この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

アレックス&クロ

子供たちの遊び場

骨牌/アレックス > (誰そかれ、すれ違う人の顔も分からない夕暮れ時。暮れなずむ空は鮮やかな紅に染まり、熟した林檎のような太陽が西の地平線へと沈みかけている。外で遊んでいた子等は家路を辿り、夕飯のいい匂いが民家の窓から風に乗って流れるそんな刻限に白いドレスを着た女は大切そうにバスケットを揺らして、幼馴染の少年の待つ家を訪れるべく道を歩いていた。これから舞踏会にでも出掛けるのではないかという豪華な衣装に村人たちは目を丸くして遠巻きに彼女を見るが、幸か不幸か誰そ彼。異形の特徴とも言うべき顔が見えなければ、人とは変わりない。彼女は自分の不確かな生前の思い出を辿り、これはという家の前に立つと扉を叩こうとして……先客に気が付いた。夕暮れの空とは対極的な、綺麗な青空の髪を持つ少女が立っている。時代のついた仮面はまるで夕暮れ時に行われたという古代の劇に使用された舞台道具に似て、思わずノックしようとしていた手―手と言えるればだが―を止めて、瞼のない黒真珠の如き瞳で彼女の存在感に魅入った)   (7/19 22:37:23)


クロ:クロ > こ ~ んば ~ んわっ!!( 扉をとんとんっと軽く叩けば木製扉特有の乾いた音が周囲に響く。一歩下がって先の挨拶をすればにこにこと満面の笑みでその家から扉から出てくる" 人間 "を待っていた。時は夕刻、あんなにも白や黄色でキラキラと光って人々を照らしていた太陽が、真っ赤に空を染めて遠い遠い向こう側へと帰っていく夕暮れ時。今日は運良く晴天だった為に風は冷えてきたのだがほんのりと生暖かいような空気が漂っている。 ひゅるり、と風が大きく吹けばその青い短髪がバサバサと揺らされる。「 んむむ、 」と呻く様に声を漏らして必死に両手で顔の前に来た髪の毛を直したりしていたのだが、やれどうした事か。一向にこの家から人が出てこないでは無いか。それもその筈、この家の主はまだ仕事から帰宅しておらず留守なのだから。 むむ、と両の頬を膨らませたかと思えばしょんぼりと頭を垂れて渋々家を諦めて後ろを振り向く。その時だった。   (7/19 22:58:10)
クロ:クロ > _わ、わ、お姫様!お姫様みたい!_初見、目に入った白いドレスの美しき女性を幼子の様にキラキラと目を輝かせてじぃ、と見詰める。そして直ぐに駆け寄って相手の顔は全然見なずにぴょんぴょんと周りを飛び跳ねながら「 すごいすごい、お姫様だ!綺麗なお洋服! 」なんてキャッキャと声を上げる。しかしハッとして貴女の目の前で立ち止まればじぃっと顔を見詰めてみる事に。顔、顔_?いやそこに顔なんてものは無い。「 わっ 」と驚きの声を上げて1歩後ずさりをすれば「 ね、お姫様、お姫様お顔、んん?お顔、どしたの。んぇ、おひめさま、お顔裂けてる、 」なんて先程の元気な声色が怯えたようにぷるぷると震えた声色になり、貴女の顔に向かって右の人差し指をさす。ほんのり身体も震えているようだ、指も肩もぷるぷる、と小刻みに震えている。)   (7/19 22:58:12)


