この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

道明寺さくら&竜灯

三年見ぬ間の桜

まりも@さくら > からからと片引き戸が開く音がした。お待たせしました、と客に茶を出すは、尊華の茶屋「里桜」の看板娘、道明寺さくらであった。にこりと客の座る床机に微笑みの残り香を残して、さくらは、ふぅ、と息をついた。今日は空模様も申し分なく、客数もいつも通り。変わりない店の様子になんとなくほっとしながら、建物の中に戻っていく。「お父さん、さっきのお客さんの注文済ませたよ」なんて言っては、返事も待たずに帳面に何やら書き始める。帳面は何冊も勘定台のすみに積まれ、たくさんの文字が書き連ねてあった。今日来店した客の様子、何を注文していたか、なんてことが、細かく。ある程度簡単に書くことを済ませると、相棒とも言える、毎日手入れしているらしい赤いつやつやしたおぼんを抱きしめて外へと向かった。そして、既に座って休んでいる客に微笑みかけては「どうぞごゆっくり」なんて声をかけてみるのだった。   (7/5 17:23:00)


シロー/竜灯 > 「そういやここも3年ぶりくらいかの。親父さん達は生きちょるかの。」((久しぶりの帝都を練り歩きながら、知り合いへの顔合わせを兼ねてサボりに明け暮れている軍服姿の男竜灯。3年振りに帝都へと帰り、帝國軍服と羽織に袖を通した彼がふと立ち止まったのは、よく休憩で訪れていた茶屋の一つ、里桜。店先では何人か休んで茶菓子を口にしているようで、どうやら変わらず繁盛はしているらしい。ほっ、と安心した所で中を覗いてやろうかの、と踏み出しかけたが、奥から顔を出したのは懐かしい顔をした娘だった。)   (7/5 17:40:11)
シロー/竜灯 > 「おお!!さくらさんがか!久しぶりじゃの!」((赤いお盆を抱く姿は3年前から何も変わっていなかった。もう娘なんて呼ばれる年頃じゃあ無いのかもなぁ、なんてたわいも無い事を考えると、明るく楽しげな笑顔のまま腰に手を当て、捲し立てるように話しかけた。)「どうじゃさくらさん、店の方は繁盛しちょるかの?この分じゃあまだ、尊華一にはなってないみたいやけんど。」((腰に手を当てたまま周囲を見渡して、店の中も無遠慮に屈んで覗きつつ、あんまり変わってない雰囲気に軽口を叩く。皮肉と言うよりは、変わっていないようで安心した、という気持ちから来るものであった。   (7/5 17:40:13)


まりも@さくら > 少し日差しが強くなってきたかしら、なんて空を見上げようと首を上げかけた時だった。何やら聞き覚えのある、懐かしい声が聞こえたかと思えば。「あら……?まあ、竜さん?お元気でした?」びっくりしたのか、おぼんを口元に当てて、丸い目元は少し見開いているようだった。最後に見たのはもう何年か前で、本当に本人なのか少し疑ったほどだった。明るく友好的な性格は現在のようで、何だか過去に戻ったような気分だ。「ええ、お陰様で!…やだわ竜さん、これからですよっ。」相手の問いかけに答えながら、軽口にむっとした表情を見せた。…が、すぐにくすりと笑って、「立ち話もなんですから、どうぞゆっくりしてって下さい。席も空いてますから。お茶でも飲みながらお話聞かせてくださいな」と促し。こっちも商売だ、もちろん注文もしてくれますよね?なんて意味を込めて笑ってみせる。少々意地が悪かっただろうか。   (7/5 18:12:04)


シロー/竜灯 > 「ほうかほうかっ、おまんも元気そうで何よりぜ。」((自分は元気だったぞ、と言わんばかりに歯を見せて笑うと、心無しか胸を張って見せる。続く言葉に口元をニヒルな笑みに変えると、ぽん、と手を合わせて促されるまま、店の中へと歩を進めていった。そこに遠慮なんてものは今更存在するはずもなく。)「そう言ってくれると思うとったちや、みたらしと冷たい茶でも出しとうせ、話はそれからゆっくりしたるきに。────おぉ、親父さん元気そうじゃの!竜灯じゃ、さくらさんは美人じゃき、どうぜよ、商売繁盛しとるがか?ん?」((椅子に座りながらあなたへと注文を通すが早いか、顔を見せたあなたの父へと軽口を叩き、頬杖をついてニヤニヤと瞳を細めており。何か忘れとったのお、と小首を傾げたが⋯⋯考えるのはやめにした。三年前にツケた分を払っていなかったような、きっと気の所為に違いない。   (7/5 18:38:23)


