この世界では、
”言葉”が魔力を持っていた。

シフィル

封船@シフィル > (夜というのは、人の弱さを映してしまう。誰もが隠す弱い自分を、いとも簡単に引きずり出してしまう。昼は元気に見える人が、夜は苦しそうに息をして血を流す。昼はなんでもないように笑う人が、夜には隠れてすすり泣く。しかしそれは太陽が昇れば、まるで何事もなかったかのように一瞬で消え去ってしまう。彼はそんな夜が嫌いだった。必死に隠した感情を露わにしようと襲いかかってくる暗闇が、冷たい空気が嫌いだった。)「……………さむい。」(ひゅうひゅう、と冷気を纏った風が頬を掠め、過ぎ去っていく。夏場ではあるがやはり夜は冷え込む。元より、彼が寒がりな体質であるということもあるだろうが。上着を持ってきて正解だったと満足そうに頬を緩めて、柔らかな布地に肌を擦りつけた。しばらく顔を布地に埋めてその暖かさを確認すると、再び前へ前へと足を進めた。時刻は午前1時。何故こんな時間に外に出ているのか、と言われても別に行き先などないし、行く場所もない。なかなか寝付けなかったのでただ散歩に出ただけだったのだが、逆に目が冴えてしまった。)   (7/18 01:58:27)
封船@シフィル > (まあ、眠れないなら眠れないでそれでいい。冷たい暗闇の中で、なかなか寝付けずに恐怖心を駆られ、震えながら朝を待つほうがよっぽど苦痛だった。やっぱり、夜は嫌いだ。冷たい暗闇は嫌いだ。)「……………あ」(暗闇に目が慣れ、夜目がきいてきた頃。前方に影が見えた。前方10メートルほどの場所を、黒い何かが横切っていった。その大きさから予測するに、おそらく狸のような小動物だろう。別にそれを追っても、何が起こるわけでもない。しかし純粋な好奇心に身体を動かされ、無意識のうちにその影を追いかけていた。思っていたよりもずっと、その影はゆっくりと動いていたため追いつくのは簡単だった。そして追いかけてきた自分から逃げようともせず、ずっしりとした姿勢でこちらを見、待ち構えている。街の灯火がゆらめき、影を光で包み込んでいく。光が満ちて影が消えた時、ようやく“ソレ”がその姿を現した。)   (7/18 01:58:39)