この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ゼペタル&ジュリイ

貴方との出会いに、シロバナアケビを添えて

マリア/ゼペタル > (よたよたと、守山の麓を歩く男の姿がひとつ。岩場を超え、草原へ足を踏み入れ、滝壺の前まで来ると目から流れていた血をそれで洗い流し、月の光で生まれた虹を見た。)「……シュクロズア。」(まだ目が痛む。腰も少し打ちどころが悪かったらしい。それも、目をつむり眠れば治るのだろうが。……ここで少し魚をとったら塒へ戻ろう。我が家はケシェトの滝の近くにあった。)「……アビゲイル。」   (9/29 14:44:40)
マリア/ゼペタル > (我が弟子は眠っているのだろうか。下手に起こしたくはない、洞窟の入り口、外のあたりで焚き火を起こそう。じきに夜が明ける、魚の焼ける匂いで起きて来るのを待とうと、割いて繊維状にした松の皮の上で火打ち石を打ち鳴らした。火の粉が松の皮に落ちるのを見て、手で風から守った。すくすくと育ってゆく火種を見て、ほっとしたように手を離れさせる。あとは自分の力で燃えてくれるだろう。松毬や枯れ松葉を足すと、ボウ、と火が大きくなる。風呂敷代わりにしたローブにためておいた枯れ枝を一本ずつ足し、焚き火が出来上がると、枝にさした魚を遠火に置いた。)   (9/29 14:44:43)


盛岡冷麺/ジュリイ > 「(洞窟の少し奥、丸まってすよすよと寝息をたてる小さな影が一つ。その影は何かの気配を感じ取ったのか、はたまた魚の焼けるいい匂いに起きたのか。ゆっくりと上体を起こして、手の甲で目をこすりはじめた。)う、うー…よく、ねたぁ。だれ、だれか、いる?…ぜぺたる、さんかなぁ?(ゼペタルを父と呼ぶ勇気はまだ無しだったが、世話を焼いてくれるその人に一つの好意を寄せていたことは確かだった。ぺたぺたと裸足で洞窟の中を出口に向かって歩き始める。やがてもうすぐ明けそうな夜の、青に紫に赤…色とりどりの、それはまるで絵の具を塗りたくったような、空を見上げる。やがてそれにほう、と息をつけば、貴方に向かって笑いかける。)お、おは、おはよお!……ぜ、ぜぺたる…あしぇど、さん?なんか、つかれて、ゆ?   (9/29 15:08:05)
盛岡冷麺/ジュリイ > (寝ぼけているのに加え、まだ辺りは少し暗いことで貴方の異変に気づくのに時間がかかった。貴方のことなんて梅雨知らず、海月は夢の海を泳いでいたんだもの。でもでも、聞いて。僕は貴方のことが大好き!なにかあったら、まもってあげるって決めてるの。焚き火に寄って火の恵みを体に受ける。成長した小さな灯火は、いつしかちょっとした風じゃ揺らがなくなっていた。眉を下げて、貴方のことを心配そうに見つめるの。足をちょっとずつ動かして貴方の近くによると、恥ずかしそうに擦り寄る。ねぇ、貴方は優しいから。何かあっても、僕を心配させないために言ってくれないかもしれないけど…僕は、貴方の支えに、なりたいよ。__そんな、馬鹿みたいな…伝わるはずのなにメッセージを込めて、貴方に笑いかけた。)」   (9/29 15:08:17)


マリア/ゼペタル > (ふらふら、ぺたぺたと揺れるように洞窟から弟子の姿が現れた。振り返り、静かな笑みを向けるゼペタルの顔は、もうすっかり人間とそれと遜色がなかった。)「……ああ、昨晩は眠れなくてな。……大丈夫だ。」(ぱちぱちと音を立てて、焚き火が煙を上げる。手をかざすと暖かった。)「アビゲイル、食事にしよう。座りなさい。」(焚き火を挟んだ向かい、大きめの石へあなたを促すと焼けた魚を地面から抜いて手渡す。もはや人間ではない我々は食事をしなくても死ぬ事はないのだろうが、それでも、満腹は心を癒やすのだ。食べながら、今日はこやつに何を教えてやろうかと、膝と肘をくっつけて頬杖をついた。いつか立派な【魔術師】にするために。)「……お前につけたアビゲイルという名はな……真名というんだ。今日は、ヨズアの神話について、お前に話して聞かせよう。」(そう言いながら、ゼペタルも自分の魚を手に取って食べ始める。じゅわ、と脂が口に広がり、疲れた体に染みた。)   (9/29 15:19:38)


