この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

鴉&ミア

まる/鴉 > 「(太陽が身を隠し、空が影に身を包む頃。淡い光で照らされた薄暗い王国の商店街を、彼は1人歩いていた。彼がここに居るのは所謂旅行のようなもので、古くからの友人が是非、との事だったので足を運んだ次第だ。彼は一頻り友人との再会を終えると、一晩凌げる宿を探し始めるのだが、さてどうしたものか。続く建物は明かりもまばらで、どうにも人を寄せつけんとしている。こんな時間なのだからそれもそうだが、このままでは一夜を屋根無しで過ごす事になりそうだ。半ば押し付けのように貰った土産袋を、ガサ、と鳴らしては足を止めた。人気のない通りに、ぽつんと立つ彼は、金色の面を徐に外すと、その口元に葉の詰まった包み紙をひとつ、優しく咥えるのだ。独特な、少し甘いような香りのそれに、ジッと音を立てて火を灯したマッチでゆっくりと煙を燻す。小さな火種が彼の顔を薄く顕にすれば、ゆるやかに紫煙が立ち上る。吐き出される煙は中で霧散し、肺を満たすそれは彼の気だるげな脳内を鮮明に洗い流す。──さて、どうしたものか。今宵の屋根を懇願するように、ぐるりと視界を回した。)」   (9/20 23:50:30)


まりも@ミア > 「…もう暗くなってきちゃった。時間って、どうしてこんなにいじわるなのかしら…」小さく吹いた風が、ミアの頬を優しく撫でて、長くきらめく金髪を揺らす。憂鬱そうな表情で、コツン、と小石を蹴飛ばした。何も言わずに遊びに出てしまったが、その時間ももうすぐ終わり。できるだけゆっくりと、その時間が少しでも長く続くように…地面の石畳を、1つずつ渡っている。一定の感覚で続く街灯の灯りもまた、彼女の気分を落ち込ませた。そんな時だ、彼が視界に入ったのは。自分と同じくせっ毛の、背の高い男だった。こんな時間に知らない男に声をかけるのは良くないことは承知だったが、ここにいられる時間を増やせるならと、特に後のことは考えずに彼の元へと歩を進めた。速度が早まって、硬い靴底の音が人気のない通りに反響して否応無しに存在感を放つだろう。直前で足を止め、漂う煙の匂いに少しだけ眉根をひそめながら、口を開き、ゆっくりと声を出した。「…ねえ、…こんばんは。」   (9/21 00:30:25)


まる/鴉 > 「(燃ゆる先端が落ちる頃、やたらと鮮明に音を捕える耳はがらんとした道に響く足音を聞いた。もう夜も深い。音を釘のように打ちつけ近づいてくるそれは、どうも1人の少女の様子。不審に思いながら短くなったシケモクを足元へと落とすと、捻じるようにして足で潰した。地面に張り付いた灯火の亡骸を一瞥すると、音の発信源がじんわりと淡く街頭に照らされていく。身なりは良く、顔立ちも幼さが残るが、整っている。見た限り、名家の娘の様子だが。そんな娘がこんな場所で何をしているのだろうか。)──こんな時間に夜遊びかい嬢ちゃん、随分と不用心じゃねぇか。、親御さんはどちらかな?(不意に飛び込んできた挨拶に、少し戸惑いながらも、その髭面に金色の口元だけを覆う面をつけては、少し意地悪な言い方で返答してみよう。」   (9/21 11:24:48)


まりも@ミア > 話しかけてから、しまった、と彼女は思った。もし話が長引いてしまったら、間違いなく帰るのが遅くなってしまう。きっと叱られるだろうし、何より心配させてしまうだろうから。…そう考えた頃には時すでに遅しで、今更後戻りはできなかったのだけれど。「…えっと。一人でお店を見て回っていたら、いつの間にか暗くなってしまって。でも…まだ帰りたくないの」もじ、と手を後ろに回し。口元が隠されているせいであまり表情のわからない彼の眼を見つめ、ふわりと笑ってみせる。そう話している間にも、また少し辺りが暗くなったような感じがした。今頃彼等が探してくれていたりするのだろうか。ちょっぴり申し訳ない気持ちになりながらもたまにする一人の外出もやっぱり捨てがたく、心の中で謝った。星も見え始めた藍色の空を見やれば、相手に聞こえているか聞こえていないか、…それ程に小さく、ふう、とため息をついた。   (9/21 21:55:19)

まる/鴉 > 「(帰りたくない、そう言った彼女の表情に罪悪感が滲んでいるような気がして、彼は困ったように頬を掻いた。もともと名も知らぬ赤の他人、深入りする理由もない。しかし意地悪な態度をとっておきながら、彼女が痛い目を見ては鴉も後味が悪いのだ。どうにか彼女の気持ちを自宅へと向かせられないだろうか。)…おいおい、不良娘。迷子って訳でもねぇんだろ。お前の事情は知らねぇが、こんな時間だ。とっとと帰った方が身のためじゃねぇのかい。(なんて目を逸らす。口悪く、素っ気ない態度ではあるが彼の柄にもなく彼女の身をじていた。彼女に滲む罪悪感の出処が、何かは知らない。だが、きっと彼女を憂える人間がいるのだろう。その気持ちを無下にするのも、何となく気の持ちようが悪かった。」   (9/21 22:32:26)


