この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

コカ&パスティナーカ

シルバーバレット

木場田/コカ > (蒼い夜空に食い込み、冷たい風に千切れた煙が、空にずんずん吸い込まれていきます。煙の元は赤煉瓦の煙突。さらにその煙突の元は、今にも崩れてしまいそうな、荒屋のようなお店でしたとさ。ーーーーー)「ふぅーーー………」(その店主の男はチェーンスモーキングを嗜むチェーンスモーカー。天井には、溜まって澱んだみたいな煙草の煙が霧みたいに漂って、水面のように揺れている。カウンターのテーブルに足を乗せ、所々煙みたいなウールが飛び出してしまっているボロボロのソファーに深く腰かけ、ただ、何をするでもなく、呼吸をするみたく喫煙をするばかりの時間だった。吸って、ため息をつくように煙を吐く。吸って、吐く。たまに不機嫌そうに目を細める。また吸って、吐く。プシューーーと煙を吐いて、決められた機構で動く壁際の大量の蒸気機械たちは、この男の生写しのようだった。ここは機械屋兼煙草屋。店名を『スチーマー』。店頭ににかけられた『Open』の2文字は、廃墟みたな、ガラクタの寄せ集めみたいな店の外見のせいで無意味となってしまっている。だって、こんなところだれも来たがりませんもの。そう、そこは、そんなお店だったでしょうか。)   (7/17 15:16:48)
木場田/コカ > 「まるでお化け屋敷だなこりゃ…………」(特に、夜ともすれば、ランプだけの少ない光源のせいで店内は薄暗く、その主であるこの男、コカですらこう言う始末だから。きっと、こんな店を訪れるオキャクサマは、『普通の人』じゃないでしょう。この物好きめ)>   (7/17 15:18:53)


外/パスティナーカ > (草木の眠る丑三つ時…よりかは少し早い時間帯。いい子はとっくに夢の中、ユニコーンの背に乗って魔法の杖を探すもよし。大きなドラゴンと戦い勝利を収めるもよし、夢というのはやりたい放題。そうしてこの世界も、信仰がありゃなんだってやり放題だ。好きな女子を惚れされる、何か物を浮かせる、旅に出る。なあ、罰当たりなことを言うようで大変申し訳ないが──────要は。信仰なんてのは、自分の願いを叶えるため。その願いをお綺麗に語る為のエッセンスでしかないと、…そう思わないか?1人の男がバーでニヒルに笑い、騙った言葉だった。皮肉を乗せたアラカルトのように、月夜に白い毛並みが照らされる。山高帽に愛銃に。咥えた『それ 』とエトセトラ。カランコロン、子供のおもちゃ箱のような掃き溜めに。構えた貴方のお店へと。足を踏み込む彼ががなり混じりの低い声で口にした。   (7/17 15:28:19)
外/パスティナーカ > ──────「よォ、邪魔するぜ。……………何分、『やってる 』って、看板が物語ってたもんだからよ。趣味のいい店だ。」 帽子の鍔を摘み、彼は上を見上げた。もう何も映すことのない真っ黒な瞳が、静かにあなたを捉えている。 「…………………なあ、時に旦那。…………ここってのは、武器の修理はしてくれるのかい。俺の相棒がどうもここんとこ調子がわりィもんでよ。…………買い換えろ、たァよく言われてるが。俺はこいつじゃなきゃ仕事はしたくないんでね。…なァに、お代は言い値で払うよ。頼めるか。」 背中に『 背負った』デザインはアンティークな古い銃。こんなの使ってる者は数少ない。しかし彼は、これを直してくれと、確かにお願いしていた。 てち、てち、てち、てち、むちっ。 ぴょこんっ。首元のふくふくした毛がお顔を乗せている。煙を纏う主人の目の前の机にジャンプしたのなら、のちのちと銃を降ろして机に乗せた。鼻をひくひく、耳をぴょこり。小首を傾げるそれは、………………………小ちゃい人参を咥えたウサギである。)   (7/17 15:28:36)


