この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

セリヤーナ

パラノイアのふち

フルディア/セリヤーナ > (神島での闘争のあと、以前にも増して暗触文字の修練に熱を上げた。革紐のリストバンドに施された小洒落た刻印は、今となっては往年の旅団員くらいしかその意味は読み解けないのだろう。赤の留め具は回避、緑の留め具は防御。外して一本の紐をなぞれば、それぞれ魔術を発動できる。あの日焚いた篝火が翳したのは、光さえ漏れ出ない暗闇の迷宮だった。それでも瞳を閉じれば、この指の感覚が細い細い道を手繰り寄せることができる気がして。)   (7/13 21:44:08)
フルディア/セリヤーナ > (でも世の中は大きく変わった。祈りが木霊し霊力が山彦のように響き渡る世界は、いつしか遮音膜を被ったようで。人々の声は内に内にと向かうようになった。)「人は人智だけでは生きていけないのに…」(それは"世界に弓を引くこと"を終わらせようとした王の不帰がありありと物語っている。)「上辺をなぞってそれを貫く大きな流れを理解しない…それこそバカの所業だよね…?」(結論から言えば、信仰を失うことはなかった。真名の二面性を知り、そこに大いなる"背後"の流れを悟る。そしてそれに揺蕩うことなく、自らの意志を織り込み魔術を紡ぐ者こそが、魔術師と呼ばれるのだと、解釈したからだ。技術と意志と生き様と…その人智をこそに畏敬の念を抱くから。その字が魔力を帯びる。)   (7/13 21:44:18)
フルディア/セリヤーナ > (この3年間は流浪の日々だった。古代の神話の痕跡を探す…王の見た世界を探す…どちらも雲を掴むような話。途絶えた足跡も旅路と呼ぶけれど、風の彼方に散った歴史はまるで蝕。美しさは際立ってもその裏にある眩い光には手が届かない。霊山へのがむしゃらな登攀は自然への畏敬を深めたけれど、それは時代に逆行した。自らの信仰に反して扱える術の規模は小さくなっていくのを感じていた。自分という存在が自然や社会の前ではあまりにも矮小であることを突き付けられ、薄弱な意志では呑まれてしまうと危機感を煽られる。) (武器を手に取った理由は、細りゆく魔術を補うためだった。サバイバルナイフは今までも命を戴いてきたから、大鎌は農業を学んだ時に扱ったから、鎌をわざわざ魔術で成形するのは禁忌になるべく触れないため。みっともなく御託を並べでもしなければ自分を見失う気がした。)   (7/13 21:44:31)
フルディア/セリヤーナ > (ここ最近は厘都の廃墟に潜伏している。迎えに出る人影のない家々を訪ね歩き人々の生活に想いを馳せる。海の向こうに臨む守山の堂々たる佇まいは信仰を集めるにふさわしい。)【戦争を終わらせることの真意とは?】【背後神への信仰とは何なのか?】(答えの無い問を抱えて旧址を流離う。ヨズアの再興のため、考古し時には争いも辞さず、そしていずれはかの王と同じ境地に至ることを夢見て。) (旧街の外れ、夜の帳が降りようとする頃、火を熾し、干し肉と山菜や果物で夕食を摂る。)「…あ、もう塩がきれちゃった。仕方ない…街へ出なきゃ。」(調味料やスパイスはさすがに手間がかかるので街で買いたい。ついでだから布や糸の類も補充しよう。)「そうと決まれば今日はもう寝て、明日朝早くに発とう。」(行き先は王都の噴水広場。露天を出すには丁度良いのでよく訪れる。それと…帝都の雰囲気はなんとなく肌に合わないんだ。尊華の情報が欲しい時には訪れるが、頻度は低い。)   (7/13 21:44:42)
フルディア/セリヤーナ > (数日後、王都に到着したらさっそく露天のテントを張る。いつしか顔なじみとなった近所のおばちゃんが話しかけてきた。)『あら、セリヤーナちゃん久しぶりじゃない?』「やだなぁおばちゃん、ボクもう"ちゃん"って歳でもないってば」『そんなことより大丈夫だった?』「ん、何が?」『最近この辺りじゃバケモノが出るって、騎士様がパトロールして下さってるのよ』「へぇ!でも王国の聖フィニクス騎士団っていったら腕利きでしょ?やっつけてくれるんじゃない?」『それが、そのバケモノは不死身らしいのよ…セリヤーナちゃんは怪しいヤツ見かけなかった?』「ここへ来る途中の原っぱで、一人で何かぶつぶつ喋ってる変な人を遠目に見たけど…もしかしてそいつ?」『あたしは見たこと無いんだけど、』「いや無いんかい!」『神罰が下ったんだって噂よ?気をつけてね?』「忠告ありがとう、おばちゃん。ま、ボクはこう見えてなかなか強いんだ。」(にっと笑って胸を張ってみせる。)   (7/13 21:44:53)
フルディア/セリヤーナ > 「さて塩や布が欲しいんだけど……」(商売事の交渉にも慣れてきた。こちらが卓に乗せるのは草原で狩った毛皮や山窟で採った宝石など。馴染みのおばちゃんなら物々交換でも構わない。商店を紹介してもらうこともある。でも内心それどころじゃなかった。) [神罰が下った、か…] (おまけにと頂いたチーズを半ば上の空で受け取りながら、停滞した情勢が動き出す予感に浮足立つ。必ずしも良い方向に働くとは限らないけど、きっと、何かが、変わる。)   (7/13 21:45:08)