この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ライラ&雅螺&アスラン

夏の三角形

マリア/ライラ > (ボウ、と汽笛が鳴り響く。黒い煙を吐きながらシュ、シュ、と進んでいくのはここ数年で発達し、大陸中に導入されるようになった蒸気機関車だ。はじめて乗る汽車の中でライラは少し緊張していたのか、軽く周りを見回した。丸くカーブを描く天井は方舟のようで、ずらりと並んだ星空の窓は潜水艦のようだった。そして向き合うように列を成して設置された硬い木の椅子。目の前に乗り合わせた尊華人の男に思わず声をかけたのも、そういった高揚感からだったのだろう。)「……便利ねえ汽車って。以前は国を跨ぐのに数日かけていたのがばかみたい。ふふ、あなたも帝都へ?」   (7/7 22:36:53)
マリア/ライラ > (精悍で整った顔の男は、自分とそう変わらない歳だろうか。どこかで会った事があるような気もするけれど、まあヨズア人の自分にとっては外国人の顔の区別がつかなくても仕方がないだろう。もう足を洗ったものの、もともとの生業が染み付かせたお喋りはそうそうやめられるものではなかった。金のある男と見ればするりと懐に入り込むようなクセ。ライラは、つい最近までは娼婦をしていた。)「……あたしは師匠に会いに行くの。あ、ええと……そう、占星術師なんだけどね。」(さすがに魔術師だと簡単に明かしてしまうのは危険だろう。ふいと顔を逸らし、窓の外を眺めながらそう続けた。)   (7/7 22:36:57)


極夜@雅螺 > 「うん?嗚呼、そうだね。随分効率を追求したものだ、其の代わりに星空が曇っても誰も文句は言えないな」(微かに割れた音を伴侶に吐き出される濁った煙。窓の外を流れて行く微かな副流煙を眺めながら、不意に耳を撫でた声にちらりと視線を上げた。尊華ではあまり見ない、妖艶な顔立ちの女性。片手で広げて読んでいた文庫本サイズの資料本をぱたんと閉じ、窓に引っ掛けるような姿勢で付いていた頬杖を解いて口を開いた。もう直ぐ満天の星に見惚れる季節だと言うのに、追求の末の黒煙は空を焦がしているようで、理想主義者が目にしたならば眉を顰めてぴいぴい泣き喚くのだろう。底のない笑みを引き裂くように描き、隣に置かれた古い鞄を引き寄せ)「俺も帝都行きだね。知人……まぁ、膨大な価値を秘めた星雲を昇華させる手伝いにね」(──さて、彼の研究は何処まで進んでるのかな。偶にはゆっくり進捗でも読み聞かせて貰いたいものだよ。僕が見た中で一等優れた星雲。一等星まで道は近い筈だ──再び本を開いて目を落とした所で耳朶を擽った彼女の言葉に、す、と目を細め)   (7/7 22:56:38)
極夜@雅螺 > 「へぇ、占星術士……奇遇だね、僕が会いに行くのも其の類の人間だ。師匠というからには、汝が会いに行く占星術士も中々の腕があると見た」(くつくつ、くつくつ。喉の奥で鳴らしたような、引っ掛けた笑い声。貶している訳ではないのに其の笑みは心の奥に引っ掛かる。嗚呼、どうか気を悪くしないで。あの星の仔の研究が如何なっているのか、気にならないなんて言えないんだ。ゆるりと姿勢を整え、鞄を落とさないように抱え直し)   (7/7 22:56:47)


マリア/ライラ > 「そうね、王国の空はここよりいくらか曇っていたわ。でも尊華はまだましよ。」(本をぱたんと閉じてこちらの問いに答えてくれたあなたの顔を見てにっこりと笑った。印象的な赤い瞳がどこか引っかかる。)「そう、奇遇ねえ。同じ人かもね、なんて……さすがにないか。高名な星詠みならわたしもそのはしくれとして名を知っておきたいわね、その方、名はなんて――」(言いかけたところ、カーブもないのに汽笛がボウと鳴った。がたん、と枕木を越した衝撃で少し身体を揺らしてしばらく外を眺めていると、汽車はゆるゆると失速してゆく。)「えっ……?」(汽笛を鳴らしながら失速して止まった汽車に、何があったのかと窓を上に押し開けて見を乗り出した。たしか、この先は橋になっていたはずだったのだが。)「……うそうそっ、やだ……洪水?……橋が……ないんだけど。え~…最悪っ……。ねえ……?」   (7/7 23:07:16)
マリア/ライラ > (窓から乗り出していた身を車内に戻すと、あなたへ振り向いて言った。あまりにも短期間で敷かれた蒸気機関の設備は、完成を優先させる為に様々な工夫が成されていた。例えば交通量の少ない田舎は避けるであるとか、枕木にそのまま丸太を使用するだとか、トンネルを掘るために魔術師を雇い、山ごと崩れさせてみたりだとか。……依然、荒削りなのだ。この橋もそうであった。低水位の状態では橋として使えるものの増水時には水面下に沈んでしまうようにあえて設計されたこの橋は『沈下橋』と言った。とりわけ尊華の架橋技術はまだまだ未熟で、洪水でも壊れないように橋をかけることが難しかった為、あえて増水時に沈む高さで橋を造って流木などが橋の上を流れていきやすいように工夫されており、かつ低廉な費用で速やかに作る事が可能であった。たとえ技術面で王国に劣っていても、そうして尊華は今の今まで栄えている。伝統を壊さぬ尊華のやり方。またの名を、地獄橋。……しかし、ライラはそれを知らない。)   (7/7 23:07:20)
マリア/ライラ > 「……は~~ッ……あなたも困るわよね。どうしようかなぁ。泳いで行くって訳にもいかないし……。しょうがないわね、今日は雨だもの。」(すとんと椅子に腰を投げ出し、足を組んで居直りを決め込んだ。あなたの言う通り黒煙のせいでよく見えないけれど、きっと天の川もない。”ベガ”が嫉妬して、師弟の再会を阻んでいるのかも、なんてとある伝承を思い浮かべながらくすりと一人で笑った。馬鹿ねえ、あたしたちは、そんなんじゃないのに。魔術かなんかを使ってどうにかできないかなぁ……と心中で独り言ちながらも、さすがにあんなに輝く一等星を落とすのは師匠ですら難しいだろう。なに、人の恋路を邪魔する気まではないのだ。あなたも不運ね、織姫星様。)   (7/7 23:07:25)


