この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

火津彌&董

凩に匂ひやつけし返り花

マリア/火津彌 > (兵舎の冷たい壁を背に立ち竦み、かじかむ手にほうっと白い息をかけ、長い指を擦って俯いた。夏でも手袋を欠かさない指が今日ばかりは裸で、なんとも心許なく感じられる。火津彌は改めて背筋を伸ばし、彩度の低い冬の空を見上げる。何もかも、もう取り繕わぬ。面をつけて逢い引きなどお笑い草だ。せめて長い髪がこの恐ろしい横顔を隠してくれよと願いながら緩く纏めている髪を解くと、それはてんでばらばらに絹を羽織った肩を滑って落ちた。白い昼の月がぽっかりと浮かび上がって、おぼろげにひかっている。)「……そろそろ行くか。」   (12/10 22:23:46)
マリア/火津彌 > (ぱん、と羽織の裾を軽く引いて身なりを整える。正絹のきめ細かい羽織と揃いの着物は味気のない黒一色ではあるが、今日の相手に恥をかかせない程度には上質なものだ。男があまり洒落込みすぎるのも傾いているようだし、きっとこのくらいが、女性を引き立たせるのにはちょうど良いだろう。細い鼻緒が粋らしい雪駄をすり、と鳴らして兵舎の入り口へ向かって歩き出すと、ささやかな洒落っ気として懐中時計の先に忍ばせた勾玉真珠の根付が、水玉のようにさりりと揺れる。彼女に送った白露の簪は、あの緑なす艶髪を彩っているだろうか。蕾が咲くか、はたまた散るか。火津彌はどこか、今日に賭けた。)   (12/10 22:23:52)


ゑゐりあん/董 > …(そわそわと、背伸びをしたりあちこちをきょろきょろしたりと落ち着かぬ様子で兵舎女子寮の前にいる一人の女。灰色のマフラーを巻き、矢絣柄の着物を羽織ったその女の名は董。尊華帝國軍所属の一般兵士であるが、今はただの恋する乙女そのものである。寒空の元、白い吐息を吐きながら今か今かと待ち人が来るその時を待つ。すると、彼女の視界の中に件の待ち人が入る)あ…っ!(やってきた待ち人。…もとい想い人は、普段と違い、髪を解いて見慣れた軍服を脱いだ状態だった。これが彼の"普段"である。そんな姿を見れることが嬉しくて、そしてちょっとだけ恥ずかしくて、心を躍らせる董)火津彌!(後ろで結んだ髪の毛を揺らし、彼の元へと小走りで駆け寄る董。その姿は、やはり忠犬のようであったが、それも彼女の愛らしさである)どうかな…?糸依さんに選んでもらったり化粧してもらったりと色々と準備を手伝ってくれてさ。けっこー頑張ったんだけど…似合う?(一回転してみたり、袖を振ってみたりと己の服装を見せたのち、少しばかり不安そうに恥ずかしそうに尋ねる董。はてさて、彼の評価はいかほどか)   (12/11 22:41:31)


マリア/火津彌 > (兵舎の前で佇む少女の姿を、火津彌は一瞬見違え、ふいと顔を横に逸らしたあともう一度視界に入れた。視線が合うと、火傷に爛れた恐ろしげな容貌に似つかわしくない程優しげな笑みを湛えて半身を振り返る。)「おや」(懐に手を入れて力の抜いた余裕ありげな姿のまま三歩近づき、駆け寄ってくる彼女を受け入れて、くるくると舞うのを見つめる。その髪を、自分が贈った簪が彩っていることにひとまず安堵しながら、竜灯の助言を思い出して静かに声を響かせようか。目を見て可愛いと、下手に捏ねくり回さずに伝えること。彼女なりにめかしこんでくれたのは紛れもなく有難い事であるが、初夏の花のような爽やかで清らかな笑顔の方がよっぽど好ましく、確かに可愛らしいとそう思ったのは嘘偽りなかったのだから。化粧にほんのりと色づく頬や唇が彼女の笑顔を引き立たせているのに、『やるな、糸依』と心中でほくそ笑んで。)   (12/12 21:25:34)
マリア/火津彌 > 「こんな物騒な所に、なんやかいらしいお嬢さんがいてはるなあ。掃き溜めに鶴を見ましたわ。お嬢さん、お暇でしたら、僕と一日付き合おうてくれませんか」(あえて初対面のような口をきいて茶化しながら、頭をぽんぽんと撫でてふっと目を細めた。)「なんてな、行くか。」(兵舎と地面を隔てる段差を一足先に降り、さも当然のように手を差し出した。来てくれてありがとうだとか、当然思わぬ訳では無いけれど。ただ今日ばかりは粋で鯔背な色男を気取ってやろうと、そう目論んでさらりと促すのだ。)   (12/12 21:25:45)


ゑゐりあん/董 > (普段は見ない柔らかな笑顔を浮かべる彼を見て少しだけ安心する。どうやらお気に召してくれたようだ。正直、自分の行動の一つ一つが恐ろしい。前のように彼との関係を一転させるやもしれないからだ。…が、恐ろしくはあるが、それを避けようとも思わない。二回もそう言う風になってしまえば、二人の関係は恋愛には向いていないという証明に他ならなくなる。流石の董でもそのあたりは理解している。それを確認するためのデートであると董は考えている故、余計な気づかいは要らない。自然体で接して、それでもなお彼は私を受け入れてくれるだろうか?それを知りたいのだ。だから、二人で一緒に居れば緊張もほぐれて自然体に成れるだろう。それまでは、生まれて初めてのデートの緊張を味わうことくらい、彼も許してくれるだろう)あら、お口がお上手ですこと(冗談めいた火津彌の言葉に、こちらも冗談めかして返してみる。そして相手の差し出された手を取り、柔らかな笑顔を浮かべた)   (12/15 17:36:12)
ゑゐりあん/董 > うん、行こっか(そうして二人で階段を下りる董。鳴呼、手のひらから。手袋も何もつけていないまっさらで無垢な手のひらから、彼の体温を感じる。寒空の下曝け出されていたにもかかわらず、その芯は温かく心地よかった。普段のつんけんした態度からは考えられるほどやさしい彼の本質を表しているような気がして、「どこまでも、月光は月光だなぁ」なんて思いながら、手に少しだけ力を込めた)それで、今日はどんな予定なの?さっきから結構わくわくしてるんだけど(白い息を吐きながら、少しだけ目を輝かせて尋ねる董。彼の体温に触れてから、緊張の氷も解け始めてきたのだろうか。徐々に自然体に戻ってきたようだ)   (12/15 17:36:15)


