この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

アスラン&セシル

いやな星

シロー/アスラン > (尊華帝國、スーリ。虫の鳴き声が響く夜。時計の針は既に頂点を越えており、日付が変わってから差程時間も経っていない、そんな時間帯のこと。草原が大部分を占めるスーリに点在する街の一つ、その一角にてターバンを巻いた壮年の男が壁に凭れて立っていた。決して狭くはない通りの端ではあるが、時間帯も時間帯であるせいか人通りは殆ど見られなかった。居酒通り等もここからは遠く、住宅ばかり並ぶ周辺の建物からは灯り一つ漏れていない。誰もが寝静まり静寂に包まれる中で、咥えた煙草がジリジリと燻る音がやけに大きく響いた。)「⋯⋯1.41⋯。」((何やら空を見上げると、煙草を口に咥えたまま紙が固定された板を取り出して。夥しい数の文字や数字が記された紙の最後の部分に、新たな数字を書き加えた。2年の歳月を掛けて研究していた、星の明るさの変化。確かに変化は掴めたものの理由までは掴めずにおり。こうまで星を研究する理由を少し見失いながら、咥えていた煙草を土の上に落とすと、足を使って吸殻を埋め立てた。)   (7/8 23:04:57)
シロー/アスラン > 「⋯⋯っはぁー⋯、⋯⋯ん、くそ、何処だ⋯?」((近くに置いたであろう巾着袋を見失ってしまい、腰から下げていた懐中電灯のスイッチを入れると、辺りの地面を照らしながら歩き始めた。⋯⋯しまった、星が見やすい所に途中で移動したのだった。大切なものが多く入った巾着袋を盗まれたりしたら...と最悪の未来を思い浮かべて口元を歪めると、周囲を檻の中の熊のように歩く速度を早めた。   (7/8 23:05:00)


外/セシル > (『 どこへ行くの?』『嗚呼、 ちょいと〝 奇跡〟を探しにね。』1人の男が言いました。あれは、なんの絵本だったか。キリリ、キリリリ。〖オルゴールのネジを巻く音がした〗─────ベッタリとペンキをぶちまけると例えたっていい。毛布を空にかけて、おやすみなさいと子供にキスをする夢をみたっていい。はたまた、明日への仕込みのため。舞台のカーテンが閉ざされて。朝日の舞台を用意していると語るのも構わない。しかし客を飽きさせぬようにと。どんな空にだって子供の夢を乗せた星々が散りばめられているのを、彼女と違って貴方は忘れることは無かったはずさ。何を理由に、どんな目的で星を見ているか。その目的をはるか遠くに追いやっても決して、その星の輝きを忘れることなんて。・・・question・・・   (7/8 23:21:58)
外/セシル > ──────「……………………。」 草原にて、周囲の緑は凍てつき、霜柱のようになっていた。そこに腰掛ける1人の女が、片手で何かを持っている。その、〝何か 〟というのは紛れもなく、貴方の相棒に違いはなかった。人でない何かが、人の文化に触れたように。じい、と物珍しげに見つめる姿、月光に照らされ煌めく髪は。1本1本がガラス細工のように繊細だ。もう少し、もう少しだけ近付いて。そう、そうすれば漸く。彼女は貴方の方を見やるでしょう。微笑みを浮かべた魔女の姿は、大図書館を形成するのを愛してやまない、──────美しい〝 シルセ〟のようでした。「…………これは、御前様のか?………青二才。」 静かな声色に風に溶ける寸前で、あなたに届きますように。)   (7/8 23:22:52)