極夜@雅螺 > 「未だマシか、嫌に哀しい台詞が出て来るものだ。姫君と牛飼の逢瀬の日に空を燻さなくても良いだろうに」(ふわふわ、星空の中へ消えてしまいそう。理想を語る真意のない口調。勿論嘘だ、織姫だの彦星だの、興味もないし如何でも良い。御生憎様、此方は短冊に平和の祈りではなく嘘と誑かしばかり書き付けるような人間だ。技術発展の証の汽車も、きっと嫌いではないのだろう。ただ、何時かあの空を曇らせるのだと思うと、何度か乗っている黒い乗物の評価は"嫌いではない"で、止まったままだ)「うん?嗚呼、確かアキラ、だったかな。暁と書いてアキラ。──おっと、」(──星読同士、繋がっていられるのは良い事だよ。より自分の力を磨くなら、煌めく星をただ眺めるだけじゃいけない。憧れた星を調べてしまわないと。得るべきものは見て盗め、と……いやいや、まさか同じ相手だったなんて偶然があったら、今日ばかりは星に祈ってやっても良い位だ──裏を覗き込もうとすれば帰って来られなくなってしまう。そう錯覚させる底無しのにやにや嗤い。が、不意に引っ込んだ。突然の揺れに目を瞬かせ)   (7/7 23:26:58)
極夜@雅螺 > 「増水したな。天を揶揄い過ぎたか、天の河がお怒りのようだ。……いや、増水すると態と沈むんだよ。尊華は橋を安全に架けるには未だ少し早いからね。其の方が流木やら瓦礫やらも橋に引っ掛からずに済む──が、如何したものかな」(一応、魔術を使えばある程度道を割る事は出来るかもしれない。だが、初対面の相手の前で魔術を披露する程能天気でもないのもまた確かだった。一先ず支援物資を水没させる訳にはと鞄を膝の上に上げ、長い息をゆっくり、細く吐き出して頬杖をつき直す)「とんだ災難さ。余程星通いを邪魔したいらしい」   (7/7 23:27:08)


マリア/ライラ > 「――アキラ?暁……ふぅん。」(その名がライラの耳朶を擽ると、ごくりと喉を鳴らした。自分の師匠も"暁"の意味を持つ字で、なんという奇遇だろうと。ヨズアの言葉で、夜明け。星詠みの考える事は皆一緒なのだろうか、その暁先生とやらとアスランを会わせたらどうなる事だろうと頭を掠め、目を細める。そして、停止した汽車。あたし達の待ち人もまた、引き合わせる事は難しいようだった。)「”天を揶揄い過ぎたか”…ですって?ふふっ……面白いのねぇ、さすがは尊華の人。そう、わざと沈むようになっているの。……流れに任せてってところ?尊華の技術って、水のようね。流動的で、融通があって。……ねえ、変な事聞くけど、あたし達どこかで会った事あるかしら?」   (7/7 23:54:49)
マリア/ライラ > (あなたの整った顔もそうだけれど何よりも、今まで一番引っかかりを覚えたのは機知に富んだ言い回し。"言葉を識る者"――魔術師として、強い魔力を感じる言葉を紡ぐ者のことは中々忘れる事はできないものだった。気の所為だろうかと思いながらも、思い返すのは三年程前、通り雨の日に出会った客の一人。名前は……忘れてしまった。覚えているのは紡がれる美しい言葉選びと、牡丹の刺繍の手ぬぐいと。刺青を見せようか、いや、人違いだったら……と逡巡していると、また汽車がしゅ、しゅ、と息を吐きながらゆっくりと走り出した。)「……えっ。」(機関室で何が起こっているのだろう。すぐに止まればいいがと心配そうな顔で窓の外へ顔を出すと、汽車はどんどん地獄橋へ突っ込んでゆく。)   (7/7 23:55:01)
マリア/ライラ > 「ちょ、ちょっと……どう……」(咄嗟にどうにかしなければならないと思い突破口を探す。目に飛び込んできたのは、進路を変更する分岐器だった。あれを押せば汽車を曲げられるが、進みだした汽車を降りる事はもうできない。)「……」(ごくりと生唾を飲み込んであなたの顔を見たあと、ふーっと息を吐き出してライラは腹をくくった。驚かないでね、と一言、呟いた後。)「刹那の暁を我望む 夜闇を照らし導く主に 今共に祈らん 幾星霜の時を駆ける旅人よ 我等の声を聞き届け給え 神聖なる煌めき 新星の輝きよ 神よ降りろ 星よ墜ちろ 夜闇戻りて暁星は二つ 夜の声を聞け ダー・ニト・ロロイ・ライラ」   (7/7 23:55:09)
マリア/ライラ > (数秒。夜の静寂を切り裂いて、4,5センチほどの小さな星が降り注いだ。目指すはあの分岐器。うまく命中すれば……。しかし、煙で星が見えない事が災いしてか、こつ、こつ、と隕石はレールの上を弾くのみで、汽車は依然速度を増していった。)「……あたし、機関室に行ってくるわ!!」(ライラはうだうだと悩む事が嫌いだった。魔術を見られた事など、後でどうとでもごまかそう。すっと立ち上がり椅子と椅子の間を足早に進んだ。進む汽車の方向と同じ先頭に向かって。)   (7/7 23:55:13)


