この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

火津彌&婀娜

Aの糸

マリア/火津彌 > (王国滞在にも慣れ、火津彌は軍服を脱いで昼下がりの王都の街を歩いていた。浴衣姿で白木の下駄をからころと石畳に響かせて。この姿は王都では衆目を集めすぎるから、せめて王国風の服でも誂えてもらうか、なんて思案しながら。服なんかよりも変えたほうがいいのは顔を覆う狐の面だろうということは解っていても、やはり素顔を晒すのには抵抗があった。あぁ、暑い。懐に入れた手ぬぐいを出そうとすこしつんのめるようにして立ち止まるとその瞬間、ぶちっと下駄の鼻緒が切れた。)「……げ。鼻緒が……不吉やな。」(参ったなあ、とぶつぶつ言いながら懐をまさぐるが、肝心の手ぬぐいも入っていなかった。しまった、どこかで落としたか。手ぬぐいがあれば、鼻緒を直すこともできたろうにと火津彌は途方に暮れた。)   (7/7 00:04:24)


山葵/婀娜 > …もし、そこの狐さん。宜しければ、これをお使い下さいな(途方に暮れる火津彌を見つめそう声を掛ける主は、王国の昼下がりに照り付ける陽を凌ぐように日傘をさした女性?で。黒のゴスロリドレスに映える金髪と青いリボンが特徴的だ。差し出して来たのは、白いハンカチだ。装飾は多くないものの、その優しい肌触りはそのハンカチがかなり値を張るものだとゆうに想像できる。)…下駄、ですよね?すごい、初めて見ました。(ふふ、と微笑む姿は王国を照らす太陽より眩しく。ふと、ふわりと優しい風がドレスをなびかせる。隙間からちらりと覗く足首が妖艶で、なんとも当てられてしまいそうになる。)   (7/7 00:12:35)


マリア/火津彌 > 「……え」(不意に声をかけられ振り向くと、柳腰をしゃなりと撓らせて佇む日傘の女が目に入る。婀娜やかとはこういうことを言うんやろうな、王国の女は快活ではっきりとしていると思っていたが、どこか奥ゆかしい優雅さに思わず敬語になりながら返事をした。)「……ああ、すみません、助かります……。」(差し出されたハンカチを手にとり、下駄を直しながら『あ、これはもしかしてすごく値の張るものなのでは』と思ったが、すでに鼻緒をすげてしまった後だった。妓楼に居た頃も鬼灯の家に居た頃も、調度品だけはいいものを与えられていたものだから何も疑うことはなく。しかしきっとこの方も高貴なご婦人に違いないだろう、庶民ならばいざしらず、ハンカチくらい甘えてしまおうとそう深くは考えず、どうお礼をしたものかと下駄を履いて改めて立ち上がった。)「……そないに珍しいですか?私からすればあなたの格好も新鮮ですがね。いやあ、中々の着道楽でいらっしゃるようで……。」   (7/7 00:25:34)
マリア/火津彌 > (言いながら服を見ようと上から下へ視線を送る。裾から除く白い足首に思わず目を逸らしたのは、火津彌らしくもなく『なんだか悪いことをしている気がする』と思ったからだった。帝國には職業婦人はあまり多くない。高価そうな格好をしているからには、既婚者だと無意識に思ったのだ。)   (7/7 00:25:42)


山葵/婀娜 > えぇ、ここ最近、帝國の方は増えているのですが…中々下駄を履いている方はお目に掛からないので…(ふ、と口角を上げはにかんだ笑みを浮かべる。下駄の鼻緒を直した火津彌を此方も興味深そうに見つめていれば、改めて立ち上がる火津彌に此方もす、とドレスを整えてから立ち上がり。)着道楽…そうでしょうか?私なぞまだまだですよ。王国にはもっと派手な方もいらっしゃいますから。…白い狐さん、此処でお会いしたのも何かのご縁。私なぞで宜しくば、良いレストランでも…(ふと目を逸らす火津彌に首を傾げるも、直ぐにドレスから足首が見えていたのに気付き、頬を赤く染めたままドレスの裾を直した。)   (7/7 08:40:36)


マリア/火津彌 > (すっと立ち上がったあなたを見て、火津彌は狐面の下でぎょっと目を丸くした。しおらしく謙遜する言葉も、せっかくのお誘いも左耳から右耳へすうっと流れていくようだった。……あなたの身長が、火津彌のそれを軽く越していた事に、『あぁっ……王国やし……そうか……いろんな人がおるわなー……』なんて思いながら、ちょっとだけ悔しかったのだ。)「……背ぇ、高いですね……。え、ああ…食事、ですか……。」(お礼がしたいと思っていたところではあったし、ここは自分が持つ事でお礼になるのなら断わる理由はなかった、が…)「あぁ……ええ、そうしたいのは山々なのですが、ご婦人の前でこの面を脱ぐのはちょっと憚られるんですわ。ちょっと、戦争でね。」(実際には、この傷を追った場所は戦場ではなかったが、そう言えば察してくれるだろうと思った。)「あるいは……食事以外ならば。してもらいっぱなしでは尊華男児の名折れですから。」   (7/7 20:24:06)


山葵/婀娜 > …あぁ、そうでしょうか?…やはり身長の高い女はお嫌いですか?(眉をへの字に下げ少し寂しそうな表情を作り。まぁ彼は男性なので身長が高いのは仕方ないのだが。)あっ……ごめんなさい、私ったら…失礼なことをしてしまったのね、ごめんなさい…(白い狐の面の下、どんな表情が隠されているだろうか。自分には想像出来ない、とまた申し訳なさそうな表情を浮かべると、ペコリと頭を下げる。…まぁ…本当は、密偵に行った時に彼の傷は良く見ているのだが。)…宜しいのですか?…でしたら、ブティックなどはどうでしょうか…?(ふわ、と笑顔を浮かべれば、辺りには赤い花が咲く。す、と彼女の手が、火津彌の手を取った。)   (7/7 20:43:01)