盛岡冷麺/ジュリイ > 「(お魚お魚、普段はそのまんまぱくって食べちゃうから…脂がのっててとっても美味しそう!すと、と石の上に腰を下ろす。渡された魚を受け取れば、「あり、がと、う!」ってにんまり笑顔を浮かべるの。でもでも…昨晩は寝れなかったんだって。心配だなぁ、ってまた貴方を見つめるけれど、きっと優しい貴方のことだから本当の事は話してくれないんでしょう。ちがうの、怒っている訳じゃなくて…それって、いつか僕が、貴方を守れるくらい強くなったら教えてくれるかも、って思って。大丈夫だっていうけど、きっとどこか痛い思いをしたのかも、苦しい思いをしたのかも。だったら僕が助けてあげなくちゃ!貴方に貰った名前__いや、“真名”の恩返しよ。気がすむまで何度でも恩を返すの!)   (9/29 15:37:05)
盛岡冷麺/ジュリイ > よ、よずあの、しんわ!かみさま、の、おはなし?…おも、おもし、ろそ!(手をつけていなかったお魚に、ふぅふぅと忙しく息を吐く。やがて小さな口を精一杯あけて、ぱくりと齧り付く。ぱりっ、と薄い皮が音を立てて割れたあと、じゅわぁって焼いたお魚の身から脂があふれてほろほろと崩れて、あったかくて…それは__いや、貴方と一緒にご飯を食べる、この時間こそが。この時間こそが、"幸せ"と呼ぶに相応しいのだなぁって。いつしか感じなくなっていたその"幸せ"を、噛み締めておいしい、って貴方に笑いかけるの。軈て貴方のお話が始まるかもって思って、目を細めてお話に耳を傾けるの。えらいでしょう、ぼくはちゃんと言われなくても出来る子だもの、きっと貴方の役に立ってみせるの!)」   (9/29 15:37:19)


マリア/ゼペタル > 「うまいか。」(美味しそうに魚を頬張るあなたを見て、ゼペタルは顔を綻ばせた。自分も魚を食べ進める。二人の間には静かで暖かな時間が横たわっていた。)「……そうだ、神様のお話だ。」(アビゲイルの言動は年齢よりもずっと幼い。分かる言葉で、きちんと話してやろうと思った。ゼペタルは火を見つめながら、ゆっくりと言葉を、遺志を紡ぎ始める。)「……とても昔、この世界には言葉がなかった。神様に言葉をもらったということは、お前も知っているか?」   (9/29 16:02:15)
マリア/ゼペタル > (『その道を知らないままに争いを続けた人類は神格によってまず滅ぼされかけた。次に憐れまれ、言葉を与えられた。これを用いて伝え合い、分かり合い、戦い合うように。』―――その神話は文字を含む言語と魔術誕生についてのものだった。ヨズアのみならず、津々浦々で全く同じように語り継がれているもの。この世界に住むほとんどの人間が知っている事だ。)「だからな、魔術師というのは、とても誇り高い……生き物なんだ。神様を信じ、神様の代わりになれるように、皆戦っていたんだ。アビゲイル、例えば、この世界に言葉がなかったらどうなっていたと思う?」(にっと笑い、骨の残った魚と枯れ枝を、火に向けて投げる。しばらくして、魚の油がじゅ、ぼう、と燃えて青い炎がちらついた。)   (9/29 16:02:19)



盛岡冷麺/ジュリイ > 「(貴方の話に耳を傾ける。なんだか少し難しい気もしたけれど、貴方はきっと僕がわかりやすいように話してくれているんだなぁって。かみさまに、言葉を__…かみさまって、本当は優しいのかな?貴方が続ける。魔術師は、とても誇り高い生き物なのだと。今まで数人の魔術師に会ってきた。まだまだ経験と呼ぶには浅すぎるけれど…優しい人もいた。きっと僕は、魔術師は僕たちにとって凄く怖くて、痛いことをする人たちだと思っていた。でも、貴方の話を聞くにつれてその誤解が一つ一つ溶けて、融けて、解けて行く。かみさまを信じて、かみさまの代わりを、努めようとした。僕にはそんなこと無理だって、言いそうになった。だって、かみさまは…僕からしたら、こわくて、強大で、恐ろしくて…哀れんで言葉をくれたと思うとその思いも霞むけれど、とても代わりなんて__。   (9/29 16:26:52)
盛岡冷麺/ジュリイ > …でも、僕は出来損ないじゃないもの。貴方が望むなら、応えてみせるの!お魚を食べながら、やがて一つの問いが僕に差し出されていることに気づく。貴方が問いかけている間にも、僕は一人思考を巡らせていたの。アビゲイル、そう呼ぶ名前にゆっくりと思考の海から言葉の砂浜へ上がって行く。)……こと、ことばが…なかったら…こ、ことばが、なかったら、ぼく、ぼく、あしぇどさん、の……お手伝い、できない!し、し、しかも、だって、ことばが…なかったら…だれか、に、だいすき、って、いえなく、なっちゃう…!   (9/29 16:27:07)
盛岡冷麺/ジュリイ > (眉を下げて訴える様に言葉にする。そんな、言葉がなかったら…なんて、嫌だ。言葉は口にしても見えない。けれど、僕たちはきっと、そんな確かに存在しているのに、不確かな存在に助けられているのだ。嗚呼、貴方の問いかけに対しての答えとしては及第点だ。所詮は子供の__いや、水で満たされてしまった頭脳。それでも必死に“言葉”を紡いだの、あなたに伝われって。)ことば…ことば、なかったら…きっ、きっと、みんな、わかり、あえない。ことば、が、なかったら…かみさまの、かわり、できない。だって、かみさまは…かみさ、まの、想い、伝えるため、にも、ことばを、くれたと、思うから。(食べ終わったお魚の骨をぼんやりと見つめて話す。心なしかいつもよりスムーズに話せているように見えるそれは、子供らしくコロコロと表情をかえて、今は燃える炎を悲しげに見つめていた。)」   (9/29 16:27:21)