極夜@雅螺 > 「星読らしい字だと思うけれど。思う所でもあったかい?」(──暁。随分洒落た字を付けたものだ、硝子の細工に花一輪挿しの良い響きじゃないか。さて、然し此の様子だと何やらありそうだ。同じ名前、だったら本格的に奇遇以上のものを疑うけれど、ま、世界は存外狭いものだよ──微かに曇った窓から覗く世界が静かに止まる。如何やら汽車は一度足を止めたらしい、はてさて、星の逢瀬を妨げる事態を如何するつもりなのやら。そこそこの緊急事態ではある気がするが、水場が近いから危険が迫っても独壇場程度には引っ繰り返せるだろう。思考の海にずぶりと浸かり、脱出と連絡の算段を付けながら、貴女の耳触りの良い声に視線を緩く上げ)「水か。近いかも知れない。染まりながら流れを貫いて尊華は生きて来た。随分古い時からね。──へぇ?僕と汝が?さて。……如何だったかな」(何時も通り、へらりと歪む口許、きゅうと細められた赤い瞳が逆光に仄暗い色を宿す。残虐な程無関心な笑みを気怠そうに描き、曖昧にただ、濁した。凍った笑顔の残滓は、動き出した汽車の揺れにぱっと散ってしまったけれど)   (7/8 22:36:01)
極夜@雅螺 > 「……ヨズアか。──いや、ちょっと待った、……聴いていないな」(ダー・ニト・ロロイ。シュクロズアの一件から数年経つが、久々に其の詠唱を聞いたように思う。途端、降り注ぐのは小さき星々。幼き星であれども輝きは変わらず、如何も分岐器を押そうとしたようだが。機関室へと過ぎ去ろうとする後姿を呆れたような、──愉悦に浸るような瞳で眺め、重い腰を上げた。手っ取り早く彼女の足を止めるには、声では足りない。なれば言葉で、其れが我等魔術師でしょう?)「──蒼の始祖、我が声を聞け。応えるならば平伏させよ。清き浄土より聞き届けたならば、御力を示し給へ。示さずは汚辱、示すは誇り────貴き神、此処に在りて」(座ったまま、口遊むように呼び寄せる。途端、貴女の目の前に細波ひとつ。ざあ、と波紋を作りながら貴女の足元を濡らし、貴女が其の儘走ろうとするならちょっとした浅瀬のようでもある水が足を止めさせるだろう。勿論、其の前に気付けばそんな事はないだろうが)   (7/8 22:36:19)
極夜@雅螺 > 「大丈夫だ。其処まで浸水していない。汽車自体が馬鹿になっていない限り、沈むなんて事はないさ。寧ろ、無理やり足止めして帝都に行けない方が大問題だ」(すぅ、と目を細め、相変わらずにやにやと浮かべる笑みに真意も誠意も存在しない。戻っておいで、とばかりに手招きし)   (7/8 22:36:27)