まりも@さくら > 店と同じく本当に相変わらずのようで、何一つ変わった様子はない。この様子ならお父さんも喜ぶだろうなと、ふと思う。空いている席まで案内すれば、どうぞお掛けになって、とでも声をかけようか。「はいはい、みたらしとお茶ですね。…ふふ」彼と父はよく話していた仲で、何度もツケでと言われては呆れた顔で許していたっけ。全く呆れたものだけれど、何だかんだ彼に言われると憎めないのだ。そろそろ厳しくした方がいいわ、なんてぶつぶつ考え事をしている内に父に団子を押し付けられる。いけない、と頭のリボンを締め直してから受け取って、そそくさと彼の元へと運んでいく。てらてらとしたみたらしをことんと置いて、次にこぼさないよう丁寧に茶を置いた。「お待ち遠様。ご注文のみたらしとお茶です」相手がツケの事を思い出しているなんてつゆ知らず、頼まれた品を口に出して確認する。「ふう。…まさか竜さんが来てくれるなんて思わなかった。今までどうなさってたの?」注文も一通り終わったので次の呼び出しがあるまで少し話でも聞こうと話しかけてみる。   (7/5 19:23:06)


シロー/竜灯 > (待ち時間も割と楽しめるものだ。流石に客に知り合いは居なさそうだが、親父さんに軽口を叩くだけでも懐かしい気持ちに浸ることが出来る。しかし運悪くか、今日は一分とせずに注文した品が出てきてしまった。「これぜよこれぜよ!!」と机に置かれる団子を瞳を輝かせながら見つめ、両の掌を待ちきれんとばかりに擦り合わせた。さぁ食べよう、と串に手を伸ばした所であなたが質問をかけるものだから、今更お預けだけは嫌だ、と片手で制止しつつ団子の一つを抜き取って咀嚼した。)「ん~...、まっこと、ここのみたらしは美味いのう!間違いなく尊華一ぜよ!」((舌鼓をたっぷり打ってから、口の中の団子を飲み込んで。机に肘をつくと一つ団子が抜けた串を指でゆらゆらと揺らす。漸くあなたの問いに答える為に口を開く竜灯だった。)「いやぁの、帝國と王国で休戦になってしもうたら、俺は伝説が作れないちや。軍人でいるより他で伝説を作っちゃろうと思ってのう、実は王国の機械技師に伝手があるきに、色々やりよったぜよ。」((肘をついたまま手首だけを動かして串を口元に運ぶと、もう一つ団子を抜き取って。咀嚼しながらにうん、うん、と頷き、冷たい茶で流し込んだ。   (7/5 19:36:43)


まりも@さくら > 「ふふっ、久しぶりの味、ゆっくり味わってくださいね。」頬張りながら話す相手を嬉しそうに見ては、「あら、さっきと言ってたことが違うようですけど。」頬杖を付いて目を瞑る。こんなやり取りができるのも久しぶりで、何だか毎日いるはずのここにいるだけで懐かしい気分にさせた。「へぇ…。細かいことはよくわかりませんけど、うちの常連のりんさんが伝説を作ってくだされば宣伝にもなりそうですし、頑張ってくださいね!りんさんも噂が広まって、一石二鳥でしょう?」兵隊さんの話はあまりわからないけれど、きっととても忙しかったのだろうな。顔を伏せて帳簿に注文のメモを取りながら、下心を隠さずに応援の心を伝えた。決して応援がついでというわけではない。断じて。「おかわり、いります?なければお勘定済ませちゃってもいいかしら。食べ終わるの、待ってますから。」書いていた帳簿をパタン、と閉じてはそうして小首を傾げてみる。表情こそ笑っているが、背後からの強い意志がずきずきと伝わってくるだろう。今度こそ金を払わせてやる、とでも言わんばかりに。   (7/24 21:41:42)


