この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ドクター&ゼダス

雨中珈琲ブレーク

ひよ。@ドクター > 人が日々の営み重ねれば、十中八九そこには慣れとか云う、要するならば各々独自の、幾千幾億にも渡る個性的な慣習だとか、物事に対するセンセエションだとかが生じる。私は今それをひどく実感してしまっている。 普段でこそ、ベッドには無数の書類の束やら、何に使うのかも、己自身ですら皆目見当もつかぬような瓶の、その込められた液体の、宛ら宝石の類を融解せしめたような煌めきに、時折空の色は何色であるかなどを僅かに感じる程度ではあるが、そのような有様であるので、私いつも、埃積もった床で、死んだように、壁に凭れ掛かり眠ってしまう。それが今は如何してか、厭に潺潺とした絹のベッドシイツ、その上に寝転び、また上から覆い被さるような、これもまたシイツの、その二つにしっかりと挟み込まれ、寝苦しく、凡そ寝返りをうつ余裕もあったものではなく、人の寝床とは、こうも不自由なものなのかと、灯りの消され、真紅のカアテンの隙間から僅かに射し込む月光の柔和さに、粗忽ッかしさに塗れた表情で一人絶句してしまった。   (11/26 19:25:12)
ひよ。@ドクター > 本来温暖な気候であるウェンディアは、この時期であってもまだ、微かに吹き付ける風に夏の香りを思わせ、故にそれは少しばかり、暖かい。それは、だから夜にも殆ど変わることはなく、中々如何してか、寝苦しく思えてしまったので、シイツから抜け出して、寝間着。上に適当な、古い様式の、あまり今の時代には似合わないようなコオトを羽織って、一応、金具で前はしっかり、閉めておきましょう。 やや捻れになってしまった浅葱の髪直さず、金属の延を捻り、廊下に出てみれば、気の遠くなるような長い廊下で、歩き、階段を降り、歩き、ふと鏡で自分を見て、変わらぬとぽつり、そうしてまた、歩き……。 無駄に大きく重い玄関の、それを押し開ける頃にはすっかりと、眠気は覚め切っていた。外の風は微妙に冷たく、暖かく、よくわからない。そう遠くない遠くからは、水の噴き出して貯まる音が聞こえてきて、ガス燈は随所で、夜も更けているのにも勤勉に、辺りを照らしている。 私噴水の、縁にちょっとばかりの腰を掛け、背後から止め処なく耳に流れ込む、人の作った瀬せらぎ、月は頭上にあって、それらと共に、何をするでもなく、一人で在ッた。   (11/26 19:25:18)
ひよ。@ドクター > 「……。いったい私、何をしたかったのでしょうか」 意図せずにそう溢れた言葉、水に掻き消され、流され、何処かへ消えてしまうので、困ったような笑みを浮かべて。   (11/26 19:26:01)


