この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

リューグナー&雅螺

回し出せ破滅の歯車

極夜@雅螺 > 「何とまあ、月見には絶好だな。金貨を放り投げてもああはならないだろうよ」(尊華の夜は、白々しい程明るかった。宵闇の天鵞絨に金貨のお月様、金剛石のお星様。飾り物の空の下、甘ったるい街の煌めきが見えている。尊華帝國、郊外。人通りの少ない道に佇み、ぼんやりと見上げる中でも月はただ、ひどくのっぺりした顔で光を投げ掛ける。橋の柵に体を預けて大きく反るように夜空に目を向け、嘲笑うように吐き捨てた。──……軍部が最近また、騒がしいな。あの子も無理をしていなければ良いが。ま、既に軍部を引退した我が身には関係無し、口の出しどころも無し。然しまぁ、嫌に大きい月も出るものだ。神様は気でも触れたのか──詩吟のように遊ぶ思考と、歓楽街の光にさえ負ける弱々しい月。双方嗤って口を歪め、目を細める。もう直ぐ夜の帳に覆われる街に視線を戻し、さてそろそろ帰るか、足を向けた。暇潰しに人通りの少ない道で月見に耽った鶴の足取りを、嫌味ったらしいくらい大きな金色がじっと見ていた)   (9/27 13:29:26)


ゑゐりあん/リューグナー > 帝國軍部先代元帥、雅螺とお見受けする(すると、いつの間にか彼の背後から声がした。先程まではいなかった。しかし、今は確かにそこにいた。全身を黒いローブで身にまとい、顔には笑顔の浮かんだ白い仮面が張り付いている。見るからに怪しい風貌の男。そしてその手には漆黒の大鎌のようなものが握られていた)お命…頂戴…ッ!(すると男は、有無を言わさずに走り出し、雅螺に対して大鎌を振り下ろした)   (9/27 13:34:32)


極夜@雅螺 > 「月は人を酔わせるというが……ま、此の満月なら仕方ない。おいたは程々にする事だ」(ひゅ、と。風切音すら置いて振り下ろされる"何か"の音がした。否、死神の呼び声がした。がくん、と体を傾け、傾けた身の横を黒い大鎌が通過して行く。──成る程?殺す気だったな、今のは。人から恨みを買った覚えしかないが、まさか此処まで直球に来るとは。だがまぁ、はは、……鶴が欲しいというなら、もう少し力量が必要だな──ゆるり、振り返る。黒い外套、白い仮面、命噛み千切る刃を携えた姿は正に死神。柘榴の瞳を細めてけたけたと笑いながら体を大袈裟に揺らし、くる、と姿勢を立て直す)「如何にも、尊華帝國軍先代元帥とは僕の事だが。そんな鈍で此の僕に刃を向け、剰え命を切ると宣う愚か者。我が名を知るならば字を名乗れ」(笑みが、消える。成る程、お前が先代元帥としての価値を求めるならばそれに見合うよう。いいえ、"この僕"の命を狙った時点で、お前が死する覚悟もあるのでしょう。さあ、名乗って見せろよ死神)   (9/27 13:45:01)


ゑゐりあん/リューグナー > (相手が釜を回避すると、後ろに跳び少し距離を取る。やはり簡単にはいかないか。そう思いながらもじっと相手の出方を伺うリューグナー。焦ってはならない。相手は先代元帥である。こちらも死んでしまう可能性があるのだ。落ち着かねば)…貴様如きに名乗る名など…ない…ッ!(すると今度は相手に向けて大鎌を投げつける。この大鎌。リューグナーの異能から生み出したものである。影から武器を生成する能力、通称“影功”。その硬度は非常に高く、名刀と切り結んでも問題のないレベルである。そんな硬度の大鎌が相手に向かって飛んで行く。無論、相手に到達する頃には大鎌の鋭い刃で斬れるように計算して投げた。己の得物を早々に捨てるなんて思っていないないでしょう?どう出ますかねぇ?)   (9/27 13:49:33)


極夜@雅螺 > 「我が字を愚弄するか。なれば僕も、貴様にやる命なぞない。疾く失せろ」(闇を切り裂き、宵闇を引き連れ、大鎌が飛来する。だが此の命、そうそう易々とはくれてやれない。着物だというのにひどく身軽な仕草で体を捻り、舞でも踊っているかのように鎌を避けて、そうして、貴方を睨め付けた。表情の消えた能面のような顔に、紅い敵意だけが煌めく。からん、と落ちた大鎌を、視線だけで一瞥した。──詠唱がないな。如何に強力な魔術師であっても、詠唱無しにこうも魔術を使うことは不可能な筈だが。……さて、全く面倒な事になった。実に面倒だ。紅葉に埋もれた砂金を探す方が余程楽に決まってる──ただ確信だけを以て、ぱん、と手を打ち合わせ)「否やというならば溺れ落ちるが良い、不死の魔物──蒼の神、いざや御力を賜わん。無辜なる民さえ打ち払い、さざめく水面を引き裂く刃となれ。我が望みはしずかなる清流にあらじ、我が望むは亡しの激流なれば──撃ち抜け!」(ごう、と激しく水が渦巻き、それはまるで滝のように、貴方の胸部を狙って真っ直ぐに飛ぶだろう。もしも当たってしまったなら、大穴を開ける事もあり得る一撃を)   (9/27 14:02:38)


