この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ベギー&パスティナーカ

ウサギと鏡とバケモノと

とっとこ/べギー > 壁掛時計が無機質な音を鳴らし、時を刻み続ける。薄暗い室内には小さな窓から注ぐ、仄かに白い満月に照らされる灯りだけ。───深夜の午前三時。小さくてモフモフ兎耳が可愛らしい貴方は、横長の鏡の前に佇んでいます。そうして貴方は、愛らしい姿からは想像もつかないような嗄れた声で、貴方は鏡に向かってこう唱えるの。『 ごきげんようべギー 』と。───その次の瞬間だ。「 こんにちはこんばんわ久しぶり~~!!会いたかったよ、ボクの愛しの……えーとなんだっけ。パ、パ……ナカ…………パナカちゃ~~~ん!元気だった?調子はどう?虐められてない?ンーーッマ!! 」 貴方が見詰める鏡には、〝アナタにグリグリとキツいハグをしている四本腕の化物〟が映り込んでいることでしょう。勿論本物の貴方は抱っこなんてされておらず、室内には何者の気配も感じられない。鏡の中の出来事は、全てテレビのようなフィクションだと思っていい。ほら見ろ、怪物がまるで花弁のように顔面……否、巨大な口を開き、『 ンーーッマ!!』とアナタのホッペに接吻した勢いでアナタの首がもげかけているけれど、貴方自身は痛みも怪我も何も無い。   (7/17 21:56:38)


外/パスティナーカ > (さあ、これはどこの室内だったか。廃墟だったかもしれない。人気の無い、思い出詰まった嘗ての■■。灰色の壁にところどころ穴のあいた天井からは惜しみなく月明かりが注ぎ込んでいた。モフモフのうさぎはペッタンペッタン餅をつくことは無く、ええ。まあなんといいましょうか。彼という男はあなたを見るや否や、──────「【⠀チッ。】」 鏡に向かって強かに舌打ちついたのなら、カチャコンッ。銃を構え、狙うは貴方の頭部。開始そうそう宜しくどうぞ、彼は〝もふもふうさちゃんショット 〟並びに紛うことなき経験技術でいつもとは違う銃をぶっぱなそうとした。もしも成功したのなら硝子は粉々!吐き気催すようなその映画も見るも無惨に散ること間違いなしだ。   (7/17 22:24:47)
外/パスティナーカ > ──────しかし、そんなことで貴方がくたばらないのは知っている。だから口にしてやるのだ。「……………おうおう久しぶりじゃねェか、あ゛ァ?なあ、おい。……どの面下げて現れやがった。今すぐテメェの眉間ぶち抜いて額縁に飾ってやるから出てきなクソッタレ。」 どうやらこのうさぎ、相当怒っているようだが。貴方は自分がしたことを、分かっているのか? )   (7/17 22:24:57)


とっとこ/べギー > 室内に鳴り響く、パンっ!!という乾いた発砲音。僅かに室内を照らす火花。貴方の得意技〝もふもふうさちゃんショット〟は確かに鏡……基、怪物の眉間をぶち抜いた。ぶち抜いた、けど─── 「 相変わらずバイオレンスだねぇ、いいね!スパイ系の映画に出られるんじゃない? 」 怪物は変わらずピンピンしているではありませんか!まだ無事な鏡の端っこに移動して、いいね!と四本の手で呑気にサムズアップをしている始末だ。貴方の放った銃弾は、ただただ鏡を散らしただけでありました。───貴方はなんでそんなに怒っているの?何か怒らせるようなことでもしたかしら?さっきの接吻で首がもげちゃったのが気に障った?貴方の怒りの理由が分からなくて、怪物はちょっとだけ肩を竦めます。「 現れたって、呼び出したのはパナカちゃんじゃないの。………ごめんね!願い事は一人一つだけって決まりなんだよね。パナカちゃんだけ二つお願いしていいよ、ってワケにはいかないんだ 」   (7/17 22:45:59)
とっとこ/べギー > 貴方の『出てきなクソッタレ』という暴言を、願い事だと勘違いしちゃったみたい。既に〝願いを叶えた〟貴方はもう、怪物に願いを聞き入れてもらえない。───怪物は何をしたのか分からない。だって怪物だから。彼の行動は全て〝善意〟からのものだから。〝善意〟で行ったことに腹を立てる意味が分からないから。だから怪物は 「 ……パナカちゃん怒ってる? 」 と、オズオズと尋ねてみます。   (7/17 22:46:10)


