この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

名取&コルキカム

化物同盟

清瀬/名取 > (りりり、ころころ。子守唄の変わりに叢が爪弾くのは鈴の音。月の映え映えと照る夜、月下美人を携えた苗床が街を練り歩く。とはいえ此処は都市から外れた人気の少ない場、既に薄れてきたとはいえ異形、即ち私達の存在を恐れてか出歩く者も居らず。余計な照明のない月夜、彼女は…名取は憤っていた。)「嫌になっちゃう、最近は誰も会うどころか見かけることすらさせてくれないんだもの」(白の塗り壁に背から身を預け、決して開くことのない右の瞳を瞬きのようにぴく、と何度か僅かに動かす。彼女の言葉に応えるように月下美人は項垂れて、悄々とその色を清らかな純白から濁った煤色へ変えていく。いそぎんちゃくが口を開いたような、幾つもの紅葉が重なったようなその花弁は、次なる獲物に今にも噛みつかんとばかりにわなわなと震えている。焦燥をちらつかせる彼女、“あの子”を早く見つけないといけないのに。   (10/4 19:39:18)
清瀬/名取 > いっそのこと昼間にも活動してみようかしら?……そんなバカ垂れた思想は直ぐに枯れた。そんなことをしては恩寵を連れた魔術師達に忽ち退治されてしまう、彼らさえ居なきゃ。──憤りの原因はそれだけではなかった、ここら一帯に微かに漂う“匂い”。これは…………。衣服の下、這い茂った蔦がうず、と“死”の香りに疼いた。)   (10/4 19:39:20)


大和守/コルキカム > 「よわーい、しぬのはやーい。……ねー君、君に生きてる価値あるのー?」(異形という存在を恐れ、出歩かないのは実に良い判断だ。だが、例外というのは少なからず居るもので。ま、そんな愚者がどうなるか──その答が、今此処に広がる惨状である。切断され、刺され、人としての尊厳をぐちゃぐちゃに踏みにじられた骸が一つ、転がる。血の海に沈む骸、それを剣でつつきながらコルキカムは言葉を投げる。それが死んでいるのは理解している。無論、言葉に対する答えは一切求めていない。その答えが今、形となって出ているのだから。)「つまんないなー。……あーでもでも、一人要らない奴を消したんだからボクえらーい!!! 流石!!! …………あーあ、いなかったなー」(落胆、歓喜、そして再度落胆。感情をコロコロと変え、コルキカムは深いため息を一つ。探し回って見たものの、此処に探しているモノはないらしい。次はどうしようか、なんてそんな事を考えながら、コルキカムは骸を剣で弄る。元より酷い惨状だったモノが更に崩れていく。その崩壊に、彼は微かに笑みを漏らした。)   (10/4 19:56:45)


清瀬/名取 > 「…………あっち、か」(薫りが一層色濃く風に乗る。風上から降りてきた、たった今、更に強くなった赤色の香水。体を起こしてその根源を探す。例えば期限の過ぎた肉のそれだったり、例えば硫黄と鉄の反応の産物だったり。別に不快感は感じないそれに、否、どこか懐かしい死臭を暫く辿ればそこには。)「……わあぉ」(一言で表すならば、“残忍”。壁に身を隠すようにして覗けばそこには、おこぼれに肖る鯱の性格をした一羽の禿鷹が。己で作ったのであろう死体を剣先で弄んでは意味のない煽りを投げ掛けている。白銀から青に変色したリボンのような髪の束を揺らし、無垢な子供のように微笑しては更に肉塊を崩していく。そんな、一般的にはとても“常人”とは思えぬ彼の行動に、私はというと。)   (10/4 20:20:13)
清瀬/名取 > 「今晩は、親愛なるお友達。その玩具は楽しくなさそうね」(無論、何も違和感を感じてはいなかった。イモータルと称されるアンデッドには倫理も道徳も存在しない。そこには行動理由と、快感と達成があればいいのだ。亜栗色の髪をふわりとたなびかせ貴方の後ろへ。白紅葉はズブズブと縮れたかと思えば麗しいかすみ草を咲かせた。しゃがんだ貴方に視線を合わせようとゆっくり屈み、蔦から覗く卵型の瞳で微笑みかけた   (10/4 20:20:25)