ガエリオ/ゼダス > 一月程前の夏の夜。…空に咲いた華を二人で見た。…似合うか不安であった着物を身に纏って、慣れない手付きで手を引いて。あの日ほど恥ずかしさに似た何かが僕の身に染みた日は無かった。……あの日ほど、“戦い”を遠ざけたいと思った日は無かった。___流石に、それを直接口には出来なかったけれど。だから遠回しな事を口にしてさ。……あれから今日まで。何事も無かったかのように日は流れた。…騎士団内、整備士達は流れる日常に身を任せて仕事に勤しんでいた。 ……しかし、東の國。彼等から数日前、唐突に放たれた書物は日常に浸る僕に強い衝撃を与えるものだった。…眠りを妨げ、望みすらも今後の進展次第では傷つけるような。……頭を夜更けまで悩ませる日々。日に日に隈は深く刻まれ、寝不足を他者の眼からでもよく伺える程にまでなっていた。 考えれば考えるほど深く迷う。…しかし、決定打を打ったとしても…僕の立場では叶わぬものが存在する現実。…機械技師とは騎士団のトップなどでは決してない。僕の独断で事は決まるはずもない。…あちらは技術の全てを望まないと話しても…そんなもの信用出来るのか。   (11/26 19:26:53)
ガエリオ/ゼダス > …シェルター1機の技術すら国宝級だろうに。…こんな壁が唐突に現れるなど…思ってもいなかった。……何も進展がないまま、今日も今日とて…本部を後にする。その足は軽くはない。…人気の少ない夜道を静かに歩いた。ポケットに手を入れ…ぼんやりと前を向きつつも…俯き気味に。 ……やがて耳に入る水の打ち付けられる音。…何時しか、ただの帰り道の途中を彩るだけの噴水広場は…一つ僕の中で、とある人を思わせるキーになっていた。 あまり帰らないと話してたであろう彼女。そんな彼女を脳裏に過らせる。…ふと顔を上げ辺りを見渡した。 『_______……ぁ…。』 …普段居るはずもない人の姿。…緑に腰を掛け、1人困ったように微笑んでいる。……服装からして、今日が珍しく帰宅した日…? 庶民はあまり着ないであろう高級感漂うコート。季節的に、曖昧な時期だし着ていて当然か。 …しかし何故外に。部屋に篭りっきりであろう貴女のはずなのに。 …眼を向けたまま、驚かさぬように歩み寄ろう。貴女の前まで。 『……何を笑っていたのです。 …夜更かしにしろ、外に居るなんて珍しいですね…。 こんばんは、リック…。』   (11/26 19:26:55)




ひよ。@ドクター > 不意に、聞き慣れた声耳に入る。直ぐに水の音に流されてゆくけれど、確かに音のあった方向き返り、薄暗闇をガス燈の照らす少し先を見据える。ゆらりとそれを反射する淡い銀髪、そうして宛ら少年の絵本で見る太陽のように紅々と煌ッ煌としたような瞳に、凡そ寝不足と見えるような生活の痕跡を貼り付けて、重々しい足取りで、どうにも、その様子は、余程に仲を深めたようなものでなければ、側を通り過ぎることすら躊躇するほどであろうか。こちらに気付けば、ゆったりとしたぺヱスで歩み寄ってきて、「何を」なんて、そんなもの、私も今は、自分自身でも理解できていなくて、だからこそ、笑っていたんじゃあないの、だが、仕方もない、人が皆心の奥底を読み取れるヱスパアの類であれば、だって人類苦労しないもの。 「……ああ、やあミスター、こんばんはです。なに、一寸、ベッドというものの寝苦しさに絶句してしまって、あれは、いけないですね。どうにもこうにも、息苦しくて仕方がありませんからね。だからこうして、夜風を吸いに来ただけですよ。──もし、そういう貴方こそ」   (11/26 19:27:36)
ひよ。@ドクター > 相対する相手のその目元、黒く洋墨で塗ったものが涙で薄まったような色しているので(というのも、だが、私ほどではない。結局は、薄墨に過ぎないのだから)、寝ていないのでは、或いは、眠れていないのでは、なんて小さく言葉で追い、わたし、わたしの目元、白くて細い人差し指でとんとんと指し、それを以ッてして問い掛けるのだけれど、如何せん唐突に始まった会話故か、どうにも続かず、暫く目を合わせていたのを、少し逸らし、若干の寝癖のような髪の、その毛先を指先でくるくると数度弄びつつ、それが不思議と湧いて出てきた気まずさの(向こうは、或いはそんなものすら、感じる要素なんてないというのかもしれないのに)照れ隠しであるなどと、到底知る余裕も無く、ただ相手の返答を待ち。   (11/26 19:27:42)