木場田/コカ > (摩訶不思議が罷り通るのは童話の中だけのお話だと思っていたが…………)「…………………あ?」(それはどうも、再定義をしなければならないらしい。男は狼狽する。というよりも、カランカランと入店してきたその物好きなオキャクサマが、普通でない奴にしろ、それがあまりにも『アブノーマル』な野郎過ぎた。ぽかーんと開いた口が塞がらない。挟めてあった唇から煙草がポトッと落ち、彼?の一連の動作を見送る以外の選択ができなかった。蜃気楼の煙は、幻を見せているようだ。だってそうでしょう、小さな女子供だったならばまだしも、それよりも小さい、そのオキャクサマがなんて愛くるしい『兎』だったなんて!)「あーーーー………」(アンティークな拳銃がごつんと置かれ、その重量感だけでそれが本物であると嫌にわかってしまう。)「おい待て、いろいろ言いたいことある。」(掌を突き出して、思わず生死を促した。おい、おいおい、おいおいおいおい、なに普通に兎が喋っているんだ。なに普通に兎が銃を持っているんだ。なに普通に依頼しているんだ。なぜだ、なぜこの兎にダンディーな自分くらいの男性のシルエットが見えてしまうんだ!)   (7/17 15:50:38)
木場田/コカ > 「あー、あんちゃん。ちょっと一服だけさせてくれねエか。」(そう断っておいて、床に落ちた煙草を摘み上げると、口に咥えて、一息つく。コカインを肺に染み込ませて冷静になろうじゃないか。)「(やべえ煙は吸った覚えないんだがなァ…………)」(もう一度、客を見る。)「(やっぱ兎だよなァァァァ?)」(それはもう立派なもふもふうさちゃん。鼻はひくついてるし、愛くるしいクリクリの黒真珠のような綺麗な目をしていて、声は明らかに人間の、低く心地よく声をしているのだが、でも、やっぱり、どうしてもコイツは兎だった。)「あー、まぁ、余計な詮索はしねエ主義でね………。なにも言わねエどいてやるさ。あー、こりゃァ…………いい趣味してんな。こりゃちょいと高くつくぜ……?」(そういって、出された件の銃を手に持てば、タバコを咥えたまま丸眼鏡を外した。ずっしりとくる銃を様々な方向から観察し、目を細めてから。丸眼鏡を掛け直しながら、そう言い渡そうか。)>   (7/17 15:51:02)


外/パスティナーカ > あァ………?………へっへっへっ、めずらしいかい。そうさ、俺ァ巷じゃちょいと珍しいしゃべるうさちゃんだ。だが俺に言わせりゃ、──────。(かり、もしゃっ。もしゃもしゃもしゃ、頬袋が動く。こくん、飲み込んだ彼が続けたのは。「………口に出した願望が叶ってやりたい放題の世界、うさちゃん1匹話したところで何も不思議じゃねェ。」 露骨に驚く貴方の反応、しかしそれは随分見慣れた光景だった。どうやらこの世界の人間は、喋るうさぎは絵本の中だけだと思っているらしい。懐中時計の代わりに銃を1つ。小さくなる奥義の代わりにセピア色に色褪せた写真を懐に。アリスを追い掛けるうさぎとは真反対の、黒い瞳を持った25センチのオスうさぎ(45)は今貴方に語りかけている。   (7/17 16:02:29)
外/パスティナーカ > 「ほーう…………出来そうか、そいつら良かった。…………この手の銃を直せるとこはそうそうなくてな、探したよ。……………にしても浪漫の詰まった店だ、気に入った。」 彼の表情はうさぎであるため常に変わりやしないが声色は嬉しい、それを表すに充分なトーンだっただろう。残り半分の小さな人参を両手で持ち直したのなら、かりかりかりかりかり、もしゃもしゃもしゃもしゃ。…そしてふと思いどしたように鼻をひくつかせ、ぱっと見上げたのなら。「…………おい旦那。修繕にゃあどれぐらい時間がかかる?」 彼は貴方に問うた。)   (7/17 16:02:39)