マリア/ライラ > (足早に駆け出しはじめたライラの歩を止めたのは、低く響く小さな声――否、言葉であった。揺らぎを感じる旋律が腹の底で渦のように響く。正しく、それは魔術であった。口遊むような捉えどころのなく美しい一節が流れる。こぽ、ちゃぷ。ざあ……と、波がライラの足の爪先を包んで濡らした。)「……あなた……」(長い黒髪をぱさりと靡かせて振り返る。にやりと弧を描く弓張月の笑顔が、何も言わずともあなたの余裕をまざまざと見せつけていた。手招きされれば席に戻り、あなたの顔をじっと覗き込み、疑問を投げかけた。)「魔術師なのね。……狭いわ、世界って。ええ、浸水はしないとしても、汽車のスピードによっては火室に水が入る事も考えられる。火というものは心許ないわ、吹けば消える、水をかければなくなる。わからないけどね、機械のことはあんまり。……でも、考えがあるのね?」   (7/8 23:09:40)
マリア/ライラ > (帝都に行けないほうが問題だ――と言われ、自分の中に押し込めていた気持ちが湧き水のようにごぽりと音を立てる心持ちがした。「仕方ない」と腹をくくったふりをしながらも、初対面かもしれない人間の前で魔術をひけらかし、機関室に駆けだす程度には焦っていたのだろう。今日を逃したら、次に会えるのはまた一年後。何故来れないのだろうと思い巡らせひとり待つ師匠の事を考えると、せめて会えない事くらい報せてやりたかった。あなたの弟子であることを、辞めたわけじゃないのよ、と。)「……師匠とは年に一度だけ会う事にしてるの、ちょっとした事情で。……今日会えなかったら心配すると思うわ、あたしに何かあったんじゃないかって。」(睫毛を上下させてあなたの顔を見る。男に助けを乞うなんてみっともない真似はしたくないわ、とは思いながらも、固唾を呑んであなたを見つめるその瞳には、確かに期待と尊敬の色が浮かんでいた。同じ魔術師なのだから、目の前のこの男が優れているかどうかくらいなんとなく解る。)   (7/8 23:09:46)


極夜@雅螺 > 「下手に魔術を明かすべきではないさ。ただ、汝は相当焦っていると見た。──ふむ、ま、考えというには少々力技だけれど、帝都に行けないのは困る。さて、他言無用だ。大規模な魔術だからね」(──汽車は火を使わなければ進めない、か。僕も其処まで機械には詳しくないけれど、尊華が使い出して間もない汽車が浸水に強いとは思えないな。火室を守るのは酷い無茶だよ、ならまぁ、邪魔な泥水は。…………割ってしまえば良い──にた、と笑みが咲く。裂く。咲いて、朧に見える橋の両端に流れる水に標的を変えた。橋を渡りたい。其の為には周囲の水が邪魔だ。一方、橋の浸水は僅か。恐るべきは橋の周囲に渦巻く水が雪崩れ込む事。ならば水を避けてしまいましょう。そうすれば浮き上がった橋の上を、危なげなく渡れる事でしょう。底知れぬ思考の奥で言葉を即座に練り上げ、ぴっ、と指で窓の外の大河を指差した。あれ程の量を避ける激流、となると詠唱も大規模になる。だが侮るなかれ、此れでも7年の間、元帥を勤め上げた身だ。一年に一度きりの星の出会いを阻む大河ひとつ、指先に納めて見せましょう)   (7/8 23:53:04)
極夜@雅螺 > 「──皇たる蒼よ、猛くあれ。水面に咲く清き雫よ、穢れを赦さぬならば勇み祓う力であれ。碧水の清流濁りを打ち、万象を濯ぐ刃となる。我が願いを聞き届け、我が声に応えよ。怨敵総てを斬り開き、三千世界に蜷局を巻くは功徳の激流。……祓い給ひ、清め給へ。守り給ひ、幸い給へ。望むは当千、いざ来たれ、いざ見せん。害為す者を打ち破り、先の道へ導かん。怨敵は我が前に、凡ゆる穢れを我は赦さじ。最も静穏なる神、最も清き神、──故に最も猛き神、我が神は此処に在りて────断絶せよ!」   (7/8 23:53:17)
極夜@雅螺 > (長い長い、言の葉。紡ぎ終わった直後に大きく柏手を打ち、其の儘ぐい、と割り開くように腕を広げた。……刹那、橋の両側に、まるで橋に近付く敵を跳ね除ける防壁のように激流が生まれ落ちる。其れは道である。橋が終わる場所まで続く激流に阻まれ、汽車が突き進む橋が浸水した水面から守られた。白波を立てて荒れ狂う激流をじっと見詰めながら長く息を吐き、微かに浮かんだ汗を乱雑に拭い)   (7/8 23:53:26)


マリア/ライラ > (『他言無用だ。』――にやりと咲いた笑みと共に告げられたその言葉は、どこか秘め事のようであった。上流階級である事を思わせる美しく長い指先が濁流を指させば、ライラもそちらを見て固唾を呑んだ。ひとつも力んだところのない、流れるような詠唱。涼しい風が吹き抜けて、ざざ、ざざ、と水が、波が、あなたの従順な眷属となってゆく。ぱちんと両掌が合わされ、離れる瞬間……産まれた水の壁は――絶景で、あった。)「…………すごいわ……。」(ライラはもはや子供のように、そう言うしかなかった。汽車はそのまま突き進み、危なげなく橋の中ほどへ渡った。興奮したまま窓の外へ顔を出すと、滝の前にいるかのように細かな飛沫が顔に当たった。)   (7/9 00:52:05)
マリア/ライラ > 「……あはっ、涼しくて気持ちいい!……ねえ、あなたって何者?すごい人と巡り合っちゃった。⋯汝と我の星回りに、祝福を。」(にっこりと弾ける笑みを浮かべてそう口にした。誰かさんの言いそうなせりふ。十年もの間行動を共にして受けた影響は、そうそう抜けるものではなかった。)「もう帝都に入ったかしら。榮郷駅までもう少しあるわね。……お話しましょ。あなたの話が聴きたいわ。構わないの、嘘でもなんでも。」(椅子に座り直して足を組むと、膝に両手を置いてそう告げた。やっぱり『会った事がない』なんて嘘でしょう?シュクロズアの降臨したあのシントでの戦いの日以来”踊り子”からはきっぱり足を洗ったのだ。――最後の客を、忘れるわけがない。)   (7/9 00:52:10)