外/パスティナーカ > ………はァ?………チッ、バケモンが。(彼は2度目の舌打ちをついた。当たったのにまだ喋る、この減らず口が嫌いらしい。タムタムタムタムタムタム……………地団駄ふむようにあんよを高速でタムタムする姿は苛立つ兎の本能である。これ以上無駄撃ちしたくないと銃を背中に収めたのなら、彼は小さくため息を着いた。あんなに背丈が高くって、あんなにハンサムで、あんなにあんなにあんなに色男だったのに!今あるのは長い耳にふくふくの毛。25センチ、残されたのは低い声だけ。彼はおずおずと見た目ににつかわない素振りを見せる貴方に歩み寄った。   (7/17 23:02:47)
外/パスティナーカ > 「怒ってる?」「怒ってるかだって?」「テメェの目には喜んで見えるのか馬鹿野郎ッ……!!!!!………ッ~~~~…嗚゛呼ッ…………いやまあいい。…テメェとこういう会話するのはこれで何度目か分かりゃしねェ。……………だが逢いに来たのはテメェからだった、俺からはもう用はねェさっさと失せな。」 しっし、と前足で彼はあなたをあしらおうとするだろう。どうやら相当嫌悪しているらしい。望んだのは彼だったはず、どうしてこんなに怒っているの?化け物のあなたには分かるまい。この姿じゃ■■■なんだから。)   (7/17 23:02:56)


とっとこ/べギー > ぶち抜かれたくせに相変わらずベラベラと喋り続ける喧しい口。これがホントの減らず口ってか。タムタムと苛立つようにあんよを動かす動作に、怪物はやっぱりキョトンとするだけだった。何度も言うように、なんで貴方が怒っているのか本気で分からないから。多少……否、かなり歪曲しているけれど、ただ貴方の願いを叶えただけなのに。───『 テメェの目には喜んで見えるのか馬鹿野郎ッ……!!!!! 』その小さな身体から轟く大きな怒鳴り声に、怪物はビクリと肩を揺らす。思わず縮こまってしまうその姿は、まるでママに叱られた子供のよう。─── 怪物の感情の起伏に呼応するように、世界は一変する。『 - - - - - - - -。』ブツブツと何かを呟きながら、ただただ壁に頭を打っている女。『 ん"お"ぉぉ 』延々と自らの内蔵を穴という穴からひり出しているナニカ。無数の巨大な目が貴方を見詰めている。───振り返ってはいけない。何もかもフィクションである、ということを忘れるな。   (7/17 23:33:44)
とっとこ/べギー > - [ ] 「 ね"え"ぇ~~~仲直り縺励hうよ~、ボクたち隕ェ蜿でしょ?喧嘩別れ縺ェ繧薙※後味悪いじゃんマジで。繝懊ケが何かしたかい? 」 怪物は縺なりショックを蜿励¢縺みたい。まるで中々別れてくれない繝。繝ウ繝倥Λ蠖シ螂ウのように、雋エ譁ケ縺ォ蠢?ュサ縺ォ邵九k縺ョ縺ァ縺吶?   (7/17 23:33:54)