木場田/コカ > 「ケッ、お前ェみてエな喋るキュートなもふもふどもが、たくさん歩いていたら、流石に世も末だぜぃ。」(ぷすーーーーっ、と吸った紫煙を吐きながら、面白いものを聞いたように笑い半分でそう言った。言葉一つでなんでもできるというなら、オッサンを兎に変えちまう、頭のおかしい奴がどこにいるっていうんだ。それにしても、本当に兎じゃないか。兎耳だけが生えてる種族なら、この移民国家のウェンディア王国じゃあ珍しいものでもないが、だって、まんまじゃん。コイツ。おしゃべりうさちゃんが苦み走ったダンディーボイスって、童話でももうちょっとくらいはフィクションが上手いだろう。旨そうに人参を食いやがって)   (7/17 16:26:10)
木場田/コカ > 「あぁ……ったく、煽ててもなんもでねェぞと言ってやりてエところだが、おもしれエ客に、暇してたところの仕事で俺アは気分がイイ。安くしといてやるよ。————まぁ、金はちゃんと用意してもらうぜ。………そうだなァ〜〜…………………ざっとこれくらいかね。人参で払うんじゃねエぞ。」(そう言って、ゴトンと銃を机に置けば、そこら辺から紙切れを一枚だし、使い込んだであろう、ボロボロの羽ペンでスラスラと滑らせれば、癖の強い字でそこそこの値段が記載されているだろうか。その紙をピッとそちらに飛ばし投げ、ニヒルに笑って釘を刺す。)「そおだなァァ………他に仕事もねエから、早く仕上げることあできると思うが、部品を外部から揃える必要があんな。取り敢えず、明後日にでもまた来い。この期間で仕上げられる筈だ。その間はお前の相棒を預からせて貰うが、問題ねエか?」>   (7/17 16:26:24)


外/パスティナーカ > …もふもふうさちゃんが歩いていた方が、案外平和かもしれねェだろう。うさちゃんは嘘をつかないし人を殺さない、………………普通はな。 ( 皮肉に冗談織り交ぜて、貴方に返したこの言葉。うさぎになってからどれぐらいたったかなんてもう数えるのさえも億劫だ。ごとり、重々しい銃の音。彼は貴方の筆跡を辿り、顔を近づけ一言。「………ンじゃあこれで足りるだろう。」 人参を咥え、もふっ、とした前足でボタンをのちのちいじいじと開ける。服を開けたのなら、ふくふくとした毛と小さなあんよ、それから──────バンッ。………取り出されたのは叩きつけられた札束だった。折り曲げたそれらは器用に彼の服に収納されていたらしい。彼は口にした。   (7/17 16:43:46)
外/パスティナーカ > 「………釣りはいらねえ、ただしっかり直してくれりゃあいい。その金と銃は『 だれかさんの命 』の上に成り立つ代物だ。相棒にゃあそれぐらいの価値がある。…………言わずともやってくれるだろうが、【⠀丁重に扱ってくれよ。⠀】」そこにはいつものうさぎがいた。モフモフのうさちゃん。可愛いうさちゃん。ぬいぐるみのようなうさちゃん。〝嘗て名を馳せた■■ 〟。狙った獲物は逃がさない、帽子の鍔に手を添えたのなら、黒い瞳をそれに伏せた。「そいつは預けたぜ、旦那。……………あとはそうだな、弾を調達したい。その口径にあった弾だ。……数は12発。」〝シンデレラの魔法が解ける時間と同じたまの数 〟を彼は貴方に注文する。煙に巻いたようなあなた、掴みどころのないあなた。嘗ての燃え上がる炎が鎮火したような貴方だけれど。職人技は廃れちゃいない。それを信じて依頼します。そうしてオマケに、弾丸も。)   (7/17 16:43:56)


木場田/コカ > 「呪いみてエだ。気の毒だったな。」(それくらいしか、かける言葉がない。まるで、煙みたいに軽くて、頼りない励ましの言葉。なんで言ったって、コカは店主で、兎は客。その関係と距離感ならば、このくらいがちょうどいい。煙ったいだけだろう、同情、憐み、なんてものは。ふぃーーーー……と、口を一の字にして、隙間から平べったい煙が吹き出る。古い拳銃だ。これは、明らかに技術革新前の、全時代的産物。時代錯誤のこのアンティークガンは、ずーっと使われていたのだろう、使い古されている。幾ら大切に扱おうが、こういうものはいつかガタが来る。永遠に使える武器など、それこそ言葉だけだ。だからこそ、この旧い相棒を元の相棒に戻すには、技術だけじゃ足りないものがどうしても出てくる。その為金を多少ローンを組ませてやる予定だったが………なんと、なんとなんとそこには紙の束。ただの尻を拭く紙ならいいものを、これ全部紙幣という話じゃないか。え、そこ入ってたのか?)   (7/17 17:19:03)
木場田/コカ > 「……………随分潤沢じゃねエかァ、ええ?……………ヘッ、気持ちのいい奴だ。確かに、大分お釣りが出る額だが、お前ェの言葉に甘えて俺の懐に納めさせて貰うぜィ。」(固まっていた体を起こし、咥えていた、もう消えかけの煙草は、吸殻で山のように積み上がった灰皿に新入りとして押し詰めて、目を細めながら札勘すれば、それをそのままもう俺の物と言わんばかりに懐に入れた。)「フン、そこら素ォ人にいじらすよりァマシさ。態々野暮なこと言うんじゃねエよウサギの旦那。任せなア、アンタの相棒は最高だ。新品以上にしてやるよ。」(そう言って、先ほどより念入りに状態や、触った感触から素材を判別し、手頃な紙に、なにやらまたミミズが捥がくような癖字を書いていって、自信ありげに答えた。元は軍隊にいた腕前だ。幾ら古い代物だからと言って出来ないとは経験が言わせない。それに、アンタの兎姿でも、様になってるぜ。と、小さく付け加えて。)「弾ァ?ウチァはガンショップじゃねエんだぞ?!………——————ああっ、クソッ待ってろォ。」   (7/17 17:19:58)
木場田/コカ > (そう言って店の奥まで言ってしまえば、ガシャガシャ、鉄の当たる音ばかりが聞こえて来るか。なにかを乱雑に探すかのような音と、時折埃っぽそうに咳をする声。そうしてしばらくして戻ってきた男の手には………)「三年前だァ。拳銃というものが流行り出した頃に買った。『銀の弾丸』だ。たまたま口径に合うのがコイツしか無かったし、『この相棒にピッタリだ』とおもわねエか? ——————全く、『予備弾数まで12個ドンピシャ』たァ、随分『運がいいな』ウサちゃんさんよ。」(まるで、神がそれを望まれるかのように。煙の奥で、見ているのかオイ。)>   (7/17 17:20:46)