極夜@雅螺 > 「此れだけ大規模に使ったのは久しい。全く、手間を掛けさせるものだ、流水のように従順にいられないものかな」(割り開かれた道をするすると走って行く汽車が渡り終えた場所から、元のように、まるで其処では何も起きていなかったかのように、荒れていた波は静かに失せて行く。心地の良い揺れに身を任せ、んー、と意味もなく声を零しながらゆるりと視線を動かした。相変わらず笑顔に底なし、真無し、落ち所も無し。三日月型にくり抜かれた口から、愉しげに布をざらりと擦るような乾きを帯びる笑みを溢し)「あまり顔を出していると濡れるよ。……さて?何者だと思う?何者でもないさ、ただの一般人だ。ま、昔軍部のちょっとした手伝いはしていたけれど」(──ふむ?話し相手か、純粋に、本当に話がしたいだけ、のようだ。まぁ、此処まで尽力したんだ、対価代わりに時間を貰おう。宝石一粒より星と語り明かす夜の方が余程価値があるものだよ──ぞっとする。そんな感覚を覚えるかも知れない。ただ、石榴の赤を宿した瞳で貴女を見詰めているだけなのに。何か秘められた意思がないかと詮索する赤は知らず、人の背に氷を流すらしい)   (7/9 01:10:04)
極夜@雅螺 > 「丁度暇をした所だ、願ったり叶ったりさ。……ん?僕の話、僕の話ねぇ。御生憎様だが、人に語れるような話種は持っていないんだ。何か聞きたい事があるなら答えても良いけれど」(数多を惑わし、欺き、嘘八百で話を濁す。あら、何の話だったかしら。嗚呼そうそう、こいつの話。けれど御生憎、話の種がないのは本当だ。笑ってしまう、一般人だなんて。今は一般人に違いなく、軍部で手伝いをしていた、というのも事実。手伝い、と言っても戦場に舞う兵士達に氷にも似た助言を囁いて人を殺す為の手伝いをしていたのだけれど。そんな事は噯気にも出さず、へらりと肩を竦め)   (7/9 01:10:12)


マリア/ライラ > 「軍部?……って、帝國軍かしら。そう……。ううん、平気よ。あたしは単にあなたに興味があるの。聴きたい事は山程あるから安心して。じゃあ、まず――……」(それから榮郷駅につくまで、いくつか質問をしたりした。流石は尊華の人間、いや、きっと違う。速い回転を伺わせる切り返しも、飄々とした態度も、あなただからこそのものなのだろう。ひらりひらりと的を射ない答えではぐらかされようと、ライラはそれを、あなたに翻弄されることを楽しむだろう。あなたが本音や本質を話す事を避けているのはなんとなく解ったけれど、少なくとも『そういう人間なのだろう』という事実は充分に解るのだ。話せば話す程、底なしに思える謎があなたの瞳をより紅いものに感じさせたけれど。)   (7/9 01:42:14)
マリア/ライラ > 「……あ、」(かたん、かたん、と汽車が失速し、ぼう、と汽笛が成る。いつの間にか汽車は駅に着いたようだった。)「……は~、楽しかった。素敵なものも見られたしね。……ありが……ん?」(窓の外を見ると、人混みの中に特徴的な羽のついた飾りが揺れるのが目に入った気がした。これから会いにいくという状況のせいで頭にあったから、誰かを見間違えたのだろう。そう思いながらもう一度その姿を探すと、長い髪を一つにまとめた髭面を、今度は間違いなく捉えた。)「……アスラン!……あ~。あれ、あたしの師匠よ。言ってたでしょう。」(不躾にも指さして、軽い笑みをあなたに向けた。)   (7/9 01:42:39)


極夜@雅螺 > 「ふむ。着いたか。恙無く着いたようで何よりだ」(嘘を千個付きました。真は何も言わず、ただ嘘ばかり吐いて、本音も事実も全部覆い隠してしまう。嗤っているのは嘘だと解っても話し続ける綺麗な花を嘲笑う為?否、否、そんな事如何でも良い。きっと其れも嘘なのでしょう。本当は何処に隠れてしまったのか、己でさえ把握していないのだから。──さて、予定より時間は掛かったが到着したようで良かった。解語の花の時間を貰って浪費する贅沢も楽しめた事だ、充足充足。存外人と話すだけでも時間は駆け足になるものだよ──)「いや、俺の方こそ。──へぇ、迎えかい?熱烈な事だ、…………暁じゃないか」(珍しく吐いた素直な一言だけが砂金の真実に化けてころころ転がって行く。軽やかな乙女の微笑みに釣られて向けた視線の先、否、まさか、とは思っていた。だが、星読である以上関係する名前を付けたがる者は多い。偶然、奇跡、運命。何一つ信じた事はなかったから、きっと余計に。内から殴られたような驚愕に、思わずぽつりと零れたのは側から聞けば訳の分からない一言だけだった)   (7/9 01:56:37)


