この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

セリヤーナ&ライラ

薄明光線

フルディア/セリヤーナ > (日の出の少し前、世界が色を取り戻し始めるころに彼女を起こさないよう静かに先にテントから出る。昨晩の焚火はすっかり冷えた灰となっている。それを足で崩して自然に還す。天幕は夜露を含んでしっとりと重い。朝日を迎え入れる静謐な空気を胸いっぱいに深呼吸すれば、身体が目覚める。聖山の中腹から昇る太陽を胸に手を当てて瞑想とともに歓迎する。こんなに心躍る朝はほんとうに久々だ。ケシェトの滝への巡礼、信仰のルーツを同じくする同行者。ほんとうに恵まれた巡り合わせ。薄明光線がテントを照らすころには彼女も起きだしているようだ。朝食を済ませたら早めに出発しよう。登山は早めの行動が肝心だ。)   (9/9 22:50:06)


マリア/ライラ > 「おはようセリヤーナ。もう支度は出来てるわ、いつでも行けるわよ」(そう言いながらテントから這い出たのは、ライラ。眩しげに朝日に目を細めた後、あなたへと微笑みを向けた。昨晩の残りの果物を手に取りひとつつまみ食いをすると、ぱんぱんと手を払ってテントに手をかけた。)「テントの片付けを手伝うわ。調理道具とかはあなたのやり方があるでしょうから触らないでおくわね。」(そう言いながら、黙々とテントを固定している木や石を外してゆく。朝食は昨日の残りで充分だが、あなたはどうだろう。まだ涼しいけれどそのうちすぐに炎天下になる。涼しいうちに歩を進め、着いたら滝で体を洗えばとても気持ちがいいに違いない。そんな妄想に顔を綻ばせるのだった。)   (9/9 22:56:44)


フルディア/セリヤーナ > 「おはよう、ライラ。」(さすがに手際が良い。身支度も旅支度も。一緒になって果物をつまみながら広げた食器などなどしまい込んでいく。ちょっと足りないのでライラにも勧めつつ少々ビスケットも口にして。あっという間に昨晩の宿は荷物と化した。)「さすがに2人で支度すると早いねー。いつもの倍以上だよ。」(さいごにリュックへ丁寧に詰めていく。テントは一番下。つぎに食器の類。上の方には水や食料、ナイフや火打ち道具といった小物。太陽はまだ山肌から離れてもいない。これならお昼前には滝に着けそうだ。)「おまたせ、それじゃ出発しよっか。目指せケシェトの滝!」   (9/9 23:13:00)


マリア/ライラ > 「よろしく、隊長!」(あなたの気持ちの良い号令にウインクを飛ばしながら肩を叩いた。昨日の葡萄酒は体に残っておらず、体の調子もいい。火山灰の上に二人分の足跡が並んで、伸びてゆく。どこかからふわふわと飛んできた瑠璃色の揚羽蝶が夏らしく、鱗粉と幸運の予感を振りまいた。)「ねぇ、昨日の話の続きなんだけれど。……国を国たらしめるのは何ぞやって奴。あたしはね、統治も一つの要素だと思うわ。」(揚羽蝶があなたの目の前を飛ぶ。ライラは、言葉を続けた。)「ヨズアには王がいない。政権がない。……シュクロズア様のおかげで一時は団結したけれど、それすらも多くのヨズア人にとっては拠り所に過ぎなかったと思うわ。……私は指導者を育てたいの。〝ヨズア人は馬鹿のままならば滅びなかった〟……そう言われてしまうほどに、今のヨズアは学を得る術が無さすぎる。そう思わない?」   (9/9 23:26:24)


