この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

ジェフティ&珠代



木場田/ジェフティ > (夜と昼の世界は、いっぺんするかのような。闇のベールを布団にして、世界がひっそりと寝静まる。灯りは沈み、ぼんやりとした満月が、代わりに妖しく地上を照らす。陰は色濃く、ある意味で言えば、陰陽は寧ろ夜にこそ、密接に関する。そのような。愛しき、夜。)「………むぐっ、ふむ…………」(空に浮かんでいる月みたいに、まん丸なお団子が好きだった。尊華に来る度に食べてしまうので、いつも買い込んで向こうでも暫く食べれるようにするようになったのは、いったい何時ごろからだろう。行きつけの団子屋の、和傘に陰った紅い長椅子。そこに腰掛ける、異国の女性。彼女の字は、『ジェフティ』。王国の司祭にして学者。備忘録の編纂を行い、完成を目指す悲願を持つ、月の魔術師であった。彼女は、その役柄、王国からの使者として、定期的にこの国の国境を越えるのだが、今旅もそれに違わず、一仕事終えた後の、細やかな休息を行なっていたのだ。)「やっぱり美味しい………そろそろ………………王国にも出店してくれないものかしら…………………。」(ぼんやり嘯く、糖質との葛藤の末に出た言葉は、きっと夜の微風にも消え入りそうで。)   (9/12 14:15:09)


雛/珠代 > (お仕事帰りの疲れた体が上品な甘さに満たされて、はぁ、としあわせなため息をついた。季節の花や果物を練り込んだ餡がかかっていたり、素朴ながら飽きのこない定番のお味だったり。うーん・・・・・・もうひとつだけ頂こうかしら。それともこのあたりで止めておこうかしら。迷いながらもちもちと食べ進めてみれば、三本もあったはずのお団子の串には早くも最後の一玉しか残っていない。 お仕事がんばったご褒美だものこのくらい許されるでしょう、と思う自分を明日の朝後悔しそうだけれど、その分は鍛錬をがんばればいいじゃない、という思いに押し切られて追加注文してしまいそう。そんな時ふと耳に入った小さな声に、思わず振り向いてしまった。)   (9/12 15:05:19)
雛/珠代 > 「わかります、その気持ち!絶品ですよねここのお団子。・・・・・・えへへ。」(満月の優しげな光に照らされて、綺麗に切り揃えられた桃色の髪が随分とかわいらしいお嬢さんが、毛氈の敷かれた長椅子にちょこんと腰掛けている。好きな時に何度も食べたい気持ちに共感した勢いで声をかけてしまったけれど、気恥ずかしくなってしまって曖昧に笑う。でも、本当に心の底からそう思ったんだもの。まだ私が厘都に勤めていた頃は、時々帝都に召集された父がお土産に買って帰ってくれるのが楽しみで楽しみで。自分が帝都勤めになってからは、月に一度は必ず足を運んでいるくらい。どうやら王国のお方のようだし、私よりもずっと少ないはずの機会を捉えてわざわざこここまでいらしているのなら、このお団子の虜になったひとの一人ということで間違いないでしょう。)   (9/12 15:05:38)


木場田/ジェフティ > 「うん…………?」(飲み込んだすぐに声がかかり、少し詰まりそうになる。そちらを見ると、この国の女性だろうか。異文化的民族衣装の、お着物に身を包んだ、淡麗な女性が、きっとジェフティに声をかけてきたのだろう。月の白銀に、あなたの真珠のピアスが、あなたの興奮を現すみたく、キラリと光った。)「ご機嫌よう。ふふっ、その口ぶり、どうやら私と同じかしら。」(見たところ、熱意を持って語りかけてくる彼女は、差し詰めここのファンなのだろう。糖分は、心を癒し、体を健やかにする癒しだ。傷ついた体は癒せぬかもしれないが、心を癒すのは、言葉の広義の魔術にも似ているかもしれないね。【不変】を信仰するジェフティとの親和性は高いのかもしれない。そして、きっと、あなたも————— 月は、変わらず登り続け、二人の女性を照らす。)「よければ、隣にどう………?きっと、これも月の導きの縁、奢るわ。それが、最善よ。」(唇の隙間から、吐息が漏れ出すように微笑めば、あなたにそう促す手を、長椅子の自分の座る隣を撫でようか。)   (9/12 15:14:11)


雛/珠代 > (突然私に話しかけられて驚いたのか、ぱちりと瞬いた瞳は左右が違う色にきらめいて、いつか見た一等星のよう。)「あっ、私ったらご挨拶もなしに。今晩は。」(月の導きの縁だなんて浪漫のある言葉でお誘いされては、お断りする理由なんてなかった。なんだかわくわくする予感が胸に走る。満月の夜、秘密のお友達ができるかも。)「突然お声かけしてしまって失礼しました。お言葉に甘えて失礼しますね。」   (9/12 16:00:08)
雛/珠代 > (よかった、不審に思われたりしなくって。自分のお茶とお団子のお皿を持って、いそいそとお隣へ移動する。)「今日は何を召し上がったの?よかったら、お互いにお気に入りをご馳走し合うのはいかがですか。私はこの季節限定の、あっ・・・・・・ごめんなさい、ほとんど食べちゃって。これではなんだか分かりませんね。」(指し示してから自分の手元を見れば、一玉しか残っていない事を思い出す。でも、やってしまったという恥ずかしさより、自分の好きな甘味を共有できる相手がいることが嬉しくて、ふふっと笑い声が漏れた。)   (9/12 16:00:30)