この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

糸依&董&竜灯

時めくは、何輪や

清瀬/糸依 > (廿の節氣を終えんとする帝國にて、白濁の息のやうやうと消ぬ冬を耐ふ。なんだかんだ帰って来てしまえば毎日は退屈で、甘さが喉に張り付いたような痛みをずうっと抱えていた。軍事予定も関係がなければ祭なんて悪酔いに乗じて騒げる場もない。些か徒然としていて、だからこそ彼女の、董の誘いにも乗っかったのだろう。と自分自身を分析して図る。中庭を望む、椅子やサイドテーブルの設置されたちょっとした空間。あの日は偶然、では此方は必然か。概要もろくに聞いていないのだが、彼女のことだから恐らく軽い服装でやってきて「特訓に付き合ってはくれぬか!」と目と額から滴る汗を輝かせて言うのだろうか。──さてこの女、どうでもいいことは悉くどうでもよいのが凶と出た。貴方が少将と起こしたすれ違いも契りも、何もかも知っておらず。呑気なことに先程まで読み耽っていた小説の一片を思い返しながら、遠くを見つめているのであった。)   (12/2 16:43:24)


ゑゐりあん/董 > 糸依さん(そんな場所に、凛として座る彼女に対して控えめに声を掛ける女が一人。彼女が王国から帰ってから初めて見るバッサリと髪をカットしたじゃじゃ馬娘。董である。元気の擬人化、全身筋肉、筋肉から生まれた女などと裏でささやかれているであろう元気っ娘の彼女が、やけにしおらしい様子で糸依に話しかけてきたのだ)久しぶり。元気そうだね(服装は彼女が普段から着ている肩出しの着物だったが、その髪型と相まってまるで別人のような印象を受ける。そしておずおずと彼女の前に腰を下ろし、少しだけ頬を赤らめながら挨拶をする)ごめんね、帰ってきてすぐに呼び出しちゃって。えっと…その…どうかな?この髪。…似合う?(普段の彼女からは想像もつかないような御淑やかさで。まるで"己に無理強いをしているかのような"御淑やかさで糸依に自身の新たな髪型の具合を聞く董)   (12/2 16:53:21)


清瀬/糸依 > (字を映像に、頭の中の小説演目を興じる私を此方に引き返させたのは、今日の待ち人であった。霞がかるようにぼんやりと、脳裏舞台を終わらせていると、やがて向かいに彼女が腰掛ける。ん、ああ。と曖昧に濁した返事を返しつつ、音を立てる椅子、それを掴む手、と視線を上にあげていけば、ふと意識がはっきりと現へ戻ってきた。)「……董殿、久しく」(不意の出来事というのは、人の興味をそそり惹き付けるものだ。馬の尾のように長く艶やかであった常磐色の髪はすっきりとしており、そして彼女の両の目が私を捉えているのも初めての体験だ。あれだけ長いと普通の人ならば鬱陶しく思うだろう、とは前々から思っていたことであるので、そこに疑問などは生ずることがなかったのだが。二度、三度、瞬き。はて、恋心か。と人の心に疎いながらに確信した。姿にしろ振る舞いにしろ、人がそうも容易く変わる筈がない。そこには要因や心理が関わるものだ。)   (12/2 17:30:18)
清瀬/糸依 > 「ええ。まへの貌と競ぶと、あな。華にも並ぶ如く艶やか、なり」(背凭れへぐうっと力を込めて、髪をくるくると指に巻いて。継ぎ接ぎの付け焼き刃でやり過ごす。よく見ればいつもよりも挙動不審であるのは確かだろう。覚醒せぬ頭でよく考えろ、触れるが吉か、過ぐが吉か。ずうっと遡るように、意識を向けるのは貴方であれど目の前ではない。ほんの僅かであっても、気まずい沈黙を今ばかりは嫌って、話の舵を横戸るのであった。)「真や、貴殿の話とは如何。此所に振り延ひて、大事か?」   (12/2 17:30:20)