外/パスティナーカ > 「…………。」(『 ねえええええええぇぇぇ……………………』まるで世界が、声がスローモーションのように。ねっとり、じっとり。張り付くよう。ママに怒られた子供のようだったのに、今後ろに居るソレは子供の夢をぶち壊すブギーマンの如く。彼は口を閉じた。帽子の鍔からその表情は伺えやしない。全身の毛がぞわりとたつ感覚。生きた心地のしない、足元から冷えるような雰囲気。コールタールをぎっちりつめたジャム缶を開けたような。まさに希望のないパンドラを今、ここで、   (7/17 23:43:59)
外/パスティナーカ > ──────「………………分かった、分かった。怒鳴って悪かったよべギー。だから〝泣くなよ 〟。」 彼は。小さく呟いた。「…………………そうだな、俺がお願いしたんだったな。……………〝娘が笑ってもう一度ハグ出来ますように 〟って。」「…………………おかげで俺は25センチ代のモフモフのうさぎさん、こりゃどうもってな。」【でもその妻と娘は写真の中に居る】冷えたウサギが後ろの化け物を諭すように口にする。壊れた蓄音機のように、どろりと溶けたかのように。──────「今日はもう帰るよ。アンタも帰ったらどうだ、俺が帰ったらアンタ一人ぼっちだぜ。」何もかも堪えてこういうしか、無いじゃないか。哀れな子供に大してなら。 )   (7/17 23:44:10)


とっとこ/べギー > 『 怒鳴って悪かったよべギー 』『 泣くなよ。』貴方が今日怪物と出会って初めて口にした、そりゃもう飛びっきりに優しい言葉。壁の女も、内蔵を撒き散らすナニカも、巨大な眼球も、クローゼットのモンスターも……そんなの最初から居なかったかのように、サラサラと砂のように溶けていくのです。怪物は泣かない。貴方が泣くなって言ったから。───けれどもやっぱり貴方はあまり怪物に優しくない。皮肉がタップリふんだんに盛り込まれた台詞に、やっぱりキョトンとして 「 可愛いウサちゃんなら娘ちゃんも笑ってくれるし、ハグだってパナカちゃんがしてあげればいいじゃない? 」 って、純粋な感想を述べるのみ。「 ………分かった、ボクも帰る。でも一つだけ約束してよ。〝また今度、絶対の絶対に……キミのモフモフの尻尾に誓ってボクを呼ぶ〟って。それでさ、喧嘩しないで〝紅茶〟でも飲むんだ。べギーは友達が大好きなはずだから、きっとボクはキミと話したがるよ。」   (7/18 00:05:12)
とっとこ/べギー > ───貴方の返答を待たずに、室内は静寂に包まれる。鏡には相変わらずモフモフの貴方がただ一匹、映っているだけ。鏡の怪物はもう何処かへ行ってしまったみたいだ。   (7/18 00:05:24)


外/パスティナーカ > 「…………………パスティナーカだよ。」(静寂に包まれた後だった。彼が付け足し呟いたのは。貴方と仲良くしないのは〝イモータル 〟だからじゃない。彼は〝 イモータル〟という理由だけで人を殺そうなんて思わない。依頼がありゃぶち殺す、依頼がありゃ誰だって守る。現金な男、パスティナーカ。壁の女も、内蔵を撒き散らすナニカも、巨大な眼球も、クローゼットのモンスターも。ベッドの下を探したってどこにもいない。彼は懐から小さな人参を1本取り出して咥えた。「…………畜生最悪だ。」 銃をぶっぱなしたのも、死んでしまうと分かっていたら撃たなかった。生半可な男。今日の夜の寝付きは悪そうだ。「…モフモフの尻尾に誓って約束できることはひとつまでだ、テメェが願いをひとつしか聞き入れねえようにな。」 踵を返し、吐き捨てるように。   (7/18 00:16:49)
外/パスティナーカ > 何も無いかがみに向かって一つだけ。彼が居なくなればいよいよそこは虚空、今日のお話は、──────【ウサギと鏡とバケモノと】そんな表紙を飾って終わるとしましょう。全く気味の悪い。)   (7/18 00:17:24)