ガエリオ/ゼダス > 『…ぁぁ…貴女が寝苦しいというのなら…まぁ。分からなくもないです。____…そうでしたか…。』 少し、慣れ過ぎた…かな。ベッドで寝苦しいなんて何処の冗談か。普通ならこう突っ込める展開にも貴女なら仕方ないと受け流せる。 それに付け加えるなら眠ろうとした時点で珍しいとも言える。…今日の貴女は…珍しい部分の詰め合わせか何かかな。…小さく聞こえる貴女の声に合わせて行われる貴女の仕草。つい目を向けたまま…こちらもポケットから右手だけを出し、同じように指先で己の目元を撫でた。 『……今、本部から帰っていた所だったんです…。……これは、ちょっと…。』 まず…この出会いは偶然。…眠れず貴女のように外の空気を求めたわけではない。…が、眠れていないのは確か。…言葉を詰まらせ止まる会話。…同じタイミングでこちらも眼線を逸らす。 今更、貴女に隠し事なんて…似合わない。この寝不足の理由…素直に吐き出すべきか…。我々メカニックにとって大きすぎるこの話を。…右手を再びポケットへ。両拳を…その内で静かに握り締めた。眼を背け、地の緑を見つめながら。   (11/26 19:29:04)
ガエリオ/ゼダス > 『____リック。_____もしも…僕達の作り上げてきた技術を…過程も知らぬ他国の愚かな者に奪われそうになったら……どう思いますか…。いいや、答えれるのなら…どうしますか…。』 …そう、僕に確定的な決定権はない。武装解除を表すために技術を提供する。…それは僕にとっては奪われてしまうも同然だ。国と国の間で僕達の作り上げた技術は道具に成り下がる。…上の意見は絶対なはず。 赤子からおもちゃを取り上げる親のように…抵抗虚しく取り上げられるのが…目に見えてしまうんだ。   (11/26 19:29:08)


ひよ。@ドクター > 「……はい? どうしたんです、そんな藪から棒に」 全く以ッてその通りだ。まして私達、見方ではひとりの科学者同士なのだから、そんな仮定の例え話好まないはずだというのに、何時もらしい口調でそう、淡々と言葉を並べる相手を見ては、思わずして、でもやっぱり、当然かしら、狐にでもつままれたなんて言えば、尊華かしら。でも、こんな研究者気質の尊華人なんてのは、いやらしい。 普段であれば、いつも決まッて、私に睡眠促すの彼なのだけど、そんな彼が私と、似たような面持ちで問い掛けてくるものだから、否が応でもある程度の重大さを、その本質を今でこそ見抜けずにいるけれど、彼の例え話と、それに伴ッた、唐突過ぎる質問とに、回答する理由が無い、という方こそ、それこそ、ありえない。ナンセンスだからと、私逸らしてた視線を戻し、髪を弄るのを止め、深呼吸。目閉じ、夜風を肺いッぱいに吸い込んでは、すっと吐き出してみてから、目を開けてみると、ほんの幽かに白く靄の見えて、そうか、太陽の国の季節も、軈ては移り変わりゆくものか。普段外に出ないものだから、忘れ掛けていたものを、思い出したような気がする。   (11/26 19:30:29)
ひよ。@ドクター > どこか奥底が安堵するような心地を、感じたように思えた。 「そうですねえ。ミスター。私に訊くその以前に、貴方、きっと私の言うような言葉くらい、思い付いているんでしょう? ええ、いつもそうだから、私は知ッていますよ。ですが、敢えて言わないと、尊華人のようで、私自身、気に食いませんからね。ですからね、私、奪われるなら向こうからも奪うか、或いは絶対に渡さないって、手を離さずにいなければ、どうにも落ち着かないですね」 さて、これは中々どうして長くなりそうなものなので、私の座るその隣、ややダボダボと余った袖先の隠す手で、ぽんぽんと、そうやッて座るように促してみるのだけど、一寸跳ねた水が、その袖先に一瞬ばかり溜まっては染み込んできて、冷たさに得も言えぬ気持で在ッて。   (11/26 19:30:31)