ゑゐりあん/董 > あはは。糸依さんはやっぱりいつも通りの話し方なんだね。なんだか安心するよ(糸依の相変わらずのしゃべり方にどこかほっとする董。すると、糸依が今回の呼びたてた理由を尋ねてきた。もう少し心の準備をしておきたいと思っていたのだが、流石は糸依である。話が早い。そういう察しの良さは見習いたい所存である、なんて心の中で思いつつ、董は懐から二枚の紙と簪を机の上に差し出す)…実はね。火津彌からこんなものが来てね(一枚は手紙、一枚は和歌。自分は解読するのにかなりの時間を要したが、きっと頭のいい彼女なら、この手紙の”真意”もすぐに気づくだろうと期待して彼女に渡す)ちょっと、読んでもらえるかな…?(本来なら董自身が内容を読み上げるというのが筋だろうが、流石にあの内容を自分の口で読み上げるのはかなり恥ずかしい。目の前で読まれるのも十分に恥ずかしいが、それでも声に出して読むよりかは幾ばくかましである)   (12/2 17:35:55)


清瀬/糸依 > (同じ様に笑って、「貴殿は、改むわざなりけり」とは聞けなかった。せいぜい返すのは愛想笑いで、私の心はここにはなくて、きっと丁度あの何もない、埃の溜まった空間あたりを彷徨っているのだ。人が容姿を変えることぐらいある、私とて暫く前に髪ぐらい切ったし、口調だって幼い時からこうではなかった。では、何故か?……そこまで踏み込む気にはなれなかった。私自身厚かましく接するのを嫌うから、である。彼女を変えるだけの何かがあった、それが分かれば今はいいのだ。私の役目は、そうではない。人の抱えるものを手伝うには、既に私の背は重く、これ以上の苦はしたくないのだ。腕を組んで人差し指に絡み付く枝毛の束も、強引に指を通してしまえば多少痛くともつっかえを飲み込むことができた。)「……へえ、少将より」   (12/2 18:05:59)
清瀬/糸依 > (とんとん、進む話は二通と一つに辿り着いた。火津彌、といえば先日土産を渡し、更には誕生日だからと私もボール・ペンなるものを渡された。その時にはお互い何も話さず終わってしまったが、きっとそれは暴かれたくなかったのだと後々わかっていくだろう。広げられた二枚には整った平仮名の流れ字、真珠の耀く簪はおよそそれあれも、これもと易々と買えるものではないだろう。睫毛を擽る前髪を掻き分けて、とうに董の言葉など聞こえないのか深く文字に意識を沈めていた。)「手折る……、迄…………」(読み進める度に、あの上司の内面をこっそりと覗いているような背徳感と高揚と、それから感心が沸き上がる。彼も趣味であるのだろうか、そうでなくとも教養があるか、身分が高い方なのだろう。この中に秘めた、参拾壱では足りぬ気持ちを見つける度に、つい愉しくなってしまうのだ。あいつめ、あんなにお節介をやいておいて、自分が一番女々しいではないか。──凡そ解読を終えてから、何があったのかという方向はだいたい予想がついた。毛先の揃ったボブカットへ視線を逃がし、一息の疲労を吐く。)   (12/2 18:06:16)
清瀬/糸依 > 「……大方、推しはかりけり。して、本題とは如何に?」(見せて終わり、とはいかないのだろう。まさか惚気話を聴けと言うのだろうか、とんでもない。)   (12/2 18:06:26)


ゑゐりあん/董 > …それで、本題って言うのが…(まさか本題を聞いてくるとは。話の聞き方が上手と言うか、何を話したいかをちゃんと理解してくれている。やはり、糸依に相談してよかった。そう思いながら董は言葉を紡ぐ)…私に…教えてくれないかな?その…(と、少し沈黙をする董。どんな言葉を使うのか迷っているのだ。デートの仕方を教えて欲しい?違う。女の子らしくさせて欲しい?これも違う。自分が求める物。自分が欲しい物。糸依から、火津彌から欲しいモノ。それが何かを今一度考え、そして董が出した結論は)   (12/2 18:15:05)
ゑゐりあん/董 > …あいつの…火津彌の女になる方法を(董はまっすぐな目で糸依に告げた。相手方の恋文を見せるのには抵抗があったくせに、こういう恥ずかしいセリフを言うのには一切の抵抗がない。やはりこの董という少女は、一般的な恋愛観とはまた違った視点を持っているのだろう。少なくとも、彼女の今の行動はそれを知るには十分な行動だった。火津彌の女になる方法を。つまりは、彼に好かれる方法を知りたい。董はそう言っているのだ。無論それはただ見てくれだけの話ではない。内面や、彼の求める女性像。そう言うのを知りたい。董はそう言う意味で、"火津彌の女になる方法を教えて欲しい"と言ったのだ)   (12/2 18:15:08)


