この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

迦為&糸依

灰凪/迦為 > 「はじめてのおつかいだ〜…………ッフー…何言ってんだバカか俺ァ」(本当に馬鹿馬鹿しい独り言と共に進むは帝國一般兵、訓練時の真面目な行進は何処へやら、ゆらゆらぐでぐでと歩を進める。目的地はとある同軍、同階級の人間の家。事情あって現在休暇を得ているらしく、『具合を見に行ってやれ』と上司に仰せつかったのだ。何だかんだ言って暇なので其れを請け負ったは良いが、如何せん暑くて敵わない。)「う゛へ〜……もうちょいか……」(澄み渡る青空は無慈悲にも陽光を強く叩き付ける。せめてその青を眺めて“でも綺麗だな”なんて言えりゃあ少しは救いがあるのだが、目を塞いでいる彼にはマイナス要素の塊だ。滲む汗に不快感を覚え、服をぱたぱたと動かして気休めの涼しさを得る。時折目を覆う布を少し引っ張れば、そこから道順がメモしてある紙を覗き、正しい事を確認すれば再度進む。そうこうしている内に家に辿り着けば、扉を軽くノックしようか。)「すいやせーん」(此れで外出中だったら二度とおつかいは受けないようにしよう、そんな事を考えながら、家の影の少しの涼しさにふぅと息を吐いて。貴方が出るのを願いながら待とうか。)>清瀬さん   (7/23 18:42:29)


清瀬/糸依 > (磨りガラスの窓、行灯を模した二住輪の白熱電灯、穴のない障子に、風に揺れる紐を編んだ暖簾擬き。目を閉じていてもわかる、私が出ていってから何も変わらないこの間取り。鮮やかな青波を閉じ込めた風鈴が縁側でチリリ、チリンと高く歌う。余命を謳歌する蝉の声に、ふとまた素麺が食べたくなった。七夕の日に母が作ってくれた、星形の野菜なんかが添えられた洒落た素麺、まるで天の川が卓上に流れてきたみたいにその日の夕食は特別なものになっていたっけ。手伝いの賃金につまみ食いの権利、懐かしいものだ。)   (7/23 21:47:22)
清瀬/糸依 > 「……ん、んん゛ー。誰………」(コンコンコン、軽快なノック音に甘い紙の匂いを伴う幼少期の夢から覚める。いつも通り本を枕に転た寝していたようだ、なんだか頁にシミが増えているような気がするがするが気のせいだろう。それより今は来客への対応をしなければ。生憎私以外の人間は今家から出払っている、是非さっさと帰って貰って夢へと旅立ちたいものだ。ブラウスなんて長袖のものを家で身に付ける気力もなく、纏っているのは最低限人と会えるラインの服だけ。ペタペタと裸足のまま玄関先へ向かい、近くの羽織を肩にかけつつ引戸を開ける。)「………あの。此度はひょんな地まで、どのようにかあり侍りて?」(より色濃くなる蝉時雨、チラリと見えた軍服に戸を閉めたくなるのを必死で堪えつつ、驚きから嫌悪へと表情を変え貴方を見つめる。布で隔て閉ざした瞳、見覚えのあるようなないような、どこかで関わったにしろ特に記憶に残ることはしてくれていないようだ。制服を見るに彼も一般兵らしい、さてどのような目論見か? このまま室内へ侵入しようとするならばその腸は構えた左足の餌食になるだろうけれど。)   (7/23 21:47:24)