マリア/火津彌 > (いつもと少し違う嫋やかに気取った口調に、ほんの一瞬驚いて息を飲む。てっきり、馬鹿火津彌らしくないととぼけられるか、照れ隠しで悪態をついてくるかのどちらかだと思っていたのに。その顔が見たかったと思えるような多面性に、今度こそ静かな胸のときめきを認めた。『女はいくつもの顔を持つもの』と、いつかの母の言葉が思い返される。その強かさを、ずっと追いかけて来た。こいつの色んな顔をもっと見たい。こいつ自身も知らない顔を引き出してやりたい。火津彌もようやく、振り回される事を楽しいと思えるような余裕が出てきた。男を振り回す魔性の女、結構じゃないか。こんなにも飽きさせない女が少なくとも憎からず想ってくれていて、楽しまなければ馬鹿だ。火津彌は董の柔らかな手にそっと触れる。白魚のようなすらりと女性らしい指に剣蛸の出来るくらい修行して……その健気さに胸を打たれるのも初めてのことではない。きゅっと握られた手をされるがままに、お姫様をエスコートするかのように軽く上に向けて歩き出す。)   (12/15 22:03:58)
マリア/火津彌 > 「さあ、どうしようか。まず喫茶店にでも言って喉を潤してゆっくり話そか。それからどこへ行くか決めるとしよう。」(程なくしてたどり着いた喫茶店は、出来てから三年も経っていないであろう新しめの造りだった。高い吹き抜けにステンドグラスが設えられ、異国情緒の折衷を感じさせる。天井で飴色したファンがくるくる周り、落ち着いた着物に白いエプロンをした女給が佇んでいる。上座のほうで椅子を引きあなたが座れるように促すと、自分も腰を据えてメニューを開く。)「今日は寒いな。甘酒でもと思ったが、たまには珈琲でも飲んでみるか。ココアいうのもあるぞ、甘いものも好きに頼むといい。」   (12/15 22:04:06)


ゑゐりあん/董 > 喫茶店!いいねぇ~洒落てるねぇ~なんだかデートって感じだねぇ~(まずは喫茶店にでも行くとしよう。その言葉を聞いて、董は笑みを浮かべる。董の人生において、喫茶とはずいぶんと縁遠い世界であった。傭兵時代は仕事を求めるために酒場に入り度っていたし、軍人になった今でも自分のような武骨な女が行くべき場所ではないと思っていたのだ。そう言う経緯もあって、人生で一度も喫茶店へ行ったことのない為、喫茶店へ行くというだけで董の心はわくわくしていた。初めての喫茶店が好きな人と。幸せだ)   (12/15 22:30:51)
ゑゐりあん/董 > ふわぁ…きれぇ…(扉を開けて広がる店内を見て、董ははしたなくも口をあけてキョロキョロと周囲を見渡す。一見すればそれは王国風ではあるが、端々をよく見れば帝國風の建築様式も取り入れられている。これが喫茶店というものなのか。世間は誠に広いものである。そう思っていると彼が椅子を引いて座る様に促したので、お言葉に甘えて椅子に座る。そしてメニューを開くと、これまた見たこともない難解な品々が並んでいた)わ…わかんないし、珈琲でいいかな(ココアなんぞという聞いたことのない品よりも、(飲んだことはないが)目にしたことのある珈琲のほうが良いだろうと、董は火津彌と同じものを頼む)甘いもの…かぁ…。…火津彌のお勧めは何?(甘いものも好きに頼めと言われたので甘味の欄を見てみたが、やはり見慣れぬものばかりで想像もつかないものばかりだった。己の世間知らずさに肩を落とし、火津彌の判断を仰ぐことにする)   (12/15 22:30:54)


マリア/火津彌 > 「僕の?うーん……」(火津彌のお勧めは?と聞かれても、男一人でこういった所には来ないし、普段はもっぱら尊華菓子派なのでこれと決めるのは難しい。「聞いてみるか」と言いながらちょいちょいと女給を呼び寄せおすすめを聞くと、今日は木苺のチーズケーキ、ミルフィーユと栗のタルト、すみれの砂糖漬けなんてのもあるらしい。)「だそうだ。珈琲を二つと……僕もせっかくやし何か頼もうか。すみれの砂糖漬けにしようかな。」(顔を上げて女給を見上げると、『はい、奥様はどうされますか』なんて微笑んでくる。くっ、と喉の奥で笑って下を向く。口には出さないものの、『……奥様やって、なあ?』と、董にアイコンタクトをした。人によってはデリケートな事を、と怒りだすか、照れて必死に否定するか。でもまぁ、良いじゃないか。ここは華と皮肉を宝とする天下の尊華大帝国。お前が奥様ごっこをするなら付き合うし、慌てふためくのもまた一興、と机の上で手を組んでいたずらっぽく見つめてみた。)   (12/15 22:52:37)


ゑゐりあん/董 > お…奥様!?(やってきた女中の述べたおすすめを聞きながらどれにしようかと悩んでいると、女中が自分のことを奥様と呼んだ。そのことで顔を赤くする董は否定しようとしたが、すぐにその口を閉ざし、代わりの言葉を述べる)奥様じゃないですよ、今は(ね?という表情で。少しだけ小悪魔的な笑みを浮かべて火津彌を見る董。自分は彼と結婚するつもりでいるのだ。彼の妻として娶られることを望んでいるのだ。なのにどうしてそれを否定することがあろうか。自分はもう彼の妻になるのであれば、堂々と言えばいいではないか。そう思ったのである。そして悩んだ結果)栗のタルトをください(栗のタルトに決めたのであった)   (12/15 22:57:19)