フルディア/セリヤーナ > (ライラの激励に笑顔で応え歩を進める。日の光を鮮やかに反射す蝶に一瞬目を奪われた。こんな荒野には珍しい。)「ぇ、あ、あぁうん。…統治、か…」(確かに、王はそう呼ばれていただけで統治のシステムではなかった。王は道を指し示すものというよりも灯台だった。王の意図がどうであったかは今となっては知る術はないが…。)「ライラ姉はボクよりも未来を見据えているんだね…尊敬するよ」(同時に少し反省もした。物事を刹那的に考えすぎていたかもしれない。)「ボク自身はキャラバンが本をくれたから勉強はできたけど、確かに運がよかったな。でも最後のそれについては、少し違う感想を持ってるよ。」(前を見つめながら、言葉を選ぶ。自然の中を歩くというのは、思索を内に向けてくれるものだ。)   (9/10 00:05:12)
フルディア/セリヤーナ > 「ボクは虹が太陽光の分散性による現象だって知ってる。でもそれを知ってるからといって古代神話への信仰を失うことにはつながらない。だれがそれを言ったかは知らないけど、そいつの感性が貧相なのさ。」(多少の感情の動揺は声色に現れてはいるだろうが、態度には出さない。)「そういうものを詮索することで世の中をわかったような気になってるヤツは、自分が何を失っているか気づいてないんだ。」「ヨズアが滅びたのは世の中が移り変わったからだとボクは思ってる。何事にも流行り廃りがあるように、信仰だって移ろうんだろうな。」(最後には少し寂しそうな表情を見せた。)「でも勉強は大事だよね。王国や帝国にちょろまかされることはなくなるし。政治で動く世の中で生きていくには大事なことだよね。ライラ先生かぁ…すごく似合ってると思うよ!あぁでもいっそのことライラが指導者になったらいいんじゃない?」(先のことを見通してる人にこそ先頭に立ってほしいものだ。)   (9/10 00:05:25)


マリア/ライラ > 「感性が貧相。その通りね。信仰は理解できないものに対する単なる辻褄合わせじゃない。ヨズア人の全てが、そんな貧相な信仰しか持たない訳じゃないわ。……セリヤーナ、あなたはとても、賢いのね。変わるのは神じゃない、人なのよね。人はうつろうもの。だけど、神はうつろわざるもの。」(思想や私情、色んなものがあるだろう中でも、心做しかあなたはこういう話を楽しんでいるように思えた。研究者気質というのか、昨晩神話の足跡を探していると言った事は伊達じゃないと思わせる求道者の芯があった。)「そう!だからいつか学校を作りたいと思っているの。シュクロズアリのキャラバンが後継を育てるのと同じ性質のものが、公共性と福祉性を持てばいいんだわ。そうすればきっと、いつかヨズアはひとつに……。」(大きな夢を語るライラもまた、何よりも楽しそうだった。あなたなら、こんな大言壮語も笑わないで聞いてくれる気がした。)   (9/10 00:52:40)
マリア/ライラ > 「あは、私が王に?それは無理ね。だってあたしは女だから。」(くす、と笑い髪を靡かせながら、あなたを一歩追い越して話を続ける。)「誤解しないでね。女の権利がどうとか、女は指導者に向いてないとかそういう話じゃないの。あたしはね、あたしという人格は、誰よりも女でありすぎるのよ。未来を思い描くのも、過去に思いを馳せるのも得意だけれど、あなたのように広い視野を持つことはできない。あたしは、いつだって自分が一番正しいと思っているから。」(あなたがあんまり聞き上手だから、ついついこんな風に語るに落ちてしまう。でこぼこした岩の道に差し掛かりついふと足を止めた後、またぐい、と岩を踏みしめて坂を登ってゆく。)「きっと、愛するものと国とを天秤にかけさせられれば、迷いなく小さな自分の世界を取るわ。……だから、あたしの愛はあたしの弟子たちに注ぎたいの。」「まだ一人も居ないけどね!」(振り向き、にっこり笑って再びあなたと歩幅を合わせる。この岩場を抜ければ、草地がありそうだ。)「ところでセリヤーナ、あなたの夢を聞いてもいい?あたしは答えたもの。ね?」   (9/10 00:52:59)


フルディア/セリヤーナ > 「学校かぁ…いいね、面白そう。」(公共性と福祉性はちょっと慣れない感覚のものだ。なにせ放浪の身だから。)「どこに建てるのがいいかな…スザンかシントか…個人的にはリントもオススメだよ。廃れてはいるけど町の体はあるからね。」(すっかりもうその気になって、少々先走りすぎというものだ。) (先頭を交代して岩場を往く。女だからと語る彼女からは、謙虚な語り口であってもある種の誇りすら感じられる。)「ライラ姉のそういうとこ好きだよ。ライラ姉ならみんなが安心して身を寄せ合うような、そういう学校を作れると思うな。」(振り向く笑顔に心からの言葉と微笑みを返す。)   (9/10 21:34:44)
フルディア/セリヤーナ > 「夢かぁ…んー…」(あまり考えたことはなかった。やりたいことはあるけれど、それが夢だなんて、ライラの話を聞いた後じゃなんだか言えない気もした。) (少し首を捻りながら言葉を探す。いつのまにか岩場を抜けていて、開けた草原を並んで歩く。)「ボクはヨズアがここに在ると証明したい。」(個人的な知識欲の先にある動機。普段は表に出ることのない根っこの部分。)「だから古代神話の世界や王が何を見ていたのか知りたい。かな。んー…こうやって言葉にすることはあまりないから難しいな。」(ちょっとすっきりしないといった表情で笑いかけた。)「将来はライラ姉の学校に図書館を建てるのもいいかもしれないね。」(少し先に川が陽射しを柔らかく映しているのが見える。これを辿れば滝まで着けるだろう。)   (9/10 21:34:59)


