この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

トール

子供という芽

ゑゐりあん/トール > …随分と、騒がしくなったもんだな(あてがわれた執務室の窓から外を眺めるトール。その目線の先には、忙しく動く騎士たちの姿があった。執務室にいることのほうが少ない彼がこうやって執務室に居るのには訳があった。帝國との同盟。その影響で、ずっとサボっていた百騎長としての仕事をせねばならぬほどに忙しくなったのだ。それは、否が応でも戦いの香りを感じさせるものだった。きっと王国も帝國も、イモータルとの戦いに臨むはずだ。もしそんな事態にでもなれば、先の戦争と同等な被害が、下手をすればそれ以上の被害が出かねない。その被害を大きく受けるのは、結局は子供たちである。戦争は、確かに大人たちにとっては利益を生むものかもしれないが、未来を作るべきはずの子供たちにとっては決して利益が生まれるだけのものではない。自分の知っているような戦災孤児たちが多く生まれることもその一つだ。前の戦争じゃぁ国と国と言うある程度の体裁が必要となる。   (12/26 23:34:32)
ゑゐりあん/トール > だからこそ、例えば相手の首都に直接大きな攻撃を行う、なんてことも難しい。…が、相手は国を持たぬ存在。化け物である。それも、人知を超えた魔術とは異なる力を持った存在。そんな奴らがいきなり首都を襲わないだなんて保証はどこにもないのだ)…ほんと、面倒だな(そうなれば真っ先に被害を受けるのは何の抵抗の手立ても持たぬ民間人ばかりである。民間人が被害を受ければ、それだけ子供たちにも被害が及ぶ。未来の芽を摘み取ってしまうのだ。それだけは避けねばならぬのだ。そう思い、トールは王国の各地域に避難所となるような地下施設を作ることを現在提案している。地下施設であれば、例え大規模な爆発が起きたとしても被害は最小限となるだろう。我々は騎士なのだ。国を"護る"存在なのだ。ならば、民の安全を憂うのは当然のことだろうとトールは考えていた)   (12/26 23:34:45)
ゑゐりあん/トール > …そんな折に寄越してくるかね、こんな手紙をよぉ(そんな彼の元へ、一通の手紙が届いていた。差出人はトールの幼馴染でもある、トールが育った孤児院「エクレ」の院長からであった。内容はこうだ)「騎士を辞めて、一緒に静かに過ごしませんか?」(彼女も彼女で戦争の足音をどこかで感知したのかもしれない。そうなれば、幼馴染を戦争で失う可能性が大きい。それを避けるためにもトールに騎士を辞めるように提案したのだ。…が、トールの回答は常に同じであった)わりぃな(NOである。そもそも戦争でなくても常日頃から孤児院の近況が綴られた手紙の最後に必ずと言っていいほど騎士を辞めないか?と提案されているのだが、その度にトールははっきりと断っていた)戦争で勝ち続けることでしか子供たちを護れねぇ馬鹿だってのに、その手段をなくしちまったら俺はもう誰も護れねぇ   (12/26 23:34:57)
ゑゐりあん/トール > (とはトールの談である。それに、百騎長という権限を使い、カイナントに駐在させる騎士の数も増やさせているのだ。そんな立場を安易に手放しまうのは非常に惜しい。だからトールは彼女からの提案を拒み続けているのだ)ま、俺だって戦争はこりごりだよ。目の前でダチが死ぬのを見るのも、助けれるはずの命が消えていくのも、自分の手で命を奪うのも、できれば経験だってしたかねぇよ(でも、もし魔術を使うことのできる自分が軍を辞めれば、孤児院の子供たちから徴兵される可能性がある。自分のような糞塗れの経験をするのは、糞塗れの自分だけでいい。実際、エクレから騎士が出ないように手回しをしているし、幼馴染にも子供たちが騎士にならないような教育をさせている。それほどまでにトールは子供たちを守りたいのだ。それは病的なまでに)…だから、俺が頑張んなきゃな。イモータルとかいう化け物どもを駆逐しなきゃ、子供たちに明るい未来はねぇ。…ま、次はマジで死ぬかもしれんが、そんときゃそん時だな   (12/26 23:35:11)
ゑゐりあん/トール > そう自分に言い聞かせ、トールは窓の外から離れた。休憩は終わりだ。再び仕事をしなければ。そう思って机のほうを向いた彼の目に入ったのは、一つの"影"であった)   (12/26 23:35:22)
ゑゐりあん/トール > 「ごきげんよう」   (12/26 23:35:34)
ゑゐりあん/トール > 【子供という芽】   (12/26 23:35:42)