マリア/火津彌 > (赤くなったかと思えば、秋波を送ってみたり。いつか王国で言った結婚の話を、董はまだ覚えているだろうか。戦争があれば……なんて、宇気比にかこつけなければ覚悟も決まらなかった自分を、見捨てないでいてくれるのだろうか。余裕があるのはこちらだと想っていたが、どうやら董のほうに軍配があるようで。照れ臭いのかなんなのか、どこかきまりが悪そうに手をひらひらと振って、『気にしないでくれ』と女給に合図を送る。参りましたの仕草にも似て。女給が去るとケーキは既に焼けていて切り分けるだけだったのか、天気の話などしているうちにすぐ注文したものが運ばれてくる。火津彌は小さめのカップを持ち、珈琲の薫りを楽しんだ後、一口含んでふう、と一息ついた。)「うん、うまい。」   (12/15 23:04:38)


ゑゐりあん/董 > (彼のまるで降参したかのような仕草を見て、ちょっとだけ嬉しくなる。王都では随分と振り回されてしまったが、自分だって帝國に戻ってからは色々と勉強したのだ。成長した姿を見せてやろうではないか。そして運ばれてきた品々を見て、これまた目を輝かせる董。特に、栗のタルトとやらは随分と美しい造形をしている。まるで熟練の職人が作った工芸品のようだ。…が、まずは珈琲とやらであろう。カップに注がれた湯気ののぼる黒っぽい液体を少しだけ見つめ、フーと数度息を吹きかけて冷ましたのち、そっと口に運ぶ)…苦い…けど、美味しい…   (12/15 23:18:11)
ゑゐりあん/董 > (まず口の中に広がったのは苦み。しかし、小さい頃に何度も味わった薬草の苦みなどではなく、深みがあり、どこかにほのかな甘さと酸味を感じさせる心地の良い苦みである)…美味しいね(鳴呼。世界とは本当に広い。傭兵になって色々と世界を見て回った気になっていたが、そんなのはただの思い上がりであった。世界にはまだまだ知らぬものがあるのだ。そしてそれはきっと、彼がいなければ一生知り得ることはなかったであろう。心の中で彼との出会いを感謝しつつ、次は栗のタルトを食することにする)ちょっともったいないけど…   (12/15 23:18:25)
ゑゐりあん/董 > (王国で見た鉄製の三叉の食器、フォークを手に取り、ゆっくりと菓子に沈めてゆく。まるで木材から削って作られたような見た目に反し実に柔らかく、少し力を入れただけであっという間にタルトを切り分けた。そして一口サイズに切り分けられたタルトをフォークで刺し、口に運び咀嚼する)…美味しい…!(なるほど。栗のタルトだけあって、栗の持つ上品で主張しすぎぬ御淑やかな甘さが口いっぱいに広がる。そして他にも砂糖などが使われているようで、その甘さは普段から鍛錬に励む董の体に染みわたるようであった。すると、無意識に甘さでいっぱいになった口に珈琲を運んで董は気づく。なるほど。この珈琲の苦みにタルトの甘さがよく合う)…すごいや(この食べ合わせを考え付いたことを驚きながら、董は再びタルトを口に運んだ)   (12/15 23:18:28)


マリア/火津彌 > 「そうか、うまいか。」(顔をほころばせ、真向かいのあなたの顔を眺める。昼下がりの仄かな日差しを受ける顔がころころと表情を変えるのがおもしろくて、将として普段張り詰めている糸がふわりと和らぐようだった。自分はたしかに、この子供のようで大人のような、犬のようで猫のような少女に振り回されながら、癒やされていたのだ。)「僕も慣れるまではすこし無理をして飲んだもんや。珈琲はそういうもんやと言われてな。砂糖もあるから無理せんでええぞと言うつもりやったが、お前は意外と舌が肥えてるのかなあ。」(和やかに談笑しつつ、すみれの砂糖漬けを放り込む。かりりと噛むと花の香りと上品な甘さが広がった。)   (12/15 23:36:24)
マリア/火津彌 > 「なあ、董。」(お前を連れて見せる新しい景色の一つ一つ、お前にとって楽しいものであればこんなに冥利な事はない。火津彌はことりとカップを置いて、本題を切り出した。先程よりはいくらか低いトーンで、だけど声を張る事はなく、甘やかな響きをテーブルに乗せる。)「王国でな、お前、自分は何も知らないから、今よりも良い女になるまで待っていてくれと、そう言ったやろう。今でもまだそう思っている…思ってくれているのか?」(董が何も知らないのは、もとより大した問題ではなかった。知らないなら教えてやるくらい、それも年長者であり男の自分の嗜みじゃないか。何かの期待などという浅はかなものではない。今はただ、お前と向き合いたい。)   (12/15 23:36:35)


ゑゐりあん/董 > (しばらく栗のタルトと珈琲を堪能していると、火津彌が少し真面目な口調で言葉を紡いだため、董も食べるのをやめ彼の話を聞く。それは、例の王国での発言だった)「私、伊丹 響希は、月光が好きになるような女になる為に努力することを決めました。これから努力する。いっぱい努力する。アンタが私を“女”として見てくれるようになるまで頑張る。」(確かに董は彼にそう言った。無論)うん。思ってるよ。だから私は帝國に戻ってからいろんな本を見て勉強したし、他の人に話を聞いたりもした。…正直、どんな風にするべきなのかの正解はわかんないままだけど、それでも私なりに精一杯努力してるつもり   (12/15 23:45:25)
ゑゐりあん/董 > (答えは、ただ一つだけであった。董は、努力の天才である。女というハンデがありながらも、剣術に秀でた一族の出身というメリットがありながらも、董の今まで生きてきた人生すべてが努力で成り立っていると言っても過言ではないほどに努力をしてきた。それは、恋愛についてもそうである。帝國に戻ってからは、恋愛の小説を何冊と読み漁ってみたし、親しい間柄の人に恋愛について聞いてみたりもした。火津彌が手紙を送ってきたときでさえ、苦手な勉学から逃げずに努力して彼の手紙の本意を読み解いたほどである。それほどまでに、董はあの時の言葉を本気にしているのだった)   (12/15 23:45:27)