灰凪/迦為 > (いやに煩い蝉の声の中から細く聴こえる風鈴の音に、風情があるなぁなんて思いを巡らせ、暫し耳を澄まそうか。四方を囲う騒音、糸を通す様に聴こえるその音は、涼風と共に鼓膜を打つ。そんな言い表し難く心地良い時間は、数十秒、いや数分?熱に呆けた思考の中では長針がどれだけ動いたかなんて解りゃしないが、体感だけで言えば少し長く続いた。聴き入っていると、不意に聴こえる別の音。其れは少しずつ此方の方へと向かって来ており、すぐ近くで止まったかと思えば今度は扉を開く音。)「....あぁ、こりゃどーも初めまして、帝國軍一般兵の迦為ってモンです。糸依さんであってやすかねィ、上司に様子ゥ見てこいと頼まれたモンで」(其処まで言った彼はふと、貴女から向けられた感情が穏やかな物では無いと直感し、首を傾げてその先紡ごうとしていた言葉を打ち止める。)「(やっべなんか俺しちまったか....?同軍の女相手に問題起こすとか色々まじィよな....どーーーしよコレ)」   (7/23 22:31:58)
灰凪/迦為 > (蝉の声が余計に煩くなる。面倒事は避けたい。と言うか自分は何かしただろうか。ノックが嫌いな人間だったのだろうか。そんな馬鹿馬鹿しい事を考えるが、正直何も思い付かなかったのでありのまま全て話そうかと。)「あ゛ーー俺ぇなんかやらかしたかい....?御遣い先で戦り合いなんてまっぴらごめんなんでね、そんなァ敵意みてェなの向けられても困るんだわ」(多少言葉が穏やかでは無いが初対面でこんな嫌悪のような物を向けられたのだ、多少は仕方無いだろうと自己完結。さっさと言葉を言い放てば、塞がれた眼は答えを待ち貴女の方へ。)。清瀬さん   (7/23 22:32:00)


清瀬/糸依 > 「…お初にお目にかかりまして、迦為殿。遠方よりご苦労、確かに私は糸依にありますが……」(蒸すようにとぐろを巻く日陰の暑さ、それを更に加速させるようにゆったりとした口調。名前を聞けばなんだか覚えがあるような。勲章や飾り気のない軍服、沈むような無彩色の中、帽子から覗く散らかった白髪は月桂樹の花のようだった。額から溢れる汗、どうやらわざわざ榮郷から此処阿岸まではるばるやって来たようだ。全く面倒な役を任されたものよ、まぁ同情なんてする筈もないが。どこの上の者かは知らないが、こんな一介兵のメディカルチェックにこの人を遠征させるぐらい今の軍は暇をしているのか?生憎今は暑さとやるせなさに気が落ちていて、憎まれ口なんて叩く気力がない。報告に来ただけならばさっさと帰してしまおう、と髪を掻き上げる。朝露を乗せた雲の糸のように塩辛い汗が掌を濡らした。)   (7/24 15:44:42)
清瀬/糸依 > 「……あー、ああ…。失礼、既に上の者より由を聞けるかと思うたもので。…とかくありしもので、今は魔術もえ使えぬものですから。警戒こそすれ、誠失礼した」(BGMが音量を上げる。首を傾げ沈黙した貴方にふと違和感を覚えた。恐らく小将か少尉辺りが遣わせたのだと思っていた彼は、どうやら行き先と対象以外は何も聞かされていないらしい。こりゃ送り出したのは後者か、となればこの行動も合点がいく。そもそも女性を連れてこない時点で気遣いもくそもないじゃないか、フラれた後だってのに。……そこまでの気遣いをしてやれないというのならそもそも来てほしくなかった。感情がまた顔に出ていたらしく、額を腕で拭った後に頬を掻き誤魔化す。目の前の彼に八つ当たりしなかったのは、単なる気分で理由は十分だろう。)   (7/24 15:44:53)
清瀬/糸依 > 「立ち話も何です、往路はいと暑かったでしょう。生憎賄いの品は多くありませぬが……。ええ、素麺でも如何か?」(相変わらず軍服は他人が着ているのを見ているだけで此方まで卒倒しそうだ。半分程まで開けていた引戸を開け、カラカラと桟に小石を遊ばせる。玄武岩の磨石を敷いた玄関を背に、そっと手招きして貴方を招き入れよう。私も小腹が空いた。浮かべた笑み、刺すように貴方を見つめる。聡明な貴方になら、多くを語らずともわかるだろうか。もし貴方が不審な行動を取ろうものなら……双方にとっても、良い結果にはならないだろう。)   (7/24 15:45:05)


