この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

セシル&白梅

泡沫の夢

外/セシル > (それではまず、書斎から本を引き抜きましょう。そうです、古びた紙の匂いも何も無いけれど。これから紡がれるそれは物語となんら、代わりないのですから。──────ちゃぷん。もうおやすみなさいと子供部屋の電気を消されたように、辺りは暗く静かであった。その中で、暗いところにお化けがいやしないかと、不安になることがありませんようにとひとつだけ、灯りを灯したように月が黒のキャンパスに飾られ、星空がちりばめられている。トプン。──────ザプン。バックミュージックに波音。どんな音楽よりも豪快さを見せつけて、野郎共が駆け巡る海原は。今、この時ばかりは。寄せては返す、絹織物のように。オルゴールのような心地よい響きで。サラり、風と共に1人の女性の髪を撫でた。白の魔女は泡沫に夢を見る。さくりさくり浜辺を踏み、特に意味も無く微笑みを浮かべ佇む後ろ姿を。あなたは見かけることになるでしょう。初めまして、今宵の御相手様は。〝 貴方〟でした。領土の名前なんてどうだっていい、彼女は人の決めた領域名に興味はない。)   (7/8 19:35:17)


クロ:白梅 > ( 夜景に海辺。言葉に表す事ができない程の美しき景色を横目で眺めつつ浜辺の砂を踏み歩く。ザッザッと云う音が波音に飲み込まれ、攫っていく。 _今宵の月夜も魅惑の景色。生まれし生命、妾の元に_ 時は戌の刻( 20時半辺り )。薄茶色の髪の毛を大雑把に一つにまとめて頭の上からぶら下げ、軍服のスカートがバサバサと夜風に靡くのを気にもせずに前方に見える人影に向かってゆっくりと歩みを進める者がいた。 軍帽は被っていないが、その右顔にある大きな傷跡が印象的な彼女は尊華帝國軍、元帥。名を_白梅。 美しきベールに包まれ、繊細な硝子のような髪色を持つ高身長の女性の元に歩み寄れば、凛とした声色で背後から声を掛ける。)   (7/8 19:53:51)
クロ:白梅 > 海と夜景がここまで似合う女性を見るのは初めてであるなぁ。何者であるか、名を述べよ。( へらり、と笑顔を忘れずに声を掛けてみる。が、何分夜は危ない人がうろつき回る。今はあまり良い噂も聞かない。だからいつでも対応出来るように身構える…が、それを悟られてはいけない。 さぁ、相手がどう答えるのかを予想してみようか。 内容によっては__まぁ、そこは言わないのが乙女と言うものである。 )   (7/8 19:54:10)


外/セシル > (彼女は咄嗟に後ろを振り返ることは無かった。貴方の姿、存在に。まるで気づいていないように。…いいえ。〖もとより我々が出会っていなかったかのように 〗ショーケースに入ったガラス細工のような彼女は。生身の温もりを持つあなたに見向きもしなかったのです。とぷん、ざぷん。月の光煌めく夜の事。──────「……………嗚呼、全く。」波にとろりと溶けてしまうほどに、彼女の声は透き通り。水面に落ちた一雫のように繊細で、貴方が拾わねば消えてしまいそうなそれは。この女の、魔女の声。彼女は、ウィンドチャイムのよう、髪をシャラリと揺らしながら貴方の方を見やった。ワビサビを尊重する種族の顔立ち、言葉訛りに服装と。彼女は慈愛に満ち足りた微笑みで貴方を見据えている。   (7/8 20:08:58)
外/セシル > 眼差しはまるで母のよう、そんな彼女の口から紡がれた言葉は。「………近頃の人間は、ついに礼儀も忘れたか。……………まあいいさ。………このご時世、よォく悪い輩が出ると聞くが、御前様。」 ────── 「…………こ の 私 に、一 体 な ん の 用 だ ?」 優しかった。優しかったはずなのだ。優しかった、はずなのに。酷く冷たい声色は、人嫌いの象徴。忌々しい肌色、忌々しい軍服、貴方は何も悪くない。ただ、〝人である 〟それだけなのだ。)   (7/8 20:09:19)


