この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

雷鏡&由良

泥かぶり姫

グレー/雷鏡 ◆ > ふぅ…ある程度知識は入れられたから少し休憩するか……茶屋でも行くかな…(と、彼は図書館から出て少し歩く。実は彼は薬の研究に役立ちそうなものはないかと考えてわざわざ尊華まで出向き、漢方についての知識を得ようとしているのだ。彼は本を読んでそれを調べ、それを頭に残して……そして、彼はそれを自らの研究に行かすのだ。漢方の作り方でできた物が、思いの外人気が出ることもあるからだ。そうやって彼は依頼だけではさすがに収入も少なくなるので……薬を売って生計を立てていた。……まぁ、食費はほとんどゼロであるが。)それにしても、漢方というのはなかなかどうして人気が出るのかね…?(と、彼は考えながら、その茶屋ののれんをくぐる…)   (7/16 01:27:13)


マリア/由良 > 「あのぅ……こ、困ります……」(尊華帝国で密偵としての仕事をしていた由良は、王国に居る時とはまるで違う出で立ちで茶屋に居た。桃色のリボンで唯一自慢とも言える長めの黒髪を結い上げ、ノースリーブの膝丈まである旗袍(チャイナドレス)に身を包んで。水色で花柄のそれはけばけばしい印象を与えぬよう、清楚な意匠の物であったが、深く入ったスリットがほんの少しだけ白い太ももを見せていた。少しでも可愛らしく見られたくて、無意識のうちにそういった誘うような装いをしていて――要するに、粧しているということなのだが、それがここではいけなかったのだろう。客だと思われず、男性客にお酌をしたり相手をする為の“そういう女性”だと思われて、運悪く男性客に絡まれていたのだった。それが、先程の由良の台詞の内訳であった)「わ、わたしは、ただの……ひっ」(自分もただの客であると弁明したかったのだが、俄に手首を掴まれて声を漏らした。男性客は『かたいこというなよ』だのなんだのと、由良の様子にも気づかず笑っていて。)   (7/16 01:43:11)


グレー/雷鏡 ◆ > さて…今日は何を飲むかな…っ!?(と、彼は刹那、野生の勘とも言えるべきものが働き、もはや無意識にその男性の手を払っていた。そうして、彼がその状況を理解した直後に瞬間的に男性客に言葉をぶつけた。)女性が嫌と言っていることはあまりやらない方がのちのちのためですよ?旦那さん。少なくとも、「嫌よ嫌よもすきのうち」……なんて言葉もあるが、そんなの嘘っぱちだ。すくなくとも、この女性……まぁ、名前も知らんけど、多分この人もあんたと同じくここでお酒を嗜みに来た女性客だと思うよ?……まぁ、ちょっと誘うような装いをしたからと言って必ずしもその人がそういうことをしたいと思っているわけではない……ということだけ覚えといた方がいいよ。(と、彼は鬼気迫るような気迫を……無意識に傭兵として活躍していたこともあってか、その男性客にぶつけながらそうアドバイスする。そして、彼がその気迫にすぐに気づいて、その気迫は一旦引っ込めておいた…)   (7/16 01:50:28)


マリア/由良 > (あなたが茶屋に足を踏み入れる時、暖簾の間から陽光がふわりと差し込んだのに気づいて、由良はそちらへ視線を向けた。助けをこうような表情をあなたが読み取ったのかどうかは分からないが、すたすたとこちらへ近寄り、由良の手首を掴む男の手を払い退けるようにして助け舟を出してくれたのを驚いた顔で見つめる。言葉は感情的な所など一切ない冷静で知性を感じるものであるのに、物言わぬ気迫は男性客を怯ませるのには充分だったようだ。元々勘違いで浮かれていただけで悪気のなかったらしいその男は、まだ中身の入った酒瓶を残してすごすごと奥へ引っ込み、さっさと会計をして出ていった。残された由良はもうその男性客には目もくれずぽかんとあなたを見つめていた。『背の高い人……ふしぎな瞳。』最初に抱いた印象は、その二点だった。しかし不躾に見つめていた事に気づけば、はっと目を伏せて片手で太腿を隠すように服のスリットを塞いだ。『誘うような、って……』あなたの言葉を思い出し、羞恥からその顔は真っ赤になっていて、喋ろうとする前に伏せた目は今にも泣きそうに潤んできていた。)   (7/16 02:14:13)
マリア/由良 > 「……あ、の……あ、ありがとう、ございますっ……」(蚊の鳴くような声でそう零すのが、精一杯だった。)   (7/16 02:14:24)


