この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

火津彌&竜灯

マリア/火津彌 > (問一.私こと火津彌は今何処に居るでしょうか。)「……あ~、お前と此処に来るのも久しぶりやなぁ…。春ぶりか?お互いなかなか忙しかったしな…。ほれ、のめのめ。今日はとことん付き合ってもらうで。」(片手でとっくりを持ち、向かいに座る男へ酌をしてやる。とくとくとく…と水よりかは粘度のあるまろやかな液体が注がれ、とぷ、と跳ねて少し溢れた。この男とも長い付き合いだ。威厳を大切にしなければならぬ将校ともなれば愚痴を言う相手にも事欠くが、自分にとって幸福であるのは、この男、竜灯が居る事だ。さても、酔ってもらわぬ事には始まらない。自らも手酌で尊華酒を継ぐと、くいっと顎を天に向けて煽る。腹の中がかっと熱くなり、かくんと頸を垂れた。)「……そんでどうやったん?………………王国は…。」(『糸依とは』とは聞けなかった。いつもなら間違いなく、こんな場所であればこそ聞いているはずなのに。答.帝都のいつもの、我々の酒場(アジト)にて。)   (11/22 22:08:59)


シロー/竜灯 > 「いやぁ、げにまっこと、上は軍人遣いが荒いのなんの。帰ったらまず火津彌さんと飲みたいと思っちょったですき⋯⋯今日は飲みましょう!」(差し出したお猪口に注がれる液体が僅かに跳ねて零れたのを見て、おっととと口をすぼませると向かいの上司に続いて酒を呷る。喉元から胃にかけて熱を持つ感覚に、『くぅ~!』と余韻を吐き出した。⋯本日午前、王国への派遣より帰還した竜灯を誰が一番に迎えてくれたかと言えば目の前のこの上司、火津彌少将であった。竜灯にとって最も気の置けない仲と言っても過言ではない。火津彌の思惑を未だ知らない竜灯は、久しぶりに見る火傷顔と厘都訛りに、何より久しき帝國に帰ってきたと噛み締めるのであった。)   (11/22 22:35:43)
シロー/竜灯 > 「ん?そりゃあもう楽しかったですちや。美人もついて来てくれちょったしのう⋯⋯。まぁ、あれです火津彌さん」(ゆらゆら、と軽く持ち上げたお猪口を手持ち無沙汰に回しながら瞳を細めると、くい、ともう一度口をつけ。頬杖をついてにい、と笑ってみせた。)「〝仲良く〟やって来ましたき⋯⋯それよか火津彌さん、俺は聞きよったですよ、火津彌さんも王国に来ちょったなら、連絡の一つくらい寄越してくれればええじゃないですか!水臭いぜよ、火津彌さんの方は、多分王国美女でも堪能しよったんじゃないですかの?んん?」(深くは言わないが、火津彌さんには土産話の一つくらいしても怒られないだろう。既にかなり酔いが回っていそうな火津彌に、どうだった?どうだった?と顔を寄せて詰め寄るのだった。   (11/22 22:35:59)


マリア/火津彌 > 「……あー」(”仲良く”やってきた。その一言で、何があったか察するのには難くなかった。胸を締め付けるというほど甘やかなものでもない、胸にいがいがしたものがつっかえるような軽微な抵抗感は、単にのろけ話を聞かされた事に対する不快感だろうか。下衆な話で茶化してやって溜飲を下げようか……いや、余計苛々するに違いない。少なくとも、酒の入って調子づいた今の竜灯に聞いては立板に水に決まっているから余裕のある時に聞いてやるとしよう、と決めて酒をもう一口。いくらか普段より早いペースであった。)「……そうかそうか。ま、そうやわな。据え膳食わぬは……うぐ」(わかりやすく言い淀むと、眉根をしかめて猪口を卓に置いた。トン、と音がして、ぴちゃりと水滴がはねる。)「……よせよせ、何もない。……僕のほうは、あー、仕事と……あとはまぁ、実は董と向こうで会ってな。それどころやなかったで。」(ああ――言ってしまった。ぽろりと、一番聞いてほしい話を。これ見よがしに。気づいてくれという気持ちと気づかないでくれという気持ちが錯綜して渦巻いいているのが、酔いが回ってくらりとする感覚と通じ合うようだった。)   (11/22 22:51:39)