シロー/アスラン > (〝⋯遅い。〟構内に設置してある時計を何度も見遣りながら、そわそわとアスランは人混みの中で身動ぎした。普段は落ち着きのあるアスランだが、一定のリズムで床を踏み足を鳴らしたり、腕を組んだり下ろしたり。極めつけに数十秒に一回程の頻度で時計を見る様子はアスランがいつも通りではないことを意味していた。⋯⋯思えば最初は嫌な予感から始まった。今日は一年に一度の七夕の夜だったが、満天の星空は運悪く曇って星の光を遮っていた。不吉な兆候がどうしても気になるのは星詠みの性かもしれないが、それもあってかどうにも相棒が気になった。七夕の天川をちゃんと渡れたか不安で、とは口が裂けても言えないが。居ても立っても居られずアイツが通過するであろう榮郷駅へとやって来ていた。⋯⋯案の定か、運行ダイヤ通りであれば既に到着している筈の汽車は30分以上遅れており待ちぼうけを喰らい、時刻は日付が変わるまで1時間を切っていた。)   (7/9 02:42:44)
シロー/アスラン > 「⋯⋯くそ。」((まだか、まだか、もしもアイツに何かあったら。イモータルという化物が現れるようにもなったようだし、考えれば考えるほど心配と不安の種は流されてはくれず。双葉を出し始めた焦りに口元を歪ませた所で、遠くから汽笛が聞こえてきた。はっ、と顔を上げて線路の先を見る。人混みの多くも同じ方向を向いており、暫くして汽車の前面灯の輝きが構内へと差し掛かり、思わずほっとしてしまった。まだあいつが乗っているとは限らないのに。汽車がスピードを下げ、蒸気を噴き上げながら侵入してくる、流れる窓一つ一つをくま無くチェックしていたアスランは、目の前を見覚えのある黒髪が通り過ぎた瞬間に気づいた。はっ、と流れる一つの窓に視線を合わせれば、何やらこっちを見てライラが笑っていた。当たり前のように普段通りに。アスランも気付かぬうちに目を閉じ、口元に穏やかな笑みを浮かべた所で、通り過ぎた窓に追い付こうと人混みを縫うように横切っていった。⋯⋯暫くして止まった汽車、ライラが居たのは二号車の3つ目の窓だった。   (7/9 02:42:46)
シロー/アスラン > 半身になったり無理矢理押し通ったりと何とか通り抜け、お目当ての窓の目の前にやって来た所でアスランは眉を八の字に歪め、表情を怪訝なものに変えた。開いたアスランの口から「は?」という疑問の声が漏れている事は、窓の内側からでも読み取れただろう。程度は違えど長い付き合いである二人には。)『⋯⋯おい、開けろライラ。⋯⋯雅螺、おい、』((外から窓を叩くアスランの口がぱくぱく、と動く。何を言っているか、二人に読み取れるかは分からないが、直ぐに我慢出来なくなったらしく窓に掌をくっつけると、指紋がつくのもお構い無しに指の力で窓を上に押し開いた。鍵が空いていて助かった。)   (7/9 02:42:58)
シロー/アスラン > 「⋯⋯⋯久しぶり、だな、ライラ。⋯⋯と、雅螺。」((窓を少し開けると隙間に手を突っ込んで窓を限界まで押し上げ、固定した状態で身を乗り入れるかの如く顔を近づけた。まずライラに視線を向けてから、そのままゆっくりと雅螺へと流し。二人をちらちら、と何度か交互に見遣り関係を確認するかのような行動を取ってから、心底不思議そうに瞳を細めて一番の疑問を口にした。)「⋯⋯⋯⋯お前ら二人、知り合い⋯だったのか?」   (7/9 02:43:09)


マリア/ライラ > (『――暁じゃないか。』目の前の男が発したその一言だけ、今までのような揶揄う響きを持っていない事にはっとして、ライラは瞳孔を開いてそちらを見た。彼の表情は決して読み取りやすくはなかったけれど、ほんの一瞬だけ、シンメトリーな口角が描く完成された笑みが、ふっと素に戻るのを見逃さなかった。暁って?あなたの例の待ち人も居るの?そう口にしようと窓の外へ向き直れば、ずんずんと近づいてくる師の姿があり、それは自分にではなく〝自分たちに〟近づいてくるのが解って――)「……まじ?」(まさかとは思ったけれど、そのまさかなのだろうか。ライラはアスランが汽車のホームで口をぱくぱくと動かし、窓を叩いている間中俯いて肩を震わせていた。アスランが窓を開ける0コンマ数秒前。ライラは雅螺のほうを向き片目を閉じて合図した。『話を合わせてね』、と。)   (7/11 21:01:11)
マリア/ライラ > 「久しぶりね、先生。……知り合いかって?紹介するわ。こちら、主人のガラ。あなた達こそ知り合いだったの、へえ、そう。」(アスランが呼んだ名前をそっくりそのまま反復しながら、彼の真似をして嘘をついてみせた。特に理由はないけれど、だって〝面白そうじゃない。〟ガラ、へぇ、あなたそんな名前だったっけ。あぁ、言われてみればそんなだったような気もする。なんて思いながら。)   (7/11 21:01:24)