マリア/火津彌 > 「そうか……」(高潔なまでにきっぱりと言い切る姿は、火津彌の知る董の姿だ。勉強してきた、なんて隠さずに言ってしまうところも自分にはない。だからこそ、自分にないものを求めて自分はこの少女に興味を抱いたのかもしれないと初めて思った。)「思えば初めからどこか目が離せんかったのは、そういう所だったのかな……。」(火津彌が董の事を女として見ていないと思っているのだとしたら、それは少し違うかもしれないが。)「なら、今日は僕に少し付き合って”遊ばれて”みてくれへんか。」(卓の上に両手をそっと差し出して、所在投げに軽く握った拳をゆるりと開く。)「何もかも僕の色に染まれとは言わない。今日一日だけ、互いに色男と色女ごっこを楽しんみようや。僕がお前の”先生”になろう。お前も知らないお前の魅力を見せてやりたい。」(今の董では駄目だと言っている訳ではないが、そう捉えられてしまわないかと緊張するあまり、喉がこくりと鳴る。原石を磨いてみたいというこの欲求は、女性相手に説明するのは少し骨が折れる気がする。)   (12/16 00:08:56)


ゑゐりあん/董 > どうしたの?突然そんなこと言って…(火津彌が突然目を離せない、なんて言い出したのが不思議で、少し恥ずかしがりつつも首をかしげる。すると彼が手を差し出し、先生になる、と言ってきた)えっと…(やはり、そう言うのを勉強してきたとはいえまだまだ知識不足の董にとって、その言葉の真意を十全には理解できなかった。…が、理解するのは別に今じゃなくてもいいだろう。だって、彼は先生になるというのだから)…是非(そう言うと董は柔らかな笑みを浮かべて彼の手の上に自身の手を重ねる。随分と汚れてしまった、傷ついてしまった手。女性らしさとは程遠いが、それでも董はそれを自分の手だと言い張れる。そんな自分の手を、彼の手の上に重ねた)是非(同じ言葉を繰り返し、彼の目を見つめた)   (12/16 00:15:03)


マリア/火津彌 > (重ねた手を今度こそきゅっと強く男の力で握り返し、艶々とした爪を撫でる。数秒見つめて、ようやく開いた口は、もう講義のはじまりを紡ごうか。)「……では、最初にして最も肝心な要を。いいか、この先、ここが正念場、〆だという時、お前はただ黙って、目にもの言わせればいい。にっこり思わせぶりに微笑む、たったそれだけで男を意のままにできる。……今は解らなくてもええ、覚えておきなさい。女にはそれを出来る魔性がある。」(はっきり言ってこの歳まで独り身、火津彌も決して手練手管の女誑しという訳ではないが、それでも今日は気取らせてくれるという言葉に甘えて御高説をのたまってみる。)「ほな、食べ終わったらそろそろ行こか。」(董が食べ終わるのをゆっくり待ちながら、自分も残りの菓子と珈琲をゆっくりと楽しむ。そこに流れる静かな時間は、紛れもなく我々”大人”の特権と言ったところだろう。速やかに会計をした後、董の手を引いて目的の場所へ向かおうか。)   (12/16 00:27:54)


ゑゐりあん/董 > (手をギュッと強く握り返されると、おもわず胸が高鳴る。そして彼は、自分に抗議を説いてくれた)目にものを言わせる…(にっこり思わせぶりにほほ笑む。董は彼の言った言葉を一字一句脳内にメモする。どうしてそんなことで男が意のままに操れるのかはわからないが、その意味を理解するのはまた今度になるだろう。今はただ、彼の言葉を覚えるのが先決である。とにかく、そのタイミングが来たら、精一杯目にものを言わせてみよう…なんて言うと仕返しをするみたいではあるが、とにかく実践してみようという気持ちを董は抱いた。教えられたことを実践するのが好きなのだ。そしてタルトと珈琲を胃の中に落とし込み、会計を済ませたのちに彼に手を引かれてどこかへと連れてゆかれる)   (12/16 00:35:05)


マリア/火津彌 > (歩いている間中、寒くはないか、足は傷まないかと言葉をかけつつ、馬車の通る道側を確保して甘やかしてみる。すぐについたその店には衣装屋の看板が掲げられ、綺羅びやかな服飾が所狭しと並んでいた。)「女将、私や。この間話した女性を連れてきた。ちょっと見立ててもらえるか?」(玄関のところで董の腰に軽く手を回して胸を張る。女将と呼ばれた店主らしき女性は『まあまあ、可愛らしいこと!』と言いながら近づき、すぐに得心したように董の髪の色や背丈を見始めながら軽く挨拶を交わしていた。)「……”遊ばれて”くれるかと言ったやろ、ま、こういうわけや。ちょっとした人形遊びに付き合ってもらうで。」   (12/16 01:01:11)
マリア/火津彌 > (女将はあれも似合いそう、これも似合いそうと言うと店の中をせわしなく動き周り、いくつか服を手に取って戻ってくる。『背が高くていらっしゃるから大柄の着物も似合いますわ。すらりと柳腰を強調するようなこういった落ち着いたものはいかが?』『雰囲気がぱっと可愛らしくていらっしゃるから、こういう少女らしいのもいいわね。洋装だけれど、ふんわりとしたスカートが軽やかでお連れさんらしくていいですわ』『そのきれいな緑髪にはこんな色もお似合いになるかも。いかが?』と、変わるがわる董の胸に色とりどりの服をあてがう。)   (12/16 01:01:38)
マリア/火津彌 > 「女将、おおきに。最終的に決めるのは彼女ですから色々見せてやってください。」(女将はにっこりと笑い、最初に持ってきた三着を平たいテーブルに並べると、合う帯やら装飾を見繕い始める。『せっかくですから、髪もいじりましょうか。』と言いながら、あれよあれと言う間にそれぞれの雰囲気が定まってきた。灰色地に大柄の椿があしらわられた落ち着いた着物の取り合わせ、桃色のワンピースに長い手袋をあわせた少女らしくもモダンな取り合わせ、竹の柄が爽やかでどこか董らしい橙色の振り袖の取り合わせ。)「どれか気にいるものはあるか?どれも似合うと思うがな。」   (12/16 01:01:45)