灰凪/迦為 > 「合ってやしたか、そりゃ良かった」(一先ず御遣いを果たせそうな事に安堵、だが無事に果たせるかは未だ解らず正直気が抜けない。先刻の足音のリズムや声のトーンから特別不健康そうには思えず、“調子良くなさそうだから”とまた行かされる事は恐らく無いだろう。そもそも何故男の自分がこの御遣いを頼まれたのだろうか、普通同性が行く物の筈なのに。そりゃ警戒心剥き出しにもなるわ。そう自己完結すれば軽く謝罪をしようか。)「あー申し訳ねぇ、男が急に来りゃ機嫌損ねやすよねィ…次があったら自分以外に頼む様言っときやすんで今日は堪忍してくだせェ」(本当は直ぐ引き返し別の女性に向かって貰うべきなのだが、自分が必死こいて歩いたのが無駄になるのも更にあの距離を歩く人間が増えるのも耐え難い。さっさと用事を済ませて帰ろう、と思ったのだがこの暑さの中かなり長い道のりを歩いたのと水分補給があまり出来ていない事から少しずつ意識がぼやけて来た。)   (7/24 16:39:17)
灰凪/迦為 > (一度涼しい所で休息でも取りたいのだが………この相手に頼む訳にはいかないだろう。気怠げに吐いた溜息は、其れを超す温度の空気に呑み込まれていく。絵具を纏った絵筆を浸けた水の様に、風に千切れて行く雲の様に。)「あーいや!そんな気ィ遣わせるの……も……」(ほんの少し、蝉が翅を震わせ奏でる不協和音の多重奏の中にほんの少しだけ、腹の鳴る音がしたのを、果たして貴女が聴き逃さなかったか聴き逃したかなんてその一瞬で解る事じゃ無いが、下手な言い訳をして相手が聴いていたらもう目も当てられないだろう。だから彼は諦めた。)「いや…あ゛ー……少しだけ……頼ンます……」(正直叫び出したい程恥ずかしいし穴が無くとも自分で穴を掘って年が明けるまで埋まりたい気分だがそうも行かない。小気味の良い音を立てたのは玄関の扉だろう。先刻のやらかし故か少しギクシャクした歩き方で中へ入ろうとしたその時、強い視線を感じて動きが止まる。)「………」(“何もする気は無い”と述べようとしたが、それを言えば余計に警戒心を高めて仕舞うかもしれない。開きかけた口を閉じて、案内されるままに進んで行こうか。)>清瀬さん   (7/24 16:39:20)


清瀬/糸依 > 「……いえ、元より私が此の様で在るのが悪しこと。やがて……あぁ、失礼。直ぐにでも復帰します故、報告する必要はありませぬ」(申し訳なさげにする相手に謝礼の気持ちを。ふる、と首を横に振り喉の奥から薄く笑う様子は、どうやら体調不良ではないことが伺えるだろう。貴方の言葉にふと自分の怠惰ぶりを振り返る。最初こそ寝付けぬ夜を明かしたものの、今では言い訳を盾に本と堕落する始末。言うならば人と会うことが億劫なだけで命令でもされれば直ぐにでも執行できるのだが、当然ながら兵舎には大勢の人が居る。目は口程に物を言う、視線は語らずとも内面を教えてくれる厄介なものだ、言わぬが華の尊華でな尚更。らしかし目前のコイツは語らない。のらりくらり、砂塵を掴むような会話。社交辞令と敬遠の中で薄いでたらめばかりを交わしているような気分だ。)   (7/24 20:12:31)
清瀬/糸依 > 「………。承知しまして」(手招きした右手を宙に残したまま、何かに葛藤する貴方の様子を見届ける。その鳳仙花のように赤々とした頬と滴る汗は、この猛暑のせいだけではないのだろう。しかしそれこそ、真っ直ぐに指摘するのは野暮というもの。一度瞳を伏せてから再度横目で貴方を呼び寄せ、「居間は此方です」と残し踵を返さず先導する。あ、ヤバい。多分今顔笑っちゃってたかも。ませた子供の背伸びや大人のお茶目な一面、慕っていた人物の些細な欠点。こんな、どこかいけないものを見てしまった、背徳感を募らせるそれに近い。クツ、と静かに声を溢しつつ、廊下の突き当たりを右へ。鹿の頭、額縁の中の押し花、面子の残骸に空の花瓶。誕生秘話だなんて特別な物語もない透けた背景、透明になってしまうのは虚しいぐらいの、そんな価値観。己の人生という物語においての他人はコイツらと同義で、他人の人生に於いては私がこの役回り。…貴方が着いてくるのを確認すれば、竹柄の襖をそっと開ける。空中の微細な埃を写し出す窓からの日光。影の中鎮座する、漆塗りの卓袱台や市松柄の座布団。ふわりと薫るのは、乾燥した草の匂い。)   (7/24 20:12:43)
清瀬/糸依 > 「少しかけてお待ちを、今何か持ってきますので」(照明器具に提げられた紐を引けば部屋は僅かに黄色を帯びつつ照らされる。入り口の手前側の座布団を指差し、貴方が腰掛けるのも見届けずに、微かに焦燥の色を見せながら部屋の奥にある同じような襖を開ける。どこか捨て台詞のように「どうそごゆるりと」と言い残して、スッと貴方の視界から退場しようか。)   (7/24 20:12:48)


