唇を動かしてまでライラの話を遮り、何かを伝えようとする様子はアスランらしからなかったが、何度か試みた所で話を聞く気になったらしい。慌てて握ったライラの手首だったが言葉が続くにつれて優しく、包み込むような握り方へと変わっていき、俯いて落ちる黒髪を見つめていた。「答え」。俺とライラの中で探していた答えは幾つもあったけれど、そのどれも、多くが⋯⋯⋯そこまで考えてはっとした。「考えたことが無い訳じゃない」。そうなんじゃないか、そうなんだろうと思っても言わず、言えずにいた沢山のもの。俺とライラの関係に纏わる、埋められていたおよそ「答え」と呼べそうなもの達をを呼び起こしてアスランは、息を飲んだ。咄嗟に呟きそうになった「付き合っていた訳じゃない」なんて否定すらも飲み込む程に、目尻を赤くしたライラの表情から目が離せなかった。黙って見ているとライラとの思い出がリフレインして脳裏を埋め尽くしていってしまいそうで、ライラの口が再び動き始めた時に一度ゆっくり瞬きをした。)   (8/8 01:20:13)
シロー/アスラン > (貴女の言葉に従わずに、ずっとアスランは貴女の顔だけを見つめていた。呪文と、最後のライラの夢を聞いて、ライラの口から言葉が失われてから、数秒。沈黙の後に、掴んだ手首を引き寄せて抱き締めた。)「──俺だ。俺がお前のシュクロズアだ。」((「あなたな訳無いわよね!あたしのシュクロズア様はもっと──」「ちっ──」いつか繰り返した会話を思い返しながら、たった一言、短く、有無を言わせぬ声色で呟いた。⋯⋯気付かない筈がない。言い出せなかっただけでずっと気づいていた。関係を崩すのが怖くて、言う雰囲気でもなくて、言わずにいただけ。でも、ライラ、もし、万が一、本当に万が一、違ったとしても、それでも、俺がお前のシュクロズアだ。俺が、お前の───。細い腰と肩を強くきつく抱いた。もっと強く、強くなる感情のままに抱いた。)「⋯⋯お前を初めて抱いた時、別れた時、ずっと答えを探すふりをしていた。お前との関係は師匠と弟子だって思ってた、始まりがそうだっただろ、俺達⋯。」   (8/8 01:20:54)
シロー/アスラン > ((だから俺が、お前の言うシュクロズアだというのも言えなかった、どんどん言えなくなっていった。関係が壊れるのが怖くて。段々と腕に籠る力は強くなっていく。特別力が強い訳でもないけれど、華奢な貴女に掛けるには強すぎるかもしれない。それでも緩められずに、もっともっとと力を込めた。)「なあ。ライラ、お前を弟子にした理由。⋯何度も言ったよな。」((ふと、力緩まないままぼそりと響いた。「お前の夢の果てを見たい」何度も口にした言葉だし、ライラもさっき口にした言葉。やっと今導き出せた答えを口にしようと、腕を弛め頬をぴったりくっつけるようにして、ライラを感じながら再び口を開いた。)「ライラ、お前と離れてから、俺はお前の夢ばかり見た。それが答えだったみたいだ。お前が隣にいたり、お前を抱く夢を見たり。⋯⋯⋯ライラ。」((回した腕をそっと上げて、肩とうなじ辺りを抱いて。)   (8/8 01:20:56)
シロー/アスラン > 「⋯⋯もう、師匠じゃなくていい。弟子じゃなくていい、ライラ、好きだ。好きだ、愛してる。」(「愛してる。」「師匠の役目は終わり。」たった二言だけだったけれど、アスランにとっては答えを導き出す切っ掛けの、複雑なライラに対する感情のパズルの、最後二つ足りないピースだった。)「ライラが一番だ、愛してる。⋯お前の師匠じゃなくてもいいから、一緒に居たいと思ってる、好きだ、愛してる、⋯⋯一緒に居てくれ⋯⋯ライラ⋯⋯っ。」((──どうか、お願いします。俺とライラの星を、どうか⋯⋯。抱きしめながら、今までで一番、強く祈った。今ならどんな奇跡も起こせそうな気がした。   (8/8 01:21:23)