マリア/ライラ > 「わお。」(スザン、シント、リント…学校を何処に建てるかという話で出てきた都市の名前に、思わず笑みを含んだ驚きが零れる。帝国が放っておかなさそうな土地。セリヤーナが覚悟の無い、浅慮な人間でないことくらいはこの短い間の付き合いでも解る。いざとなれば真っ向から戦うことも辞さない、中々革命家の気質であるようだ。ヨズア人らしいと言えばらしい。)「なかなか言うわね。」(だけどスザンは確かにケシェトの滝もあるし、セリヤーナの言う故郷やルーツのような感覚を共有してヨズア人が一つに纏まるには、長い目で見ればありかもしれない。シントもそうだ。因縁の地ではあるけれど、そこではシュクロズアの気配を感じる事が出来るだろう。そしてリント。これは盲点だ。ゆくゆく乗っ取れば大きな力となる場所だが、どういう訳か帝国はここにあまり力を注いでない。帝国が王国に目を光らせておくにはリントは端すぎるという好立地でもあるし、侵略をせずにまずはリントのスラムから大きくしてゆくのはありなのではないか。)   (9/11 20:01:42)
マリア/ライラ > 「ありね。ただ、私はなるべく弟子が育つまでは学校のある場所での戦争は避けたいの。ビジョンとしては表舞台はシュクロズアリ旅団に任せて、虎視眈々と種を撒いておくような感じ。王帝両国が『放っておいても差し支えない』と考えるような場所を視野に入れてる。例えばそうね、エンジュ、マージ…ホーリアが隣にあるから、ルガムも良いわね。」(先走りすぎなのは何もセリヤーナだけではない。とっくに世間話の枠を外れて、すっかりライラはシュクロズアリ旅団としての顔をしていた。)「……証明?ヨズアが、ここにあると、…ふむ。」(『鳳頼の砦は確かに旅団が奪ったけど、なんというかそこは故郷って感じじゃなくてさ…』昨晩のセリヤーナの言葉が思い起こされる。彼女のビジョンも、言葉を重ねる度にライラの中での解像度を増していっていた。いまいちこれと纏まらないのは、彼女の知識欲に終わりがなく夢の終着点と言えるものが何かわかり兼ねるせいだろう。ヨズアが大国になろうが、滅びようが、きっと彼女は旅を続けるのだ。ライラにはそんな気がした。)   (9/11 20:02:22)
マリア/ライラ > 「図書館か、いいわね。あなたの研究成果を本にして、寄贈してくれたら嬉しいけれど。」(川と辿り、上流へ向かう。水は澄み、岩は厳となっていく。)   (9/11 20:02:36)


フルディア/セリヤーナ > 「あぁなるほど確かにね。それならボクがいっちょ暴れてみるのも悪くないね?」(ふふっと一人で笑みをこぼす。いつものように冗談まじりの何気ないひとことではあったが、なにかこの先の道をかすかに示しているような気もした。)「実は北の方はまだ巡ったことがないんだ。ルガムの山にも登ってみたいなぁ…。マージは…邪魔は入らなそうだけど畑には向かないかも…ね。」(この辺りはトレードオフだ、仕方ない。大国が重視しないということは、住むには一癖ある場所ということだ。)   (9/11 22:39:17)
フルディア/セリヤーナ > 「……うん、ボクは決めたよ。ライラ姉が学校を作れるような、そんな未来のために何かできること考えてみるよ。漠然といろいろ知りたくて旅をしてきたけど…明日を変えるなら今日を変えなきゃ。わかってるつもりだったんだけど…結局のところ今まで何もできてなかったんだ。」(あちこちを回り見聞は広がったと思うし、文献を漁って知識もついた。でもそれだけじゃ世界は変わらない。)「学校っていいよね…ボクは通ったことないけど王都や帝都でそういうものを見たことあるよ。…あまりうまく言葉にならないけど、ライラ姉の理想とボクの理想はかなり近いところにあると感じてるよ。」   (9/11 22:39:30)
フルディア/セリヤーナ > (滝が近づいて道が険しくなる。一列縦隊荷物の大きい自分が先に立って、急流を高巻く岩場により安全な足場を探す。耳に届くようになってきた遠くからの轟音に決意を掻き消されないように、少しばかり声を張る。)「もしボクがほんの少し世界を変えることができたら、そしていつか再会した時にお互いの将来の夢が揺らいでなかったら、」(最後の岩を乗り越えたところで振り返り。)「ボクの真名を教えてあげる。」   (9/11 22:39:44)