グレー/雷鏡 ◆ > いや、俺もなんかよくわからんが「野生の勘」がなんかよからぬ気配を察知してな……気がついたらああなったんだ。んで、気迫をしまうのを忘れててそのまま言葉をぶつけちまったのさ。……それと、その服何とかした方がいいぞ?ある程度の肌の露出はまあ良いんだろうけど……俺は服のことはよくわかんねぇし……でも、肌が露出した服を着る場所は考えた方がいいかもな?(と、相手に先程とは打って変わってフランクにアトバイスを行うと、「そうそう、ついでに……」と、彼はカバンの中を漁り、名刺を取り出して相手に渡す。)俺の名は雷鏡。まぁ、ウェンディアで万事屋をやってる元傭兵さ。……いまさっきの気迫は傭兵だった時の名残とも思ってくれればいいよ。(と、相手に軽く話す。そうして彼は「隣に座るぜ?」と声をかけてからその隣の椅子に腰掛けて……お茶と軽食を頼む。)   (7/18 11:41:10)


マリア/由良 > (彼のアドバイスは決して威圧的な押し付けがましいものではなく、爽やかな口調によって幾らかフランクな印象を与えるものであっただろう。それは持って生まれた嫌味のなさによるものなのだろうし、真似しようと思って真似できるものではない。ただ、由良にはそれでも、苦しかった。鏡の前でおまじないまで唱えて、普段なら絶対に着ることの無いような女性らしい装いに身を包み、リボンまで結んで。仕事でなければこんな格好はしないと言うのに。恥ずかしくて、情けなくて、涙が滲むのをどうしても止められなかった。王国にいる時の〝由良〟ならば言い返していただろうか。いや、由良ならば、まずこんな格好はしない。そう、仕事だから。好きで着ている訳ではないの。)「………は……はい、……ごめんなさい………。ご迷惑、お掛けしました……。」(俯いた顔を耳まで真っ赤に染めて、震えた涙声でそう呟いた。記憶の奥底で、金切り声が響いて――頭が、割れそうに痛い。『――何、色気づいてるの!?』『あなたにはそんなもの必要ない』『脱ぎなさい』『ママが捨てておいてあげるから』『カレン、解るよね?』   (7/20 00:19:30)
マリア/由良 > (揺れる青いカーテン。暗い部屋。割れた姿見。切り刻まれたワンピース。鋏。ママ、ママ。)「………っう、」(目の前の男性、私を救ってくれたやさしい人が、何か言っているけれど、由良は名刺を受け取る事もままならず、胃の中を戻しそうな罪悪感に口を抑えてこくこくと頷いた。)「……ど、うぞ、私は、もう、いきますので、……ごゆっくり。」(小さな鞄の中を引っ掻き回すようにして漁り、紙幣二枚を机の上に置いてよろよろと立ち上がり、そのまま茶屋を出た。ぴったりのお金を計算する余裕もなかったけれど、余ったぶんはあなたへのお礼になれば丁度いい。『ママ、カレンは、好きなお洋服も着れないの』かつての自分の声が脳に響く。ぶんぶんと頭を垂れ、服が汚れるのも省みずに由良は雨上がりの水溜まりの上にどさりと座り込んだ。)「……好きで着るかっ……ざまぁみろ。」(ざまぁみろ、泥だらけだ。そんな言葉はあなたにではなく、自分自身に。)〆【泥かぶり姫】   (7/20 00:19:48)