この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

雅螺&鬼若

拝啓、花守へ言伝る

極夜@雅螺 > 「はぁ全く、我が身ながら届け物とは。お人好しも過ぎて困ってしまう。あれも忙しないから仕方ないとはいえ」(右手に風呂敷包、腰元には普段滅多に持たない、いい加減価値の腐りそうな太刀が一振り。左手を所在無さげにゆうらり揺らして闊歩するのは軍部に程近い通り道。かしゅ、と掠れた下駄の音が耳を突いた。相変わらず喋らないと死ぬのかと言わんばかりに吐き尽くされた言葉が意味もなく漂い、一瞬だけ人の怪訝な目を集めて置き去りにされて行く。軍部の建物の目の前で足を止め、中身が崩れていないか風呂敷包を横目で一瞥してから態とらしく気怠い溜息。──やれやれ、流石にあの気質だ。忘れ物という訳ではないだろうが、届けてやった方が楽には変わりない筈だよ。働き者には水を与えないと萎れてしまう。所在がはっきりしているようなら声でも掛けて行こうか──無論、此奴でいう「声を掛ける」とは「揶揄う」に相当する訳だが。少し顎に手を当てて目を逸らしてから、「たーーのもーー!!!」とか巫山戯るのは辞めて素直に軍部に足を踏み入れた。……まぁ、軍服でも何でもない訳だが)   (7/12 23:34:37)


大和守?鬼若 > (ーー仕事が終わらない、だなんて愚痴を一つ。否、普通ならば終わっている。終わっているのに自ら増やす。更にこう、こう為るならばこれもせねばと。それ等全ての思想元は元帥様の為に何が出来るか、というモノからではあるのだが。そうして積み上げた果てに微々たるモノではあるが目眩を察知し、限界を感じた。此は息抜きをせねば倒れる。そうして迷惑を掛けたくは無いーー……息抜きがてら今日の視察でも終わらせるかと出入り口へと向かい。)「……何ぞ貴様。見目からして軍の者では無かろうに、何故此処へ来た。よもやではあるが、堂々と正面から来る様な不届き者ではないだろうな?」(異質なモノが紛れ込んでいる。軍服が彼方此方で視界に入る此処では、それを纏っていない方が異質である。それにーー太刀。それが異質たる男の腰に見えた。素早く捉え、堂々とした風貌で言葉を紡ぐ。例え不届き者であったとしてもねじ伏せれば良い。流石にそれはないと思うてはいるのだが。)   (7/12 23:47:10)


極夜@雅螺 > 「うん?嗚呼いや、ちょっと討ち入りに。いや嘘嘘、軍部に知り合いがいてね、如何もそいつが家に物を忘れて行ったから届けに来た次第だ」(──ふむ?軍部の……一等兵だのではないな、ある程度の高官か。まぁ僕が届けに行けばこういう類の騒ぎが起こる。其れは其れで、あれの胃の腑に負担が掛かって面白いものだ。が、……まぁ流石に、届けて貰う方が良いな。中身が怪しいというなら勝手に開けるだろう。騒ぎも起きない。一石二鳥だ──深淵を覗く時、深淵もまた貴方を覗いている、という言葉がある。にたにたと水面に映る月のように掴めない笑みを浮かべた彼の奥底を知ろうとするならば、貴方もまた此の大嘘吐きの毒牙に掛かる事を忘れてはいけない。警鐘すら鳴りそうな、底無しの笑顔。ひらりと手を振って刀に手を添え、ちら、と一瞥した。持って来たのは完全に気紛れだ。己はそういう人間なもので。理性が確立している分、下手な赤児より言動は読めず終い。すっと刀から手を離し)「すまないが、届けて貰えないか。見ての通り軍部の人間ではないからね」(まぁ、此の言い方に礼節があるかは兎も角)   (7/12 23:58:08)


大和守?鬼若 > 「成る程、承知した。 …… いやはや、仮に貴様が真に討ち入りに参ったのならば即座に切り捨てる所であったわ。 安堵した」(だなんて、 冗談にもならぬ言葉を口走る。にたにたと浮かんでいるその笑み、 貴様がそうならば獲物を捕らうる蛇の笑みをお返ししようではないか。 三日月の笑み、 しかし瞳は一切の笑みも無く。 静かに貴方という獲物を見つめ、飲み込める大きさか、 襲うタイミングを見計らっている蛇ーー 。 貴様が何もせぬのならば、 元帥様に害を為す者でなければ余は何もせぬが。)「…… 嗚呼、 字を教えよ。 貴様と、 届ける者の字を」(それが無ければそもそも届ける事は不可能。 …… 否、 此奴であれば届け物を持ってきた者の風貌を伝え、 自力で探し出しそうだが。 書き取るべく袖から紙を取り出せば、 研ぎ澄ませ声を聞き漏らさぬ様にと既に此方側の準備は完了している。)   (7/13 00:15:22)