マリア/ライラ > (何やら物騒なことを言ったような気がしたあなたの脇腹を軽く小突いて、足並みを揃えてゆく。『夜は任せて』と言わんばかりのウインクをぱちりと瞬かせて。)「やっぱりケシェトの御加護かしらね。出会えて良かったわ。あたし啓発されてる、あなたに。」(二人はまだ、小さな歯車のひとつに過ぎない。それでも、回り始めた。軋んだ音を立てて、歴史が再び動き出そうとする気配を、ライラもまた感じていたのだった。)「滝がもうすぐそばね。」(空気が変わった。マイナスイオンを含んだような涼しい空気に。岩場も苔むして、麓では見えなかった珍しい草や花がちらほらと見え始める。岩と岩の間を縫うようにして慎重に渡ってゆく。轟く水音の中で柔らかく響く鈴のような声にはっとして顔を上げると、そこには虹。──五色の虹のかかった滝を背にしたあなたの顔があった。)   (9/15 01:31:56)
マリア/ライラ > 「………セリヤーナ、みて。」(一歩、二歩。あなたに近づき、肩に手を置いてあなたを支えながら虹を指さした。『いつか、再会したら…』その言葉は、しばしの別れも暗示していた。自分たちはシュクロズアリ旅団。ヨズアを救う使命を抱いている。ここで別れて、また会える保証などどこにも無いのだ。二人の理想が近いところにあるという事は、同じような事を考えているとも言えるのだ。セリヤーナは、何かをしようとしているのだろう。)「……ええ。」(虹の滝から目を逸らさず、けれど、はっきりとした声色で答える。)「楽しみにしてるわ。なら、あたしもその時までお預けね。」   (9/15 01:32:11)


フルディア/セリヤーナ > (二人して滝つぼのほとりに立ち、ライラの指さした方を見る。)「うん、よかった。」(出会い、語らい、虹を見る。よかったことはいくらでも浮かんでくる。ここに至って多くを語るものではないだろう。彼女なら、同じことを"よかった"と言ってくれると思えるから。) (彼女からの期待と信頼の言葉にしっかりと頷き返す。一人ではできなかったであろう決断も、彼女のおかげでできたのだ。その重みを感じつつも笑みが自然とこぼれるのを抑えられない。道は違えど目指すものを同じくする旅団が"本当にいたんだな"と実感できたことは本当にうれしかった。)   (9/17 22:43:38)
フルディア/セリヤーナ > (山を下りたらライラともしばしの別れだ。それまではもう少し、もう少しだけこの時間に浸っていたい。滝つぼで汗を流し、川魚を獲る。滝に打たれて見たりもしたがあまりの水量に1分と保たなかった。) (久しぶりにこんなに楽しく笑えた気がする。一人で旅をしていると、泣くことはあっても笑うことはないものなんだなと気付かされる。これがずっと続けばいいのに。…いやだからこそ、世界を未来に向かって動かさなければならない。) (水のほとりの岩場に場所を借りて焚火を熾す。濡れた服を着替えて、木漏れ日と水煙が作る虹のたもとで昼食にしよう。一服したら名残惜しいがそろそろ下山しなくては。山の麓から町までもう一足歩かなければならない。)   (9/17 22:43:50)
フルディア/セリヤーナ > (帰りは疲れと一抹の寂しさから口数も少なかった。出会った場所まで戻って来れば、昨晩の焚火跡がまだ微かに残っていた。二人の人生はここで確かに交差して、一つの結び目を作った。足跡が風に消えても切り裂けはしない。)「「ケシェトの御加護のあらんことを。」」(〆『薄明光線』   (9/17 22:44:14)