シロー/竜灯 > (歯切れの悪いような、らしくない反応に眉をぴくりと動かした。酒が入っているから反応が悪いかもしれないにしろ、こんな反応を見せるのは珍しい。微妙な相槌をつきながら、己のお猪口には殆ど酒が入っていないにも関わらず、ちびちびと長い時間口をつけたまま、酒を飲む振りをして表情を伺った。もう花畑になる程酔ったのだろうか。自分でとことん付き合うと言いよったのに...と内心思いながらも、王国であった面白い話は他に無かったかと思考を巡らせて、己のお猪口に手酌で酒を注いだ。)「⋯⋯ほぉ!董さんと!そりゃええじゃやいですか!ほうか、ほうかほうか⋯ほうですか」(ぼそぼそと口から漏れた字に目敏く反応すると、顎を人差し指と親指で摘んで擦りながら、にやにやとした表情で火津彌を見つめる。何やら考えた所で、置かれたお猪口にそっと酒を注いでやろうと徳利を向けた。)   (11/22 23:16:08)
シロー/竜灯 > 「ははん、董さんは火津彌さんをよう見ちょるし、気があるようにしか見えんからの。⋯⋯まさか火津彌さんが好きで追っ掛けて来よったと違いますか?⋯となると、火津彌さんが手出さん筈無いのう。据え膳食わぬ云々は何より火津彌さんの座右の銘ですからの!あっはっは!」(面白い話を聞いた、と目敏く会話から抜き出して、場を盛り上げてやろうとした竜灯であったが。裏腹に火津彌の表情が明るくなることはない。───読めん。それ所じゃなかった、というのは娼館に行かなくても十分だった、という事では無いのだろうか?読めん。眉を潜めながら注ごうとして向けた徳利を泳がせると、もう一つ聞いてみることとした。)「いやぁ、あん人は根っからのじゃじゃ馬ですからのう、まさか引っぱたかれましたか!?⋯⋯⋯結局どうなったかたけ教えとうせ火津彌さん、気になるぜよ。さぁさ、一杯。」(考えても埒が明かないし、段々とどうなったか結論が聞きたくなってきて、徳利を向けて揺らしながら顔を覗き込んだ。   (11/22 23:16:17)


マリア/火津彌 > (浮かれたような竜灯の言葉に対して、火津彌は苦笑してみたり、だんまりを決め込んでみたりしていた。『まぁな、まぁな』と曖昧な相槌をして心ここにあらずといった、露骨としか言えないような反応は、何かがあったことを隠す気がないと言っているようなものだった。そのために飲みに来たようなもの、こいつが笑い飛ばしてくれれば幾分か楽になれるだろう。そうは思っても、話し出すのには少し時間がかかった。竜灯が酌をしてくれようとすると猪口に手を添え、それが注がれるのを眺めて、ようやく。)「…………竜灯よ、僕は、僕は……間違っていたんやろか?」(きゅう、と目をつむり、あふれるため息。狐が管を、巻き始める。)   (11/22 23:33:05)
マリア/火津彌 > 「……王国でな、………」(初めのうちは躊躇しながら紡がれ始めた言葉も、内容が佳境に差し掛かるにつれ取り繕おうという様子がなくなってゆく。火津彌は王国であったことをほぼ全て、竜灯にすっかり話してしまったのだった。董が具体的に何をしたかまでは、初めはほのめかすにとどめていたが、酒と竜灯を前にして隠せるはずもなく。その次の朝、自分が言った婚約の話まで、ノーカットでお送りしたのであった。)「……僕はなァ……た、ただ、自分が恥ずかしゅうて……そら……董はよう懐いてくれとる……あいつの天真爛漫さに、助けられることもあるわ。……けど、なァ。……ただ自分に懐いてくれて……しっぽを振ってくれて……そら、お前……犬でええんちゃう?犬にすら代役が務まるんちゃうかと言うてんのよ。……竜灯、僕は、もうわからん!!自分が、どんな女を求めてるのかも、わからん!『この女だから』と思えるきっかけが、あれば!はよう結婚したいのよ、僕はもう……軍人などやぁああめえてしまいたあぁいいんやぁああ……」(最後の一言は、酒の勢いの蛇足だろう。ドン、と握った一升瓶を畳の上に置き、かくっと俯いた。)   (11/22 23:33:12)