シロー/竜灯 > 「うーん。」((榮郷本部基地の廊下にて。中庭を覗ける一室の扉に向かい合いながら、竜灯は腕を組んで僅かに唸った。⋯⋯遡ること数分前。火津彌との〝作戦会議〟から数日が経った本日。あれ以来その後の進展を聞いていなかった竜灯は、偶然見掛けた董の後ろ姿を見つけ、何となくつけてきたのだ。少しボサついた髪を掻きながら、あからさまに困った溜息を吐く。扉が閉まりきる寸前で固定させるために、扉を支えていた足を僅かに動かすが、僅かな隙間からはもう話し声は聞こえてこない。⋯⋯あんな質問の後であれば糸依も困ることだろう。会話の一部始終を聞いていた竜灯は、見兼ねて扉を開け放つのだった。)「おぉ、奇遇じゃの。二人とも」(大して驚いた様子も見せずにつかつかと二人の元まで歩み寄れば、椅子に座る糸依の両肩を後ろから優しく掴み、自然な動作で糸依に触れる。)   (12/2 19:30:20)
シロー/竜灯 > 「偶然通りかかっての、話は聞いたけんど......見せてみるちや、どれ。」(そのまま糸依の後ろから肩越しに視線を落とし、手紙を見ること数分。何度か董と手紙を交互に見てから、竜灯は喉奥から絞り出すような呻き声を上げた。)「いやぁ...」(内心ええのう......ええのう...とニヤついていそうな声色の後に、そがな事聞く暇があったらちゃっちゃと粧しこむちや!と口にしたいのを我慢して、董を見詰めて口を開く。)「董さん、おまんこがな手紙貰いよって⋯⋯。どう思っちょるんだ?何か思うたか?」(竜灯らしくなく、とても穏やかに固定された表情で董の返事を待った。   (12/2 19:30:30)


清瀬/糸依 > (目の前の彼女は、いつもの竹を割ったような勢いは何処へやら、やけにまどろっこしい様子を見せている。彼女にも悩みというものが芽生えたのだろうか、と内心感心していた。決して性格が悪いとは言わないが、最初に感じた“世間知らず”という印象はずばり的を射ていた。幼い故か、無垢である故か。彼女の思考は“他人であるから”以前に私とは違う。そして恐らく、少将とも。そんなちょっとした期待も、次の言葉に裏切られることとなる。──『私に…教えてくれないかな?その……』)「……うん?」(“糸依”という枠組みになるべく囚われず解釈と理解に努めたつもりであったが、やはりこう言うしかなかった。笑顔はひきつっていないだろうか、目は泳いでいないだろうか。董は少なからず真剣だ、だから余計にたちが悪い。   (12/2 19:56:55)
清瀬/糸依 > “可愛い見てくれになりたい”だとか、“こういうことがあったけどどうすればよいだろうか”ならまだ分かりようがある。二人の関係という暗礁の中に潜んだ捜し物を光源も持たない他人に見つけろと言いつけるあたり、何を以て……いや、彼女は、董という人間は何を考えているのだろうか。言葉を捜しあぐね、怪異を蔑むような目線をひた隠しにしていると。──人は正しくこれを助け船と言うのだろう。)「……あ、竜灯」(戸の閉まる硬い音に遅れて振り返れば、こういう時に頼りになるであろう人がつか、つかと気兼ねなさげに近寄ってきた。私の肩越しに机上を眺めると、此方が何もするまでもなくこの難題を解かんと力を貸してくれている。彼へ裂く意識は磨り減っていたからか、経緯が何にせよ有り難かった。波を荒だてるよりは、と私は舵を一任して、二人をちら、と交互に傍観せんとしよう。)   (12/2 19:56:59)