ガエリオ/ゼダス > 『…ふふ、…バレてましたか…。…しかし…分かっていても貴女に聞かなくては落ち着かない位に…事は前進してきてましてね…。取り敢えず予測していたものを聞けて安心しましたよ…。』 流石に見透かされているか。…しかし、貴女の口から聞かなくては意味がない。その工程が無ければ僕の予測は所詮妄想で終わる。貴女の隣を座るように誘いを向けられれば…断る理由もなかった。ポケットから手を出してしまえば、片膝を立てるような形で…貴女の隣に腰を下ろそうか。 夏から秋へと移り行く時期、外慣れといったものをしてないようなら寒いはず。上着一枚くらい肩から羽織らせてあげれたら良かったのだが…。 『 もう貴女なら何となく察していそうですが…少し、話させて下さい…。』 前を見つめたまま、そう呟けば…隠す事もなく貴女へ尊華から送られてきた手紙の内容を伝えよう。上から目線で…既に機械技術は手中にあるとでも言うような態度。 そんな生意気な文の全てを。…うっすら前へ紅瞳を向けながら。   (11/26 19:31:59)
ガエリオ/ゼダス > 『……国家の方針が掛かっている。手離さないように我々が我儘を貫こうにも…王国が本当に終戦を望む展開になれば技術をアッサリと提供してしまう流れも見えてきます。為らば、あの猿共から相応の何かを奪う…。そう考えたって猿は所詮猿…。猿真似程度の代物しか持ち合わせていません。我々が手にした所で…ゴミかもしれない。』 領土を奪う…そんな事をしても機械技術に届くだろうか。尊華の者共から奪えるものは無いのでは…とも思える。機械技術すらも安く見ている彼等。 しかし…それは王国に対しても言える話なのかもしれない。読めない以上…確定的な事は言えないが。   (11/26 19:32:02)


ひよ。@ドクター > 隣に腰を掛けたまま、只不動に前を見据える視線と、対するように、だけど此方に向けられる声のそれは、悩ましく、奥底で何か煮沸などし始めているようなもので、頻りに猿なんて単語が飛び出すものだから、なるほど、彼とて、そう云ッた言葉を、口にするものなのかと、数度私、瞳開閉ッくりしつつ、それを聞いていた。 結局のところ、八、九割方、彼の言う通りで、私達騎士団傘下の一部にしか過ぎないから、凡そ決定権なんて持ちやしないのだから、提供せよなんて上層仰せになれば、はい、分かりました、なんて従う他ない。傀儡、でも生きているそんなの、見合わないかしら。 あくまで工房内に於ける、最終決定権は、彼にあるの私確ッり分かっているのだから、特段、どうしろとか、指示を出せるわけなく、強いて言うなら、その後姿を追って歩くくらいしか、できないかしら。 「──ええ、ミスター。貴方の言いたいことは、私よく分かるですよ。ですがミスター、結局貴方、どうしたいんです? 私に例え話で訊いて、私の意見、さっきの通りですけど、それを経て貴方、どう考えるんですか?」   (11/26 19:35:19)
ひよ。@ドクター > 私はあくまで傍観者であると、努努忘れぬようにしてきたし、それきッと、貴方もわかっているでしょう? と、特に相手を向くようなこともなく、ガス燈でやや幽れた星々を仰ぎつつ。   (11/26 19:35:20)