シロー/竜灯 > 「ほん、ほん。」(酒を飲みながらに竜灯は火津彌の話を聞いていた。聞き手として専念したが、正直なところ、とても良いツマミになったのだった。具体的に董が何をしたか、話した所で竜灯は思わず笑ってしまった。幾ら何でも傑作ぜよ!とまでは言わなかったが、酒が良く進んだのは確かで、一通り話を聞き終わるまでに手酌を何度も繰り返してしまっていた。だが、自分は同じことをされて抱けただろうか?無論抱けるが、抱きたいと思うかどうかとは全くの別問題だな、と思いながら、続く話に再度耳を傾けた。⋯⋯⋯⋯全てを聞き終わって、火津彌を尻目に両手を後ろについて体重を預けながら、竜灯は再度にやにやと笑うのだった。)「いやぁ、そりゃあ火津彌さん、これからじゃやいか?まだまだ董さんは若いからのう、はたちにもなっちょらんかった気がするぜよ。───けんど!ええじゃやいか!火津彌さん!」   (11/23 00:10:12)
シロー/竜灯 > (董は自分達よりも一回りくらい若い上に、軍人になりたてのひよっこだ。どこかの大きな家の出とはいえ、話によればやりたい放題していたらしいし、火津彌の思う「この女なら良い」という地点に到達するには、些か難しいんじゃあないかと思うのだった。しかし───それでも良いじゃやいか。竜灯は本心からそう思った。体を起こすと、両手を広げて竜灯らしく身振り手振りを大きく交え始めた。)「火津彌さんも嫌いではないなら、これから愛せばええぜよ!早う結婚すればええと思いますちや!俺もなぁ、糸依さんの事をこれから愛すると言うて抱いたき。⋯⋯のう、火津彌さん。」(くい、と机上の酒を呷って頬杖をつくと、普段通りの軽い口ぶりでニヒルな酔った笑みを浮かべた。)   (11/23 00:10:24)
シロー/竜灯 > 「そんに、男は可愛い女と自分を好いてくれる女が好きと相場が決まっちょるじゃやいですか。あとは火津彌さんが愛したいと思うか次第じゃき⋯⋯もういっそのこと、抱いてから決めてしまえばええと思いますがのう⋯。抱いて、何なら結婚して、それでもずっと董さんが火津彌さんのこと好いてくれちょるならそりゃあ本物ぜよ、その頃には火津彌さんも愛しとったりしてのう、俺の想像じゃけんど。」「いやぁ、早う式に行きたいちゃ、あっはっは!」(未来を想像して飲む酒はうまい、とお酒を呷りながら、一人大笑いする竜灯だった。   (11/23 00:10:33)


マリア/火津彌 > 「お前、そんな事言うたんか……」(頬杖をつき髪も解き、すっかりくつろいだ様子で酒を煽りながら呟いた。彼のこういった豪胆さは自分にはない、正直今は妬ましいほどに竜灯が羨ましかった。彼の言うことに一理あると思えるのは、酒が入っているからだろうか。だが、そうではない事を、何よりも火津彌自身が望んでいた。あんなにも健気に自分を想ってくれる女に、答えぬ理由はないのに。答える理由を探そうとすると、いつもあいつのほうから芽をへし折るのだ。それも、とても無邪気に。そうこうしているうちに、ガツガツと必死に温もりを求めようとしている自分に気がついてしまい、途端に馬鹿馬鹿しくなる。では、はなから相性がよくはないのだと決めつけてみれば、泣くわ、喚くわ。はて、自分が求めていた女の温もりとはこんなものだったかな?と首をかしげたくもなるのだった。董にはわからないだろうが、竜灯も果たして解ってはくれているのだろうか?)   (11/23 00:42:03)
マリア/火津彌 > 「……あぁ、ええなぁ、お前は。……やから僕も言うたんよ。戦争が始まったら結婚してもええとな…。……はは、阿呆やな。阿呆やなぁあああああ~僕は!」(いよいよ本格的に管を巻き始めると、机に突っ伏して声にならない声を上げた。)「言うといて、王国との終戦協定を提案したのは他ならぬ僕や!ああ~っ、どうしてひと思いに振ってやれなかったんや。そうしたらこの後娼館にでも行こうと……あぁ!無理か!そうやったな!女房に殺されるもんな!クソが!死ね!」(ぺっぺっとつばを吐きながら悪態をついて、『おなじのもういっぽんつけてや~』と、情けない声を出して店員を呼ぶのであった。)   (11/23 00:42:10)


シロー/竜灯 > 「そがな事言ってしまったちや。糸依さんは愛しいからのう」(糸依さんの好きな所と馴れ初めやら根掘り葉掘り話してしまうのは簡単な事だが、今は辞めておいてやろうと竜灯は自粛するのであった。それよりも最も距離の近い友人であり上司である火津彌と、慕うじゃじゃ馬娘の同僚の行先の方が竜灯にとっても気になる所でもある。益々管を巻き始める火津彌を横目に、くつくつと笑う)「すまんのう俺が美人じゃのうて。俺が美人じゃったらもうちっと甘やかして、愛して抱いてやったぜよ、ははは!」   (11/23 01:12:11)
シロー/竜灯 > (茶化すような言葉ではあるが、詰まる所そういう事なのだろう。竜灯は何となくであるが火津彌の気持ちを分かっているつもりであった。腕を組むと、にぃ、と口角を上げて見つめる)「ほうしたら俺で良いと思ったかもしれんのう、殺されたくは無いけんど。⋯⋯まぁあれですちや、火津彌さん。いっその事一緒に住んで、同じ釜の飯を食って寝て、過ごしてみるのもええじゃやいかぁ?その内嫌でも愛しくなるぜよ!!どうじゃ!?都合よく戦争が起きるまで待つよりか、余っ程手っ取り早いと思うぜよ!」(ぽん、と手と拳を叩いて名案だ!といった表情を作ると、机に体を預けて下から覗き込むように、じぃ、と瞳を細めて見つめた。   (11/23 01:12:13)