骨牌/アレックス > お、お姫様なんてそんな。わたくし……その。(不機嫌そうに頬を膨らませた可愛い彼女は此方を見るなり仮面に覆われていない方の片目をキラキラさせてすぐに駆け寄ってきた。アレックスも十代の少女であるから容姿、特にあの子のための花嫁衣裳を褒められれば嬉しくなって、照れ臭さからヒラヒラとした指を絡め、視線を足元へさげて身体を軽く揺らして頬に昇った熱を冷まそうとするけれど、無邪気にヴェールの下を覗き込んだ貴女が無為に口にした言葉に一瞬にして背筋が凍った。顔、両手で自らの顔へと触れれば、確かにそこにあるのは左右にさけたウゾウゾと動く巻貝のような異形で、アレックスの記憶の中にある鏡に映った自分の姿とはまるで違っている。そのことをまざまざと思い出させる貴女の言葉。細い指先の先端に視線をあわせた瞳から、ポロポロと涙の粒が零れ落ち、土のうえに落ちて暗い水痕を残した。)これは……これはね、違うの。違うの!これは、わたしじゃないの。朝にね、起きたらこうなってたの。   (7/19 23:21:07)
骨牌/アレックス > (思わずそう呟いて両手で顔を覆ったけれど、一体何が違うというのだろう。瞳に映る指だってまるで千切れた腸のようだ。馬車に惹かれて死んだ蛙が無様にぶちまけたそれをアレックスは見たことがある。ドレスの袖で零れ落ちる涙を拭ってみるが涙は次から次へと溢れ出して来る。どうしよう、どうしよう)こんな顔じゃ、あの子に嫌われちゃうよ。(涙ながらに呟いた彼女の耳に、遠くから子供の声が聞こえてきた。『なーかせた、なーかせた!先生にいってやろ!』なにも知らない村の子供たちは、貴女がアレックスを泣かせたのだと笑いながら指を指してそう歌を謡いながら腕をあげる。指をさされるのは、どうやら貴女の番らしい。)   (7/19 23:21:13)


クロ:クロ > ( 勿論最初はお姫様だと、そう思った。否今も思ってるには思ってるのだが。照れくさそうにしている貴女の姿は本当に可愛らしく乙女だと感じるものだった、しかし。しかしである、貴女のその顔も手もこの幼い青髪の少女に取っては人生最大レベルの驚きの物だった。_怖い、気持ち悪い。でもお洋服は可愛い。お姫様。でも貝。_ぐるぐるとその小さな頭で必死に目の前にいる貴女について思考回路を巡らせるのだがどうにもこうにも1度驚いてしまえば中々戻らない。口をぱくぱく、と数回開くのだが声は出なずにただ息が漏れるだけ。そんな時、もしも相手の子が何かしらの反応を見せたらどうなるだろうか。それも、よりによって泣くという反応である。)   (7/19 23:42:03)
クロ:クロ > で、でも、う、ぅ…( ぽろぽろと、真珠のような涙を零して必死に言い訳の様なモノをしている貴女を見れば、あわあわと慌てて手を動かしたりしてどうしたら良いのかを必死に必死に考える。どうにも酷い地雷を踏み抜いてしまった事を理解すれば、謝ろうとして口を開く_のだが、貴女のその泣いている姿と[ こんな顔じゃあの子に嫌われちゃう ]という言葉が耳に入る。クロの透明な色をした目が開く。眉を下げて小さな声で「 ごめんなさい、… 」と謝るのだが遠くの方から子供の声が聞こえて来てしまい、クロはこの謝罪は貴女には届いていない…と思ってしまう。責め立てられる事に関して、ふるりふるりと悲しみと怒りで肩を震わせる。怒り、怒り。仕方がない何せこのクロはわざと貴女の顔について言ったのでは無いのだから。どうしてわざとじゃないのに責め立てられるのか。謝ろうとしたのに責め立てる声でかき消されてしまったではないか。_どうして、どうして。どうして笑うのクロの事笑うのわざとじゃないのに、……_徐々にクロの大きな瞳からぽろぽろを涙が零れるのだが、子供達は笑い続ける。中には[ 泣かせたのに泣くなよ ]なんて酷い事を言ってくる子も。   (7/19 23:42:30)
クロ:クロ > 嗚呼、子供というのは残酷だ。でもそこで泣いて終わる_事がないのがこの青髪の少女である。ギロ、と子供たちの方を睨むように見詰めれば大きな声で「 わざとじゃないもん!!クロわざとじゃないもん、驚いちゃっただけだもん!バカにしないで!!謝ろうとしたのに、邪魔しないで!!ばか! 」と叫んだ。何とも子供らしい言い返しだろうか。_しかしこのように開き直るのが許されるのだろうか。貴女は、この光景を見てどう動くのか。)   (7/19 23:42:39)


