この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

バルドゥール&大哥

69/バルドゥール > 「( 首の折れた猫を抱き、喧騒から少し離れた路地を彷徨う。人を探さなければならない、俺にはこれをどうしたらいいのかわからない。死とは制裁でなければいけない。俺は葬るということを知らない。わからない、弔いかたも。されたこともしたこともないものを理解することはできない。冷たい指先が、ごわごわとした毛皮の下の細い骨をなぞる。これが温かかったなんて、考えれば考えるほど不思議だった。きっと殺されたんだ、かわいそうに、俺みたいに?違うな、俺は死んだんだ。ぶつぶつと引きちぎられた記憶の上に、とりとめのない思考が並んだ。腕の中、羽に包まれた猫が自分を見上げていた。吸い込まれそうな瞳とはこういうことをいうのか?いいや違うな、だって俺と同じような目をしてるから。)」   (7/12 22:49:11)
69/バルドゥール > 「(そしてぱっと顔を上げれば、がらの悪そうな男たちが何人かおり、談笑していた。一人気付くと、皆つられてこちらを見る。俺は立ち止まって"弔ってくれ"と言う。意味不明?それは次第に噛み合わない会話になっていって、一人が誰かを探しに_呼びに?あるいは逃げて_行った。わからないのがわからない。俺には理解できない。お前がやれよという言葉は理解できたが、どうすればいいのかわからなかった。気味悪そうな顔だ。彼らはじりじりと後ずさって逃げてゆく。……弔いかた以前に、ここの地理すらわからないというのに。最初に聞いておくべきだったかとため息をつき、猫を抱き直した。 )」   (7/12 22:49:20)


リドリアス@大哥 > 「あァ?なんだい坊や。葬式をしたいのか。それとも、なんだ、骨でいい感じのものでも作って欲しいのか……。金さえ貰えたらその分はなんでもやるけどね。何をして欲しいか、っていうのは、ちゃんと言わなきゃわからんだわよ。」猫を弔ってくれ。と、言って回っているガキがいる、というのが今日された報告だった。気味が悪いから追い払ってくれ、という意味でもあっただろうし、あんまり、色んなやつに聞いて回っていて、何だか哀れだから話でも聞いてやってくれ、というささやかな後ろめたさもあったろう。 ともあれ、下手にこの辺りで暴れられたりしても困る。何せ、首のへし折れた猫なんて抱いてるんだから、頭がおかしいかもしれないし。少なくとも、葬式を頼むのに、死体を持って葬儀屋に行くやつは落語にしかいない。とまあ、仕方ないから現場に行き、ふらふらと、なんだか頼りなく見えた彼の、ないしは彼女に。目線を合わせるように軽く姿勢を下げながら、まぁとにかく、何をしたいか言ってみろ、と告げて   (7/15 17:54:58)


69/バルドゥール > 「(随分と偉そうな……いや、さっきの男たちが呼びに、あるいは報告しにいった奴だ、おそらく何かしらの組織を統べる者なのだろう。そんな女が、しかも年齢もそう変わらないだろう_俺は享年26歳だ。笑えるだろう_に俺をガキ呼ばわりだ。腹は立つが、こんなことすら罪としていれば全世界の人間を殺さなければいけなくなる。しぶしぶ受け入れつつも、) ……ガキ呼ばわりとはな…お前には人を"見る"目がないようだ。まあ構わん、俺は器が小さいわけではないからな… ( 濁った目を細め、眉根を少し寄らせた程度ではあるが、不快の意を示した。しかしすぐに、"こいつを葬り、罪人を裁かなければいけない"と彼女の問いに答えた。答えになっているかどうかはわからない、それぐらいしか頭になかったのだ。そして付け足すように、今度は憂いを含んだ表情を浮かべ ) …こういうものは焼いてどこかに埋めるべきなのか?祈りは?……俺は知らない、俺は祈ったことも祈られたこともない、ただ焼かれて"罪人"として死んだ。愚かな人間どもめ…… ( と、後半はほぼ一人言のような言葉を漏らした。)」   (7/19 20:59:51)
69/バルドゥール > 「( 俺は正しかった、という意識のみが残る記憶が、俺に言葉を紡がせている。冷たくかたい毛の塊を、ほぼ無意識に優しく撫でながら、「初対面で頼むのも悪いが、どうか手伝って欲しい」と改めて依頼をして返答を待った。……引き受ける理由などないだろうに。そんな思いは何処かにあった。でもこれを、彼女を逃したら、もうこの腕の中のかわいそうな生き物だったものを葬れないような気もしていた。 )」   (7/19 21:00:05)