マリア/火津彌 > (竜灯のこの余裕ぶりといったら。こいつは前からこういう奴だったと思えばそうかもしれないが、今の火津彌には糸依の事を関連付けて考える事しかできなかった。どこか誇らしげにさえ感じる嬉しそうな顔でちびちびと酒を嗜む姿、酒に任せて泥酔しようとしている自分とは大違いで……糸依とはどんな物語を紡いだのか聞いてみたくもある。一段落して仕切り直して、きっかけがあればまた切り込んでみる事にしようか。)「……阿呆め」   (11/26 21:38:06)
マリア/火津彌 > (軽口に助けられている自分が居ることも否めないが、心の内にある”お前ではあかんのや”を頭の中で整理しながら意味付けしていった。竜灯に弱みを見せるのと、董に見せるのでは全く意味が異なってくる。誰かに、いや、女に弱みを見せる事が途轍もない抵抗感を伴う事は最早男の性と言ってもいいと思う。社会的に地位があればあるほど余計に、どうにも不器用になってしまって、求め続けている心の安らぎに向かっていく事ができない。そんな病を抱えているのは、自分だけなのだろうか。何もかも甘えたいと思っているわけじゃない。見栄だって張りたいし、自分を好いてくれる女を助けてやりたいし、甘えさせてやりたい。だけど事実として、火津彌はもう董に弱みを見せてしまったのだ。『それほどまでに弱っていたのか?』と自問自答すれば、いいや違う。董だから見せたのだ。董とどうにかなりたくて、身を切った……と言うと、随分烏滸がましいけれど。とにかく、そうするしかなかった。   (11/26 21:38:12)
マリア/火津彌 > 軍に勧誘したあの時から彼女の目的はとっくに『世界一の剣豪になる』なんてものではなくなっていた事はわかりきっていて、軍人としてではなくひとりの人間として扱ってほしいとまで言われて、それでも軍人としてしか扱う事のできない自分と彼女の関係を、どうにかしたかった。あぁ、今でこそやはり、ひしひしと思う。彼女が自分に向ける感情は、初めからどこか執着めいていた。とっくに解っていたことだ。)「……そうやな。一理あると思う。……だけどどんな面下げて『さあ祝言をあげよう』なんて言えたものか……。」(背中を押してほしいとでもいいたげにそう零すと、再び思考へと入ってゆく。……自分が弱みを見せたのだから甘えさせてくれなどと、そこまで女々しい男でもないつもりだが。問題は、彼女がそれを―自分が弱みを見せたということの意味を―まるで理解していなさそうだった事だ。そうして否応無しに自分が彼女にかけていた浅ましい期待を思い知らされれば、身を引こうと思うのが自然だと思った。なにせ、彼女にとって期待という重圧はあまりにも辛い因縁が絡んでいるのに、それを知っていながら、期待するのをやめられなかったのだから。)   (11/26 21:38:21)
マリア/火津彌 > 「竜灯、見ろ」(酒場は、夜も更けて次第に人がまばらになっていく。『お客さん、そろそろ』と言われるのも時間の問題だろうか。火津彌は猪口に指をつけ、その指で机に水文字を書いた。)「……これが僕の真名や。もう見たか?見間違えるなよ。さあ、消すぞ。」(随分とあっさりした口調でそう言うと、そばにあるおしぼりで机を拭く。……今もまた、この男に自分は何かを期待している。魔術師として、何かを言葉にしてほしいと思っている。それが何かまでは自分も解らないままであるのに。)   (11/26 21:38:27)