ゑゐりあん/董 > あ、竜灯さん。こんにちは…(相手が女性であるからこそ自分のこういう弱みを見せれた、と言うのがある故にこの状況下に突如として来訪した竜灯に一瞬焦ったものの、よく考えれば彼だって火津彌とは深い仲である。もしかしたら何かしらアドバイスをしてくれるかもしれない。そう思っていると、彼から質問が入る)何を思った…ですか(何を思ったか、と言われればそりゃぁ色々と思ったが、それでも真っ先に思ったのは)…ちょっとびっくりしちゃいました(控えめに、しかし嬉しそうに言う董。だが、次の瞬間には彼女の顔は少しばかり暗かった)…そして…どうしようもなく自分が情けなく思いました。…あいつは私のことをこんな風に思ってくれているのに、私はあいつの望んだことを一つも返せてないんです(そう言うと、董は決心をしてあの夜のことを話し出す)…実は火津彌が王国へ向かったのち、私も王国へ行ったんです。あいつを追って。…それで、なんやかんやあって二人で宿の同じ部屋に泊まることになったんですが…   (12/2 20:10:11)
ゑゐりあん/董 > (そのことを話すのに羞恥心は要らなかった。…否、羞恥心がないことはないのだ。"男女が一つの部屋に泊まるという意味を知らない自分"を董は恥、情けなく思っているのだ)…私はあいつの想いを微塵もくみ取れなかったんです。…もっと私に常識があれば…。そう言った知識があれば察することもできたでしょうに、私は何も察することができなかった。…男女が同じ部屋で寝泊まりする意味を私は微塵も理解していなかったんです。…その手紙を見た時、初めてあの時のあいつの気持ちが分かったんです。だから自分が情けなくて情けなくて…   (12/2 20:10:26)
ゑゐりあん/董 > (ギュッと握りこぶしを作る董。そのせいで一度は恋心を拒絶されてしまったのだ。そのおかげで自分の恋心に確固たる自信が持てたというのはあるが、それでもあんな思いは二度は御免である)…だから、教えて欲しいんです!男の人とデートするという事が、どういうことなのか、何をすればいいのか!あいつは私に何を求めているのかについて!(ここで熱がこもったのか、立ち上がり身を乗り出す董。その眼はやはり真剣そのものであった)あ…。すみません…(そして自分が一方的に熱くなったのに気づき、董は席に座り直した)…馬鹿な話だとは思うし、難しいことだとは重々承知してます。…だけどどうか、私にご教授していただけないでしょうか…!(と頭を下げる董。彼女はかなり必死なようだった)   (12/2 20:10:28)


