この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ヨハン&雷鏡

いつかまた会う日まで

マリア/ヨハン > (雷鏡の店で世話になってどれくらいが経っただろうか。そんなに長くはなかった、と思う。家を出る時に担いできた革のバックパックの中にそう多くはない所持品を詰め込んで背負い、街で出会った旅人に貰ったマフラーを巻いて階段を降りた。逃げるなら夜の方が足がつかないだろうけれど、泊まるところがないまま凍死するのはごめんだ。おひさまが頂点に登ったその頃、隙を見て抜き足差し忍び足。)「……さよなら」(未練がましく振り返った瞬間、机の上に無造作に置いてあった鞄がコップに当たり、かしゃんと音を立てて割れた。)   (12/23 23:33:08)


グレー/雷鏡 ◆ > 今日は……(と、俺はいつもの通り、予定の確認をしていると、コップか何かが割れる音がした……ヨハンめ、また割ったのか…?)おう。どうした。もし割れ物があるなら俺が……って、そろそろ出ていくのか?(と、相手の様子を見ると、恐らく俺に内緒で別の場所に向かうつもりでいたのだろうか?)まぁ、お前が別のとこに行こうと俺は引き止めはしないぜ。ただ、一つだけ言うならば、お守りの1つくらいは持っていけ。ってことだな。(と、彼は液体の入った瓶を渡す。その形はかなり投げやすそうに出来ている……)それは投擲して使うタイプの痺れ薬だ。本当は煙玉もあるが、そっちの方が当たりさえすれば確実に相手を2分くらいは硬直させられる。あとは……(と、煙玉も渡しておこうか……)そっちが煙だまだ。好きに使うといいさ。(と、俺は恐らく彼の旅に必要な物を一通り渡した。)   (12/23 23:45:34)


マリア/ヨハン > (声をかけられ、はっとした顔を見せた後にヨハンはうつむいた。雷鏡に見つかってしまった事にどこかで安堵している自分がいた。金なんかない自分を世話してくれた彼に一言いえたらという気持ちがなかった訳じゃない。だけど、これまで何度も宿で「出る時に金は払うさ」と言って逃げる事を繰り返していたヨハンは、今回もそうするつもりでいて。せめて彼にこれ以上迷惑をかけまいとして数日のうちに発つ事を決めていたのだ。優しくしてもらった事への情なんて殊勝なものでもない。ただ、雷鏡やコーフが自分に向ける哀れみの目をこれ以上受けて耐えてはいられなかったのだ。)「ちょ、ちょ、ちょっと……いや、助かるけど……。俺………。」(そんなヨハンの様子を知ってか知らずか、雷鏡はぽんぽんと差し入れのようなものをわたしてくる。)「……ああ、いや…ありがとう。……ちょっと、出かけるだけさ。また帰ってくるし、金は払うから……。」(その声は震えており、ヨハンの目にはじわりと涙が滲みはじめた。)   (12/23 23:57:25)


グレー/雷鏡 ◆ > ああ。いつでも返ってきな。そんときには、アルバイトか現金払いで宿賃は払ってもらうからな……まぁ、これからお前は色々大変な目にあうことがあるだろう。むしろ、放浪人(たびびと)ってのはそんな苦難にあってナンボさ。色んな経験積んで、成長して戻ってきな。ま、俺は気長に薬作ったり、依頼をこなしながら、お前さんのことを待ってるぜ。(と、俺はその手を握った……その手はかなり大きく……いくら19歳といえど、かなり色んな苦難や経験を積んだ証だ。俺自身がそう確信してるのだからな……そうして、手を離すと、俺は自分の研究室に入っていく……おそらく、あんたが自分の手を見た時、ある程度贅沢できるくらいのお金が入っているだろう。それは、きっと…)   (12/24 00:02:46)


マリア/ヨハン > (頼むから溢れないでくれとヨハンは涙に願う。だけど、それは無慈悲にも頬を伝った。ヨハンの下手な嘘を解っても、追及せず静かに肯定の言葉を重ねられて、もうどうしようもなく、涙はぼろぼろとあふれて止まらなくなってしまった。)「………っ……」(ありがとうとかお世話になりましたとか、気の利いた事を言えればいいのに。雷鏡はヨハンの涙を見ないまま背を向けて去ってゆく。手に残された餞別であろう金貨を握りしめ、ヨハンは鞄を降ろして座り込んだ。腰に提げた短剣を抜き、そして……)「あんたに、ヨズア人に、仲間に借りを作っちゃったら、おれ、おれでいられなくなるから、それだけ、だからっ……。」(コインを使い、短剣についた飾り宝石のひとつを器用にはずしてゆく。六つあった石は、五つになった。ネオンピンクに輝く美しい宝石は、スピネル。その産出量はわずかルビーの10分の1程度であると、家で教わった。)   (12/24 00:27:48)
マリア/ヨハン > 「……さよならっ……!」(スピネルをその場に残し、ヨハンは勢いよく扉を開けて飛び出した。……レッドスピネルについて家で教わった事はもうひとつ。宝石に込められた石言葉……努力、発展、向上、とか……。どう受け取るかは、あなた次第だ。)〆【いつかまた会う日まで】   (12/24 00:27:51)