シロー/竜灯 > (残念ながらおふざけは一言に切り捨てられてしまった。もし自分が女であれば抱いてやったがのう。と心の中で独りごちたが⋯⋯ふむ。もし自分が同じ事を言われた所で、目の前の上司を想像でもそんな風に考えられない事に気づき、小さく肩を竦めた。⋯⋯それにしても、この男がこんな風に色恋沙汰で悩む日が来るとは。ちび、と尊華酒に口を付けながら、眉に力の入らぬ上司の顔を眺めて何度目かも分からぬ思いを浮かべた。素面では佐官面⋯⋯いや、少将面に徹しているが、何度も酒を酌み交わして竜灯は、火津彌の二面性のようなものを感じていた。勿論そこまで深く考えている訳では無かったが、ただ漠然と〝酔ったこの火津彌さんが本物なのかのう〟と考える程度に。結局は素面の火津彌も、酔い、愚痴と弱音に塗れる火津彌も、どちらも火津彌なのだろう、と竜灯は感じていたが。そして、部下として、友として、多くが知り得ないであろうもう一つの面を知っているという事は竜灯にとって優越感を生み、〝仲が良い〟と思わせる一因となっていた。   (11/26 22:40:12)
シロー/竜灯 > ───まぁ、こん人は酒の席でしか愚痴と弱音を吐けん立場じゃき、全く世話がやけるぜよ。⋯⋯内心呟いた竜灯は、そのまま上機嫌に頬を緩ませる。見栄っ張りなこの男は、世話のやける人が大好きで、何より火津彌のもう一つの面を知り得ることに優越感を得ていた⋯⋯。)「火津彌さんそこは、悩む必要ないぜよ。どの面も何も、真面目な顔を引っ下げて口付けでもしちゃればええと思うちや。今更、紛れもなくお互い好いとるじゃやいですか。一生に一度ちやよ?」((申し訳なさそうな顔をして伝える方が余っ程、有り得ないと竜灯は思い、腕を組んで力強く頷いた。そうすればきっと、董さんにとっても嬉しいし、もっと惚れるのではないだろうか?そうすれば、そこには幸せしか無いと思った。例えば、董さんが食事を作るようになり、寝床を整えてくれるようになり、火津彌さんの拠り所となるのではないだろうか?お互いに心の余裕ができた時にこそ幸せが───勝手に二人の未来を妄想しているのが、二の腕を一定のリズムで叩く人差し指から窺えた。   (11/26 22:40:28)
シロー/竜灯 > 自分の案に間違いは無い、と想像を膨らませている竜灯の意識を呼び戻したのは、短く告げられた字で。ん?と腕を組んだまま片眉を上げ、訝しげな表情を作り出すとなにやら机をさし示す指に視線を落とし、その軌跡を追い掛けた。はて?と予想もつかずに「なんぜ?」の問いを掛ける暇も与えられず、火津彌の口から放たれた答えに、竜灯はおぉ。と普段通りの口調で声を上げ、組んでいた腕を解くと己のお猪口を引き寄せた。)「火津彌さん、ご両親にええ真名を付けてもらっちょるのう。俺も書くぜよ、どれ」(待っちょくれ、と人差し指を同じようにお猪口へと沈め、火津彌にも読みやすいよう、机の真ん中辺りに指を運ぶと、横向きに手早く真名を描いた。)「これで⋯⋯し、ろう。ぜよ。いやぁ、火津彌さんはええのう。俺なんぞ、尊華中に星の数ほど居そうじゃやいか。」(おどけて笑ってみせると、ええのうええのう、と繰り返しながらお絞りで拭き取るのだった。   (11/26 22:40:39)


マリア/火津彌 > (今更、紛れもなくお互い――その言葉に、)「……あぁ。」(とだけ答え、俯いた。目の前の男と自分とは、上司と部下である前に、友である前に、どうしようもなく魔術師であった。竜灯が火津彌の奥底から引っ張り出してきた言葉の糸端が胸の中で反響して、とめどなく流れ込んでいた思考が一時停止する。これが魔力だ。僕たちの世界を構築する、一番大きなもの。あの時も、あの時も、あの時も、酒がなければ……)「………」(士朗がいなければ紡げなかった。)「……いや、良い名や。お前にぴったりで……それに魔術師にはぴったりやな。両親か……。」(自分の名は誰が付けたものなのか知らない。おそらくは、鬼灯家の時期当主はこの名にすると生まれる前から決まっていたのではないかと思う。だけど、竜灯の口から迷いなく出てきた『両親』という言葉に、この男の屈託のなさの理由が伺える気がした。愛されて育ったのかまでは解らない、だた、大事にされてきたのだろう。朗の字は朗らかであるという意味の他に、朗々と、淀みなく澄み通る声を意味している。彼は産まれたその時から、言葉を紡ぐ運命にあったのだろう。)   (11/26 23:11:53)
マリア/火津彌 > 「……場所を変えるか、そろそろ此処も店じまいやし……酔いを冷まさん事には基地に戻れん、僕らには前科があるしな。」(酒で赤くなった顔をぺちぺちと叩いてから、ゆっくりと立ち上がる。この男はきっと、どこまでも付き合ってくれるだろう。)「勘定を」(店の入り口まで来て、財布から何枚か紙幣を出した。釣りを受け取り、暖簾をくぐって振り返る。)「それともまだ飲み足りへんか?どこかで酒を買ってもいいな。」   (11/26 23:11:59)


