この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

董&火津彌

据え膳食わぬはなんとやら

ゑゐりあん/董 > 火津彌少将殿(件のイモータル討伐も終わり、事件がひと段落したのち。董は軍服のまま火津彌の元へと駆け寄った。まだ仕事中だと判断しているのか、口調は侍言葉のままである)この後時間はあるでござるか?もしよろしければ…拙者と共に祭りを回っていただきたいのでござるか…(この口調の時の董は普段とはまるで別人のようであった。キリッとした男顔負けの顔立ちが更に凛々しさを増し、背筋も伸びまるで美男子と見紛う立ち振る舞いである。逆に標準語になるとその凛々しさは鳴りを潜め、年頃の少女のような振る舞いをするようになる。軍人としての董。女性としての董。彼女はそれを口調で変えているのだ。ある意味意識を変えるスイッチのようなものなのだろう。そんな彼女は凛々しい姿で火津彌に話しかけたのだ。仕事中だという事もあるが、単純に話しかけるのが恥ずかしかったのだ。だがそれを表に出さぬために侍言葉を使っている、という事もある。はてさて、そんな彼女の誘いに対する彼の答えは)   (9/9 18:37:04)


マリア/火津彌 > 「お董か。ご苦労」(狐面を被ったまま、軍帽を少しずらして董に応える。満を持して開催された宵宮に少々困惑気味であった尊華の民達も、そろそろ消灯ともなれば随分と気が紛れたようで、火津彌もほっと胸を撫で下ろすような心持ちであった。だからなのか、いつもよりも表情が柔らかいものであったのだが、仮面の下からでは解らないかもしれない。)「あぁ。僕も今お前に声をかけようかと思っていたところや。ぼちぼち宵宮も終わるし、恙無く終わりそうでよかった。……まだ屋台はやっているかな、小腹でも満たしに行こか。」(そう言いながらあなたの肩をぽんと叩きながら追い越した。あなたのほうが身長が高くさえなければ、頭をぽんぽんと撫でていたかもしれない。そのくらいには、上機嫌だった。)「この度の手柄は中尉殿の功績らしいがな、こうやって哨戒をしているだけでも民は安心するだろう。…ご苦労やったな、どうや。国の為に働くんは、気持ちがええやろう。」   (9/9 19:06:13)


ゑゐりあん/董 > (労をねぎらわれると頭を下げる董。特段何かをしたわけではないのだが、それでも彼に言われるとどことなく嬉しかった。すると、彼の方からこちらに声を掛けようとした、なんて言われて思わず顔を上げる)ほ…ほんとに…?(その驚きの余り口調が崩れてしまうがもう仕方ない。董はあきらめて口調を崩した)イモータルが出たって聞いた時はどうなるかと思ったけど…。何事もなくてよかった(実際董は安堵していた。イモータルがこんな場所に現れたのだ。今回は事なき事を得たが、もし何か失敗すれば一大事になっていた可能性もある。そう考えると何事もなくて本当に良かった)そうだね。何か美味しいものがあればいいけど(そう言いながら帽子を脱ぎ、頭を振る董。すると長い常盤色の髪が揺れた。まだ慣れぬ軍服。少し堅苦しいのは事実だった。そして肩を叩かれ相手に追い越されるのを見て、もし身長が低ければ頭でも撫でてもらえたのかな?なんて考えた)   (9/9 19:16:39)
ゑゐりあん/董 > 珠代中尉だね。すごいなぁあの人(と今回の事件の功労者を思い浮かべる董。自分がイモータルと戦った時はボロボロに負けたのに、彼女はあっという間に事件を解決して見せた。その差は何なのだろうか?考えても答えは出なさそうだ)え?…うーん。まぁ、悪い気分じゃないかな(隣を歩く彼の唐突な問いに面食らった様子だが、少しだけ笑みを浮かべてそんなことを言った董。何かをしたわけではないが、それでも國のために働いた、というのはなんだかいい気分だった。彼に忠誠を誓った頃は、國なんてどうでもいいと思っていた彼女にとって、それは大きな変化のあかしだった)   (9/9 19:16:42)


マリア/火津彌 > 「そうか。」(悪い気分じゃないと応える董を見て火津彌は微笑んだ。すれ違う観光客は、軍人である我々を見ればみな会釈をして通り過ぎてゆく。それは緊張からではなく、感謝からの会釈だとわかるあたたかいものだった。)「疲れたから塩気のあるもんが食いたいな。好きなもんを買うてやる、何がええ、たこ焼きか、はしまきか?見てみ、イカ焼きもあるで。」(佐官だった頃は部下がついてこず、痛い目を見た時もあった。それからだ、部下に目を配るようになったのは。それでも自分より下であったはずの花崗氏が大将になったり、目をかけていた部下がやめていったりと、中間管理職の辛酸を舐めてきた火津彌にとって、忠犬のように懐いてくる董にどこか癒しを覚えている事に、彼自身はまだ気づいていない。)   (9/9 19:31:57)


