この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

セト

勧善懲悪

JOKER/セト > 例えば、だ。ある奴隷達が差別される自分達の利権を求めて国に反乱を起こしたとしよう。奴隷達は武器をもって国防軍と戦う。その時何処が戦場になる?そこにいた民衆は?そのなかに自身の愛するものがいたら?争いによって生まれた被害者は、一体誰を訴えれば良いのだろう?事の発端を作った国か?それともそもそも暴れだした奴隷達か?(時間、3:12。場所、ウェンディア王国領内マージ。薄黄色の渇ききった大地に凍える様な風が吹き込む頃。その砂漠の中心に一人の男が佇んでいた。シルバーの髪に生気を感じない白肌、それらとは正反対の漆黒の装束を着込んだ175cmほどの青年。血の色を孕んだ瞳は、目の前に存在する異形をニタニタと見つめている。その異形は、まるで幻想物語におけるゴーレムのような、強靭で巨大な体を持っていた。そんな怪物が、怪物の1/3とない大きさの青年の前で地に座して赤い液体を身体中からだらだらと溢れ出させている。目の前の青年を苦しそうに睨み付けながら。青年の言葉など、聞き入れない様子だ。)   (7/25 16:44:16)
JOKER/セト > はは、わかりゃしないだろうな。言葉を理解しようがしまいが、こいつの答えは誰も出しちゃいない。そりゃそうだ。奴隷の連中も、国の連中も、どいつもこいつも自分達の行いが正義だと思ってるんだからな。(青年の手が異形の頭を掴み、青年へと近付ける。そして教えを説くように囁くだろう。言い聞かせるように、怪物には関係のない話を。いいや、“関係していたはずの話”を。異形は、まるで怒りを露にするかのようにグルルッ、と唸り始める。)だがそんな大層な連中は、残酷にも争いをもって優劣をつけようとする。勝ったものが正義で負けたものが悪。おかしな話だよな?負けた方だって自分達の正義のために戦ったのに負けただけでそれを悪とされる。誰も共感しないし、助けちゃくれない。それに絶望して命を絶った可哀想な奴を俺はよーく知ってるよ。丁度…はは、そう。お前みたいに頑丈な奴をな。(ニタニタと笑いながら青年は呟き続ける。まるで嘲笑うように、その異形の全てを理解して、まるで当事者のように評価を下す。その言葉が続けられば続けられるほど、異形の怪物は呼吸を荒げて体を震わせることだろう。やがて、それは遂に)   (7/25 16:44:52)
JOKER/セト > 「グルォオオオオッ!!!」(雄叫びを上げて拳を振り上げる。そしてそれを目の前の青年に振り下ろそうとするだろう。そんな中でも青年は笑い、呟いた。)我が主よ。眼前の異形に、砂漠の抱擁を与えたまえ。悲しき怪物に、慈悲を与えたまえ。(その瞬間、強烈な風が吹き荒れる。その風は異形のいた場所を中心に渦を巻き、やがてそれは竜巻へと姿を変えるだろう。砂を孕んだ、視界も、呼吸をも奪う程の砂嵐。怪物の体は、その強靭な体は、ゆっくりとその竜巻によって上へ上がっていく。その体を無数の砂と鎌鼬によって切り裂かれ、削り取られながら。異形は、怒り狂った様子で、その拳を無造作に振り回していた。青年は、そんな異形に告げる。)   (7/25 16:45:13)
JOKER/セト > お前の理想は失敗に終わった。お前の「夢」は、あの王国には届きやしなかったんだよ(その言葉が砂漠に響いた瞬間、異形は無機質な瞳を大きく広げる。そして断末魔のような悲鳴と共に苦しみ始めるだろう。そしてそれは、激しく吹き荒れる砂嵐の抱擁によって、瞬く間に散っていった。散り際、その瞳から透明な液体を残して。)…はは、イモータルも涙を流すもんなのか?それともこいつが特別なのか?(散っていった異形の涙を見れば、青年はパチンッ、と指をならす。すると砂嵐は静かに、消え入るように静まっていく。完全に止まったのを確認すれば、青年はにたりと笑って異形の涙が落ちた場所へと向かうだろう。その涙が落ちた砂を、手で掬いながら。)言葉による疎通はなし。だが感情が少なからず失われたわけではないらしい。まぁ、こいつはそれなりの値段で帝国辺りに売り付けるとするかねぇ(救いあげた砂を、フラスコのような物へと注いでは、その栓に蓋をする。そして相変わらずニタニタと笑みを浮かべて、砂漠に背を向けて歩き出すだろう。)   (7/25 16:45:47)
JOKER/セト > この世に正義も悪も、なにも存在しやしない。そこにあるのは欲望、本能。生命が自分等の都合の良いようにしたいがためにあの手この手ともがいてるだけ。何故なら勝った奴だけが、その後の世界を好き勝手する権利を得るんだからな。(さて、売った金で何をしようか。…あぁ、女を抱こう!最近ご無沙汰だったからなぁ…。そんな風に思いながら、大層なことばを吐き捨ててその場を去った。) 「勧善懲悪」   (7/25 16:46:11)