シロー/竜灯 > (ええの、ええの、と最後の一杯をちびちびと口にしていると。)「⋯⋯ほうか?」(口を離して、ぼそりと短く言葉を紡いだ。何を言うかと思えば、この男は。正直に言えば、少しだけ意表を突かれた。竜灯らしくなく、ほんの僅かに黙り込むと、瞳を閉じて口元に小さく弧を描かせた。)「⋯ありがとう火津彌さん。けんどもやはり、火津彌さんには負けるぜよ、まこと良い名です。」(ふと、思い返せば、今まで多くの時間をこの男と過ごしたものだ。越える越えると口にはしていたが⋯⋯口には出したくないけれど⋯一度足りとも上には立てなかった。無論、軍内の階級という点においてのみ。男としては、未だ決着はつかないのかもしれないが⋯⋯一人の軍人としては、これ以上ない良い上司だと心から思った。⋯⋯ほんの僅かに残ったお猪口の酒、そこに映る自分と目が合って、我に返る。───言葉の魔力とはまこと、凄いものぜよ。物思いにふけるなどらしくはなかったが、それだけの力があったに違いない。言霊の力を再確認すると、ゆっくり火津彌に続いて席を立った。)   (11/26 23:46:34)
シロー/竜灯 > 「あったのう。あの時の火津彌さんは大変やったですけんど⋯⋯⋯⋯いやあ⋯⋯まっこと火津彌さんは良い上司ぜよ。」(まず間違いなく、唯一無二の上司であり友、火津彌と飲む酒は、自分にとって力となり、安らぎとなり、なんなら生き甲斐の一つとなっていた。長年こうして付き合うて飽きない友というのは一生物に違いない。今日も勘定を任せてくれると言うもんだから、ついでに肩をとんとんと叩きつつ日頃のお礼を伝えておくと、靴を履き、遅れて暖簾を潜って出た)「え?何言うとるんですか?そこらで酒でも買うて、飲み明かすに決まっちょるじゃやいですか。───ええ月じゃき、のう?」(ちらりと空を見上げ、なんて事ない半月の月を見つめてから火津彌に視線を戻してにやりと笑うのであった。   (11/26 23:46:48)


マリア/火津彌 > 「そうか……はっ。」(最後に付け加えられた言葉に息を漏らして笑った。自分も尊華人の端くれなれば、この男の言葉遊びが分からぬ野暮でもないつもりだ。)「……月見酒か、ほな今日は鑑賞に耐えうるくらい粧し込まんとなァ。……と、お月さんが言うとる。」(貴族らしからぬ掠れた声で言うと、くつくつと喉を鳴らして背中を叩いた。なんとかまだ空いている酒屋に駆け込み、手に入れた一升瓶を竜灯に預けてまた歩き出す。)「なあ竜灯。」「董に……軍人を辞めるかどうか、聞いてみようかな。……あいつは僕が軍に誘った。だが……やはり強引だったのではないかと思うんや。」(それは『軍人を続けるか、やめて嫁ぐか。』その二択を迫る事を意味している。この後に及んで火津彌はまだ理由がほしかった。)   (11/27 00:15:43)


シロー/竜灯 > (「名負けはしとらんき、ええ男ですちや」一升瓶を預かって、間違っても割らないようにと両手で抱えると、冗談めかして切り返した。程よく酔っていて、疎らになった道を叩く二つの足音が重なり、ずれ、を繰り返すのを感じていると、まず話を切り出したのは火津彌で)「なんですかの?」「うん」(短い相槌を挟み込んで、ほんの僅かに考え込んだ。酒を抱えていなければきっと腕を組んで首を捻っていただろう。少しの沈黙の後に、〝ほうですの〟と言葉を返す)「ええと思うちや。あれは火津彌さんの役に立ちたそうにしちょると思うき、嫌だと言うかもしれんけんど、結婚するなら軍人など辞めさせてしまえばええと思うのう、それこそ強引かもしれんが⋯⋯」(片手で酒を抱え直し、片方の手で軽く身振りを加えながら軽い口調で、隣の火津彌を見つめると続けた。)「けんど、あん人は見るに、火津彌さんの言う通りまだ何もよう知らん。料理に裁縫に掃除に、意外と董さんには合うかもしれん⋯⋯⋯⋯と俺は思うぜよ。」(暗に辞めさせてしまえ、と言ってしまうと、火津彌の返事を待った   (11/27 00:31:20)