ゑゐりあん/リューグナー > ちぃ…ッ(よけられたか。闇の中で黒い鎌が飛来したというのに、その身なりで軽々と避けるとは…。これは、殺すことは視野から外さねばなるまい。すると、相手が両手を打ち合わせ、詠唱を始める)まずい…ッ(確か、先代の魔術は水である。水は下手をすれば鉄をも切り裂く刃となりえる。回避をせねば)…ッ!(身を翻して避けるものの、想像以上のスピードと威力である。左腕に掠り、傷ができた。思ったよりは浅いが、それでも血がドクドクと垂れる)…闇よ。宵よ。影よ。悪よ。その力を我に示せ。そして我に、力を分けよ(詠唱の真似事をすると、自身の影から今度は二本の刀が出現する。自身をイモータルと悟られぬための手段である。そしてその刀を手にし、相手との間合いを詰める。牽制を入れたり緩急をつけたり。相手にタイミングを悟られぬようにしつつ、相手の両腕目掛けて刀を振り下ろす)   (9/27 14:09:05)


極夜@雅螺 > 「は、」(──何だ、全く。やられる時はやられるか。片腕一本、本格的に刀が握れないな。ならば最後にひとつ、披露でもしておくか?不死の魔物。死んでも眠れない哀れな生き物。みすみす散るとは思わないことだ──人間とは、ひどく驚くと声すら出ないらしい。ひゅん、と片腕が飛んだ。だが、ああ、こんなに近くまで来たのだ。ただで返すのは勿体無いというもの。左腕が無い。右手で無理やり刀を引き抜く。左肩が熱い。焼けるようだ。煮えるようだ。炎の照りつく其の感覚が、脳裏を焦がす。月が、引き抜かれた刃を照らした)   (9/27 14:25:23)
極夜@雅螺 > 「其の神……蒼く、清く、……は……大海に在します青龍を遣わせ、水面に揺蕩う気高き蛟を我が意に沿わせ。いざ給へ、望むは開墾の暴流、我が血と代えて望みを告げる……いざ来れ、穢れた地に舞い降りよ、汝は三全世界を浄めし大神なれば……!青龍、白虎、朱雀、玄武、勾陳、帝台、文王、三台、玉女、急急如律令……撃ち祓え!」   (9/27 14:25:33)
極夜@雅螺 > (抜き身の刀身に激流が纏わり付く。其は神が遣わせし水神の牙。人であれば命を絶とう。例え貴様が死を知らぬ獣であろうとも、傷の一つや二つ、負わせてみせましょう。びりびりと軋む腕を無理に振り払い、貴方の胸部を、心臓を狙って刀を振り抜き)   (9/27 14:25:42)


ゑゐりあん/リューグナー > (入った。確実に。しかも、片腕は切断され地面に落ちた。後は逃げるだけですねぇ…!なんて思っていたが、相手が右手で刀を抜き、詠唱を始めた)しま…ッ(回避が間に合わない。…がそれなら腕だけでも持ち帰る。傷を負っても。そう思いリューグナーは落ちた腕を右手で拾い上げ、そしてわざと左半身を相手に向ける。そして相手が刀を抜くと、激流がまとわりついていた)これは…死ぬほど痛そうですねぇ…ッ(しかし、あらかじめ攻撃を喰らうつもりだったのだ。相手の刀は心臓を狙っただろうが、すでに身を翻している。左腕は肩からごっそりと切り落とされ、ゴトンっと音を立ててその腕は地面に落ちる)…ッ!!!!!(激痛が走り、声にならぬ悲鳴を上げるが、それでもリューグナーはそのまま相手の横を通り過ぎ、後ろへと駆け出す)これで…問題は…ない…ッ!!(左腕からとめどなくあふれ出す血を垂れ流しつつ、リューグナーは宵闇の中疾走する。そしてそのまま近くにあった水路へと落下。その姿を消した。無論、川に落ちる前に水路に写っていた影にもぐりこんだのだが、雅螺から見れば水路に落ちたようにしか見えないだろう)   (9/27 14:37:17)


極夜@雅螺 > 「ただでは帰さないつもりでいたが……此れは、些か……はは……」(出血が酷い。此処までの大怪我をするのも久しいというものだが、放置しておけば出血多量で死ぬだろう、と冷静な頭が告げた。人間は脆いもので、心臓を貫かれる以外にも死ぬ方法は存在するのだから。嘆息して残った片腕で羽織を引き裂き、ぎ、ぎゅ、と左腕の切り口を止血し始める。目を細め、ちらりと見たのは落ちた腕。あの、不死の化け物の。そこそこの痛手は負わせたとは思うが、足を引き摺り痛みによろけながら化け物の腕をひっつかむ様は、余裕がある常の態度とは真逆だった。──殺さなかったな。どころか、僕の腕を持って行った。初めから僕の……いや、僕である必要性はあったのか?まぁ、体の一部があれば重畳、そういう風情にも見えた。……全く、腕一本でもやるべきではなかったか──)「この歳になって仕事を増やさないで欲しいんだがなぁ、全く……」(乾いた笑みが落ちた。片翼を奪い取られた鶴が一羽、敵から食い千切った腕を土産に踵を返す。納刀した刀はもう振るえまい。点々と落ちる血の後に、不吉な香りがふわりと立ち上った)〆   (9/27 14:49:07)
【回し出せ破滅の歯車】