ガエリオ/ゼダス > スゥっと風が2人を通り過ぎる。…微かに鼻を擽る貴女の香りを乗せて。…前へ向けていた眼を少しだけ細めては…貴女の問いを静かに受け取った。 分かっている。こう貴女に例え話を聞いて、欲深くどうしたいかまで聞いて。____貴女の前じゃ。どうしても僕って何処か弱くなる。面倒な年頃の女性の様に話を聞いて欲しくて。すがる様に。そうして安心感を求める。何とも…情けなく見えてしまう。 立場上では貴女は僕の部下でも…部下と呼ぶには大きくなり過ぎた。貴女の存在は。 『……どうしたいか…。_____同じですよ。…頑なに手離さないと言い続ける…。___技術に見合う代物が出てくる確率なんて…無いに等しいでしょうから。 ……』 静かに前から貴女へ…視線をずらそう。今の座じゃ…僕だって手離さないと言い続けるしか無い。国家の土俵で子供が我儘をと言われたって仕方ないさ。…しかし。 『仮に王国が…何の得も無いまま終戦のために技術を放るのなら、僕は王国に反乱したっていい。…万騎長を座から下ろす…。もはやこれは小言にすらなる。……技術の価値を失えば…僕の居場所はもう何処にも無い。 馬鹿な選択だとは…分かっています。』   (11/26 19:35:54)
ガエリオ/ゼダス > 何処にでも牙を向けて。命知らずもいい所かもしれない。しかし…これ程までに技術を守りたいのは確かだ。自分勝手だろうな。……こんな馬鹿げた話を聞いて…貴女はどう思うだろうか。   (11/26 19:36:04)


ひよ。@ドクター > ──不意に、朧げな星空に重い雲が流れてくるの見えた。地上の灯りはより一層に強く、煌煌ッと輝くのだけれど、だからこそ、夜空に浮かぶ星々は、日に日にその姿を隠している。それが、今度、更に、ヴェエルを被るようなものだから、到底、そのひとつをも見えたものではなくッて、これでは、空を眺めたって、詰まらない。相手の視線を感じて、どうにも斯様な空模様であるから、ではと相手に呼応するように、琥珀の瞳を素ッと差し向けてみよう。 「……あ、いえ。私は、貴方がどう考えようと、結果その後ろを歩くだけですから。どんな意志を貴方が持っていても。ただ、その……なんでしょう、ミスター。貴方、怖いと思ったことはありませんです? 生まれ育った国に、自分が反逆してしまうのかも、なんて、考えていて」 湿りと、石畳に水の下垂り跳ねる、小気味のよい音の響く音が耳に入り込む。 王国の良家に生まれ落ち、だが宵宵熱心に、睡眠などせず、歯車らと戯れていたことが、決して幸いしたのかは判断できぬが、一方でそのために国軍の技術部に入れたのは確かである。   (11/26 19:36:44)
ひよ。@ドクター > そのため援助をしたエクサンティアの両親ら、研究費用を落としてくれた騎士団上層部のそれらに、私達真正面を切ッて刃向かう意思は共通認識。一方で私自身どうにも、こうも直前になって不安なんて云う安直で下劣で低俗な感情に突き飛ばされぐらり揺れているような気がしてやまない。 ──噴水の音に混じり、しとり、しと、しとしとり。雨は細くか弱いが、一方で散弾のように広く地上へ降り注ぎ始めて、服装を、髪を、初め仄かに濡らし、次第に天露の滴るように毛先を垂れ、肌を伝い、さながら涙のように。茜の終わり黒の訪れる今夜に青が、いや透明が加えられ、僅かな遠くの燈にのみ、安い宝飾品のように廉価な煌めきを見せて。   (11/26 19:36:47)


ガエリオ/ゼダス > 怖い…か。聞かれても、よく理解は出来なかった。…もっと怖いものがあるからか…また別な理由なのか。それは分からないけれど。どちらかと言えば先に頭に浮かんだのは“恩知らず”なんて言葉。自身の技術だけでは何かは生まれない。投資され、それを用いて初めて生まれる。金を吸い取るだけ吸い取って、最後には自身の思い通りに事を運んでくれなければ…反乱。なんて恩知らずで馬鹿で自分勝手か。…貴女の言葉を聞いた後なら…貴女まで引き連れて____いや、拐うよう…で。メカニックの枠であろうと、上の者の取る動きでは決してない。 『…怖い…ですか。……どうでしょう。出来れば、僕だって牙を向く選択肢を取りたくはないですよ…。 でも…怖いと言う言葉を敢えて使うのなら…“居場所”……“拠り所”が無くなる方が…怖いです…。』 ふと、貴女から視線をそらす。真っ暗な空に眼を向ければ…降り注ぐ霧雨。その身をゆっくりゆっくり、濡らし…頬から顎先へ…水が滴る。 _____腰をそっと上げれば、一歩前へ。貴女の前に立ち、振り向いては…ほんの少し屈むように。右手をそっと、前へ出しては。紅瞳は貴女の顔を一度の瞬きの後…何か迷いを払ったように…見捉えて。   (11/26 19:38:12)
ガエリオ/ゼダス > 『______技術だけが僕の“拠り所”だった。…でも、今は貴女がいる。……“起こり得る最悪を想定して動こう”としてるだけ。…決まった話ではないですよ。……ただ、最悪の場合…貴女は僕に同行しては駄目だ…。……戦火の中に、想い人を放り込む男は…この世には居ないでしょう…?』   (11/26 19:38:16)