極夜@雅螺 > 「御冗談を。こんな物騒な軍部に喧嘩を売る餌がいたらお目に掛かりたいものだ」(──ま、実際、軍部は鋭い。研ぎ澄まされた刀に果実を落とせば一刀で刻まれる。其れと同じだ、こんな悍しい名刀に態々凭れ掛かって切られるうつけは中々お目に掛かれないさ──嗚呼、つめたく冴えた氷の如し笑みが視界の隅を占めて行く。真名には鶴なんて雅な一文字を持っている癖をして、くつくつと溢れる途切れない笑みはまるで烏だ。笑顔と言葉で他者の心の隙間に鎌首を擡げて滑り込む。狡猾な烏。白くなければ鶴のように雅やかでもない癖、皮肉な事で)「俺の?僕の字なんか聞いて如何するんだい?情報売るの?怒られるよ?──まぁ嘘だけど。俺は雅螺だ。そうそういる字じゃない、言えばあれも分かるさ。届け相手は"白梅"に。我らが尊華帝國軍の元帥に──頼めるかい?」(なんと冒涜的な。なんて恥知らずな。不敬にも程がある。相手が白梅其の人ならば兎も角、目の前にいるのは牙を剥けば倍の痛みで歯牙に掛けて噛み砕かんばかりの忠義の騎士。あろう事か元帥の字を呼び捨てる者があろうか。平然と、いっそ清々しい言い方でそう告げて)   (7/13 00:30:32)


大和守?鬼若 > 「嗚呼、 そうだなァ。 元帥様の在りし此処でその様な事ーー 毒蛇に噛まれて終わり、であろうな」(それは決して冗談で言っているのではない。 全て嘘偽りなく言っている。 在ればこの力で持ってして必ず捕らえてーー 否、 その場で打ち首にさえしてしまうかもしれない。尊きあの方が在る場所で彼の用な愚行、 捕らわれたとて此奴が赦すと思うてか?)「…… 尊き華である元帥様の字をあろうことか呼び捨てにするか、 貴様。 あの素晴らしき御方の字を」(字を聞いてーー そこまでは、 良かった。 『 白梅 』 と。 敬称すら付けず呼び捨てた事。 その瞬間、 書く手を止めては右しか窺う事の出来ぬ紅の目を大きく見開き、 まるで目前の親の仇であるかの様に、 此奴は殺意を露に。あの方の字を呼び捨てるとは何たる不敬ーー と。 目前の彼が元帥の兄である事も知らぬまま、 蛇は今にも食らい付きそうになっていた。 )   (7/13 00:46:19)


極夜@雅螺 > 「元帥──サマ?へぇ、嗚呼……あれも優秀なのを味方に付けたね」(──眼差し、言い方、態度の急激な変化、と。成る程成る程、正に花の守り人じゃないか。何人も近付けまいと牙を剥く毒蛇。いやいや、面白……楽しそうな味方がいるようで何よりだ──確かに立場上、敬われる位置ではあろう。だが人というのは不思議なもので、真の底から敬意を抱いていなければ、様を付けて幾ら丁重に呼んでも、心の何処かに相手への邪念があれば慇懃無礼に聞こえるものだ。其れが、ない。相手は我が妹を、清廉たる華に、其れこそ心酔しているのだろう。だがまぁ、感心している場合ではない訳で)「呼び捨てにしてなにが悪い?あれは白梅以外の何者でもないだろう。字を蔑ろにする方が魔術師には余程無礼だ、何より──」(恐らく相手が言ってるのはそういう意味ではあるまいが、三百代言で人を煙に巻く事だけは一級品。硝子に映る現世の虚像のように手を触れられない、ふわりと好き勝手な言葉。最後に、ゆったりと首を傾け)「──兄が妹を呼び捨てにして、何が悪い?」   (7/13 00:58:38)


大和守?鬼若 > 「………… 兄、 とな」(ーー いや、 余は阿呆なのか。 やはり疲れているのだろう。 そも、 息抜きに来たというのに余計な心労を重ねすぎではないか。 それに、 あれならばもう少し言い回しが…… 今更悔いても仕方がない。 何より『 兄 』 と…… そうか。 兄妹間で呼び捨てにし、 それを咎める等と此方の方が愚かではないか。嗚呼、 全く。 )「…… それはそれは。 とんだ失礼を為してしまい申し訳ない。 まさか元帥様に兄が居たとは知らなかった…… とは先程無礼を許される理由にもなりませぬが…… っ…… 。 …… 何がともあれ、 元帥様への届け物、 私が代わりに御渡ししておきましょう」(頭を垂れ、 謝罪の意を露に。 あの御方に兄上が居た等とは初耳だ。 自分もまだ知らぬ事が多いなと、 その思考がよぎった所で再び目眩が。 微かに声を溢し、 額に手の甲を当てる。 それも一瞬、 何事も無かった用に直ぐに体制を整えれば紙を袖へ入れ、 風呂敷を受け取る為手を差し出して。)   (7/13 01:13:36)


極夜@雅螺 > 「そう。お兄ちゃん」(異父母兄妹である、とは言わなかった。本妻の他に存在する愛人に生み落とされたのは何方だったか、そんなものに意味はない。そんなものは必要ない。興味も、既に失せていた。朽ち果てた御伽話を読み漁る必要が何処にあるっていうの?だからただ、兄である、とだけ囁き落とす。案外すんなりと受け入れられた固定された事実に、密やかに笑み)「あれは話したがらないからね。知らなくても無理はない。……嗚呼、そうだ」(──大方、話しても如何にかなるものでもない、とでも思っているんだろうけどね。さて、目的はお終いだ。届けてくれるなら其れで良いさ、僕の散歩は此処までにしようか──急激に軟化した態度も、いとしい妹への酔い果てた敬意ゆえだろう。風呂敷包をゆっくりと手渡し、踵を返して、うっそりと微笑んで──唇に、立てた人差し指を当てた)「あれと僕が兄妹であるのは他言無用だ。其れと、君が僕達が兄妹だと知っている、というのも。あれ自身に教えないように。──それじゃあ、宜しく頼むよ」(去り際に残したのは、見開かれた瞳と歪んだ口元が描く凶暴な笑顔ひとつ。其れでは御縁があればまた逢いましょう、健気な花守さん) 〆   (7/13 01:31:25)