シロー/竜灯 > 「おう、任しちょけ。俺が伝説を作った暁には、里桜も尊華一⋯⋯いや、世界一にしちゃるぜよ。王国にはそうじゃの⋯⋯里桜と書いてリオという名で、支店を出して、大儲けぜよ。」((串を横に向け、最後の団子を引き抜いて咀嚼すると。くるくると器用に串を指先で回しながら、展望を思い浮かべるかのように視線を上げ悩む様子を見せる。危なげなく回していた串を人差し指と中指で摘んでぴったり静止させると、皿の上に戻しながら、空いた手の人差し指と親指で円を作って、にい、と笑みを浮かべた。   (7/27 00:24:28)
シロー/竜灯 > ────が、経営も渡世も、そうも上手く行かないみたいだ。帳簿をぱたん、と閉じて勘定を、と口にするさくらの表情はにこやかだったが。竜灯はそこにえもいわれぬ恐怖に似た感情を覚えた。⋯店の売上以前に、一人の乗客のツケを見逃す気は更々無いらしい。内心困り顔ではあったがおくびにも出さず、目を閉じて流れる様に席を立つ。机に手を付いて何気無く腰を上げる仕草からは一切の違和感も感じられなかった。表情を隠すかのように垂れた前髪を軽く掻き上げると、立ち上がった事で幾分か見下ろすことになった看板娘の笑顔に、負けず劣らず、ものは試しと脳天気な笑顔を向けてみる竜灯だった。)「⋯⋯まあ、里桜が人気なのは親父さんの腕前と、さくらさんの笑顔があるからだと思うぜよ。数年ぶりに見たけんど、変わらず素敵だったよ。」((気付かないふり、務めて何気なく。ニヒルに、かつ気取らない笑顔を今回は意識して、前髪を掻き上げた手をそのまま貴女の肩を叩こうと下ろした。   (7/27 00:24:30)


まりも@さくら > 「まあ、頼もしい!ふふふ、楽しみにしてますね。」皿に戻された串を眺めて、少しばかり夢を膨らませていた。帳簿を抱いてゆらゆらと足を揺らしたり、ちょっと組んでみたり。なんとなくそわそわしながら、片の頬を手のひらで包む。やんわりとその手を開放すれば、空いた皿に手を伸ばしかけたが、やめた。「りんさん?」逃さない。立ち上がった彼の目に視線が移り、こちらも見上げる形でなにか言いたげな笑顔を向けた。いつものパターンならば、きっとうまいこと言って逃げるだろうと予想された彼の行動は、もはや不審な行動がなくともそう思わせる。さくらにとって竜灯には信用があって信用がないのだ。「嬉しいこと言ってくれてますけど、…そう行ってくださるなら、その分対価ってものが必要じゃないのかしら。そしたら私、もっとがんばれますのに…」その手には乗らない、とでも言うかのような、怒りとも取れる。悲しみとも取れるような言い回しで。肩に降りてきた手のひらをじとりと見つめて、先程の帳簿の内容を思い出すように瞳を空に向けながら、   (8/1 11:16:43)
まりも@さくら > 「…りんさん、お勘定。今日のお団子とお茶の分、300価。あと、今までにツケてた分…そうねえ、ざっと1000価くらいかしらね?」もしかしたらもう少し少なかったかしら。ツケて放置されている以上利子がついてもいいわよね、罰金料よ罰金料。竜灯はいい人柄とは言え、それだけの理由でツケをためている人間をみすみす逃すわけがなかった。怒れば厳しいさくらを相手に、必死の誤魔化しが効くことはなく。「さ、お勘定代行きましょ。他のお客様もいますから」笑顔だけは絶やさずに、急かすように移動を促して。   (8/1 11:16:52)


シロー/竜灯 > (肩に手を置いた時には既に勝負は決していたのだろう。浮かべていた気取らない笑みの形を変え。すん、と鼻で息を吐きながら、眉を八の字に下げて困ったように笑った。肩を竦めて懐から巾着袋を取り出すと、移動しようとする貴女を手で制して、紙幣と硬貨を手渡した。)「俺の負けぜよ、遅うなってすまんかった。少し色を付けるき勘弁しちょくれ、さくらさん。」((1000価と幾らかの利子をつけて、それをさくらさんの手に両手を使って握らせると、再度「すまん」と笑いながら背中に手を回し、ぽんぽんと二度叩いてやった。)「綺麗になったさくらさんと久々に会えて嬉しかったちや、またこれからは顔出すようになると思うきよろしくの。必ず尊華一の店になっとうせ。応援しちょる。」((最後に今一度強めに背中に喝を入れると、ひらりと後ろ手に手を振って里桜を後にするのだった。)「───敵わんの、さくらさんには。」【三年見ぬ間の桜】   (8/2 19:43:21)