シロー/竜灯 > (糸依の肩を手寂しさにか撫でながら、竜灯は董の話を聞いた。董と火津彌の間に起きた出来事の全てを知っている竜灯にとっては今更なカミングアウトであったが、それは顔には出さないように気を掛けつつ、何度か相槌を打った。かなり熱くなっているようで、どうしたものかと糸依と顔を見合せたい気分ではあったものの、頭を下げられたならば答えぬ訳にはいかない。舌をちろりと出して上唇を湿らせながら、竜灯は重い腰を上げるかのように声を上げた。)「ほうか⋯。びっくりしたのは分かったけんど、嬉しいだろ?好いとる人に誘われて。おまんが火津彌さんを好きなのは重々分かっちょる⋯⋯が、火津彌さんはどうかのう。」(糸依の肩を揉んでいた手を止めると、糸依の顎辺りに手を置いて、くい、と掌で糸依の顔を持ち上げる。一度糸依の表情を伺ってみたくて自分も見下ろした。)   (12/2 20:55:08)
シロー/竜灯 > 「俺には分からんのう、読めんぜよ。あん人の好みは元々分からんが、あの火津彌さんが好きだから抱く、と思う程の切っ掛けがあったようにはどうも思えんの。のう?糸依さん」(終始糸依の顔を見つめながらなんて事ない風に自然に呟いた。俺は火津彌の気持ちと真実を本人の口から既に聞いているが、それでも、なんとなくでも糸依さんになら分かるだろう、少なくとも火津彌さんが抱きたいほど董に惚れる、という風な人間ではない気がする、という感覚を。充分堪能したのか、糸依の顎から手を離すと、背もたれに腕を預け、さらにその上に自分の顎を乗せると、糸依の頭の横から瞳を覗かせる。ようやっと普段通りになったニヒルな笑みを隠そうともせず、竜灯は一息ついて言葉を続けた。)   (12/2 20:55:09)
シロー/竜灯 > 「まぁそういう事ぜよ、俺にも糸依さんにも火津彌さんの好みなど分からん。やけんど一番火津彌さんを分かれるのはおまんだと思うちや、火津彌さんの立場になって考えてみたりの、大変だとは思うが、だからこそ本気で好いちょる人にしか出来んはずじゃ。」(董の気持ちを確かめるように、追求するような視線を細めた瞳で向けると、暫く見詰めた後に沈黙を解いた。ぽん、と強めに糸依の肩を叩くのは合図であった。)「と、言い訳で取り敢えず、火津彌さんとデートをするなら、やることは決まっとるの」(粧し込んだり、そういったのは俺よりも糸依さんに任せるべきだろう。   (12/2 20:55:18)


清瀬/糸依 > (彼に任せれば、たった一つの質問で酔いを回したようにポロポロと言葉が零れていくではないか。これなら私より先に竜灯を頼るべきだったのに……と、これは結果論でしかないのだが。しかし聞き進めれば進める程、私はどうしても相手側、少将に己を重ねてしまってどうも納得がいきにくい。私にはこの綺麗な言葉達が眩しすぎるし、火津彌の方に同情すればする程、彼が董に思いを寄せる理由というのもわからなくなってくる。彼は後ろのこれとは違って、まず手の内に収めて、それは大切に、脆い霜の結晶を崩さぬように愛そうとするのだろう。責任のとれないことも、無謀なことも好まぬ筈だ。そして尚更、箱入り古城様をリードする程面倒見がよいとも根気強いとも、そして強かな精神を持ち合わせているとも思えない。理解を深めようとすればする程、どうにもこの泥沼から抜けられなくなってしまうのだ。よもや自分に話は飛んでこないだろうという余裕か、軽く頬杖をつきながら、机に広げられた文字にばかり視線を向けていた。   (12/2 22:09:23)
清瀬/糸依 > ……彼が送ったこの言葉は、はて。本当にこの場の人間なぞに推し量れるものであろうか?…などと頭の中に狐仮面を浮かばせていたところ、肩を好き放題されていた感覚は何事か、私の視界をぐうっと上げていった。)「…………。っえ、嗚呼、いさや」(予々思っていたのだが、何故こんなに突拍子もなく距離を詰めてくるのだろうか。今は恋路を導く側、私が先導されてもどうにもならぬというのに。やめよう、こんな言い草では私がまるで。今はそんなことに構ってられないのだ。上擦った声で同意を示して暫く、まだ整理のつかぬままとんとん、と話は進んでいく。後押されるように肩を叩かれたのは、どうやら私が何か言うべきだということらしい。喉を挟むように指を添え、咳払いの後にどこか不安を覗かせる董を見つめる。なんだかしおらしくて、らしくないなぁ。というのは生温い唾と一緒に飲み込もう。)「ええ、今ばかりは貴殿は、鑑みることを止むべきなり。めかすのならば、手こそ貸し仕れ。……前を引き摺ることばかりがよき事とはえ申せずして」   (12/2 22:09:25)