クロ:白梅 > ( 咄嗟に振り返らない_その姿を見て白梅は2つの事を考えた。1つは、そう云う性格。もう1つは、噂に聞く悪い人…。勿論普通の人であって欲しいと云う願いは消えないが、どうにも雰囲気も貴方の尊華では見掛けないその服装も_この願いは無駄なものかもしれない。そう思わざるを得なかった。 波の音が聞こえる中、遠くで鳴り響いている夏特有の虫の音がこの違和感を流してしまう。しかし、数分後。 前方に佇む美しい女性が小さな声を零したのを、確かにこの耳で拾う。ぴくり、と右指を動かすが、未だ大丈夫。未だ、大丈夫_。)   (7/8 20:33:34)
クロ:白梅 > ( 《 大丈夫、だなんて言葉が信じられるとでも思ったのか 》まるで神からのお告げのように白梅の脳内にサイレンが鳴り響く。 目の前にいる女性が、振り向いたのだ。振り向いて、白梅の問いに応えただけなのだ。だが、その優しげな表情からは想像が出来ない程の、海を、空を、世界全てを凍てつかせる様な冷たい声色が響いた途端。海の波の音も遠くに聞こえる虫の音も、夜風さえも止んだ。冷や汗が、ツ…と頬を撫でる。だがここで怯んでしまっては元帥としての名に傷が付く。何より、この女性は未だ声を発しただけなのだ。流れる冷や汗と脳内で鳴り響くサイレンを落ち着かせるように。ふ、と小さく息を吸ってへらり、と笑ってみせた。)   (7/8 20:33:36)
クロ:白梅 > それは申し訳なかった。何、妾の事を知らぬ者は" もぐり "だな? いやなに、つい最近王国と休戦したばかりだからな。嗚呼…用。用などあると思うのか?御主の姿があまりにも美しいから声を掛けたまでよ。何せ近頃。( 近頃物騒なモノが居るからな__と。ペラペラ話して身振り手振りをして大袈裟に表現する姿が、貴女にどう見えるのかは分からない。それでもへらへらと馬鹿にした様に笑うのは、自身の精神を落ち着かせる為と、何者かを見極める為。 _嗚呼、不運であるなぁ…_誰に向かっての心の声なのかは、白梅以外には分からない。)   (7/8 20:33:43)


外/セシル > ──────嗚呼、くだらない。………………まるで【⠀〝 道化〟⠀】だな。( 美しい人、おべんちゃら。わざとらしい身振り手振りの中に微かに孕んだ警戒心だろうか。それとも、誰のものでもない土地を、人間が勝手に〝 我らの領域〟 と傲慢に口にして国を分けていることだろうか。浮かべた笑みを崩すことはなく、長い睫毛を震わせて目を伏せる。砂浜を踏み、後に咲く氷の華。あなたに歩み寄るその様子はゆったりとしているのに。嗚呼、まるで。無機質な長方形が、鋭利な刃物が迫り。喉元に、──────トン。貴方の喉に触れたのは、彼女の酷く冷たい人差し指。「…………………私が、どこで何をしようが構わんだろう?」「それとも何か。」「…………貴様らのくだらん〝 法〟とやらで縛り付けるつもりじゃあなかろうな。」「………だとすれば笑止。」──────「それよか。……………息をするのを、忘れているぞ。………小娘。」   (7/8 20:47:17)
外/セシル > ひそりとあなたに秘密事を呟く見たく柔らかくて微かで擽ったくて、羽のようなのに。雰囲気は氷、冷や汗に開かれた瞳孔、元師の何かけて逃げず怯まず笑みを浮かべる姿はなんとも勇敢だけれど。【⠀誰も褒めてはくれません。】「………………………とって食いやしない。海を見ていた、それだけだ。邪魔だてせぬなら私から言うことは何もない、………………はてさて。貴様の名は、なんだったか。」貴方の名前を。聞かぬそれは。嫌悪より冷たい、〝無関心 〟。嫌な女、嫌な魔女。我らが氷の信仰は。永久凍土の恋心。)   (7/8 20:47:27)


