この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ヨハン&ソウ

飴玉と煙草

マリア/ヨハン > (雷鏡の家に世話になって3日目。彼は優しいからまだ居させてくれているが、いよいよ一文無しでごろごろしているのもまずいと思ったヨハンは王都の街に繰り出していた。ご飯は食べさせてくれるし、寝床は与えてくれる。でもこのまんまじゃ、いつまでたってもこのまんまだ。自分を突き動かしている焦燥感の正体が何かも解らないまま、それでもようやくまた一歩を踏み出す。見てくればかり上等な外套の前をきゅっと両手でしめて、風を凌ごうと壁に寄り添った。)「ちくしょー……寒ィよおッ!」   (12/20 22:48:45)


ゆう。/ソウ > 今日は世間的には休日である。{年中旅をしているソウには休日なんていうものは無いわけであるが。}先日”雪が降る砂漠“といった場所にまた旅に出ていたわけであるが、これといってまた心が脱皮した気がイマイチしなかった。もちろん心を強く動かしてくれたが、なかなか最近は良い“旅”というものが分かっていなかった。何のために旅をし、自分に何の影響があるのか。そんなことを考え夜も思うように寝付けない。しかし王都に帰ってくるとそんな悩みも忘れさせてくれる。王都で見る夕陽はやはりどこよりも、安心できる…帰ってきた。そんな感情が心をいっぱいにしてくれる。そんな王都に留まってから一週間。彼はお昼時にふらりと外に出ていた。その時ちらりと映ったのは外套を羽織った男であった。そんな者は休日の王都ではよく見るのだが。)君…大丈夫か…?震えているが。よかったらこれ、使うか?(そう言って先日の砂漠で原住民からもらったマフラーをバックから出し、赤い目をした男に差し出す。   (12/20 23:08:20)


マリア/ヨハン > 「……ん?」(声をかけられたほうへ目を向けると、鞄からマフラーを取り出してこちらに差し出す男がひとり。あんまり惨めに縮こまっていたから、乞食とでも思われたのだろうか。なんにせよラッキーだった。)「……おおっ…?サンキュー、お兄さん。ふ~……あー、マシだ。」(首を温めると、凍てつく寒さもいくらか和らいだ。)「不思議な格好してるね。ヨズア人……じゃないな。旅人?それとも、ここに用事?」(親指で寄りかかっている壁のほうを指す。上のほうを見上げれば、『オウトスイート』と書かれた看板が見えるだろう。)「だったら俺にもお菓子のひとつ奢ってくんないかなぁ~、なんて。お金なくってさぁ。アハハッ!」   (12/20 23:14:16)


ゆう。/ソウ > マフラーを差し出すと彼は大丈夫ですとも言わずにすぐに取って首に撒き始めた。正直舐められているのかと心地の良い感じではなかった。彼の顔を見ていると寒さがだんだん和らいできているのがわかる。彼が自分の姿を見て旅人だと見抜いたことに、少し驚いたが、舐められてはいけないと思い、直ぐに表情筋を固めて、)あ、あぁ。生まれはウェンディアだよ。あ、誤解はしないでくれ。ウェンディアも尊華も…ヨズアにも別に特別な感情はない。政治にはあんまし興味がないんだ。(オウトスイーツの看板を指差し何か言う男の言葉を左耳に聞き、右耳に流す。)…悪いね。そこまで情に厚い人間ではない…の…だが…(羽織ったコートのポケットから赤い包装紙に包まれた飴を取り出し、ニカッと笑ってから(あぁ!コンナトコロニ!ナンデダロー!…やるよ。(飴を握った手を男の目の前に差し出してパッと離す。それからもう片方のポケットから煙草を取り出し許可も得ずに燻らせる。刺激的な匂いが嗅球を喜ばせる。   (12/20 23:32:04)


マリア/ヨハン > (ヨズア人だからと難癖つけられる事を想像していたわけじゃないが、政治には興味がないと言い切られるのはヨハンの警戒心を解くのには充分だった。)「……ふーん?」(マフラーに口元を埋めて上目遣いで男の顔を見た。同じ旅人でも、なんとなく自分とは違う雰囲気を感じる。雷鏡もそうだ。なんというか……苦労してきた男の醸し出す、色気?みたいなもの……とそこまで考えてヨハンはぶんぶんと頭を振る。考えるのは辞めにしよう。俺だって、苦労してきたんだから!なんて、心中でひとりごちながら。)「……あ、飴ぇ!?……ちぇっ、子供だましでやんの。俺、そっちほうがよっぽどいいや。」(と、ふふんとせせら笑ったかと思えば、あなたの吸う煙草を指差し、ぱっとそれを奪い取って口に含んでみせた。口の中でふかして自慢げにふぅ~と息を吐くと、煙が鼻先で烟って目の奥でツンと痛みがした。思わずうっと目を閉じると、口の中の煙が喉にひっかかるような感じがして、げほげほと咳き込んだ。)「……ッ、げふ……や、安煙草ぉ~……。いーらねッ」(マフラーで口元を隠しながら、まだ喉の奥をけほけほ言わせて、煙草をあなたに突き返した。)   (12/20 23:47:45)
マリア/ヨハン > 「かく言う俺も旅人でね。お兄さん、一服する間、俺の武勇伝でも聞いてく?」(うまく煙草が吸えなかった事を誤魔化すように、ぱっと壁から背を離してあなたの前に躍り出た。)   (12/20 23:47:58)