ゑゐりあん/董 > (歩いているさなか、寒くないかだとか、足は痛まないかだとか逐一自分のことを気にしてくれたり、危ない道路側に立ってくれる火津彌を愛おしく思いつつたどり着いたのは服屋であった。外からでもわかる美しい衣服の品々は、先程の喫茶店と同じく董には縁遠いものであった。そんな店に慣れた様子で入っていく火津彌は、どうやらすでに何かを仕込んでいたようで女将と呼ぶ女性と何やら言葉を交わしていた。そしてそれが終わった途端、女将は董に近づきじろじろと背格好を眺めていた)に…人形遊びって…(あまりの展開の速さに頭が付いていけていないのか、苦笑を浮かべる董。するとまぁ、せかせかと動くネジ巻き人形のような動きで店内を忙しなく動き回り色々な服をもってくる女将。黒い大人の色気が漂うような上品な着物に、桃色と紫色の中間のような色をした王国風の服、そして明るく花柄が描かれた橙色の着物。それらを自身の体にあてがい様子を見てみる)   (12/16 19:15:30)
ゑゐりあん/董 > ちょ…火津彌ぃ…(混乱した様子の董は女将がテーブルへ向かったタイミングで火津彌を見るが、すぐに戻ってきたようで服を合わせたり髪の毛を整えたりする女将。鏡に映る自分の姿はどれもこれも、今までの自分とはまるで別人のようだった)   (12/16 19:15:44)
ゑゐりあん/董 > 凄い…(髪の毛を切ったときも、糸依に合わせてもらったときもそうだったが、人は見た目を変えるだけでこんなにも印象が変わるのだ。大人の魅力を引き出す服、少女のあどけなさを引き出す服。董の持つ魅力の可能性を引き出すにはこの上ない服であったが、それでも董が選んだ服は)これをお願いします(笹柄の描かれていた橙色の着物だった。それは、董が最も強く持つ明るさ、天真爛漫さを最大限に引き出すかのような着物であり、董はそれを選んだのだ)いいよね?火津彌(にっと笑って火津彌方を見る董。その笑顔は、彼女の着ている着物によく似合っていた)   (12/16 19:15:46)


マリア/火津彌 > 「ああ、可愛いな。」(橙色の振り袖を選んだ董に、微笑みを返して呟く。にっと笑ったそのいたずらっぽいような、少年のようでいて少女らしい天真爛漫な笑みは、董らしいけれどじゃじゃ馬というには、もう一皮向けたような印象で。)「ほれ、髪もいじって貰って、きっちり着付けてもらってこい。女将、私はもうこれで。終わったら店の外に出してやってください。」(そう言うと、一足先に店の外で出る。空を仰げばちらちらと初雪が振り始めていた。)「冬ながら空より花の散りくるは……か。」(蕾が咲くか咲かないか。なんとなく、もう答えは出ているような気もしたが、急く気持ちを抑えて粉雪を見つめていた。)   (12/16 22:36:03)


ゑゐりあん/董 > はーい(どうやらお気に召してくれたようで、彼は微笑みを返してくれた。そのまま着付けてもいいようで、彼の指示通りに髪を弄ってもらって着付けてもらう事とする。そんなこんなで彼が店を出てから30分後)ほーづみっ(店から一人の少女が出てくる。少年のような無邪気さと少女のような可憐さを兼ね備えた少女。董である)お待たせ。髪も含めてしてもらったよ。どうかな?(今朝であった時と同じように、くるりと回ってみる董。どうやら、新しい姿の自分を満喫しているようだ)やっぱり服を変えるとまるで自分が自分じゃなくなるみたいだね。不思議な気分(そう言って董も自分の姿を見回す。普段は動きやすさを重視した格好ばかりの為、こんな格好をするのは随分と久しぶりだった)それで、人形遊びをした後の人形を使ってどんな遊びをするつもりなのかな?(と、火津彌の顔を覗き込む董。その顔は小悪魔的で、随分と男をからかうのが上手になったものである)   (12/16 23:40:42)


マリア/火津彌 > (店から出てきた董のほうへ向き直ると、足のつま先から頭へ視線を動かした。くるりと回ると長い振り袖がひらりとはためき、頭の後ろで白露のような真珠の簪がきらりと光る。火津彌はすっと切れ上がった双眸を動かさず、董に釘付けになったまま肩に手を置く。)「……うん。」(からかうような発言に、ふふっと笑いを零しながらゆるゆるとかぶりを振って、それでも満足そうにもう一度董の顔を見て、頬にそっと手のひらを当てた。)「……ありがとう。」(全く返事になっているんだか、なっていないんだか。火津彌は黙って自分から董の手を握り、歩き出すように先導した。)「……見に行こう、花が咲いているかどうか。」   (12/17 16:32:36)
マリア/火津彌 > (粉雪の振る帝都の坂道を下って、いよいよあの花を見に行こうと。手から伝わる人肌の暖かさに、きゅうっともう一度力を込めた。心臓が早鐘を打つような、恋に狂えるような、そんな相手を求めていたような気もするけれど、今胸の奥でじんわりを込み上がってくる暖かな気持ちだって、これが愛しさでないと言うのなら何が真実か解らない。やがて黒墨の刷いたような壁と瓦の屋根がまばらになってゆき、赫々とした紅葉がぽつ、ぽつと見える小路へ吸い込まれてゆく。玉砂利の上を彩るとりどりの落ち葉をしゃくしゃくと踏みしめながら、小さな川を渡る橋を通った。)「……響希」(そこここで垣根にされている満開の山茶花が、風で散ったのか地面を淡紅色に染め上げていた。)   (12/17 16:32:44)
マリア/火津彌 > 「お前にずっと聞きたかった事がある。僕はお前を軍に誘ったが、今でこそあれも強引だったのではないかと思うんや。あの時僕はお前に自らを重ねて、お前が自己実現をするのを輔けたかった。……辻斬りなんて妙な事をしてしか自由になれない、強くなれたと実感する事が出来ないお前が気の毒で、居場所を与えてやりたかった。」(一陣の風が火津彌の髪を攫って、月に覆う叢雲のようにちらちらと表情を覆い隠す。あの時、確かに董と自分の関係を、嘗ての上司と自分の関係に重ねていた。あの人のようになりたいと、そう願うあまりに。)「それで……お前の幸せはどこにあるのか、僕はずっと見てみぬ振りをしていた。お前はずっと言ってくれていたな、軍人としてではなく、伊丹家の人間としてではなく、ただの、響希として見てほしいと。」(繋いだ手を引っ張り、向かい合うようにしてもう片方の手もそっと拾い上げる。改めて顕になった表情は、緊張からか凍りついたように固まっていた。)   (12/17 16:33:02)
マリア/火津彌 > 「今から僕が言う事はまたお前を振り回すかもしれん。嫌なら嫌と、言ってくれ。今更それで、駄目になるほど、僕かて……なあ響希、このまま戦争が起きんかったら、共に軍人を辞めてうちに来ないか?」(モノクロームの冬に鮮やかすぎる山茶花にも負けないくらい強い色を放つ目の前の貴女が、どんなに眩しくとも目をそらすまい。ずっと繋いでいた右手をふっと自由にしてやり、拾い上げたままの左手を胸の近くに引き寄せた。自分がどんなに覚悟を決めているのかを、とく、とく、と静かに脈打つ鼓動にもの言わせて。)「この橋を抜ければ、お前に見せたかった冬の桜がある。」(どうせ咲いていなくたって、この雪だ。雪化粧を花に見立てて『咲いた』とこじつけたって構わない。宇気比にかこつけて、こんな遊びのような賭けに二人の一生を決めさせてたまるか。花が咲くかどうかは、伊丹響希、あなたが決めるのだ。)   (12/17 16:33:07)