マリア/火津彌 > 「いや、別にそんなことは……。あっ、面の事はお気になさらず、こちらこそ気を使わせてしまったようで、どうも堪忍です。」(申し訳無さそうな顔をさせてしまった事に、すこしは罪悪感を覚えた。礼には礼で返さなければとそう口にする。)「……ブテックですか。私なぞは場違いやないかな……はは。いえいえ、構いまへん。っと……あ、その……手、あのう。」(手を握られて思わずうろたえた。王国の女性というのは……積極的やなあ。もしかしたらこのご婦人は欲求不満なんやろうか。たぶん既婚者なのだろうし、人のものとなってからの方がよっぽどそういう機会が減ったりなんかするみたいやし……落語やら文楽なんかでも、良家のご婦人が裏でははちゃめちゃに遊んでるなんて筋書きはよくある話やし……。なんてとんでもなく失礼な事を考えながら、一応は衆目を考えてぱっと手を離して。)「……そのー、尊華では人前であまり、その。……気を悪くしたら申し訳ない。」   (7/7 20:56:31)


山葵/婀娜 > ……?どうかいたしましたか?(ぱ、と離れる手、狼狽る狐面の相手。何やら戸惑いそして考える彼にまたしても首を傾げると、人前ではあまり…と遠慮する様子にうん、と頷き)いえ、それが尊華帝國でのマナーなのですよね。申し訳ありません、また無礼な事を…(もしかして、とてもプライベートな関係に見えてしまっただろうか…なんて顔を赤くするが、すぐに首を横に振ると「では、行きましょうか。大丈夫ですよ、そのお着物…?とてもお洒落ですから」そう場違いでは、と呟く火津彌にそうフォローを入れて)   (7/7 21:13:40)


マリア/火津彌 > 「…いえ、そないに謝らんとって下さい。大丈夫ですから……っ!」(耐えきれずにぶんぶんとかぶりを振ってから、あなたについていく事にした。後腐れがないなら良いよなあ……なんて失礼な事を無意識に考えつつも、背の高いあなたについていくようにしてブテックにゆくことにした。)「……そうですか、おおきに。ですがやはりすこし目立ちましてね。私もちょうど王国風の洋服を仕立てたいと思っていたところなんですわ……。ああ、ついでに見立てて下さったら助かりますわ、あなたが……ええと、すみません、お名前を伺ってませんでしたな。私は火津彌と申します。」   (7/7 21:17:46)


山葵/婀娜 > 良いですね。宜しければ、貴方様によく似合う御洋服をお仕立てしましょう。…あぁ、私…ですか?…アーデル、と申します。宜しくお願いしますね、火津彌さん(見立てて、その言葉にこくり、としっかりと頷けば、彼の名を呼びふわり、と笑みを浮かべて見せる。そうして暫く歩いて、辿り着いたのは王国の中心部に位置する高級なブティックだった。入るのにも遠慮してしまいそうなその佇まいながら、彼女は一切遠慮や戸惑いも無くその店へと入っていった。)   (7/8 20:43:59)


マリア/火津彌 > (アーデルと名乗る彼女に導かれ、品のいいブテックに足を踏み入れた。そこはどちらかといえば仕立て屋といった感じの店で、様々な生地からオーダーして洋服を仕立てられる店のようだった。なんだか尻込みしそうになる。)「……いつもこういった場所で買われているんですか?」(お礼にとは思ったけれど、持ち合わせが足りるだろうかと心配になりながらきょろきょろと店内を見回すと、黒いハンカチが目に入った。シルクの面積は極めて少なく、周りに透け感のある大きなホビンレースがあしらわれている。金の文字で真ん中にイニシャルが刺繍してあった。)「……鼻緒のお礼にこちらを贈らせてはいただけませんか?ブテックでハンカチというのも申し訳ないですが、アーデルさんに似合うと思いますし。」(そう言うと、あなたの返事を聞く前に店員に声をかけた。)「すみませんが、こちらの刺繍は好きな文字をオーダーできますかな?そうですね……”A”でいいですか?アーデルさん。」   (7/8 22:06:16)


山葵/婀娜 > えぇ。生地もしっかりしていますし…オーダーメイドも可能ですので。(尻込みしそうになる彼の緊張を和らげようとふ、と微笑んで見せてから、店内を見回す火津彌の様子に小首を傾げ。)…よろしいのですか?(己の返事も聞かず店員に尋ねる彼の背に、思わずそんな声を漏らす。有難い話だ。やはり人にした親切は己に返ってくるのだな…なんてしみじみと実感していれば、イニシャルは「A」で大丈夫かと尋ねてきた火津彌にこくりと頷き)すみません…有難う御座います。お礼を兼ねてですが、お約束通り仕立ては私持ちにしてください。最高級の生地を用意させますね。(ふわりと微笑む彼女の口からとんでもないことを聞いたような気がするが、ここはご好意に甘えておくのが一番だろう。)   (7/24 00:17:15)


マリア/火津彌 > (そうして、火津彌はあなたにハンカチを、あなたは火津彌にウェンディア式の服を一式贈りあったのだった。途中、どちらが払うというような押し問答があったけれど、それはどうなった事か。火津彌があなたに払わせておくようなことをする人物ではないということだけは確実に言えるだろう。不思議な意図は見えなくても絡まり、縁を繋いでゆく。それが我々の天命、いや、人為なのかもしれない。)〆【Aの糸】   (7/24 00:36:21)

by山葵様