骨牌/アレックス > うっ、うぅ、違うの、違うの、見ないでよ……。(まだ幼さの残る貴女の小さな薄い色した唇がパクパクと酸素を求めて喘ぐ金魚のように動くからアレックスの涙は止まらない。貴女の口にした言葉が彼女の劣等感を刺激してしまったのは勿論だが生前の自分の姿が殆ど思い出せないことへの悲しみが彼女の慟哭に拍車を掛けていた。泣いたアレックスを見て貴女は慌てたけれど両手で覆われた視界にそれは映らなかった。では言葉の方はどうだろう。アレックスは混乱していたし、遠くから村の子供たちが大声で騒ぎ立ている、これでは貴女の呟きに似た声は聞こえていなくても仕方がない。けれども『泣いた!泣いた!ひきょうだぞ!ひきょう!』貴女を指さして子供たちがそう騒げばその声は嫌でも耳に入って、指の隙間から貴女の様子を盗み見た。そうしている指の間から覗いてみれば、勝気な貴女は頬に涙を光らせながらも少年たちに言い返す。『言い訳するな!』、『馬鹿っていうやつが馬鹿なんだ!』のヤジが飛ぶ。喧々諤々。   (7/20 00:07:17)
骨牌/アレックス > 最初に泣いたのはアレックスの筈だが、まるで自分は蚊帳の外。混乱していた心が徐々に冷静さを取り戻して、貴女の言葉を咀嚼することができた。『わざとじゃない、驚いちゃっただけ、謝ろうとしたのに……。』クロというのは彼女の名前だろうか、いつの間にかアレックスの涙は止まっていた。アレックスは両手をゆっくりとさげる。彼女は子供だ驚いてしまったのなら仕方がない、わたしだって初めて自分の顔を見た時は悲鳴をあげてしまったじゃない。それに、彼女はちゃんと謝罪をしようとしてくれた。この顔に驚いて逃げだそうとした大人たちと違い、ちゃんとアレックスと向き合ってくれたのだ。それなのに、自分はどうか、子供たちはどうか。確かにアレックスを泣かせたのは貴女だが、集団で1人を吊るし上げるのは卑怯ではないか。貴女よりもお姉さんのわたしがちゃんとしなければ、アレックスは顔をまっすぐにあげて子供たちを見詰める。白いヴェールが風にはためき、夕暮れの紅が異形を照らし出す。――静寂、そして絶叫。『化け物だ!』『化け物だ!』叫び声をあげて逃げ出す子供、ある者はその場で驚いて腰を抜かし、小水を漏らしている者もいる。)   (7/20 00:07:42)
骨牌/アレックス > (ざまぁ、ないわね。そうこ心の中で呟いて、アレックスは再び貴女へと向き直った)いいの……、平気だから。怖いでしょ、わたしもね、初めてみた時は悲鳴をあげたわ。驚かせちゃってごめんなさい。わたくしは、アレックスっていうの。(平気なら涙なんて流さない、そんなこと分かっていながら見栄を張り、片手を差し出して……、すぐに慌ててヒラヒラとした指のない手を背中に隠した)   (7/20 00:08:05)


クロ:クロ > ( 子供らしい喧嘩と言うのは何だろうか。言い争いだろうか。それともポカスカと叩き合う物だろうか。ならばこれは幼い子供達の喧嘩判定を貰えるだろう。ぐすぐす、と泣きじゃくる貴女、遠くから野次を飛ばしてくる少年達。半泣きで言い返す少女_村とはいえ大人は居るのだが、やはり時間帯的にもこの子供達の言動的にも誰も気にしていないようだ。夕焼けがどんどん赤と橙色で染められていく中、貴女の行動を見て少女は再度酷く驚いた。 )   (7/20 10:02:43)
クロ:クロ > ( 先程よりも鮮明に見える貴女の顔は、やはり人のものではなくて。ぎゃあぎゃあと喚き散らかし絶望に追い詰められている子供達の様子を見て、大人達も少し気になりだしたのか一人、また一人と集まってくるのを横目に、此方を振り向いた貴女をじぃっと見詰めては笑顔で「 んっとね、ん ~ …クロね、初めて見るからちょっと驚いちゃったの。ん!アレックス、アレックス。うん、覚えた! 」なんて元気よく言う姿は遠くにいる子供達から見れば狂気的なモノに見えたのだろう。平然と会話をするクロの様子を見ては再度大きくぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる。やはり徐々に騒ぎを聞き人々が集まってくるのを感じるが、彼女は全く気にしない。だって目の前にいるお姫様の様な貴女がクロの為に行動をしてくれ、挨拶までしてくれたのだから。嬉しさの方が勝り、えへえへ、と笑えてきてしまうのだ。)   (7/20 10:02:55)
クロ:クロ > ( だけどよくよく考えてみればこの幼い頭でも分かる。平気ならば泣くだろうか。今何故手を隠したのだろうか。むむ、と顰めっ面をして必死に考え抜いて出した答えは_右手を差し出して少し申し訳無さそうな顔をして「 ごめんね、あのね、もし良ければ仲直りの握手したいなぁ…。ん、っと…あのねあのね、クロはクロって言うの、えへえへ 」と挨拶を返す。これが、クロの出した答えだった。夕焼けに照らされた空の様に頬を赤くしてへらへらと笑う。相手が握手をしてくれるかどうかは、正直賭けでありクロ自身して貰えるのかが不安な所はある。それでも、それでも貴女に向かって差し出した手を引っ込めない。_だって仲直り出来る気がしたんだもん。友達になれる気がしたんだもん。多分、多分。……多分クロと" 同じ "だもん__ )   (7/20 10:03:04)