ゑゐりあん/董 > (すれ違う人々に会釈をしつつ進んでゆく董)そうだなぁ。え!?いいの!?じゃぁ~……たこ焼き食べたいな(と目に入った屋台で売っているたこ焼きを所望する。その姿はまるで妹のようであった。祭りに来た兄妹。そんな風にも思えるほほえましい光景であった)   (9/9 19:36:31)


マリア/火津彌 > 「たこ焼きか。いい判断やな。」(そう言いながら屋台に近づき、8個入りをひとつ購入した。ついでに横の屋台でラムネとビールをそれぞれ一つずつ買うと、『あっちで食おう』と近くの石段に董を首の動きで誘い腰を下ろして、竹の皮で作られた船形のそれを自分たちの間の石段へ置いた。)「……あれ」(いざ食そうと手袋を脱ぐと、爪楊枝が一つしかない事に気づく。)「……すまんな、気が利かなくて。先に食うてええぞ。ほら、飲みもんはどっちがええ?お前が酒がダメかもしれんから、ふたつ買っておいた。」   (9/9 19:45:37)


ゑゐりあん/董 > (たこ焼きを快諾した火津彌は屋台でたこ焼きを。そしてビールとラムネを購入した。そして彼に言われるがまま、近くの石段にやってきて腰を下ろす。すると、どうやら爪楊枝が一本しかないようだった)じゃぁ貰おうかな(そう言って爪楊枝でたこ焼きを刺し、ふー、ふーと息を吹いて冷ます。その間彼が飲み物はどちらがいいかと訊ねてきた)うーん。お酒は飲んだことないし…。ラムネ貰おうかな…?(そう言ってたこ焼きを口に運ぶ)はふっ!はふっ!(冷ましたはずだが中身はまだ熱々だったようで、口の中でたこ焼きを転がしながら息を吐く董。まるで子供のようだ)   (9/9 19:49:43)


マリア/火津彌 > 「酒を飲んだことがないんか?!軍に居るならば慣れておいたほうがええかもしれんぞ。まぁ、また今度な。……おおう、熱いか。ははは……のみもんがいるな。ラムネの開け方はわかるか?見てみ。こうするんや。」(赤い栓でビー玉を押し込むと、ぷしゅっという音と共にビー玉がからんと中へ入り込み、しゅわしゅわと炭酸が吹きこぼれた。そのまま董に渡して、自分はビールの蓋を石段に引っ掛けて栓を抜いて一口飲んだ。)「……ぷはぁー。美味いな…。来年は、仕事抜きで来たいな。」(ぽろりとまろびでた言葉。『あなたと』と言った訳では無いが、誤解されてもおかしくない発言ではあった。火津彌も大して強くなどないくせに、もうひと煽りしてビールを流し込んでゆく。)   (9/9 19:57:23)


ゑゐりあん/董 > ふぉふぁふぁふぁ!!(何か言いたげだが言葉になっていない董。そしてラムネが空くや否やひったくるようにしてラムネを流し込んだ)あっっっっつーーー!!!(と声を上げる董。ちょっと涙目だ)お酒を飲んだら色々と判断が鈍りそうだし、ウチの家系はあまりお酒を飲まないんだ。それに、お酒を飲むくらいなら体鍛えたほうが身のためだしね。あとラムネの開け方くらい流石に知ってるよ…。私だって小さい頃は何度も飲んだしね(と昔を思い出す董。その時はよく家族と来ていたが、今はほぼ絶縁状態だ。人生何が起こるかわからない。すると、ビールを飲んだ火津彌がぽつりと漏らした言葉に反応する董)それは…私とってこと?(なんて尋ねる。その表情はちょっと嬉しそうであった)   (9/9 20:02:48)


マリア/火津彌 > 「はは、それはすまん。さっさと渡してやれば良かったな。……え?」(『私とってこと?』そう聞かれれば、ビールを煽る手が止まり董を見返す。思えば、こうして仮面の下を晒して飲み食いができる相手というのも限られている。来年もこいつと、それも悪くないかもしれない。……うん、悪くない。)「……阿呆、からかうな。」(ふい、と目を逸らしてまたビールを煽る。いつもの自分なら、ご婦人とあれば口説いてみたり甘い言葉を掛けて優しくしたりするのだが、どうも調子が狂う。こいつは部下で、生意気で、女らしくなくて……。)「来年か。それまで僕は軍におれるやろか。……言ってなかったかもしれんが、僕はあの鬼灯神社の跡取りでな。そのうち退役して、宮司を継ぐんや。……嫌やけどな。嫁だけは自分で探して良いらしいから、それが救いやわ。」   (9/9 20:12:54)


ゑゐりあん/董 > (私とってこと?そんな発言に戸惑う彼を見ていたずらっぽく笑む董。してやったりという顔である)へへっ。ごめんなさーい(叱られると笑いながら謝る董。どことなく嬉しそうだ。すると彼が来年のことについて話し出した)…鬼灯神社って…あの鬼灯神社の?(彼の口から発せられたのはかの有名な鬼灯神社の名前だった。それで、彼はその神社の跡取りだが家を継ぐのは嫌だという。なんだ)おんなじなんだ(そう言うと、董は彼に寄り添い爪楊枝でたこ焼きを刺し彼に向ける)ん(そして少しだけ頬を赤らめて、そして彼をじっと見つめてたこ焼きを差し出した)口…開けて(どうやら食べさせたいらしいようだ)   (9/9 20:18:00)