ひよ。@ドクター > 「──そういうの」 差し伸ばされた相手の指先を、溜まった雫が転がり落ちてゆくのが、不思議と静かに見えてしまッて、時間の中に私だけ、あるいは彼と私との二人だけが取り残されているように錯覚しそうになる。 既に古い様式の外套は水をたッぷりと吸い重く感じてしまう。ああ、まだ雨は降り止まず、髪から垂れて頰を撫でてゆくのだが、雨は、雨は、……。わからないよ。もう、どれが雫なのかも。 不意に立ち上がって、相手の顔は見ずに俯いたままでしばらくの沈黙が流れて、私、切り開くように言葉を発しました。 「そういうの、……。ずるくないですか。だって、ミスター、ミスターが……いえッ、私待ちぼうけはしたくないですよ……だから!」 自分で言おうとした。ミスターが、……。すぐに否定しようとして言葉を自ら遮りました。貴方はいざという場合には来るなって言うけれど、それで私、何年、何十年待って、ひとりで技術の流れるのを見て、……とても、耐えられないですから。 知らない間に、彼の差し出した手の首を、力無さげに掴んで自分の方へ寄せていた。   (11/26 19:40:23)
ひよ。@ドクター > 煤だって付いているかもしれない、私達そういう人だもの。だけど、……そんなのは気にならなかった。骨張った手を手繰り寄せて、私の頰に重ねて、……だからの言葉のその次が、出てこない。俯いたままに、目元に雫の溜まり今にも流れ出すような感覚を僅かに持って、 「──だから」 と、先に紡ぐ言葉の到底見当たらない接続詞を、ぽつりと、雨音にすら掻き消されそうなひ弱な音で、雨粒よりも透明に近いような、声色で反芻して。   (11/26 19:40:26)


ガエリオ/ゼダス > 手を借りなかった…?体勢を元に戻そう。…ぁぁ、僕自身…降り注ぐ雨を自由にさせ過ぎたな。不意に立ち上がった貴女を見れば、それはそれは水を被せたようで。傘の一つ…雨の存在に気づけたのなら持てていれば。…行き場を迷わす手は雨水を纏い、街灯の光をよく反射させる。細い両腕も同様に。____…銀髪の先からは…ぽた、ぽたと。中程度の雫が零れ落ちた。僕はただ…俯き気味に立ち上がった貴女を見つめるのみ。貴女との沈黙…随分慣れたような気がするけれど、慣れない矛盾。……そんな沈黙は、貴女によって切り開かれた。…聞けば、眼を丸く…大きく…開いて。 『_______ッ。……。』 らしく……ないよ。リック。…“後ろを歩く貴女が何故、何故前へ来た”。…いつものような返事、来ないじゃないか。…まるで前へ行こうとした僕の手を掴んで、貴女自身の方へ引き寄せるような事言って。 ____いいや、言葉…だけじゃない。僕の手首を実際に掴んだ貴女は…自身の左頬へと僕の右手を寄せていく。…引けば直ぐにでも解けてしまいそうな弱い力…でも、僕は寧ろ貴女に吸われるように…手の行く先を委ねた。   (11/26 19:40:48)
ガエリオ/ゼダス > ____…手に柔らかな貴女の頬の感覚が伝わる。…外気は冷たいはずなのに、貴女の頬だけは暖かくて。…この温もり、僕が払うのにどれだけ苦労したか____知らないんだから。貴女は…。 『____男の覚悟を…何故曲げるのですか…。』   (11/26 19:41:06)
ガエリオ/ゼダス > ……左腕が静かに貴女の背へ向け、伸びる。そっと左手を背につければ…濡れた貴女の衣服。…気になんてしない。優しく此方へ押そう。濡れた身はお互い様なはず。…そっと貴女を…まるで少しでも力を入れれば割れてしまいそうな風船を扱うかのように…優しく、優しく…抱き締め、手を付けた左頬のある位置とは逆の方…貴女の右肩へ顔を埋めた。 身を重ねたことなんて…無かったけれど。濡れているのに、こんなにも…暖かい。_______少し目を閉じ、貴女の温もりに甘えた。 ……5秒、…30秒……1分…。ただ、静かに。甘えた後、…ふと、肩から顔を離し…貴女の顔を伝う水滴を頬に当てていた手の指先で払ってあげては。 『……僕…そんなに弱いでしょうか…。リック。…貴女の中では…僕はすぐに溶けてしまう蝋燭なのですか…?』   (11/26 19:41:25)