外/パスティナーカ > ──────へへ。(彼は小さく笑い声をあげた。無理難題じゃないか、だってここはガンショップじゃない。ましてや修繕屋。売っているものは煙草が殆ど、それなのに。〝お前は揃えて見せた 〟。『 銀の弾』『 弾は12発』『ドンピシャの口径 』鉄のハインリヒの奇跡より、それはパズルのピースのように。当てはまって、嗚呼。まるで今日のために揃えられて来たかのよう。夜を背負い星を纏い後に続くは彼岸花。手招きする屍の山を見て見ぬふりして今日も白に赤を塗る。守るためには失わければならないの?小さな誰かさんの問いかけさえ。受け取る金と銃の重み、彼は口にした。「…………アンタになら任せられそうだ。………俺の名前はパスティナーカ。お偉いさんの用心棒からヒットマン、………死体とセルフィーを撮れってんならそれも一興。汚れ屋兎のパスティナーカさ。………アンタの名前は、………次来た時にでも教えてくれよ、旦那。」 彼は口にしたのなら小さな背中を向ける。ぴょこっ、てちてちてちてちてち、   (7/17 17:33:26)
外/パスティナーカ > ──────カツン。革靴の音だった。確かにそれは鳴り響いた。貴方は見たか?彼が、店を。立ち去る寸前。『カランコロン』山高帽を被った貴方よりも少し背の高いオールバックの、きっちりスーツを着こなした後ろ姿。黒い手袋で確かに扉を引いて、後にする。しかし窓を見てもそこには誰もいない。幻想だったのかもしれない。貴方の見た夢だったのかもしれない。その答え合わせは明後日、だって確かに相棒と紙幣はそこにあるのですから。……今日のところは、埃被った表紙を払って、本棚にこのお話を閉まっておきましょう。うさぎに情けは必要ない。吐いた同情も煙も、彼には追いつかなかった。)   (7/17 17:33:35)


木場田/コカ > 「パスティナーカ………。」(こんな男がいたとはな。)「…………」(————世迷言じゃあるまいに。)「今後ともごひーきに………。」(兎のかわいいもふもふが言うには無理がある話だが…………。どうも、ありゃあ本物だ。嫌だねェ、硝煙の、戦いの匂い、危険な匂いを漂わせる男は。俺はもう、ああいう燻りからは無縁だと思っていたが。)「ふぅーーー………………………………ケッ、やっぱし……………」(コカは見た。)ㅤㅤㅤㅤㅤㅤ「本物じゃねえか」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤ(その小さな黒い背中が、一瞬だけ、本物の人間に見えた。喪服と見紛うような背広をパリッと着こなし、危険な香りをただよわせた、パスティナーカという男は、またただの兎に戻って、店へと出て行った。 摩訶不思議が罷り通るのは童話の中だけのお話だと思っていたが…………)「…………………仕事するかア…………」(それはどうも、再定義をしなければならないらしい。)〆>🐰   (7/17 17:46:09)