マリア/火津彌. > 「いっそお前のように強引に振り切れたらなぁ。……僕は恐らく、そこに生じる責任が怖いんや。あいつは僕の言うことになんでも影響されてしまう気がして……あいつの人生を振り回したい訳やない、あいつの力になってやりたくても、ずっと空回りしてきたからなあ……。」(董に何か起きたら、たぶん何もかも自分のせいだと思ってしまうだろう。彼女自身がそのように、庇護下に回ることを望む限りは。守ってやるとか、変えてやるとか、それをするにはあまりにも火津彌が不安定で……。こんな女々しい男のことなんぞ忘れて、それこそ竜灯があいつを幸せにしてくれたらいいのに。なんて、これも無責任か。)「糸依は……気難しいやろ?お前、どうやって口説き落としたんや。」(このままではまた、堂々巡りだ。一度視点を切り替えようと、そう疑問を放ってみる。)   (11/27 00:42:54)


シロー/竜灯 > 「ふーむ。ほうですか⋯。」(中々どうして。しかしその気持ちも分かる。自分は糸依に対して、責任は取るという気持ちで口説いたが⋯⋯どうなるかなどまだ検討もつかない。きゅぽん、と栓を抜いた瓶を持ち上げて口をつけ、喉奥から「なら─」と言いかけた言葉は、火津彌の言葉に遮られる形となるのだった。)「糸依さん?糸依さんは、俺が愛するき、抱かせちょくれと、のう。王国で糸依さんに似合いそうな服を買うてやったり、美味いもんを食ったり、連日一緒に過ごしたちや。素直じゃない所も可愛くての、いざ言うて見たら煮え切らんき、好きじゃ、愛する。と押し切ってしもうた、ははは。」(「まこと可愛い」と最後に付け足して、これ以上喋らないうちにもう一度酒を呷った。)「いやあ、まことええ女ぜよ。火津彌さんもたまには、全部忘れて遊んできたらどうじゃ。息抜きは大事ぜよ」   (11/27 00:59:18)


マリア/火津彌 > (足音はずれを繰り返し、次第に重なってゆく。いや、違う。火津彌のほうが、竜灯の歩調に合わせようとしているのだ。歩こうとは言ったが、どこへ向かうかは決めていない。火津彌は、竜灯がどこに行こうとしているのか知りたかった。)「…‥そうなのか。まぁ、たしかにな……糸依の余裕の無さは……なんというか……解るところがある……。」(尊華の組織は、どこか家族関係を模したように出来ているという分析をどこかで聞いたことがある。上司は親で、部下は子といったように。火津彌もまた、糸依と付き合う中で妹のような親和性を感じつつあった。)「……い、息抜きて……お前、そんなことしたら董は……僕はその、あいつをここまで振り回してしまった責任があるしやな……。」(竜灯の『遊ぶ』には主語がなかった。誰と、とは言わなかった。ついさっき娼館にでもと口走った事を引きずってか、火津彌は咄嗟に言い訳するように口ごもる。)   (11/28 18:13:17)


シロー/竜灯 > 「はは、これから、ゆっくりと糸依さんの事知って、愛そうと思っちょりますよ。」(何やら考え込むような、染み入るような静かな声を漏らした火津彌に対し、目を閉じると普段通りの口調で小さく呟いた。正直な所、糸依の事を火津彌程分かっているという自信はまだ自分にはない。だからこそこれから愛そう、と自分に言い聞かせる為の呟きでもあった。竜灯は何となく、考えつくままに暗がりを進んでいく。)「ん?」(一升瓶につけかけていた口を離して、歯切れもない返事をした火津彌を見遣って訝しげに眉を顰める。⋯⋯何やら勘違いをしているに違いない。微妙な話のズレを感じたすぐその後にはもう、その理由が彼なりに分かったらしく、小さく首を振ってから再び瓶に口をつけた。)   (11/28 18:36:20)
シロー/竜灯 > 「いやいや⋯⋯⋯⋯ふぅ、大丈夫じゃ。董さんが嫌がるはずないぜ、ちっと息抜き気分で楽しんでくれば良いだけちや」(竜灯が思いつくままに歩いた先、通り掛かったのは帝都の駅。王都や地方へと続く汽車の集合地点であった。傍に建っていた看板に記載された時刻表を覗き込んで指でなぞると、竜灯はようやっとお互いのズレに気づいたようで続けた)「⋯⋯あぁ、そういう事ですか、今解ったけんど違うぜよ。ほうですつまり、董さんを連れて遊んで来たら良いということです。距離が縮まってええ感じになるような⋯⋯俺が完璧な作戦を練ってやりますちや」   (11/28 18:36:32)