マリア/火津彌 > (たこ焼きを楊枝にさしてこちらに向き直り、頬を赤らめながらそれを向ける董を見て、驚いた顔をするでもなく、『は?』とか『阿呆か』とか言うでもなく、火津彌はたこ焼きをもった手首を掴んで董の目を覗き込んだ。)「からかうなと言うたやろ。相手は素面じゃないねんぞ」(案外早くに酔いが周っているようで、どこかとろ、とした目を逸らさないまま手首を捻る。じゅ、と音がして、蝋燭の燃え尽きる匂いと共に徐々に提灯が消えてゆく。ぺち、と何かが床に落ちる音がしたのと辺りが真っ暗になったのは、ほぼ同時であった。)   (9/9 20:31:23)


ゑゐりあん/董 > (どうしてそんなことをしたのか自分でも理解できなかった。それは、彼の家庭環境が自分と似ていることに対する親近感だったかもしれないし、そんな彼にちょっといたずらしてみようと思っただけかもしれない。しかし、董は彼の言葉を聞いて心臓が跳ねたのだけは容易に理解できた)…ッ(そして彼に見つめられながら手首を捻られる。それと同時に提灯が消えあたりが真っ暗になる。小さい頃はこんな時間までいることはなかった。大きくなってからは祭りに来ることはなかった。だから、董は何が起きたか全く理解できなかった。だから、董はこの暗闇が何を意味するか理解できなかった。ただ、自分の手首にある彼のぬくもり。そして彼の息遣いだけが暗闇の中で感じることのできる唯一の者だった)   (9/9 20:38:38)


マリア/火津彌 > (宵宮が終わろうとしている。ようやく、終わろうとしていた。辺りは水を打ったように静まり返り、消灯後、千景神社の時が止まる。董の手首を掴んだまま互いに動けず、しばらくして火津彌は口を開いた。)「食うてええか。」(たこ焼きが落ちたのと、辺りが暗くなったのはほぼ同時であった。たこ焼きが落ちたことなど、目に入っていない──訳はなく。それでも火津彌は、まるで緊張のない声色でさらりとそう言った。お前ばっかり食べよって、僕も腹減ったやないか──いつもみたいに、そう言うみたいに。)   (9/9 20:51:08)


ゑゐりあん/董 > (暗闇の中から聞こえた声。食っていいか?と問われる。しかし、董は“そういう”経験も知識も皆無であるが故、彼の言っている意味が分からなかった)べ…別にいいけど…(そして訳も分からぬままにそれを承諾した。ただ、普段は見ぬ彼の姿に胸がドキドキと高鳴っていたのだけは、確かだった)   (9/9 20:54:03)




マリア/火津彌 > (いいけど、と言われ、ゆっくりと手首を口許に引き寄せる。小さく音を立てて、董の細く長い指の関節に火津彌の唇が触れた。暫くの沈黙の後)「……ふ、くくっ、くはははっ…!」(小さく息が漏れ、それは笑いに変わる。決して馬鹿にしている訳では無い、あどけない子供の無垢な姿に零れる笑みに、それは似ていた。)「無いやないか、たこやき。何を食うてええ思たんや?何を食うて欲しかったんや。え?」(指を唇に触れさせたまま、くつくつと笑いを腹に響かせていたずらっぽく董を問い詰める。いくら恋愛経験が無かろうとも、生粋の尊華人であれば言葉の意味を読まないわけはないだろう。貴族ならば尚更、そうやって常に言葉に含めたいくつもの意味を探りあってきたはずなのだから。ぴたりとは当てられなくても。)   (9/9 21:24:38)
マリア/火津彌 > 「ええよ、言わんでええ。」(ぽんぽんと肩を叩き、そのまま体を引き寄せる。努めて明るく、妙な空気にならないように、兄が妹を抱きしめるような軽い抱擁だった。仮に董が何も知らぬとして、『尊華人』であることを放棄した時点で何かを期待している、満更でもないのだろうと思うのは火津彌にとって必然だった。そう、女は皆誰しも、物心のつかぬ幼子でさえ、こういう魔性を秘めているのだ。知らないふりをするとまでは言わないが、間違いなく董は『世間知らずのお嬢様』である事に甘えた。火津彌には、そう思えてしまった。)「お前が部下やなかったら、手ェ出しとったかもしれんぞ。いや、酔っ払いの戯言や、忘れろ。」(すく、と立ち上がりぱんぱんと砂を払うと、石段を降り、『帰るで』と振り向いた。あぁ、食い損ねた。食い損ねたなぁ。──花と皮肉は尊華の宝。あなたが花なら、今日の締めくくりには精一杯のこの皮肉を受け取ってくれ。)「ごちそーさん。」   (9/9 21:24:49)


【据え膳食わぬはなんとやら】