極夜@雅螺 > 「まさかとは思ったが……世界は狭いものだ、箱庭の中の御遊戯でもあるまいし」(世界というのは案外ちっぽけ、小さな箱庭で偶然と巡り合う事もあるでしょう。けれどまさか、其れが自分にも降り注ぐとは。綻び掛けた笑顔は忽ちの内に繕い直され、きゅ、と再び口角が引き上がる。綺麗に整えられて醜い惨劇を描く箱庭。なんて滑稽なのでしょう、そんな御庭でこんな巡り合わせが起きるなんて。楽しいこと、興味のあること、ええ、大好きですとも。近付いて来る嘗て"星雲"と思った人影が窓を開けるよりほんの少し早く、妖しい片目がぱちんと星を溢した。金平糖の欠片のような、星の砂のような無邪気な瞳。悪戯っぽい仕草に、自然と目を細めてゆるく笑みを返す。彼女の"先生"は己の支援する星の種だったらしい、さて、彼女はどう立ち回るのだろう。肩肘を窓枠に付いて、紡ぎ出される言葉を待った。──おっと?そう来たか。主人、主人ねぇ……修羅場ってやつにならないかい?其れ。いやいや、勘弁してくれ僕は修羅場を見るのは好きだが巻き込まれるのは専門外だ。……嘘嘘、きちんと協力するさ。僕の"愉しみ“の礼だ──)   (7/17 22:07:11)
極夜@雅螺 > 「やぁ暁。ちょっとした事で此処まで遅れるとは、汽車も案外頂けない。……さて、僕の妻の先生だったとは。妬けてしまう。いや嘘、取り敢えず今日持って来る分は持って来たよ、"せーんせ"?」(嗚呼、なんて事。随分な嘘をつくんだね、貴女は。目の前の相手の心が手に取るように理解出来る。意味分からん。正解じゃない?あ、違う。あ、そう……。兎も角、貴女の"嘘"は滑稽で、心の奥底を擽った。誰にも理解出来ない、理解してはいけない愉悦の壺。蓋を開けてはいけない禁忌の心の隅。我儘に生きていたいから、もっと我儘に世界を見詰めていたいから。解き放たれた自由が愛する愉悦は誰にも理解出来やしない。心底可笑しい、湧き上がる笑みに身を任せて甘ったるい笑みを"奥さん"に向け、しゃなりと窓にしな垂れ掛かって巫山戯たように暁さんに呼び掛けた)   (7/17 22:07:25)


シロー/アスラン > 「⋯⋯え⋯。」((咄嗟に、信じられないと感じてしまった。星の数程ありそうなライラの夢の一つに、自分より強く金持ちの男と結婚する、というのがある事を思い出した。目を輝かせて宣言していたライラの瞳は今思い出しても本気の色をしていた気がする。何もおかしい事では無いのに、それなのに信じられないと感じてしまったのはなぜか。ひとえにアスランが信じたくなかったのではないか、その事にすらアスランはまだ気付けずに、ずん、と胸が沈むような感覚のまま。彼らしくない気の抜けたように吐露された息音を最後に、暫く口を開けたまま静止した。窓を押し上げた腕から力が抜けないように気をつけながら、ライラの紹介に合わせて雅螺へと視線を動かす。今度は雅螺の言葉に合わせてライラへと顔を戻したが、その表情には明らかに影が差していた。「そうか⋯⋯。」と口にしなかっただけマシだったかもしれない。   (7/18 03:12:33)
シロー/アスラン > 伏せられた瞳に何を映したか一瞬の沈黙が支配する。どんよりとした空気を仕切り直しとばかりに肩を揺らして「はっ」と強く息を吐き捨てて、僅かに口角の片方を上げてライラを見遣った。不器用に歪んだ笑みだった。)「⋯⋯はっ、良い夫を捕まえたじゃねぇか⋯⋯ライラ⋯⋯。⋯夢が叶ったな、他に叶ってないお前の夢、何があったっけな⋯⋯。」((心ここに在らずと言った状態で、視線を上へ飛ばしながら考える素振りを見せた。淀んだ空気を戻そうとしたのがあからさまに伝わる声色と間延びした声を最後に、歪んだ口元が元に戻る。ライラの夢とやらを思い出していると取られそうな中でアスランが考えていたのは全く別のこと。〝魔術が以前のように使えるようになった〟、〝また魔術を教えられる〟、今日会ったら言うつもりだった言葉達がぐるぐると巡るものの、この状況で言える訳がなかった。   (7/18 03:12:34)
シロー/アスラン > 思い出されるのは、3年前の夜。海に浮かぶ小舟と、一瞬の交錯。毎年会う度に巡った思い出が今年もまた巡る。一昨年は、去年は───今年、〝やっと⋯⋯〟。そこまで考えた所で、表情に再び鉄仮面を貼り付けた。⋯⋯考えても仕方ない、結局の所俺はこいつの先生、それはライラがどうなろうと変わらない筈だ。雅螺に視線を向けると普段通りを装った仏頂面で呟いた。)「⋯すまん、雅螺。俺とライラは昔一緒に旅をしていた仲でな、今日はコイツと約束があるんだ。ちょっとライラを借りてくぞ。」   (7/18 03:12:45)