大和守/コルキカム > 「わー!? びっくりしたなぁもー! 驚かせないでよー」(弄ぶ事に御執心だったのか、貴方の気配には気付かなかった様で。彼からすれば貴方が突如横に現れ、そして言葉を掛けてきたのだから。驚きに青の目を丸く見開き、驚きに声を大きくしてしまう。まるで幼い子供の如く、コルキカムは幼く怒りを見せてみて。とは言っても、本当に怒っている訳ではない。その証拠に、コルキカムは「あはッ、こんばんわぁ」と笑みを浮かべながら挨拶を。武器を持っていない左の手──まるで人形の様な手をひらひらと振り、コルキカムは敵意ではなく好意を見せた。)「そーなんだよねぇ。よわくてよわくてほんとつまんないんだよ!? つまらなすぎて、こいつに生きてる価値があるのかもわかんない! ま、無いんだろうけどね! だからボクが殺したんだ!! 要らない奴片付けたんだよボク偉いだろ!? あっ、ねーねー、白と金色みなかった? ボクずっと探してるんだけど見つかんなくってさー!」   (10/4 20:36:27)
大和守/コルキカム > (楽しくなさそう。貴方の言葉にこくこくと何度も頷き、そして不満を饒舌に語り始める。ペラペラと骸を罵り、そしてその言葉は己への称賛へ、そしてその次は問い──と。休む事なく言葉を続ける。然し言葉達は漸くそこで終わりを見せ、彼は新たな情報が入る事への期待を表情に浮かべながら、貴方の言葉を待った。)   (10/4 20:36:36)


清瀬/名取 > 「あらら、ごめんなさい」(まるで生後二ヶ月程の子犬であった。私と同じ、虚ろな瞳を持つ子。怒りへ、そして喜びへ、秋の夜の気温のようにころころと表す感情を変えて行く。二の腕から先を失くした腕は突如として手首から上を生やしており、なんのトリックかそれは此方に手を振っている。同じように振り返して、その手をそのまま貴方の頭へと乗せてしまいたくなった……のを、ぐっと堪えて。可愛いものは愛でたくなる、その感性は死して尚不変のようだ。)「うんうん、ちゃんと要るものと要らないものを分別できる子は偉いわ。ここまでやれば後はきっと、此処の人とカラスさんが綺麗さっぱり片付けてくれるよ」(頷きながら軽い相槌を打ち、ふと貴方の横にしゃがんだかと思えば目一杯の拍手を送った。開かれぬ瞳は、もし見えていたのなら今宵の星空にも負けぬ輝きを伴って見開かれていたことだろう。……赤塗れた剣の鋒、ぐちゃぐちゃの成れの果ては、頭があったその場所に微かに茶色の髪を覗かせている。どうやら私が探していた子とも違うみたい、とため息を一つ溢しては、貴方の問い掛けに首を傾けた。)   (10/4 21:08:11)
清瀬/名取 > 「白と金……?」(何かのなぞなぞか、口に手を当て暫く思考を巡らせて。頭の蔓はぐむむむ、とクエスチョンマークを作り、かすみ草はぽぽぽ、と音を立てながら代わる代わる散っては咲き誇る。彼も私と同じ、何かを探している子らしい。そんなことは知ったこっちゃないし、彼女が彼を手伝ったところで彼も手を貸してくれるとも限らないのだろう。彼女的にはどうせなら人寄せにと殺してしまってもいいのだが、異形は中々に死なない。能力もある以上は迂闊に手出しできないわけだ。……そして、なぞかけの方はというと。)「うーーん、ごめんね。私にはよくわからないや。……あ、けれどこいうのはどう?」(降参!と言わんばかりに悲鳴をあげ、頬を掻いて苦笑いを一つ。このままでは何だか申し訳ない。と、フィンガースナップと共に差し出したのは黄色く咲いた獅子の鬣。二輪咲かせた一輪を貴方の手に握らせ、「見ててね」とタンポポの花弁に息を吹き掛ける。黄金に輝いていたそれはみるみるうちに白い綿毛へ変わり、夜空に淡く光って薄らと吸い込まれてゆく。   (10/4 21:08:35)
清瀬/名取 > これの何が代替案になるのだろうか、そんな疑いの視線を向けられていようと、何があるのだろうと期待の眼差しを浴びていても、彼女は一貫して得意気に笑っているだろう。)   (10/4 21:08:42)