ゆう。/ソウ > 飴を拒否され少しだけ口角を上げ目を回しているといつの間にか煙草を取られていた。)お、おい!何やってんだよ!(別に自分の煙草を取られたことを言っているのではない。彼の健康を考えて言っているのである。そのうち青年はむせ始め、そのうちそのむせは大きな咳へとかわっていった。)ほーら、言わんこっちゃない。学校で…まぁ親かもしれんが、煙草は大きくなってから…言われなかったか?(すると彼は何事もなかったように話を続けるのでソウの顔には観念の気が映し出され、まだ少し煙が上がっている煙草を靴でぐしぐしと擦り完全に消す。彼は武勇伝を聞くか、なんて言うので。)え、ぁあ、随分と急だな。わあったよ。聞いてやるよ。俺が息をするのも瞬きをするのも忘れるぐらい全神経が逆立つくらいものを頼むよ。(そんなことをゆっくりと言ってから壁にもたれかかって床に座り、退屈そうに欠伸をしてから、また新しい煙草を出して炎をつけて口に咥えてから目を閉じた。(はい…どうぞ…   (12/21 00:10:32)


マリア/ヨハン > 「……ん、まぁ……。なんだよ、子供扱いすんなよな。アンタとも大して変わんないと思うけどね、俺。」(”親”なんて単語が出てきてしまったものだから、興が削がれたように不貞腐れた顔を晒してうつむく。山賊相手の大立ち回りやら、狼を仕留めて食ってやった話やら、どんな大ぼらを吹こうかと思っていたのに。なんだか白けてしまった胸の内から語られるのは、あなたにとってはきっと退屈な本当の与太話……)「……んじゃ、俺が変態オヤジに制裁を加えてやった話でもするか。」(に、少しばかり?脚色を加えたもの。ヨハンは語りだす。薬半年前に家を飛び出してから、旅をしてきたこと。夏場を覗いて野宿はほとんどしたことがなく、ずっと善意から善意へひらひらと渡り歩き、誰かの厄介になり続けて来たこと。本当に幸運な男である。だが、半年もの間悪意に晒される事はなかったのか、どうして無事だったのか、その一部始終。結論から話すと、半年も旅をしてきて危ない目に合わない訳がなかったのである。)   (12/21 00:37:13)
マリア/ヨハン > 「……んで、秋の頃かな。いかにも成金っぽい裕福そうなオッサンについてってさ、また俺は仮宿を手に入れたと思ったのさ。そしたら、やっぱいるね、吐き気を催す変態ってのがこの世にはさ。……そのオッサン、俺の寝室にやってきて……あぁ!思い出すだけでもゾっとするぜ!」(身振り手振りを交えて大袈裟に話し、あなたの顔を伺う。ここまでは本当の話だ。)「…そこで俺、この短剣を腰からすらりと抜き、オッサンの前に立ちはだかる!寝る時さえも肌身離さなかった事を心底良かったと思った瞬間だ。オッサンは俺をみくびったのか、それでも組み伏せようとしてきた!俺の咆哮が屋敷中に響いた!」(実際に短剣を抜き、誇らしげに掲げながらあなたの前でどたばたと立ち回りを演じ始める。なお、ヨハンが叫んだのは本当のことである。『いやだー!はなせー!』と、随分情けない声ではあったが。)   (12/21 00:37:39)
マリア/ヨハン > 「……その声にビビったのか、屋敷の番犬がばうばうと吠えながら部屋に飛び込んでくる!混乱した犬がオッサンのケツを噛んだその瞬間っ、俺はこの短剣でぶった切ってやったのよ!切るったっておっさんのふにゃふにゃの粗末なモンだぜ、正確には引きちぎったような感じだった。阿鼻叫喚に悶え苦しむクソジジイを蹴り倒し、腹いせにそいつを犬に食わしてやった!」(いよいよ脚色が史実を喰い始め、ヨハンは得意げにひらりと回る。)「そしたらその犬、泡吹いて死んじまったよ!ジジイは泡吹いてる犬の中を探そうとしてやがったぜ、へへへ!」   (12/21 00:37:46)


ゆう。/ソウ > ずうっと何も言わずに口をキュッと閉めて聞いていたソウは眉間に深く神経質に皺を浮かばせながら目を閉じて煙草を燻らし聞いていた。ヨハンは身振り手振り大きく動かしながら説明しているようだったが瞼越しにゆらりゆらりと動く彼の形しか見えていなかった。ようやく彼の話が終わったことを確認すると微笑に口角を浮かべて片目を開けてから、小さく)そのジジイにも家族があって、長い長い人生があって…まぁクソな人生だったかもしれんが。友を作って恋をして分かれて共に泣いて笑った人生があったわけだよな…)青年の赤い目をじっと見つめ。(その“人生”を犬が食ったんだよな…はは、こりゃ面白いな。)カラカラと辺り憚らずに笑ってから立って煙草を口から地面に落として靴で擦り煙を消してから10cm程小さい青年の頭をぽんぽんと叩いてからふふと微笑む。)お礼と言っては何だが俺の話でも聞くか…?   (12/21 00:58:39)


マリア/ヨハン > (話し終わり、はあはあと肩で息をしながらあなたのほうを見る。リアクションは薄いが、その顔は静かに笑っていた。)「……ま、俺も苦労してるって事。あんたも寝る時は武器を離さないほうがいいぜ。」(ひょい、と短剣を見せてからそれを腰にしまい、どかっとまた壁に背を預けた。いつのまにか寒いとも思わなくなっているのに気づかないまま、マフラーをほどいて首にかける。)「……ふうん。あんたの武勇伝?いいよ、聞いても。俺、ヒマだしね。」(この男が大陸中を旅しているのなら、もしかすれば自分の家族にまつわる話でも聞けるかもしれない。そんなことを自意識の奥に押し込めながら、ちゃっかり受け取ってはいた飴玉をころりと口に含んだ。)「……聞かせてみなよ。」(赤いレンズをあなたに向けて、第二幕が始まろうとしていた。)〆【飴玉と煙草】   (12/21 01:11:12)