ひよ。@ドクター > ──とんと背後から、指先でも触れれば壊れてしまうようなものを、だけども細心の注意を払って静かに押すような感覚があって、私まるで糸の切れた人形みたいに、その柔らげな力のなすがままに、前へ倒され……と思えば、見慣れたようで普段とはどこか違う雰囲気を纏った相手に受け止められた。 しっとりと、雨の降り続けて石畳を段々と濡らしていくように、ほんの僅かな時間ではあるけれど、右肩の付近にその吐息を、鼓動を、温もりを確かに感じて、……。交換しながら。 「……ミスター、──いえ、……。ゼダス。……貴方の仕切る声のない工房、きっとずっと、寂れて、つまらないです」 指先が私の目元を撫でて、雫を払っていく。肩から離された顔、もう目の前にあって、外を吹く風よりもずうっと濃く、その吐息を感じていられるように、近くに、側にあった。 暫くは、向けられる相手の視線とは対照的に、それを見るだけでショートしそうな、おかしくなった脳をどうにかするべく俯いていたけど、……。 私達エスパーじゃないから、伝えなきゃ、ずっと、そのまま。そんなの……いやです。   (11/26 19:41:57)
ひよ。@ドクター > 「──貴方がいくのであれば、私を……私をっ、……。連れていって。 貴方がいかないのなら、私だって一緒に残りたい……いや、残るよ。 貴方は弱くないけど……私だって最悪を考えて動いてるだけ、ですから。──だから」   (11/26 19:41:59)
ひよ。@ドクター > ……私が側にいるから、“だから”、置いていくような真似はしないで。“だから”、貴方も、ずっと側に。 結局は言葉足らず、肝心なところは音としては見えないけれど、それは透明だから。音の出なくなった壊れたオルガンも、見えなくて聞こえない透明の音を出すように。 きっと、聞こえてるでしょ。貴方になら。   (11/26 19:42:18)