灰凪/迦為 > 「そうですかィ、ンじゃ適当にボヤかしときやすよィ」(上に頼まれた御遣いの所為でこんな猛暑の中歩かされているんだ、そんな中で涼ませてくれる上に食べ物迄振舞ってくれる相手が報告は不要だと言っているのだから何方を優先するかなんて判り切った事さ。殊更、上下関係に縛られ過ぎるのを厭う彼ならね。塞がれた視界は、貴女を映さない。ただ何処までも、地平線より遠く深い、暗がりの中。貴女がどんな顔をしているか、空はどんな色をしているか、望まずして此の暗い世界に生まれ堕ちた人間は、其れを見たいと夢見るのだろうが、彼は其の一切を望まない。目は口程に物を言う。ならば塞いで居よう、自分も他人も、口で語ろうとしない事を知っても得の一つだってありゃしないんだから。)   (7/24 21:20:12)
灰凪/迦為 > 「ありがてェ」(気付いていないのか、気遣いなのか。目立った大きな反応をしない貴女。前者であろうと後者であろうと二重の意味で有りが「…!?ッフー………」(いいや気の所為だ。何やら微笑が聞こえた気がするがきっと気の所為だ。そうじゃなきゃやってられない。自分に言い聞かせながら、違和感の無い様に歩みを進める。襖や障子を開ける際のこれまた小気味良い静音が静かに鼓膜を揺らす。確りと鼻腔を満たす枯草の匂い。空腹は最高のスパイスと言うが其れは味以外にも当て嵌まるらしく、ひたすら暑い中を歩いて来た彼にとって此の空間の心地の良さは尋常ではなかった。今すぐ寝っ転がりたい気分を抑え、音を頼りに貴女が薦めたであろう近くの座布団に座る。其の動作を終える手前に更に耳に入る『どうぞごゆるりと』の声。)   (7/24 21:20:14)
灰凪/迦為 > 「マジでありがてェ、また機会があれば此の恩は返しやすぜィ」(正直その機会が訪れる確率は相当低いが、何時か恩を返したいと言う思いに偽りは無かった。足音から察するにもうほかの部屋へ向かっているであろう貴女の背中にその言葉を投げかけ。ふぅと一息吐いて天井を仰ぐ。特にする事も無い、と言うか何をせずとも此の空間でリラックスするだけで充分過ぎる程時間は過ぎて行く。相変わらず風鈴の音が耳に心地良い。此れが後何度鳴った頃に戻って来るのだろうか、まぁ下っ端は重大任務で忙しいなんて事も無い、ゆっくりと待とうじゃないか。報告のぼやかし文句でも考えながらね。)   (7/24 21:20:29)