マリア/ライラ > (ガラと呼ばれた向かいに座る男の見事な芝居を見て、ライラは腹を抱えて笑い転げたい気分だった。最高すぎるでしょ、この人……。極めつけに向けられた甘ったる〜〜い笑みには思わず『ふッ』と息が盛れ、危ない危ないとばかりにこちらも貌を取り繕う。もっとも、恋愛じみた熱こそないものの二人でこそこそと秘密の企みを共有している事に変わりはなく、もはや取り繕うまでもなく察しの良いアスランになら『二人の世界』が見えるだろうか。只二人の間を包むのは甘い桃色の空気ではなく、子供のように天真爛漫で我儘なオレンジ色の空気、とでも言うようなものであったが。清らかに白む朝焼けとも、妖しげに色を濃くする夜とも違う、一瞬で過ぎ行く夕陽のような。二人のやりとりをしばらく見ていたライラだったが、口に携えた笑みはそのままに少しずつ肩が震え、段々と堪えきれなくなってきつつあった。)「……っええ、そうねえ。夢みたいな人よ。強くて優しくて賢くて、ねぇ、あなた?……っふ……」(それだけなんとか返事をすると、それからはしばらく俯いて笑いを堪えるのに専念していた。アスランが何か言っている。ガラが、何か言っている。)   (7/18 17:11:08)
マリア/ライラ > 「………く、ふふっ………ぶはッ、もう駄目!あはははは!んっふふふ……あはっ、……あーっはっはっはっは!!!」(とうとう堪えきれなくなって、弾けたようにライラは笑いだした。瞳には涙が滲み、呼吸が乱れるほどひとしきり笑ってもまだ、笑いの壺に入り込んで暫く言葉尻にはけらけらとした震えが残った。)「アキラ、アキラって聞いてられないわよ、もう!そうね暁の名を尊華風に翻訳したらそうなるのかしら?でも……ぷ、ふふっ、じ、自分で言っててなんとも、くふっ、思わなかったの?……だって、ねぇ……ふふっ、ライラとアキラって……あなた占星術師でしょう、ピンと来ないわけないじゃない。偶然にしたって、さぁ。……ねえ?」(夜-Lyla-の意味を持つライラという字。あなたは、暁の意味を持つアスランは、琴座-Lyra-を見る度にそれを思い出すだろうとかつてそう言った。来年、琴座のベガ(織姫星)がはっきりと見えるこの季節にまた再開しようと、この三年間逢瀬を重ねてきたのだ。ならば、ライラの方だってアルタイル(彦星)を見ればアスランを思い出すのは当然のことで。)   (7/18 17:11:47)
マリア/ライラ > (『偶然とはいえなんだかロマンチックな事になってしまった』『あたし達はそんなんじゃないのに』と思った事が無いと言うのは、流石に無理がある話で。鷲座-Aquila(アキラ)-を見る度に、思い出していたのだから。)「はー……おもしろ。」(決してアスランの尊華で使用しているらしい新しい字(偽名?)を聞いたところで、彼と自分の関係が変わるような何かがある訳では無い。自分を想ってその名を名乗るほど殊勝な人物ではない事くらい、付き合いが長いだけあって理解しているつもりだ。ライラはただ、実はかなりのロマンチストである師匠の青臭いセンスに……大爆笑。抱腹絶倒。受けずにはいられなかった。目の前のガラは賢い人物であるように見えるから、わざわざ説明しなくても何となく察してくれるだろう、とそれ以上の捕捉はしなかった。どう、中々憎めないでしょう?この人が私のお師匠サマ。そんな視線を投げかけて。)「あぁ、そうそう、そうなのよ。あなたもアス……アキラ先生に、んふっ、用があったのよね?ごめんなさい、今日は彼を借りるわ。積もる話もあるし。」   (7/18 17:12:17)
マリア/ライラ > (そんな話をしているうちに、嘘の種明かしをするのはすっかり失念しながら本題へと入る。いや、失念していたというより、ここまで笑っているのだから流石に冗談と解るだろうと、鷹を括っているのだ。もしかすれば、誤解をさせたままかもしれないのに。)「――さぁ、そろそろ列車を出ましょう。このままだと倉庫に入っちゃうわ。」(そう言うと腰を浮かせ、座席を迂回してようやく列車の外、〝暁先生〟の前へと来て、再開を言祝ぐような笑みを浮かべた。手は取らなかったけれど、今はそれが『行きましょ』の合図。)「またね。」(振り返り、ひらりとガラに手を振った。あたしが織姫、アスランが彦星なら、あなたはさしずめ、川を渡れず会えない二人を引き合わせてくれた白い鳥かしら。また会いましょう、私のシグナス。)〆【夏の三角形】   (7/18 17:12:44)