ゑゐりあん/董 > あいつが…どうか…(火津彌はどうか?という竜灯の言葉を反芻する董。彼は私のことが本当に好きなのか?…一昔前なら随分と悩んだかもしれないが、それでも今はもう理解していた。自惚れるわけではないが、彼も自分を好いてくれているのだ。愛してくれているのだ。そうでもなければ、きっとこんな提案はしてこないはずである)…あいつの立場になって考えてみる…ですか。…なんでだろ。わかんない。わかんないけど…なんだかわかる気がする…(火津彌のことがわからないからこそ、今こんな風になってきているはずなのだが、だがそれでも何となくわかる気がする。きっと不器用なのだろう。どちらも。変に相手を気遣っているせいで、逆に相手を戸惑わせている。中途半端に優しく中途半端に我儘だから、どっちつかずになってしまっている。少なくとも董は、彼の立場になって考えてそう思った。すると、竜灯が糸依の肩に顎を乗せたのを見て、頬を赤らめながらも恋愛小説を見るうら若き少女のような輝いた眼で二人を見つめる)   (12/2 22:35:06)
ゑゐりあん/董 > …すご(感想は貧相なものだが。なんだかその姿を見ていると安心してきた。同時に二人の間に何かあったのだろうとは察したが、それを口に出すのはやめた。自分の恋愛すらままならぬのだ。他人の恋愛を楽しんでる暇はない)   (12/2 22:35:16)
ゑゐりあん/董 > …ありがとうございます。なんだか、こころの突っかかりが取れた気がします。…やっぱり正解はわかんないけど。それでも、なんだかいけそうな気がします(そう言って頭を下げて顔を上げた彼女の顔つきは、先程までの不安げな少女からいつも通りのじゃじゃ馬娘へと変わりつつあった)そうと決まればおめかししなきゃ。糸依さんありがとう。おめかしのお手伝い。是非ともお願いするね(糸依に礼を述べる董。彼との行く先ばかりに気を取られ心に憑き物を抱えていたのでは、デートを満喫できない。折角のデートなのに何か考え事をしてたんじゃァ楽しめるものも楽しめないではないか。最近は少し本当の自分を見失っていたようだ。考えるのが苦手な脳みそのくせに色々と考えれば、当然パンクするに決まっている。自分ができることは今を生きることだけ。今に咲くことだけ。ならば、精一杯咲いて見せようではないか。その先のことは、その先の自分にまかせることにして)   (12/2 22:35:19)


シロー/竜灯 > 「ほうか?なら良かったぜよ」(実際の所、伝わっているのかは読めない。そう簡単に人の心は読めるものではないが、好きならば、出来る筈だ。信じよう。取り敢えずは一件落着か、と瞳を閉じると、ほんの少し満足気な表情を残して背筋を伸ばした。糸依がおめかしを手伝ってくれるなら問題は無いだろう。自分の意を汲み取ってか珍しく人の手伝いを申し出た糸依、そして二つ返事で誘いに乗った董、二人を眺めては小さく頷いた。表面上だが仲良くて何より。)「さて、そろそろ俺はお暇しようかの。着飾って貰うちや、楽しみにしちょるし、火津彌さんも楽しみで手紙と⋯⋯そうじゃな、贈ったと思うぜよ」(今度会うことがあったら火津彌さんを小突いてやろう。と思った。にっ、と最後に笑みを残すと背を向けて、扉へと歩く。取っ手に手を伸ばし触れた所で、首を回して今一度振り返った。)   (12/2 22:59:35)
シロー/竜灯 > 「間違いなく火津彌さんはいい男ぜよ。やき、火津彌さんに任せてみるちや、素敵なデートが待っとる。おまんは楽しんで、好いちょる人と二人きりの時間に恋しとれば十分じゃ、そがな幸せなことはないぜ」(横顔を向けて、横目にニヒルな笑みを浮かべると、空いた片手を上げて竜灯は部屋の外へと消えていった。)「あ!糸依さん、今夜迎えに行くぜよ。予定空いちょったら俺と一杯、の。」(再び扉が空いたかと思ったら、顔を覗かせて一言残していった。   (12/2 22:59:38)