シロー/アスラン > (⋯⋯困った、本当に。この辺りに置いた筈だったんだが。土の上を覆う芝には確かに何かが置かれていた跡が、萎れて凹んだ部分が存在しており。いよいよ誰かに盗まれてしまったんじゃないかと最悪の事態が現実味を帯びて来た気がして、眉を八の字に下げた。望遠鏡といった高価なものが入っているのもそうだが、自分にとって大切なものが幾つも入っているのだ。急に周囲の温度が低くなった気がして、背筋を凍らせる。冷えた空気が、暗がりで一人懐中電灯を持ち歩く状況と厭に噛み合って、尊華で聞いた事のある霊の話を思い出してしまった。そんな時だった。)   (7/8 23:45:23)
シロー/アスラン > 「⋯⋯な、⋯⋯⋯⋯。お前⋯」((懐中電灯で照らした先に突如浮かび上がった人影。およそこの世の人間とは思えない透き通った髪にそれこそ、丁度想像していた幽霊なるものと重ね合わせて驚いた声を上げてしまう。だが直後に自分の探し物を持っている事に気付くと表情に不満の色を一気に浮かべて、ずかずかと貴女の方に歩いていった。何も言わなければそのまま乱暴に巾着を奪い取る所だっただろう。⋯呟かれた言葉は丁寧な口調では無いし見下したニュアンスを確かに感じたものの、一度足を止める時間をアスランに与え、熱くなっていた頭を冷やす事は出来たらしい。)「⋯⋯それは、ああ。⋯⋯俺のだ。⋯⋯⋯で、青二才とは上から目線だな、何処でそう判断しやがった?」((見たところ自分よりも若そうな見た目の癖に、何を偉そうに。俺に何の経験が足りないって言うんだ、と激昂しながらも巾着を掴み、奪い取るように引っ張った。   (7/8 23:45:25)


外/セシル > ……それだけ大事なものをその辺に落とす。拾ってやったのにも関わらず礼儀知らずにも程があるその対応。…………─────逆に問うが、そんな貴様のどこが〝未熟者 〟じゃないと言うのだ。 ( 奪い取られても表情ひとつ変えやしなかった。ただ、微笑んだまま目を伏せて、立ち上がる際にスカートを払いながら言葉を静かに紡ぐ。読み聞かせをする母親のように優しく繊細で、何かを傷つけるなんて到底予想も出来ないような声色に。ひとつ確かに冷たさ孕む絶対零度。彼女は貴方を見やり、目を細めた。品定めをするようにつま先から頭のてっぺんまで見やってから続けて紡ぐのは。「……………──────嗚呼、嫌な男。」 正しくは、…〝嫌な人間 〟。これはあなたに限った話じゃあない。彼女にとっては、人に生まれただけで、〝大罪 〟 なのだから。 )   (7/8 23:58:34)


「置いていただけだ、拾ってくれと頼んだ覚えもねえ、最初に余計な一言を付けたのはお前だろうが、⋯⋯⋯⋯っちっ、くそ、調子狂うな。」((なんでこんな事言われなきゃならねぇんだ。傍から見ればお互い様でしか無いのだが、アスランの言い分は、最初に喧嘩を吹っ掛けたのはお前だろ。という結論に至っていた。⋯確かに大事なものを拾って貰ったのは⋯疑いようのない事実でもあるし、勢い余って言い過ぎた様な気はしなくも無い。罰の悪そうに巾着を肩に掛けると、片手をポケットに突っ込んで足を開き、口元をへの字に歪ませて息を吐く。一言謝罪して立ち去るつもりだったが、観察するような視線を向けた後に呟かれた一言に、顬に青筋を浮かべて静かに腸を煮えさせた。)「⋯⋯⋯───あぁ?こっちの台詞だ、心底嫌味で嫌な女だな。二度と目の前に現れるんじゃねぇ」((売り言葉に買い言葉。はっ、と吐き捨てるように表情を歪ませて見下ろすと、これでもかと暴言を並べ、そのまま踵を返しその場を去った。ムカムカする胸を押さえつけようと、取り出した小さな箱を軽く振り。一本飛び出した煙草を咥えると、マッチを擦って火を点けた。)「⋯⋯生意気な女は嫌な奴ばかりだな。」((───いや、そうでも無いか。ぼそりと零れた悪態を、心の内で否定すると綺麗な天の川を見上げるアスランだった。