マリア/ゼペタル > 「……あ、ああ……。」(蟀谷がつきんと傷んだ気がした。大きなまばたきをし、開いたまなこをあなたに向ける。)「……言葉がない世界は、きっと哀しい。……人々は殴り合い、思いも口にできないまま理不尽に死ぬのだ。俺たちは、神から言葉をもらったことで二つの生をもらった。一つは、肉体の生。もう一つは、精神の生だ。……精神というのはな、これだ。」(とんとん、と拳で胸を叩いた。)「思い、意思、こころ。そういうものだ、解るか、イシュ――――……」(無意識に飛び出た言葉に喉がひきつった。”アビゲイル”と、そう呼ぼうとしたのに。何故なのか、自分でもわからない。……きっとあなたが言った『だいすき』が、ゼペタルをほんの少しだけ神罰の鎖から緩めてしまったのだ。)「……あ……アビゲイル。」(こほん、と咳払いをし、話しを続ける。ごまかすように手を動かして、薪を足した。)「魔術師は何も特別な存在という訳ではない。広い意味で言えば、言葉を使うものがみな魔術師なのだ。お前も、はじめから。」   (9/29 17:20:34)
マリア/ゼペタル > (暴言に傷ついたり、励ましに心が軽くなったり。正式な呪文ではないので強制力はなくとも、これらも広義の魔術であるという事は、この世界の誰もが知っている。)「魔術師であれ、魔術師であることを誇れ。お前の思い、意思、こころを紡ぐために。……そこから一歩が始まる。」(結局、”ヨズアの神話”の話が出来るまで、随分と遠回りをしてしまった。だけど、大事なことだった。さて、いよいよこれから話すのは、俺に誇りを教えてくれた一人の魔術師。ヨズアの民にとっての、神の話しだ。)「……シュクロズアの、話しをしよう。」   (9/29 17:20:40)


盛岡冷麺/ジュリイ > 「(あなたがこちらに開いた瞳を向ける。あなたが僕の「だいすき」に神罰の鎖がゆるんだように、僕もきっと、「言葉」という一つの奇跡に、神罰の鎖がゆるんでしまったのかもしれない。"イシュ————"それが何だかわからなかった。けれど、それはきっと、貴方にとってとても大切なものなんだなぁって。悲しげに笑いかけると、こちらもつき、と頭のどこかが痛んだ。嗚呼…お…、お、か__?なんだっけ。少しだけ、ほんの少しくしゃりと泣きそうな顔をしてしまったけれど、すぐにハッとして元の笑顔にもどる。貴方が昨晩の事を教えてくれなかったように、僕も教えてあげないんだから。   (9/29 17:46:29)
盛岡冷麺/ジュリイ > __人は、言葉を使う以上誰もが魔術師。僕の「だいすき」っていう言葉が、貴方を貴方たらしめる、小さな魔術の…“一歩”になれたのなら。この頭の痛みもどうってことないの、だって役に立てたから。ねぇ、ねぇ。だから、いつか。僕が僕を見失いそうになったときは、ちゃんと「アビゲイル」って呼んでね。)……しゅ、しゅくろ、ずあ?…きいた、こと、ある…けど、くわしく、は、わかんない、なぁ。どんな、ひと?かみ、さま?(この間、貴方と初めて出会ったとき。貴方がヨズア人だと知って、一つの単語が頭に浮かんだ。それは、殆どが言葉の砂に埋もれて見えなくなってしまったけど、貴方の一言でわかったの。"シュクロズア"。なんだかその話を聞こうとしたとき、目の前に舞台が広がったみたいで。それはきっと、だれかの冒険譚、英雄譚、だれかの大切なお話。さぁさ、準備は整った。ここから始まるは一人の魔術師の、かみさまのお話。ブザーが鳴る、席について、背もたれに身を預けて、貴方の話に耳を傾けましょう。)」   (9/29 17:46:46)