ゑゐりあん/董 > うん?(自身の容貌を見せていただけなのに、突然火津彌が礼を述べたので頭の上に?を浮かべる董。更には花が咲いているかどうかを見に行こう、と言われやはり意味は分からなかったのだが)…うん。いこっか(ただ一言、董はそう言った。そして彼と手を結び粉雪が降る中を二人で歩いた。手から伝わる彼の鼓動を感じ、釣られて自分も心臓の鼓動が大きくなってくる。鳴呼、たまらなく幸せだ。家から出なければきっと一生涯味わうことのできなかった幸せだろう。あのままあの家に残っていたら、伊丹家の人間として生き、伊丹家の令嬢として恋をし、伊丹家の女として子を成したはずだ。だが今は…今は…)なに?(彼から名を呼ばれ、董は返事を返す。彼の口から出たのは、彼の想いだった。軍に勧誘したこと。董を自分と重ねていたこと。董を気の毒に思っていたこと。董に居場所を与えたかったこと。風にたなびく髪の隙間から見える彼の顔は月のように朧気で、しかし月のように美しかった)   (12/19 17:01:19)
ゑゐりあん/董 > …うん。言ったね(董は彼に伝えた。今まで誰も自分を自分として見てきてくれなかった苦しみを。そして一人でもいいから自分を自分として見て欲しいという欲望を。彼女は確かに火津彌に打ち明けた。その想いを誰かに伝えたのは、火津彌が初めてだった。どうして彼に打ち明けたのかはわからない。しかし、心のどこかで彼に何かを見出していたかのような気がする。すると彼がつないだ手を引っ張り、更にはもう片方の手も優しく拾い上げられた。はっきりと見ることのできる彼の顔は、氷のように固まっていたように思える。そんな彼より告げられた言葉は、一字一句がはっきりと耳に届いた。…否、心に響いた。風の音も、水の音も、鳥の声も、人々のざわめきも、遠くの喧騒も、近くの鼓動も全てが消えて、ただ彼の声だけが響いた。董の心に抱えていた痛みをかき消すように、響いた)   (12/19 17:01:37)
ゑゐりあん/董 > …私ね。…お母さんからいつも言われてたんだ。「伊丹家の人間なら自分を捨てろ」って。「一つの菖蒲となり、國を支え、家を護れって」。周りのみんなも誰も私を名前で呼んでくれなかったんだ。「姫様」だとか「跡取り様」とか。変だよね。私には"響希"って名前があるのにさ(ゆっくりと紡がれる董の言葉。彼女の目には、涙が浮かんでいた)それが嫌で、辛くて、苦しくて、痛くて、私は軍を辞めて傭兵になった。…でもそれは、私にはもう剣しか残ってなかったから傭兵になっただけで、世界最強になる夢も後付けでしかなかったんだ。生き急いでたんだ。小さい頃から身の回りのことは全部してもらってたから"考える"ってのが苦手でさ。とにかく思い立ったら行動することしかできなかった。…そんな時に出会ったのが、月光だった。…殺されかけた私を助けてくれた。私の名前を打ち明けても尚、私のことを考えてくれた。…本当に嬉しかった。初めて私が私に成れたような気がしたよ   (12/19 17:01:51)
ゑゐりあん/董 > (ボロボロと零れる涙は、まるで膿のようだった。彼女の心に巣食う痛みから出てきた膿のようだった。それは、彼女の心の傷が徐々に消えて行っているような気がした)たったそれだけって思われるかもしれないけど…その"たったそれだけ"が私にとっては死ぬほど嬉しかった。だから最初は月光に一生ついて行こうって思ってた。けど、月光と一緒に居る中で好きになってきてさ。…って言っても、今まで恋なんてしたことなかったからそれが恋なのかどうかすらわかんなかった。…あの時の私は、恋に恋してたんだ。月光が言ったようにね。…でも、今ならはっきり言える。今だからこそはっきり言える。私は…月光が好きなんだって。月光と一緒に時を歩んでいきたいと思うくらい、大好きなんだって(もう限界だった。それは悲しみや痛みではない。嬉しさや幸せが限界だった)   (12/19 17:02:23)
ゑゐりあん/董 > た)私を…私を選んでくれてありがとう…ッ。私を助けてくれてありがとう…ッ。私を好きになってくれてありがとう…ッ。私に愛されてくれてありがとう…ッ(そして董は彼の手を取った。そして自分の心の臓の上に彼の手を重ね、笑顔を浮かべた)…是非(涙を零しながらも、彼女は確かにそう言った。是非、と。本来ならもっと気の利いた言葉を言うべきだったのかもしれない。けど、これが董にとっての精一杯だった。全力だった。彼と共に橋を越えることを。あらゆる苦難を越えることを。あらゆる痛みを乗り越えていくことを、決めたのだ)   (12/19 17:03:29)
ゑゐりあん/董 > (花が、咲いた)   (12/19 17:03:36)


