この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

セリヤーナ

オクタグラム

フルディア/セリヤーナ > (その晩なんとなく思い立って、噴水広場近くの門衛に頼みこんで王都城壁に上らせてもらった。夜も深まり、いかに機構で栄えた街といえど明かりはそろそろと消えていく。)「夜景が綺麗だな…」(そんな感覚も都でしか味わえないものだ。星々は都の上からは追いやられて、広大な大陸の地平線で輝いている。星に願いをかけるほど信心深くはないけれど、かつて箒星を見せてくれた"夜"と名乗った魔術師を思い出す。いや、今日はそれよりも。)「あの画家も、"夜の魔女"なんだよね」(なんの偶然か、あるいは導きか。この出会いの意味を知りたくて。座り込むと持参した葡萄酒をカップに注いで。)「夜に。」   (12/13 14:52:09)
フルディア/セリヤーナ > (彼女は一陣の風のように、共有した時は短くとも大きな印象を残していった。主張は強く、それでいて押し付けるわけでもない。旅団にとっては、それぞれの信念だけが人をつなぐ。彼女の絵はそれらを惹きつける地図になるだろうか。)「いや、それこそが彼女の信念ということなんだろな…。」(一度会っただけで判断してしまうのは早計というものだが…。ローブの内ポケットにしまい込んでいた絵を取り出してみる。夜闇の中で見るそれは、また違った印象をもたらした。そして、)「1、か…。」(それは何よりも雄弁に彼女の道を語っているように感じられた。そこに立ち会えたことの喜びと、期待に応えたいがための心地よいプレッシャーに浸る。)   (12/13 14:52:19)
フルディア/セリヤーナ > (繁華街にすら夜の帳が下りて、天頂の星も勢いを取り戻した。未だに明るいのは門衛の篝火くらいだ。うっすらと浮かび上がる街道は、すぐに暗闇に呑まれて見えなくなる。)「…冷えてきたね」(身震い一つと一緒に誰に言うともなく呟くけど、その震えが夜の寒風のせいだけでないことは自分が一番わかってる。)「夜は…やっぱりボクの時間じゃないね…」(この暗闇じゃ、進むべき道を、まして自分の足元すら見失いそうになる。何も見えなくなって真っ黒に放り出されるなんて、想像するだけでも恐ろしい。…結局のところ、知識とは他所から借りてきた付け焼き刃に過ぎないんだ。だから自分の力で道を照らし見つけることができないでいる。)   (12/13 14:52:30)
フルディア/セリヤーナ > (そこに考えが及んだところではたと気が付いた。夜の魔女たちは、きっと夜闇の中でも惑うことはないのだと。星々のささやかな明かりが旅程を祝福するのを疑わず、あるいは自らが道となって同胞の歩みを助け導く。)「ほんとうに…出会えてよかった。夜の魔女たちのおかげで、暗闇の中でも歩ける気がしてきた。」(微笑みと共に葡萄酒を呷る。自分がこれからしようとしていることは、他人の命や生活を脅かすようなことだ。それでも、ヨズアの民の命や生活はそれに釣り合って然るべきだ。その修羅の道に光が届かなくとも…歩いていける。)「だから、ボクたちの理想のために犠牲になってよ。」(右手の2,3指を揃えて法皇城の尖塔に狙いを定めて。)「ーー穿て 暗雲に囚われた空の欠片 巡回するカッシーニの間隙 …「いや、やめやめ。いまそんな騒ぎを起こすのはダメでしょ。」(詠唱を中断し、くつくつと笑いながら残りの葡萄酒を流し込む。そろそろほんとうに冷えてきた。はしごを降りて門衛に礼を告げて。満点の星空に抱かれて、明日の太陽を待っている。)〆【オクタグラム】   (12/13 14:52:40)