マリア/火津彌 > 「……董と……連れ立って、か?」(はっと見開いた目を、一升瓶を呷る竜灯のほうへ向けた。思えば考えたこともなかった。いつも手近にある答えを掴みたがって、ようやく自分と相手の気持ちが解ってきた頃にはとっくにこんがらがった人間関係の渦中にあって。盲点というべきか、とにかく、それは降って湧いたような着眼点だった。)「……ふむ、董を連れて……なるほど、僕らは、そうやな……食事に出かけた事すらも……お前とはこうして何度か飲みに言っているというのにな。」(腕を組み親指に顎をのせ、考え込むような仕草をしながら竜灯に歩調を合わせる。彼の足は、いつのまにか駅へと火津彌を導いていた。)「……悪く……ない」   (11/28 18:47:21)


シロー/竜灯 > 「ほうです、だから息抜きと言ったぜよ」(竜灯は頷くと、火津彌に顔だけを向き直らせて頷いた)「火津彌さんは今や佐官では無いからのう、じゃけんど、一日何もかんも忘れて遊ぶくらいは出来んですか?なんとか。責任責任、と深く考え込まんでも、楽しんでくれば良いですちや、こっちです火津彌さん」(竜灯は看板からと目を離すと、明かりは点いているが人の気配はない駅の構内へと火津彌を連れ立って歩く。ちょっと歩いた先には、壁に貼り付けられた帝都の地図。もう終わってしまったが、宵宮の案内が記載された紙。観光にやってきた人々向けの紙束が壁に寄せられた木机に纏められていた。それらを乱雑に一枚ずつ纏めとると、火津彌に手渡した)   (11/28 19:08:01)
シロー/竜灯 > 「俺らには知っちょることばかりかもしれんが、わざわざここから帝都を出んでも、この通りとことん楽しめるちや。飯を一緒に食うたり、綺麗な着物でも買うてやったり、の?どうじゃ?」(責任責任と、それに限らず悩むうちは心から愛せないだろう。内心、俺のように楽しませてやろう!と思いながら、火津彌に手渡した神束を覗き込む。帝都の店などが客の呼び込みの為に、駅に置いているようだ。美味しい茶屋⋯⋯こりゃ里桜じゃ。他にも、縁結びの神社やら、装飾品の店。沢山の文字を眺めて顎を擦った。   (11/28 19:08:13)


マリア/火津彌 > 「……やるなぁ、色男!」(肘で竜灯を小突くと、一升瓶を奪い取りふんふんと冊子に目を通す。糸依ともこうして親睦を深めたのだろうか。)「……ほんなら、いっそとことんやってやるか。芝居でも見るのも悪ないな。紅葉……には少し遅いか、梅園なら一部咲きが見られるかな?着物を仕立ててやるのも悪ないが……しかしそれなりの店では仕立てに時間がかかる。誘い文と一緒に簪でも送ってやったらめかして来るかな?」(あんなのが似合うのではないか、こんなのはどうだろう、と既に入り込んでいる。董と出会う前であれば考えられないような心境だ。)「紅玉楼の月光をなめるなよ、あいつが何も知らんと言うのなら、一から仕込んだるわ。」(駅の真ん中で酒をあおり、もう一度自分に火をつけていく。竜灯に酒を渡し、)「士朗、作戦会議や」(と、冊子を丸めて手のひらの上でぱん、と音を響かせた。)   (11/28 19:30:27)


シロー/竜灯 > 「へへ、火津彌さんこそ」(肘で小突かれると背中を丸め、顔の位置を下げて火津彌を覗き込むように視線を流す。⋯⋯ええ感じじゃ、ええ感じに酒が入っちょる。奪われた酒であったが、今の火津彌に飲まれるのであれば酒としても嬉しいに違いない。「たしかに。」「ええのええの」と所々に相槌を打ちながら竜灯も思考を巡らせた。今一度酒を呷った火津彌は、先程までの鬱々とした雰囲気など見る影もない。酒瓶を受け取れば、ぽん、と小気味良い音に頷いて歩き出した)「よし、そうと決まれば兵舎で飲もう!ほうじゃの、まずは月光さん。目を見て可愛い、綺麗と口が酸っぱくなる程言うてやることちや、女っ気を与えるにはそれが一番ぜ───」(一世一代の大作戦。どうやら長丁場になりそうだ。他ならぬ友の為、今日は腰を据えてゆっくりと話すこととする。師走某日、竜灯『友』〆   (11/28 19:58:17)