マリア/火津彌 > (はらはらと伝う白露を目の当たりにし、火津彌は空いているほうの手を董の頬にそっと当て、指ですく上げるように触れた。この涙は痛みか喜びか、どちらにせよ、暖かった。こんなにも想ってくれている。こんなにも良い女を、どうして放っておこうと思えるだろうか。本当に自分ときたら……。何も解ってやしなかったのは自分のほうだったんだと、目の前の健気な姿に心打たれて、惹かれる気持ちがどうしようもなく膨らんでいく。愛されてくれてありがとう、という言葉に、目の前がじわりと霞んだ。誰かを愛すことで、自分が産まれてきたのは間違いではなかったのだとずっと想いたかった。その相手はきっと、今自分にとって彼女しかいないのだろう。産まれてきた意味を色恋に委ねるだなんて、笑ってしまうくらい、いい歳をして大袈裟かもしれない。そんな気持ちも董の『たったそれだけが』という言葉が覆うように包み込んだ。意味なんて、なんだってよかったんだ。僕が生きて、お前が生きて、不器用に恋をしようとしている。それだけが揺るぎなく、目の前にある真実だ。ただ花は咲きたいから咲くのだと、いつかの点が線で繋がる。)   (12/19 18:26:42)
マリア/火津彌 > 「……ははっ……響希!ようし、お前のお父ちゃんに会いにいこう!」(弾けるような笑い声をあげて、目の前に立つ董を腰からまっすぐ抱き上げる。)「ちゃんとつかまれ、全く、重いなぁお前は。僕も大概、重い男やけどな。……覚悟せえよ。」(もう取り繕わない、貴族らしくもない軽口を叩きながら董の手をとって首の後ろに回させる。今なら馬鹿火津彌と言われるのも悪い気はしないだろう。)「……ありがとう、ようやくお前を愛せそうや。ずっと、待たせて悪かった。」(冬の帝都は寒いけれど、それでも貴女と二人だ。風に散る山茶花の中で、その温もりを精一杯感じる事が出来た。)「……もうこんなおっさんは嫌だと言われようが、離してやらんからな。はは。……僕と一緒になったら次は『鬼灯夫人』や、辛い思いをさせるかもな。やけど、今のお前ならその役目もきっと立派に演じられると思う。『御新造様』と呼ばれたら、ツンと済まして『はいなんでしょう』と言ってやれ。そうして時々、二人で安茶屋や祭りにも出かけよう。そこでは何も取り繕わなくてええ……僕が居てやる。」   (12/19 18:27:00)
マリア/火津彌 > (言葉は徐々に静かで、甘く囁くような響きに変わってゆく。ゆっくりと董を降ろし、ぱたぱたと服の皺を直してやると改めて向き直り、懐に手を入れた。)「……まだ大事な事を言っとらんかった。綺麗や、響希。今のお前は、誰よりも美しい。……その簪は祝言の時にでもつけてくれ。普段遣いには少し格が高すぎるからな。」(懐から取り出したのは、それこそ屋台か何かで買ったような、若い娘向きの装飾品だった。嫁入り道具にしてはあまりにも気安い、それでも董に似合うと想って見繕ったもの。今日こうしてきっちりとめかしこんだ姿を見る事が出来たから、『今のお前なら』と決め打つ事が出来たけれど、普段の董だってかわいらしい。董が贈った簪が気にいるかどうかも解らないし、全てを自分の色に染まる必要はないのだと伝えたくて、用意していたものの一つだった。)   (12/19 18:27:10)
マリア/火津彌 > 「どうや、なんとなくお前っぽいやろ。この先にある花を見たら、衣装屋に戻っていつものお前に戻ろう。……ほら」(それを董の手に渡すと、また歩き出す為に手を差し伸べた。『お前はお前らしくいていいんだ』と、かつての上司がかけてくれた言葉を、ようやく返す事が出来た。人の因果は、廻り、巡る。次の物語へと。)   (12/19 18:27:16)


ゑゐりあん/董 > え…えぇ!?(突然弾けたような笑い声をあげて父に会いに行くなんて言い出す董。最初こそ戸惑ったが、すぐに不安は消え去った。きっと、彼がいれば大丈夫だ。前は黙って逃げちゃったけど、今度は面と向かって自分の想いを告げてから逃げてやろう。今までありがとうございましたって)うん!行こっ!ってわぁ!?(と、今度は腰からまっすぐに抱き上げられる董。身長は自分のほうが高いはずなのだが、流石は火津彌と言ったところだろうか)お…重いって、そりゃ筋肉ありますから!それにアンタと違って身長高いし!   (12/19 18:55:54)
ゑゐりあん/董 > (随分とデリカシーのない発言だが、それすら心地よい。それはきっと、被虐心とかではなく、"彼と共に居られる"という実感があるからだろう。とにかく幸せだ。もう難しい言葉なんていらない。幸せなんだ。それだけでいい。だって本当に、幸せなのだから)えへへっ。こっちだって、こんなじゃじゃ馬娘が嫌いになっても話してあげないんだから。…雑草はしつこいよ?(嫌いになろうが、だなんて。そりゃぁ結婚生活は幸せだけじゃないだろう。喧嘩もするだろうし、相手の見たくない面だって見るだろう。でも、それは覚悟の上だ。そのつもりで妻になったわけだし、それにそんな簡単に嫌いになるなら、ここまでこれなかったはずだ)   (12/19 18:56:08)
ゑゐりあん/董 > 別に大丈夫だよ。鬼灯月光の妻になるって決めてたんだから御新造様なんて呼ばれたら嬉しくて踊っちゃうかも(冗談交じりにそう言うと二ッと悪戯っぽく笑う董。相変わらず笑顔の似合う女である。そして彼にゆっくりと下されると、月光は董の姿を褒めた)あ…改まって言われると恥ずかしいなぁ…ッ。…ありがと(顔を赤らめつつも、董は感謝を述べる。簪の件もちゃんと頭に入れておこう。そうでもないと、毎日でもつけて外を歩きかねないのだから。と、彼が懐からある物を取り出した)わぁ…。…確かに、私っぽいや。それを選ぶセンスは月光っぽいけど。…ありがと。一生大事にするよ(そう言って董は彼から受け取った贈り物を胸に重ねた)   (12/19 18:56:25)
ゑゐりあん/董 > …これで、一緒に数えることができるね。どれくらいの時を一緒に刻めたかが(彼から受け取った時計は、董の旨の中で確かに時を刻んていた。これから、共に歩んでゆく中で刻まれる時の数々。それに想いを馳せその時計を懐にしまう。そして彼の手を掴んでじっと顔を見つめる)ほら、花を見に行くんでしょ?   (12/19 18:56:33)