ガエリオ/ゼダス > 嬉しい言葉。…国なんてものと比べれば小さな小さな組織であるメカニックの工房。そんな工房では一番上に立つものとして。 俯いたまま言葉を紡ぐ貴女の顔をわざと覗き込むような真似はせず…顔を上げられるようになるまでは静かに待とう。 ……不思議な事だ。貴女と今までで…一番密着しているのに、手を繋ぐなんてより…遥かに。それなのに僕の顔はいつもの様に赤く、赤く色を変えたりしない。肝心な時だけは…変わらないのだろうか。 貴女の前では、確かに“人でいる”筈なのだが…もしくは、後々____1人悶えてしまうだろうか。…まぁ、いいや。それでも…。 『……______。 同じ役を演ずる役者が同じステージに立ち共演する…。作品崩壊も…いいところです…。』 …貴女の意思を聞いた後、ぽつり呟かれた。 僕が去った後は貴女が継ぐなんて話…これはもう実現不可能かな。…知らず知らずの内に僕達は共同体になっていたらしい。長い眼で工房を捉えるなら…なんて非効率的だろうか。後任までも火に晒すなんて。___   (11/26 19:42:45)
ガエリオ/ゼダス > 『…でも…観客は居ない。…ならば、互いに後悔の無い選択で演じた方が…いいですよね…。』 僕だけが向かえば、貴女が悲しむ現実。貴女を火に晒したくはないさ。しかし…貴女にそこまで言わせて断るなんて…僕には出来ない。技術だけではなく……いや、もしかしたら技術以上に…守るべきものが出来たのかもしれない。 …放り込む様な真似はしない。 貴女へ引火しようとする火の手は…僕が止めよう。貴女の、水を一杯に含んだ髪をそっと、撫でた。その後…一息吐いては。 ほんの少しだけ…優しく笑みを向けてるようにも見えるだろうか。安心…させるかのように。   (11/26 19:43:02)
ガエリオ/ゼダス > 『リック。例え最悪の場に陥っても…貴女を手放す様な真似はしません…。突き離すような真似も。……一緒に行きましょうか…何処までも____。』   (11/26 19:43:14)


ひよ。@ドクター > 「──全く、貴方、技術者のくせに、聊か比喩が多いんですよ。……はじめから、そう言ってくれればよかったのに」 普段であれば厭わしく思うような雨も、今では場を綾なすようなものへと昇華されているようだ。雫の滴る浅葱の細糸をなぞるように、貴方の手が動く。厭なんかではない。──普段あれだけ朴念仁の、あのゼダスがこうするんだ、なら、今くらいは私だって、思われるようなドクターでなくたって、誰も文句は言わないだろうし、尤も、そんな戯言を言わせるつもりも、毛頭ない。 貴方の手首にそっと手を添える。暫く、そのままにしていてくれるだけで、それでいい。寝巻きにまで冷たさが染みているが、そのことを咎められたって最早詮無い。 鼠色と、微かな明るさで彩られて、けれど彩りなんて、微塵もないような、モノクロームの夜に、その目のどれだけ赤いことか、その肌のどれだけ熱ることか、それを知っているのは私と、それから……。きっと貴方だけ。優越感。ある意味、驚いた。私が、そんなことで、悦に浸るんだと。二人だけの、秘密、独占に対する欲、或いは無いと思って、目を逸らしていただけか。   (11/26 19:44:37)
ひよ。@ドクター > より近くに身体を感じて、そこから熱が瀰漫するような心地でしかない。 まして貴方の口から、飾らない、ストレートで入れた珈琲のような言葉を聞くことができて、ドクター。貴方は、苦い珈琲、お好きだったかしら。──いいえ、好きだったけれど、今は、そういう気分では無いですよ、……。そうですね、ミルクを一杯、角砂糖も、何個か入れておいたって、偶には悪く無いはずだから。 喫茶店で、珈琲を頼み、奥から香る豆の香りに微かな期待を持って待ち侘びる、あの感じ。とうとう届き置かれたそれに、甘ったるいものを何個も入れて、熱いままに、口をつける。あの感じかしら、どうだろう、……。一寸前には、きっとわからなかったでしょうけど。今なら、多分、その解が見えたように思えてしまってならない。   (11/26 19:44:54)
ひよ。@ドクター > ──靴底、踵が浮き上がり爪先は斜めに、動けばぴちゃりと、玲瓏。どうです、美味しい、珈琲が入ったものですから、貴方も一緒に。……これほどに甘い味わいは、やはり、今日初めて味わうに相応しい   (11/26 19:45:07)
ひよ。@ドクター > 〜〜『雨中珈琲ブレーク』〆   (11/26 19:45:21)