まりも@ミア > 「わかってるわ、わかってるんだけど…。」もごもごと出しきれない感情を口元でほぐしながら、手を祈るようにぎゅっと握る。そっけない態度だろうと、気を使ってくれているのは十分伝わっている。だからこそ帰りたいけれど、どうせ怒られるなら…なんて、悪い考えが浮かぶのだ。「貴方はっ、…」咄嗟に出た言葉。その後に何を続けていいかわからなくて、「貴方はこれからどうするの?」と、尻すぼみになる意味もないその言葉を見届けた。せっかく話しかけたのに、このまますぐに帰ってしまうのもまた寂しかった。誰だろうと、出会ったならば話をしてみたい。そんな彼女の強すぎる好奇心も困りものだ。年頃の女の子なんだから、とお父様にも言われているけれど、楽しいんだから仕方ないじゃない、気持ちに素直にならなきゃだめよ。一人じゃなかったらこんなふうに貴方に話しかけることもなかったわ。…なんて密かに胸を張る。   (9/21 23:16:16)


まる/鴉 > 「(わかっている。そう零す彼女に、どこか濁る感情があるのを鴉は感じていた。それが不安か、悪巧みなのかは彼の理解の及ぶ場所にはない。だが、彼女がどうするべきなのか、それは彼女自身が決めることだ。)わかってんなら、あとは自分の心に聞いてみな。今の楽しいって気持ちを、明日も感じられるようにな。(そう、それだけ呟くように言うと、それ以上は何も言うことは無い。後は、彼女が決めることだ。)──俺か。俺はそうだな、取り敢えず空きのある宿を探すさ。このままじゃ知らねぇ土地で野宿になっちまう。それだけは、ちょいと勘弁だな。(唐突に自身の事を問われた彼は、すこし戸惑い気味に答える。面の下で困り顔を浮かべ、やれやれ、と言った感じだ。このまま帰る手もあったが、気づけばこんな時間であるし、長旅で少し疲れていた。故に宿を探すという考えに至ったのだが、そう上手くは行かないようだ。」   (9/21 23:58:26)


まりも@ミア > 「それは…そうよね。やっぱり帰るべきかしら…」諭されるような物言いに自分の中で納得いってしまった。すると、彼から“宿を探す”と言われたものだから、思わず「あたしの家に来ればいいわ!」なんて言ってみる。知らない人を急に招いてしまっては、家の人たちがよく思わないかしら。でも、もしこの人の行く宛が見つからなかったら?そう思ったら声をかけずにいられなかったのだ。急に家へ、と言われても詳細も知らない家だなんて勧められても困るだろうと思い「家ならお客様用のお部屋だってあるし…使用人さんもたくさんいるから、きっと雑用にも困らないわ。…あなた次第だけれどね!」と続ける。目の前の特別な出来事についついはしゃいでしまう心を最後の言葉を付け加えてなんとか落ち着けて。押し付けちゃいけない、そんな気遣いが、ここ数年で彼女なりに学んだ振る舞いだった。   (10/10 20:39:46)


まる/鴉 > 「さ、それはお前が自分で決める事だ。待ってる人間を失望させてぇってんなら、夜遊びを続けりゃいいさ。(なんて、面の下からそう言った。彼に彼女の事をとやかく言う義理も道理もありはしないが、そういうお節介は柄にもなく掛けてしまう。そして、彼女の口から続く“家に来ないか”なんて提案を、吟味するように思考し、口を開いた。)ご招待頂けちまうなんて嬉しいが、そいつは頭のいい提案とは思えねぇな。名前も知らねぇ気味の悪い面の男を、家にあげるとなっちゃあ、あんたの使用人はどう思うかね。(彼女の提案は、今の彼にとって嬉しいものだ。だが、それを年頃の女が言うのだから、警戒心の無さに警告を言葉の続きに添える。)」   (10/10 21:08:48)


まりも@ミア > 「そうよね。…あなたの言うとおりだわ。あたしったらまだまだ子供よね…」恥じらうようにうつむくと、照れ隠しのつもりか、ふふ、と笑って。「きっとびっくりするだろうけど…行く場所もない人を放っておくなんてあたしにはできないわ!みんな話せばわかってくれるものっ」熱心に気持ちを伝えると、もうすっかりその気になったらしい。そわそわして、あなたの目を見てはそわりそわり手遊びをするだろう。すると急に思い立ったかのように「…あなたはどうなの?寝る場所に困っているんでしょう?」すっかり開き直ってそう言っては、じっとあなたの目を見る。   (10/10 21:28:39)