清瀬/糸依 > (内心、ため息をつきたいの一つに尽きるのであった。机の下で竜灯の脇腹をつねりあぐねる間に垣間見た表情もまた不可解な。そしてほう、と見とれる董の姿がこいつに見えていない筈もない。節操がないのか、この男の性なのか、はたまたわざとなのか。羞恥心、では片付けられぬ胸の凝りであった。この正体が何にせよ、この現状の是非などわからなくても。しかしいつも竜灯は、何故今それを、と驚かされることばかり起こしてくる。ゆっくりと、解れや欠点のないように幾らか努めてから物を行ったり事を起こす私とは、全く異なる人。そうでなくても、何か突拍子もなく及んだり、思い付きで人と接することのできる人間を、私はいつも嫌悪と羨望の眼差しで見つめるのだ。それは時に、目の前の彼女も同じである。分かることの到底できぬからこそ憎らしく、掠りもしないほどに手が届かぬから妬ましい。……では、似ていれば良しか?全くの愚問である、より混ざるものもあれば反発するものだってあるのだ。異なるからこそ惹かれるものも、二つでは補うことのできぬものも、一概に言葉に纏めるとするならば、それは緣か。)   (12/10 23:24:40)
清瀬/糸依 > 「……。」(音なき文句で彼女の覚悟を聞いていた。元より反論の意思はないが、同調もしなかった。十あれば十知りたがるのは人の性だが、それはただの驕りとも言えるのではないのか。魔術師なら尚更思いはしないのだろうか? 全てを知り、全てを司るのは紛れもなく“信仰”する“神”ではないのか。お前達が私と違うというのならば、と嫉む気持ちがあるのが嫌に刺々しくて、服の上から首筋を削るように掻きむしる。罪を擦るように忍び寄る毛先も、晒された上司の忍ぶ思考も、かき混ぜては放り投げる。私が内で巡らせたところで、わかりあえぬ者が考えたことを受け入れ理解して貰える筈もない、これは水の泡と帰すことだ。)「……ん、如何致しまして」(お礼を言われて、よかったと見守られて、初めて自分は厄介事を承諾したのだと自覚した。合わせて頭を軽く下げてみるものの、自分でも不思議であった。世話好きでもない私は、同調性の羞恥心に罪を感じたのだろう。一世一代とは言わずとも、どれ程の思いで綴ったろうか。ごめん、などと不自然に張り付けただけの董の汐らしさでは、火津彌の偏屈は振り向いてくれるだろうか。   (12/10 23:25:12)
清瀬/糸依 > 悲劇などとは言わない、せめて喜歌劇ぐらいに仕上げてくれれば、観客としては上々だ。)「然らば、直ぐとは黙す故、今日明日、見世街にでも──」(不敵な笑みを浮かべ、あっという間に去る竜灯に視線だけで別れを告げた。さて任されてしまった以上は、私のできることをしなければならない。ころぶ真珠を消さぬよう、浮かせぬよう、丁度よい塩梅におさめてやる必要がある。まずは彼女の希望を、合わせてやるのはその後に。──と、出ていった筈の彼が戻ってきて一言。こいつは、ほんとに。いつか右で殴るぞ、と決意を固めて顔の変わらぬうちにとっととおめかしの主役へ向き直る。しかし二人狭い空間で、というのはむず痒くて、少しもしない間に立ち上がり、まだ腰を下ろしたままの貴方の傍で少し見下ろしながら、「歩きながらにしよう」と催促する。そして立ち上がらぬうちに、向こう側の肩をずいと寄せて、どこから見ているかもわからぬ視線に怯えるようにそっと耳打ちをした。)   (12/10 23:25:26)
清瀬/糸依 > 「……まぁ、応援してるから」(恋道を?愉快な舞台を?それぐらいは自分で考えて欲しい、せいぜいうんと悩んでくれれば儲けものだ。どちらともとられても構わないのは、どちらとも含んでいるからか、からかいか。戸の縁に手をかけて、横目に貴方の支度を待ちながら眺めるのは虚空。手紙か、これはいいものを。ふうっと口の端を綻ばせて、ほつれたまま口ずさむ。)「【時めくは、何輪や】」〆   (12/10 23:25:38)