マリア/火津彌 > (董の返事の一つ一つが、彼女らしくて愛おしかった。『参ったなあ、今日は思い切り色男を気取るはずやったのに』なんて一本取られたような気分で、だけど悪くなくて。全く、本当に馬鹿で、愛しくて、まっすぐで、一本気で、可愛いじゃじゃ馬だ。)「……ああ、行こか。」(見つめ合っていた時間は一瞬のように感じられた。いつまでも見ていたいと思う気持ちを抑え、手をとって歩き出す。山茶花の橋を越え、落ち葉の絨毯を越えてたどり着いた冬の桜は、自分達を重ねたくなるほどに葉一枚も纏わない裸の姿で佇んでいた。)「………」(その木の前まで着くと、にっと笑って俄にぐいっと董の手を引く。鼻先に迫る梢の先に、一輪だけ蕾が綻んでいた。)「……咲いたな。」(そう言いながら、目は董から逸らせなかった。こちらの視線に気づくまで、ずっとずっと董の横顔を見つめていた。)   (12/19 19:10:07)


ゑゐりあん/董 > (たどり着いた先にあったのは冬の寒さで葉すらも散ってしまった桜であった。…しかし、この桜は死んではいないのだ。ちゃんと生きている。桜は、春に花を咲かせ、夏に葉を生い茂らせ、秋に葉を散らす。そして冬には春に咲くための準備をしているのだ。だからこの桜も今を必死に咲いているのだ。その証拠に、彼に寄せられ見た先には小さな蕾が綻んでいたではないか)……咲いたね(まるで、それは自分たちのようであった。そう思って董は横目で月光を見ると、彼がこちらの横顔を見つめていることに気付いた)ね…ねぇ…!(そう言って、董はあることをしようとした。…が、その想いを引き留めて、董は彼のほうを向いて柔らかく微笑んだ。にっこりと、思わせぶりにほほ笑んだ)信じてるから(そう言った董はゆっくりと瞼を下ろし、彼を待った)   (12/19 19:19:03)


マリア/火津彌 > (『ここが正念場、〆だという時、お前はただ黙って―――……』黙って、思わせぶりに咲った彼女の表情に、どくんと鼓動が跳ねる。いつのまにか彼女が紛れもなく身につけていた魔性。咲いた花の色。ゆっくりとつむった瞼をふちどる長い睫毛に見とれ、揺れる瞳の焦点をなんとか貴女に合わせて満足げに微笑んだ。ああ、ここが正念場だ。男を見せろと自らを鼓舞しなくとも、磁石のように自然に顔が引き寄せられてゆく。いつもは化粧っ気のない、さくらんぼ色にぽっと赤らんだ唇に、自らの唇を重ねた。王国で交わしたものを思い出す。子供のような、強引で、拙かった接吻。どうやらもう一度色男を気取ってみせる時が来たようだった。)「……上出来や。」(短く整えた髪をそっとかき分けるようにして耳に触れる。もう片方の手は腰へ回して、くっと身体を密着させると、軽く息継ぎをして下唇にそっと吸い付く。甘くて、柔らかくて、蕩けるような香りがした。何度も軽く吸い付いて、その度に鼻が軽く当たる。猫が挨拶をするように、すり、すり、と鼻先を合わせて角度を変え、触れたまま軽く唇を開いた。)   (12/19 19:47:41)
マリア/火津彌 > 「……響希、ほら、開け」(貴女の表情の変わるのを見逃すまいと目をうっとりと開いて、耳に触れている指を緩慢に動かしてなぞる。かぶりつくようにもう一度唇を重ねると、舌を侵入させて上顎をとろりと舐めた。)   (12/19 19:47:43)


ゑゐりあん/董 > …ッ(目を瞑った分、更には寒さで人肌のぬくもりに敏感になっているせいか、彼が耳に触れると少しだけビクッと体を震わせる董。そして腰に手を回されて体を密着させられたかと思うと、下唇に温かく柔らかい感触が優しく触れるのを感じる。王国でしたのとは違うキス。あの時勢いでしたような子供だましのキスではなく、本物の大人のキス。唇を軽く吸われ、鼻がふれあい、息が混ざり合うのを五感全てで感じ取った董の心臓はバクバクと月光にすら聞こえるほどの大きな鼓動を響かせていた。そして開け、と言われると黙ってゆっくりと口を開く。目は瞑ったままであったが、最初の緊張はどこへやら。すでに董の顔は蕩けてしまっていた。そして口腔へ入ってくる彼の舌。董も必死に舌を動かし、彼の舌にからめるようにする。互いの体温が混ざり合い、境界線が無くなり、そして最後には一つになる。まるで、そんな気分だった)ん…ッ(董から時々漏れる息遣いが月光の顔を撫でた)   (12/19 19:58:13)


マリア/火津彌 > (熱い息が混じり合って、柔らかな心地に飲まれる。体内を這うような空気と線を越える。声にならない言葉に必死に応えようと絡みついてくる董の舌を吸って、舌先で宥め賺すように押し返す。そんなに焦るな、ゆっくり、ゆっくりでいい……と、言外に教えて、染み渡らせるように。どのくらいそうしていただろう、一瞬のようであり、また永遠のように感じられた時間だった。これ以上は理性が吹っ飛びそうだと思う前に、唇を離して力いっぱい抱きしめた。)「……ははっ……まいった、僕の負けや。」   (12/19 20:21:06)
マリア/火津彌 > (まだまだ、喰らいつくしてしまうには惜しい。結婚を申し込む前から、その時が来るまで当分董を抱くまいと決めていたし、その決定は覆さない。まずは、彼女の両親に筋を通してそれから……どれくらいかかるだろう。董は知るよしもないだろうが、僕も焼きが回ったもんやと火津彌は苦笑を零した。)「……さ、帰ろう。皆にも報告するか。驚くやろなぁ」(董から体を離し、ぱんぱん、と仕切り直すように両手を打った。乾いた冬の空に渡る柏手は、神さまに挨拶する前の作法にも似て。いつのまにか高く上がった月の光に、希みを響かせようか。どうかこの幸せが続きますようにと。)【凩に匂ひやつけし返り花】   (12/19 20:21:11)