大和守.コルキカム > 「そう? そう? えへへありがとー!」(拍手。そして、称賛。貴方の言葉に得意気にしたかと思えば、コルキカムは満面の笑みを浮かべて。いつも、いつもはこうして得意気にした所で誰も褒めてくれはしない。それも、殆どが要らないモノを処理した、という名目なのだから尚更だ。けれども彼女は褒めてくれた。拍手までくれた。その事に、嬉しさが胸中に広がる。褒められる、と言うのはこんなにも嬉しいモノなのか。)「……わあっ……すっごーい!! きれー! ……んーでも、ボクが探してたのとは違うみたい。う~ん、どうしよっかなぁ。ねー、手伝ってくれない?」(貴方の見せてくれたそれはまるで、夜空に踊る星々のようで。子供の様に目を輝かせ、けれども己の探しているモノとは違う。んー、と考え込み、果てにコルキカムは貴方に己へ協力する事を要請する。もしも貴方が人手を欲しているなら、何か条件を出し、それを此奴がこなしたらに手伝うとの旨でも此奴は動く。此奴の無邪気さは、実に扱いやすい駒となるだろう。)   (10/4 21:25:35)


清瀬/名取 > 「ふふっ、そうでしょう?探し物とは違うかもしれないけど、“それ”もなくてつまらない時に、これで遊んでみてよ」(夜空を見上げ、二つの目映さに見惚れる貴方を実に満足そうに眺める。目的の為には切り捨てることを厭わぬだけで、生き物や人と関わることは未だ好んでいた。この世界という大きなからくりにおいては、生き物各々が自立する歯車となる。何が噛み合い何が起こるのか、貴方という歯車は何を引き起こすのか。ここに新たに世界が回ったことを、名取は実に光栄に思っていた。)「お手伝い…ねぇ……」(ふむ、と彼女は再び沈黙に浸る。何れも何かを探す立場、メリットは幾らか上がるがデメリットは? さて、彼が自分を切り捨てることも考えねばならぬこの状況だが、それはお互い同じ事。一度鼓動を止め、倫理も何もかも投げ捨てて存在している身だ。己を中心に回す中、繋がりは浅く容易く、そして脆くなるのは容易に想像できること。)   (10/4 21:46:15)
清瀬/名取 > 「……そうね、私は“とある子”を探しているの。黒い髪の毛の、可愛い女の子。もしかしたら毛を染めたり、髪を切ったり、私の覚えてるようには存在してないかもしれない。……そんな子を探してるの。それに協力してくれるなら私も、一緒に“要らないもの”、片付けていくのも手伝ってあげる」(実に淡々と、そして揚々と。まるで昨日誉められた自慢話をするかのように朗らかに、歪んだ協定を結ぶ為の支度を始める。利己を孕んだ使い合い、タンポポを握らせた手とは反対の貴方の浮き手に指を滑らせ、そして小指から絡めてゆく。否定の否定か、それとも何か。彼女の指に巻き付いた緑の触手が貴方の手を通し心までも縛らんばかりの、そんな禍々しい握手であった。)   (10/4 21:46:29)


大和守.コルキカム > 「…………協力したら、ボクのを手伝ってくれるんだよね。……うん、分かった! 手伝う!」(貴方の言葉を理解するには、コルキカムの脳では少し難しかったらしい。重要な言葉だけを抜き出し、コルキカムは更にその言葉をよく噛み砕く。成る程、貴方を手伝えば此方を手伝ってくれるのか。そう理解したコルキカムは、数秒の沈黙を経て了承の意を示す。文字通りの満面の笑みで、協力する事を約束する。己の手に絡む貴方の手、それを握り返し。異形同士の、己の目的の為の約束。協定。同盟。ーー最も、コルキカムはそんな事を考えてはいないのだろうが。ともあれ、此処に一つの化物同盟が成立した。果たしてそれがどう転がるかは、二人次第。)   (10/4 22:00:27)