クロ:白梅 > 道化、道化。妾からしてみれば御主こそ人形の様である。( へら、と何度も笑ってみせるがその笑みをふ、と消え去る。顔に残るのはまるで何かを睨むかのように開かれた漆黒の瞳。此方へと向かってくる女性を見て、遂に確信した。_嗚呼、この女が近頃噂の化け物か_と。 女性の後ろに咲き誇る氷の華を見たのが決め手だった。自身と同じ氷の魔術_否、ソレは魔術と云えるのか?__そんなこんなで思考回路を巡らせていれば反応に遅れてしまう。いや、巡らせていなくても遅れていただろうが。静かに喉元に当てられた人差し指のその人とは思えないあまりにも無機質で氷のように冷たい感触を喉から直接味わえば目の前にいる女性の声を脳内に焼き付けながら、静かに心で叫んでみせる。_息をさせないのは御前のせいだろう?_と。しかしヒュッと息を吸っては強気な笑いで此方も応える )   (7/8 21:33:48)
クロ:白梅 > は、笑わせるでない。妾は仮にも軍人。不審な人物に声を掛けるのは当たり前だろう?よもやそんな事も分からぬ浮浪者だろうか。…法、法。その様な法があるなら是非使いたいものだ。( ふん、と鼻を微かに鳴らして強気な態度を取ってみせる。しかし真っ黒な瞳孔は開いてしまう。退けてくれるかも分からない手から離れるために軽やかに数歩後ろに下がっては一言「 御主こそ失礼な輩であるな 」なんて嗤ってみせる。 こうでもしないと異様な存在に怯えるのか、と言ったら正直それもある。勿論、元の性格のせいでもある。何にせよヒラヒラと手を振って女性に向かって呆れた様な声色で伝える。伝わるだろうか。否、伝わらなくても何度でも言うさ。)   (7/8 21:33:50)
クロ:白梅 > まさか。そんな事をする様な者だとは微塵も思ってない。何、邪魔だては此度はしないでおこう。何せ未だ何も御主の事を知らぬ故。 嗚呼、名を名乗るのを忘れていた。妾は白梅。それで、御主の名はなんと申す。( 勿論、今は何も出来ない。何せ未だ何もしてないのだから。無駄死に犬死は御免である。そんな無駄な事をするぐらいならば、今は未だ放っておくのが1番である。そうと決まれば自己紹介を軽く済ませは、いつも通り手を差し出そうとするが今回は敢えて辞めておく。理由は単純明快、その手が氷よりも冷たいから。__夜風がヒュウ、と再度吹き始め、2人を包み込む。嗚呼、なんと恐ろしい事か。)   (7/8 21:34:37)


外/セシル > ……………ほう、ならば問うが、御前様。〝 人形相手〟に何を怯えることがある?威勢は美徳か?(暖かな貴方の体温を奪うそれは氷、氷点下の中で何人たりとも立ち入ることのない彼女の城は。曙光に照らされ溶けることを知らなかったのです。嗚呼、貴方のその言葉。彼女は貴方を見据えながら小さく問うた。子供に投げかけるそれは、孤児院のシスターのように。そうして深く深く、奥の奥で。貴方が1人、貴方の底で蛇に喰われぬかの瀬戸際のように。彼女は貴方から離れ、目を伏せぱらりとおちた髪を、耳にかけた。とぷん、ざぷん。溶ける波の音でも聴きながら、上手に踊るあの日のように。穏やかに。「〝美しかったから話しかけた 〟………………そう御前様は口にしたね。だが今口にしたのは、〝 不審 〟だったから。………そうか、そうか。海に女がひとり、条件は御前様と変わらぬのに。」   (7/8 21:54:42)
外/セシル > ──────「白梅、と言ったな。…………何、すぐに忘れるだろうが。…………ここで1つ、私の名前の代わりに。」 指先を立てては ひゅう、と靡く風を凍らせ、ミスト状のそれは。彼女の〝美学 〟に基づいた、幸せを運ばぬ煌めく白鳥が、形を生してはばたいては彼女の肩に乗る。【想いを閉じ込めた氷は淡い魔力を持つ】「…………小娘。…………………………建前と本音を上手く使い分けろ、そんなボロボロ剥がれるもんなら、最初から使わない方がまだマシだ。」 小さな魔法と愉を加えて。ふわりと氷の鳥は消えてしまって、それはまるで夢だったと。そう思わせるように。余韻のように煌めく空気は冷たく凍てついておりまして、嗚呼。そう、彼女は。もう踵を返してしまうのでしょう。   (7/8 21:55:15)
外/セシル > 「…………興が冷めた。………もう行く。…………御前様は何も見てはいない、そうして私も今日は人間にあっていない。それで、いいじゃないか。…それで。」「………………──────なあ?」去り際に クスリと微笑んだ。母親の顔だった、嘗て愛を知っていた。そんな彼女が今浮かべるそれはどこまでも深い悲哀の色と残酷なぐらいに冷たい氷河。貴方は化け物に会ってない。彼女は人間にあっていない。だから凍らせてないし怪我もしていない。今日はそんな日、子供に読み聞かせ出来ますようにと。泡沫の夢に微睡む表紙を閉じれますようにと。)   (7/8 21:55:17)