骨牌/アレックス > (夕暮れ特有の湿気った空気が少女のヴェールを揺らした。この独特な臭気を伴った風が夜を連れて来るのだ。アレックスは黒真珠のような瞼のない眼で、貴女の肩を通り越して足元に伸びた影法師を見詰めた。異形の顔、手、足――唯一、花嫁衣裳のような白いドレスだけが自分を人たらしめている。どうしてこうなってしまったのだろう、神様は人を罰するために私たちを産み出したというけれど罰せられているのは私の方だ。泣きたくなるような強い思いが胸を満たすけれど、折角引っ込んだ涙を見せることは出来ず、足元を眺めるのをやめて夕空を仰いだ。その瞳に影が映る。10数えて空を見上げれば、雲のない空に自分の影が浮かんで見える。そんな遊びを思いついた神様は意地悪ね。過去の記憶に縋りつくようにバスケットをぎゅっと抱きしめたその耳に届いたのは、貴女の嬉しそうな笑い声だった。視線をさげて貴女の顔を見詰めれば、高い笑い声とは裏腹に貴女の半分を仮面に覆われた顔はなんとも苦々しく、言葉と共に差し出された小さな掌をアレックスはまじまじと注視した。)   (7/27 20:13:18)
骨牌/アレックス > 仲直り?……クロ、クロちゃんでいいかな? わたくしはアレックス。ごめんなさいね、もうそれしか覚えてないの、本当にごめんなさい。あぁ、でも嬉しいわ。誰かと悪手するなんて初めてのことだもの。(夕暮れが染めた少女の頬は林檎のように可愛らしく、うぞうぞと二つに裂けた襞を揺らしながらアレックスは慎重に背中に隠した手を差し出した。ひらいたり閉じたりして手の具合を確かめてから貴女の華奢な手にそっと重ねる。このひらひらした指ともいえない指を晒すのは怖かったけれど、それ以上に人肌が恋しかった。誰かと話して、誰かと触れ合いたかった。掌から伝わる貴女の熱に涙腺が緩みそうになり、慌てて繋いだ片手を背中に隠した。本当は貴女のようにパパとママがいて、初恋の相手だっていたのよ、でも今ではちっとも思い出せないの。気が付いたら自分よりも小さい子供にそんな愚痴を溢してしまいそうで、そのまま一歩後退る。)   (7/27 20:13:32)
骨牌/アレックス > 本当はね、本当はもっとお話したかったのだけれど、わたくしがいると兵士がやってきてクロちゃんまで巻き込まれてしまうわ。だから、(ごめんなさいとは言わなかった。ひらりとスカートを翻し、白き貴婦人と呼ばれる不死者は優雅に夜を歩き出す。泣き顔をみせるなんて貴婦人らしくないもの、そう自分に言い聞かせて顔をあげて、なるべく人目のある大通りをゆく。社交界に出る前にママは言っていた、泣くくらいなら、いっそ笑いなさい。他者にお前を見下す優越感を与えるな、と。不意に思い出した記憶に彼女は声をあげて笑い、笑って、笑って、笑い続けた。笑顔の素敵な貴女のように、笑えればいいと願いながら。)【子供たちの遊び場〆】   (7/27 20:13:42)